NO.980 ドあつかましい日本経団連 消費税17%を提言。
(この記事が「NPJ お薦め ブログ」で紹介されました。)
2月17日、日本経団連が「国民全体で支えあう持続可能な社会保障制度を目指して」と題する提言を発表した。
しつこくてすみません。
既に一度、NO.935 盗人猛々しい経団連 「全額税方式」で、消費税17%!で書いているが、改めて参考過去ログも紹介しながら・・・。
その狙いは、「改めて」しつこく、ドあつかましい消費税増税の旗振り。
「改めて」というのは、昨年5月に「国民全員で支えあう社会保障制度を目指して」、10月に「税・財政・社会保障制度の一体改革に関する提言」をとりまとめており、そこでも「社会保障と税の一体的見直し」の観点から、消費税増税を掲げているからだ。・・・タダ、思うに任せず、引き上げの時期が少しづつずれてはいるが。
そして、これまでは「2015年までに10%」としていたが、今回は「これまでの提言を踏まえた上で、2025年度を最終目標とした社会保障制度改革のあり方」を提言するというのだ。
2025年度までに税率17%へ
「真の意味での中福祉・中負担の実現へ。国民負担率(現在40.1%)は、50%台へ、将来的に消費税率は10%台後半へ」
「国民が広く薄く負担できる消費税を主たる財源として、社会保障費用を賄う」
「社会保障国民会議のシミュレーション結果をもとに試算すれば、2025年度で追加的に必要となる公費は、現状に比して消費税率換算で12%程度必要となる。」・・・「現状に比して12%」等とこすい表現をしやがる、要するに税率17%にするということだ。
結論的には、「現役世代に過度に依存」した「低負担」では社会保障を維持できないとして、第1段階(2015年度ま)でに消費税率10%、第2段階(25年度ま)でに消費税率17%への増税が必要だとのべている。
提言の概要→http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/011/gaiyo.pdf
ここに示された、経団連提言への批判は、昨年10月の提言への批判と基本的内容は変わらないので、過去ログ:NO.626 日本経団連の「消費税増税提言」を斬る!を、是非参照していただきたい。
その上で改めて、今回の提言についても批判を加えておきたい。
先ず、ミソは「国民全体で支えあう」という実しやかな文言。この筋の表現ではよく「みんなで・・・」とも言う。残念ながらこの「国民全体」の中には、大企業は入っていないということがポイントだ。
もともと、大企業は消費税は実質的に1円も負担していないうえに、還付金までもらっているのだから、当たり前と言えば当たり前で、しかも「国民」などではない(笑)?(怒!)
参考過去ログ: NO.872 消費税 大企業は1円も負担しないどころか、「益税」まで・・・!
NO.473 消費税は「みんなで負担する税」ではありません。わずか1万円の給料でも、買い物をするたびに・・・!
日本経団連の御手洗冨士夫会長は、この間も、消費税増税を財源に、法人税の10%減税を要求してきた。この要求ではっきりしているように、提言の狙いは財界・大企業の保険料と税の負担を減らすことにある。
あけすけに言う経団連御手洗会長
もっとあけすけにその狙いを語ったのは、経団連現会長の御手洗富士夫氏だ。
法人実効税率を30%に引き下げる要求をし、「その財源はどうするのか?」と問われ、次のように答えている。
「我々のビジョン(御手洗ビジョン)に、2011年までに消費税を2%、15年までに3%ぐらいあげると書いている」(07年2月27日の記者会見)と!
参考過去ログ:NO.879 財界・大企業が消費税増税に熱心な訳は。
NO.954 消費税増税問題・・・財界・大企業にきちんとモノ言える政党かどうか。②
提言は、以下のように言う。
「わが国の人口は2005 年をピークに減少過程へ。2055 年には現役世代1.3 人で1人の高齢者を支
えることに。世代間扶養を基軸としたままでは、持続可能性と経済活力との両立は困難。
現役世代に過度に依存する世代間扶養から公費負担中心への移行。」
「現行制度体系が社会変化に対応しておらず、世代間の不公平を助長。」
「産科・小児科・救急医療体制の不備、介護従事者の不足等、サービス提供体制の綻びが露呈。現状のような低負担では、質の高いサービス提供が困難な状況にあり、質を確保する上で相応の負担が必要。
「現役世代に過度な保険料負担を強いるという問題を内在。」・・・などなど。
提言は、高齢化社会を不安なものに描き、世代間の不公平をいいつらい、世代間対立をあおりながら、社会保障には医療を始め年金・介護などサービス体制への不安など「ほころび」はあるが、今は「中福祉」の水準であり、この水準は「低負担」では持続可能なものとして維持できないとしている。
まるで国民が「低負担」だから、「中負担」に増やすことに眼目があるかのように言うのである。
日本は「高負担」「チョー低福祉」
大体、北欧を「高福祉」、ドイツやフランスを「中福祉」とするのが彼らの持論だが、そうだとするならば日本は「中福祉」どころか「チョー低福祉」だ。
国民への社会保障給付水準は、GDP(国内総生産)比でドイツ、フランスが30%をちょっと切るぐらいなのに、日本は17%にすぎない。
「低負担」と言うが、日本の所得税の課税最低限は先進国で最低。
国保や国民年金をはじめ社会保険料は低所得層ほど負担は重く、国民皆保険は「崩壊」している状況だ。「低所得者のほうが社会保障負担が非常にシリアス(深刻)で、むしろ高額所得者は負担感が非常に緩い」。塩じいこと塩川正十郎元財務相の発言だ。元閣僚からもこんな声が上がるほどだ。
負担が低いのは塩じいが指摘した高額所得層だけではない。
まさに「国民全体」の中にいない大企業の税・社会保険料の実際の負担率を比較すると、例えば自動車大手では「中福祉」と目されるドイツより7%、フランスより11%も低いのが実態だ。
ヨーロッパの事情は全く違う
提言は、「将来的に消費税率は10%台後半へ(英:17.5%、独:19%)」と、ご丁寧にドイツやイギリスの数字まで紹介して、「ドイツやイギリスにみられるように、消費税率が10%台後半になることは不可避である」と決め付けている。
しかし、ヨーロッパ諸国の社会保障の財源の大半は社会保険料、とりわけ企業の保険料負担の比重の高さが特徴だ。
社会保障の財源に占める消費税は日本もヨーロッパも一割程度で変わりはない。
その一方で、企業の保険料負担はフランスの4割台、ドイツ、イギリスの3割台に対して、日本は2割台にとどまっているのだ。
消費税ヨーロッパ事情の参考過去ログ:
NO.882 消費税、ヨーロッパと比べると・・・。
NO.884 ヨーロッパの社会保障は、消費税で支えられているわけではない 。
NO.476 福祉のためなら、ヨーロッパ並みに消費税を上げてもいい?
NO.518 イギリスは消費税率17.5%なのに、ほとんど払わなくても暮らしていけるって?
消費税は反福祉税
逆進性が高い(貧乏人ほど所得に占める負担割合が高い)消費税を、社会保障のためだといって大幅に増税し、大企業の負担を減らすとは、まったく逆立ちした論理だ。それ以前に、消費税はその逆進性によってそれ自体が不公平で反福祉的な税なのだ。
財界の社会保障財源の議論は、大企業の法人税と社会保険料の負担をさらに減らして、あわよくばすべて消費税に置き換えようという身勝手極まりない主張だ!見てきたようにヨーロッパ諸国のあり方とは正反対といわねばならない。まさにドあつかましいのである。
麻生自公政権は、来年度税制法案の「付則」に、消費税増税を書き込み、増税へののレールを敷こうとしている。
負担は持てる者、財界・大企業に
税や社会保険料を負担すべきは、国民を絞りに絞り暴利をむさぼってきた財界・大企業そのものだ。
奴ら財界・大企業の言いなりの政治では、不況の打開どころか国民一人ひとりの暮らしも踏んだりけったりで、社会そのものが立ち行かなくなるだろう。・・・と思うのだが。
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
いつもありがとうございます。
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2009.02.26 | | Comments(1) | Trackback(4) | ・消費税・財源・税Ⅲ
