我が家の河津桜は葉桜になり、冨士桜も咲きました。
いよいよ春本番ですね。


さて、生活保護についての基本をおさらいしておきます。
以下はFB友の投稿です。
「誰もが安心して治療が受けられる社会に!」
このクロスは、昨日の水曜官邸前で私の友人が持ってきたものです。

彼女は多発性硬化症をわずらっており、今、厚生労働省が「社会保障と税の一体改革」の中でもちだした「難病対策を法制化も視野に抜本的に見直す」として出してきた「提言」に抗議するため、水曜官邸前の「このまますすむと困っちゃう」人たちのスタンディングアクションに、病気をおしてでも、ほぼ毎回のように参加をしています。
その「提言」では、「他制度との均衡」「公平性」「公正性」を計るとして、「重症患者の特例を見直し、すべてのものについて所得等に応じて一定の自己負担を求める」としているのです。
もし、生活保護基準が下げられてしまったら、彼女たち難病患者の負担が増えてしまう。治療をすることで何とか症状を軽減させ、病状の進行を抑えているものが、負担が増えるために治療を諦め、重症化を招いてしまう。
難病は、いつ誰がなぜかかるのかわからない病気。どのように治療すればいいのか解明されていない病気。明日誰がかかるともわからない。
「他制度との均衡」を理由に、社会保障費をどんどん引き下げる政治、許していいのでしょうか?
生活保護受給者へのバッシングは、すべての国民への攻撃であると彼女は訴えます。弱いものがたがいに足を引っ張り合うのでない、互いに思いやり励ましあい、よりくらしやすい世の中にしていくことこそ、今求められているのです。
生活保護基準の引き下げは、受給者だけの問題ではありません。
その影響は、計り知れません。
「いのちの最終ラインを守ろう。STOP!生活保護基準引き下げ。」(
http://nationalminimum.xrea.jp/)サイトから転載しておきます。
その他、
■緊急学習会 「生活保護バッシングで 誰が得するの?~国の責任放棄の真相~」資料など良い資料もあります。是非リンク先でどうぞ。
国民のいのちと生活を守るのは、国の義務です。
生活保護基準は、その最低限度の指標〈いのちの最終ライン〉です。
いのちの最終ラインを引き下げようとする国に対し、
「ちょっと待った!」と一緒に声をあげませんか。
生活保護基準が引き下げられると・・・
★低収入なのに課税される世帯が増えます。
自治体の地方税の非課税の適用基準は、生活保護基準に連動しています。
★就学援助や国民健康保険の減免等を受けられない世帯が増えます。
この他、いろいろな自治体の減免制度の適用基準も、生活保護基準と連動しています。
生活保護を利用していなくても、これらの減免制度を利用している低所得世帯は多いです。
★最低賃金が切り下げられ、労働条件が悪化します。
最低賃金は「生活保護と整合性をはかる」となっており、生活保護基準の額と連動しています。
最低賃金が引き下げられれば、労働条件全体の大幅な悪化をまねきます。
★消費が落ち込み、景気・雇用状況が悪化します。
低所得世帯は減免制度が使えず支出増、賃金や生活保護費引き下げにより収入減になり、その分、生活費の支出が減少します。
生活保護基準引き下げのどこが問題?Q&A
Q1 生活保護を利用していない人には関係ないのでは?
いいえ。そんなことはありません。生活保護を利用していない人にも大きな影響があります。生活保護を利用していない低所得者、労働者が直接的な影響を受けますが、消費や景気も落ち込みます。市民生活全体が大きな影響を受けるといっていいでしょう。
その人数は、生活保護利用者より遙かに多いといっていいでしょう。
Q2 生活保護基準って、なに?
最低生活費ともいいますが、生活保護基準は〈ナショナルミニマム〉といって国家が国民に対し「最低限これだけは生活を保障します」という最低生活保障基準でもあります。生活保護をもらえる額(権利の基準)というよりは、国の国民に対する生活保障責任の基準と考えられるでしょう。
この最低生活保障基準を引き下げることは、ある意味、国の責任放棄ともいえます。
Q3 生活保護が増えているので、仕方がないのでは?
増えているといっても、生活保護を利用できる収入・資産の人のうち実際に利用できている人(捕捉率)は2割といわれています。逆に8割の人が生活保護を利用できずに生活保護基準以下の収入・資産での生活を強いられています。日本の生活保護はそういった「受給漏れ」が、一番大きな問題です。
また、一番の増加要因は、低年金・無年金による高齢者が増えていることです。
Q4 低所得者が影響を受けるって、どういうこと?
市町村で実施される低所得世帯向けの減免制度の多くは、生活保護基準やその"1.何倍"というように適用基準を定めています。生活保護基準が引き下げられれば、これらの減免制度の適用基準額も下がりますので、今まで減免制度を利用できていた低所得世帯の中にはこれらの減免制度が使えなくなる世帯もでてきます。
地方税の非課税基準、国民健康保険の保険料・一部負担金の減免基準、介護保険の保険料・利用料の減額基準、障害者自立支援法による利用料の減額基準、就学援助の給付対象基準などです。
Q5 低所得世帯は少ないのでは?
Q3生活保護の捕捉率(制度利用できるはずの収入・資産の人の中で実際に利用できている人の割合〉は20%しかありません。生活保護の利用要件を満たしている人で80%が利用できていません。現在の生活保護利用者が210万人とすると、840万人が利用できていないことになります。
また、日本の相対的貧困率は16%です。つまり2000万人が貧困に陥っている状態です。生活保護が必要なレベルでなくても、貧困に陥っている人は日本にこれだけたくさんいるのです。
Q6 働いている人も影響を受ける?
最低賃金の金額は「生活保護にかかる諸施策との整合性を図る」(最低賃金法9条1項)とされており、1ヶ月フルタイムで働いた場合に生活保護基準を上回るよう定められています。最低賃金額も生活保護基準と連動していますので、基準が引き下げられれば最低賃金も引き下げられ、給与所得が減少します。
また、最低賃金という労働条件の基盤が引き下げられることは、最低賃金以上の賃金など、労働条件全体を悪化させることに繋がります。
Q7 生活保護利用者は、十分な生活保護費をもらっているので、そんな大きな影響はないのでは?
生活保護基準は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するものとされていますが、現在の基準でも、親戚の冠婚葬祭を諦めたり、食事の回数を減らしたり、電気代を抑えるために真夏でもエアコンをつけないなど、「健康で文化的な最低限度の生活」に十分なものとはいえません。そのような状態で、生活保護基準が引き下げられれば、生きること自体が脅かされるようになります。
Q8 消費が冷え込むなんて、大げさでは?
生活保護基準引き下げにより、生活保護利用者や労働者の収入は確実に減ります。そして減免制度を使えなくなった低所得世帯は減免が使えない分、支出が増えます。そうすれば生活費を削って補うしかありません。何百万人、あるいは1000万人以上の人たちの消費が落ち込むことになれば、その影響は甚大でしょう。消費税増税で消費が落ち込むことが懸念されていますが、低所得者に限定すれば、これと類似の影響があると言っていいのではないでしょうか。
生活保護は211万人のいのちを支えるほか、生活費や家賃を通して消費に回され、商店や流通にお金を落としているという、経済面での効果も見過ごせません。
Q9 生活保護基準を引き下げれば、財政負担が減るのでいいのでは?
現在、社会保障審議会生活保護基準部会で検討されているのは、主に、「生活扶助」と呼ばれる生活費にあたる部分です。しかし、生活保護費の約半分は医療費ですので、基準を引き下げたからといって、大幅な削減効果があるとは言えません。寧ろ、これまで述べたように消費を減退させますので、大きな目で見ればプラス効果よりマイナス効果の方が大きいというべきです。
Q10 では、なぜ生活保護基準が引き下げられるの?
今年8月10日に成立した社会保障改革推進法では「自助(自己責任)」を強調して、「社会保障給付の重点化・制度運営の効率化による負担の増大を抑制する」と、社会保障給付全体の抑制を目指しています。その最初の標的になったのが生活保護制度です。全ての社会保障の土台であるのに、当事者が声を挙げにくく反対されにくい生活保護を狙い打ちにしているのです。
ここで生活保護基準の引き下げが実施されれば、これを皮切りに社会保障全体が引き締められ、私たちの生活そのものが切り捨てられることになります。
Q11 不正受給が横行するような状態では、生活保護基準が引き下げられても仕方がないのでは?
不正受給の金額は、ここ数年、生活保護費全体の0.4%弱で推移しています。報道されることが多いので、不正受給が横行しているかのような印象がありますが、実際にはその程度でしかありません。福祉事務所とのコミュニケーション不足による事例も多く、悪質な事例はごくわずかといえるでしょう。
逆に、不正受給の例の数百倍もの人が生活保護により、餓死や自死、貧困による犯罪に追い込まれずにすんでいます。そんな生活保護のプラス面ではなく、不正受給を大きく取り上げることで悪い印象を持たせ、人々の視線をそちらに向けさせて、その陰で生活保護基準引き下げを断行しようとしているのです。
Q12 生活保護基準の引き下げは、どのような方法で行われる?
一般低所得世帯の消費実態との比較で検証されることになっています。しかし、捕捉率が2割という現状では、この低所得世帯に生活保護基準以下の収入しかない受給漏れ世帯多く含まれます。その消費実態(支出)は、当然、生活保護基準以下になります。
このような比較で「生活保護基準より少ない金額で生活している人がたくさんいるから」と生活保護基準を下げるのは、おかしくないでしょうか?
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2013.03.08 |
| Comments(1) | Trackback(1) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
中央政府に呼応した形で、地方でも福祉や社会保障に切り捨てが進んでいます。
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
兵庫県小野市で、議会に提出された福祉給付制度適正化条例案は、不正受給をしたり、生活が維持できなくなるほどパチンコ、競輪、競馬に使いはたすことを禁止しています。
「市民の責務」として受給者の浪費が常習化しているところを見かけたら、市への情報提供を要請。「疑わしい事実」があると市長が判断した場合、警察OBなどでつくる予定の「福祉給付制度適正化推進員」が調査します。
確かに、ギャンブルに保護費を使い込むのは問題で菅、保護費をどう使うかは基本的に自由だというのが最高裁判決です。
小野市の生活保護世帯は120世帯。それに対する担当職員は3人。
ギャンブルにおぼれないようにしっかり相談にも載るという体制と言えるだろうか?
サッカーくじを宣伝したりカジノを解禁・誘致しようかと言ったり、政治や行政がギャンブルを煽りながら、生活保護だけは取り締まる・・・。おかしいと思いませんか?
生活保護バッシングや政府の生活保護攻撃に便乗することは許されません。
この根柢には生活保護を権利としてではなく、社会的な迷惑だとみる偏見や差別もあるでしょう。
住民同士を監視しあわせ、生活保護抑制を狙うかような条例案は、否決すべきです。
また、こんなひどいことも起こっています。
障害者自立支援法:「電動車椅子支給却下は違法」と提訴(毎日新聞 2013年02月26日 03時00分)
心臓病がある福岡県筑後市の小林奈緒さん(23)が、障害者自立支援法に基づく電動車椅子の支給申請を筑後市が却下したのは違法として、市の処分取り消しを求める訴訟を福岡地裁に起こした。
訴状などによると、小林さんは生まれて間もなく先天性の心臓病「単心房単心室」と診断された。本来なら二つずつある心房と心室がそれぞれ一つしかないため血液中の酸素が不足し、5分以上、100〜200メートル歩くと息切れが激しくなる。入浴も手助けが必要で、身体障害者手帳(1級)を取得している。
06年施行の障害者自立支援法に基づく厚生労働省の規定は電動車椅子の支給対象者を「呼吸器機能障害、心臓機能障害によって歩行に著しい制限を受け、医学的所見から適応が可能な者」と定める。認められれば、本人負担は原則購入費の1割になる。小林さんは手動の車椅子も自分では動かせないため、11年、市に電動車椅子の支給を申請。電動車椅子が必要との主治医の意見書も出した。
しかし市は12年、「日常生活が著しく制限されるとは考えにくい」として申請を却下。小林さんは不服審査請求をしたが認められなかったため提訴に踏み切った。
代理人の星野圭弁護士は「市は小林さんの社会参加の権利を侵害している。主治医の判断を尊重し、自立につなげるためにも電動車椅子を支給すべきだ」と主張。
筑後市福祉事務所は「(支給決定の際に行われる)県障害者更生相談所の判定に基づき判断した。今後の裁判で反証していきたい」としている。【蒔田備憲】
障害福祉に詳しい竹端寛・山梨学院大准教授(障害者福祉論)の話 同様のケースは他県でもある。電動車椅子を使うのは甘えている、できるなら手動を使う方が良いというような、旧来の「自立更生」の文化に基づいた前例踏襲の判断を感じる。病気のしんどさや生活のしづらさをきちんと聞き取り、行政と当事者が協議・調整できるようにすることが必要だ。
開いた口がふさがらない。
一体、福祉の現場窓口は何を考えているのだろう。
裁判まで起こして主張しなければ、普通に生きる権利さえも守れないというのか。
こんなご時世だからこそ、権利はたたかいとるものである。
埼玉・三郷市で生活保護の「門前払いは違反」という判決が確定しました。
裁判は、市に生活保護の申請権を侵害されたとして夫妻が2007年に起こしたもの(夫は判決前に死亡)。夫妻は、05年1月から1年半にわたって生活保護の相談をしましたが、市は応じませんでした。弁護士の援助で06年6月から生活保護を受給できたものの、2カ月後には市の指導で東京都内へ転居させられ、さらに転居先で生活保護の相談に行かないよう言われました。
判決は、申請させなかったことや転居に際しての指導について市の違反を認め、賠償金537万円の支払いを命じました。原告弁護団は、主張をほぼ認めた「全面勝利」だとし、市に控訴しないよう求めていました。市民団体の「三郷生活保護裁判を支援する会」のもとには、控訴断念を迫る署名が9000人分を超えて寄せられ市に提出していました。
市の控訴断念を受けて原告弁護団の中山福二団長は「市は判決を反省材料とし、二度と同じことを繰り返さないでほしい。生活保護相談者に申請書を見えるように置くなど具体的手だてを講じてほしい」と話しました。
人間らしく生きる権利が、たたかいの中で勝ち取られてきたように、理不尽な権利侵害は、国民自身のたたかいではねのけなければならない。
今こそ、肝に銘じなければならない。
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 ポチポチッと応援よろしく。
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2013.03.05 |
| Comments(0) | Trackback(2) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
ご無沙汰でした。
2か月ぶりです。
もう、土筆が顔を出し始め、沈丁花が香りだし・・・こんな季節になりました。

あまりにも久しぶりだと、さて、何から書こうかと戸惑ってしまいます。
昨日は、バレンタインデー。
世間がこんなものに騒いでいると、「アホな商業主義が・・・!」と思いつつ、
出勤すると机の上に!
・・・ま、うれしいものですね。と、…ダブスタ友さんなのでした。

さて、2月14日と言えば、”人間裁判”と呼ばれた「朝日訴訟」をたたかった朝日茂さんの「50回忌」でした。
生活保護が戦後最大規模となり、安倍政権が戦後最悪の切り捨て攻撃を仕掛けている折、今一度、その判決を振り返ることは有意義なことでしょう。

朝日訴訟第一審判決(抜粋)
生活保護法は、憲法25条の規定する理念に基づいて、国に国民の最低生活を具体的に保障する法律上の義務をおわしたものであり、たんなる訓示的・方針的な規定でなく具体的な効力規定である。
健康で文化的とは、単なる修飾ではなく「人間に値する生活」、「人間としての生活」といいうる内容をもつものでなければならない。
最低限度の生活水準を判定するについては、いわゆるボーダーライン層に位する人々が現実に維持している生活水準をもってただちに生活保護法の保証する「健康で文化的な生活水準」にあたると解してはならない。
厚生省証人・末高信の証言によれば、この層に属している人々は相当数におよび、その多くは、何年に一枚の肌着で安んじ、はだしで走りまわり、歯みがき、歯ブラシも使わず、用をするにも紙をもってなし得ないというような状態をつづけながらも、なお一応の健康の維持して生活しているというのであるが、健全な社会通念からいえば、これらの生活がはたして健康で文化的な最低限度の水準に達しているかは、はなはだうたがわしい。
また最低限度の水準は決して、予算の有無によって決められるのではなく、むしろこれを支配するべきものである。
http://aequalis.jp/ikei_gakusei/medi_wing/detail.php?id=24(民医連サイトより)
朝日訴訟は、日本の社会保障闘争が勝ち取った橋頭堡です。
以来、この攻防をめぐる進歩と反動の熾烈なたたかいが半世紀にも及んでいるのですね。
広がる貧困の前に、生活保護削減する安倍政権の愚策!! 昨年11月時点で、生活保護受給者は214万7303人(前月より+4723人)、156万7797世帯(前月より+3496世帯)。
うち、高齢者世帯が68万236世帯。けがや病気の人の世帯が29万7848世帯、働ける世代を含む「その他」は28万7968世帯。
安倍政権は生活費にあたる生活扶助の基準を2013年度から3年かけて670億円削減することを決め、このうち13年度は150億円を削減することにしている。
今こそ、「人間らしく生きる」原点に立ったたたかいが求められているのです。
重度の結核患者であった朝日さんは、その命を燃やし尽くして「だれもがもっている人間らしく生きる権利」を、そして「権利はたたかうものの手のなかにある」ということを教えてくれました。
そして生きていくための学習を。

以下、
『人間裁判―朝日茂の手記』(大月書店、2004年)からの引用です。
「見舞いに来てくださる人がよく私に、『朝日さん、1日じゅう、じっと寝ていたら、さぞかしたいくつでしょう』といってくださる。が、それは私の生活の実情をよく知らないからである。私は夜がきて日が暮れれば、早く夜が明ければよいと思うくらい、毎日毎日が忙しいのである。
行政訴訟を起して、巨大な国家権力を相手に闘おうとすれば、なみたいていのことではないのである。勉強し学習しなければ、とうてい闘うエネルギーは湧いてこないのである。政治、経済、法律、文化と、つぎからつぎへ勉強していかなければならないことを、私は今度の闘いを通して痛感した。いまの私の体力では、勉強するのに大きな制約を受けるのである。じっと本を読んでいると、胸の中がしだいに熱くなってくる。胸の侵されている病巣部に充血してくるのであろうか。そんなあとまもなく血痰が、にじむように出てくることがしばしばある。私は読みかけた本を中途でやめてじっと寝る。
このようなことがくりかえされてきたのである。血痰の出ない日はどのくらい気分もよく、嬉しいかわからない。好きな本が読め、手紙も思うぞんぶん書けるからである」
次は
しんぶん赤旗の「潮流」 より
人間として生きる。そのために命を削ってたたかった半世紀でした。幼くして父を亡くし、就職もつかの間で結核を患います。しかし闘病のなかで世の矛盾に目覚め、ときの政府を相手に一大闘争をまきおこしました▼社会保障運動の原点といわれる朝日訴訟。病床にありながら先頭に立った朝日茂さんが死去してから、きょうは「50回忌」にあたります▼人間裁判と名付けられた訴訟。それは憲法25条にある「健康で文化的な最低限度の生活」をめぐる争いでした。生活保護の低さにたえかねた朝日さんは、血痰(けったん)をはきながら、基準を引き上げるために立ち上がったのです▼憲法は絵に描いた餅ではないと、国民の生きる権利をみとめた一審判決は画期的でした。“単に生物としての生存を維持できる程度のものではなく、それは人間らしい生活でなくてはならない。国はそれを具体的に保障する義務がある”▼人間の尊厳をかけたたたかいは、今につづいています。生活保護をうける人が過去最多にのぼりながら、過去最大の保護費削減をたくらむ安倍政権。保護者へのバッシングも後を絶ちません。さらに、大量の首切りが新たな生活困難者をつくり出しています▼生活の根幹をゆるがす悪政は国民が連帯してはね返す。歴史に大きな足跡をのこした朝日訴訟の教訓です。「こみあぐる無念はいわず解放の道ひとすじを歩まんとぞ思う」。もっと学びたい、いろんな文化にも親しみたい、そう願い懸命に生きた日本共産党員・朝日さんの句です。
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2013.02.15 |
| Comments(2) | Trackback(2) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
医療も介護も保育も、・・・障害者福祉も!
資本の儲けの対象として市場開放するのが構造改革路線の基本ですね。

福祉や社会保障を削減し、国民が「生きる安心」を私的保険に頼らざるを得ないようにする、そうして私的保険の市場を拡大して、企業の参入を促進することがねらいですね。
テレビコマーシャルは、外資系の保険会社のものが圧倒的になりました。

金融庁の審議会が医療や介護、保育事業に、保険会社が参入できるように検討を進めているそうです。
先日、消費税増税法と一体で社会保障を解体に導く「社会保障制度改革推進法」が成立しましたが、公的保険を縮小・解体し、私的保険の拡大を進める・・・まさにこの動きです。
■保険会社参入に道 医療・介護・保育の事業
金融庁審議会が検討 公的保険を縮小・解体(しんぶn赤旗 2012年8月27日(月)
消費税増税法と一体で社会保障を解体に導く「社会保障制度改革推進法」が成立する中、民間保険会社が医療・介護・保育などの事業への参入ができるように道を開く動きが金融庁のもとで進んでいます。公的保険を縮小・解体し、私的保険の拡大を進める動きです。
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検討を進めているのは同庁の金融審議会(首相などの諮問機関)の「保険商品・サービス検討のあり方に関する作業グループ」(座長・洲崎博史京都大学教授)。現在、民間保険の定額保険契約では「金銭」の給付しか認められていませんが、医療・介護サービスや保育サービスといった「現物」の給付を認めることを議論しています。「現物」給付の形で事業参入し、もうけ口を増やそうというものです。同時に、保険会社の子会社が幅広く介護事業所や保育所を運営できるよう規制を緩和して、保険会社による事業所の“囲い込み”を進め、保険料を払った人にだけ保育所への優先入所権を与えることも論じています。
作業グループのメンバーには、学者、日本経団連、連合の代表のほかにコンサルタント会社の社員などが並び、生保・損保会社の代表がオブザーバーとして参加しています。
6月7日に開かれた作業グループの第1回会合では、保険協会の代表(明治安田生命保険相互会社調査部長)がこうした規制緩和を強く要望。「社会保障の見直しの話なども出ていますが、今後は私的保障に対するニーズがますます高まってくる」と発言しました。
政府と民自公3党が公的医療・介護保険の縮小方向を打ち出していることと表裏一体に、民間保険市場を広げ保険商品を売っていく狙いを示したものです。
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解説
高齢者らを「収益」対象に
民主党の税制調査会は21日、来年度税制の基本方針をとりまとめました。所得税・資産課税の見直しや消費税の逆進性対策にとりくむとしています。消費税増税を実行するための条件整備です。
解決できない根本矛盾
民自公が強行した社会保障改悪推進法は、医療・介護の給付範囲の「適正化」=縮小を図ると明記しました。一方、7月31日に閣議決定された「日本再生戦略」は、「公的保険外の医療・介護周辺サービスを拡大する」ことを重点施策に掲げています。
公的保険の縮小と軌を一にして、私的保険の拡大が議論されていることは偶然ではありません。
もともと金融審議会の動きは、自見庄三郎金融担当相(当時)が「金融機関の国際競争力の強化」のための「中長期的な課題」の検討を諮問(2011年3月)したことに端を発しています。
これを受け、金融審議会の「我が国金融業の中長期的なあり方に関する作業グループ」が「金融業は、顧客のニーズを的確に捉え、新たな顧客と新たな市場を創造していかねばならない」(12年5月28日)との報告書をまとめました。
お金あるなしで
報告書は「少子高齢化の進展に伴い高齢者が主要な顧客層に成長していく」と強調。公的保障だけでは暮らせない高齢者らを「収益の強固な裏付け」とする戦略を示しました。民間保険による現物給付の検討は、この流れを受けたものです。
しかし、誰もが民間保険の商品を買えるわけではありません。公的保険が切り縮められ民間保険にゆだねられていけば、お金のあるなしによって、受けられる医療・介護・保育が差別されかねません。だれもが平等に必要な医療などを受けられるという国民皆保険制度の解体に通じる方向です。
医療関係団体からは「(国民)皆保険からの離脱や形骸化が激しくなる」(神奈川県保険医協会)と批判の声が上がっています。
サービスの下落
現在は営利企業による医療機関の運営は認められておらず、これを機に「営利企業の参入を狙っている」(日本共産党の田村智子議員、10日の参院社会保障・税特別委員会)ものでもあります。
民間保険が提供するという現物給付の内容も問題です。公益社団法人・全国消費生活相談員協会(丹野美絵子理事長)は、「サービス価値の下落」「事業者の倒産」「給付の質を維持するための監督のあり方」などの懸念を列挙しています。
大手新聞はこんなこと書きませんね。
広告収入のお得意さんですから、書けないのですね。
医療について、日本医師会は「営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと」を謳っています。
日本医師会が考える「国民皆保険」の重要課題
日本医師会が3月に発表した「見解」では「国民皆保険」はすべての国民が加入してさえいればよいのではなく、つぎの三つの重要課題を守らなければならないとしています。
1、公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること
2、混合診療を全面解禁しないこと
3、営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと
このことはTPPとも深い関連があります。
アメリカは保険の自由化を強く求めてきていますから。
「福祉、介護、保育、社会保障の切捨て」→生きる安心への市場の拡大」→「私的保険会社の参入」→「拡大した市場と企業参入」=TPPによるアメリカの保険会社の参入
生きる安心は公的責任で保障する、しかも金があろうがなかろうがみんな平等に・・・これが社会保障・福祉の大原則なのです。
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2012.08.27 |
| Comments(1) | Trackback(0) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
本日14時45分、衆院本会議で「社会保障制度改革推進法案」が賛成378 反対84で可決されました。

同法案は、「自助」を社会保障の柱にし「適正化」「効率化」の掛け声で、社会保障費抑制を狙いとする三党談合の産物です。ここにも、国民の命や暮らしよりも「金」を優先する政治があります。
そもそも社会保障とは、資本主義に不可避的な貧困や様々な社会問題を社会=国の力で解決しようとするために作り出されたものです。そこではお金がなくても人間らしく生きるのに必要ならば誰でも給付を受けられる、負担はその人が出来る範囲で(応能負担)するというのが大原則です。
しかし、同法案は、保険料を払わなければ給付を受けられない「社会保険方式」を基本とするものであり、「払わなければ給付はしな」いというに等しいものです。
これでは、社会保障は万死に値します。
しかも、このような大問題を、民自公の密室協議・談合で決め、国会ではろくに審議もしない!三党合意が国会よりも優先される始末です。
「国会は国権の最高機関であり、唯一の立法機関である」
議会制民主主義を踏みにじる憲法違反の暴挙です。
参院での採決を許さず、たたかいを進めるためにも学ばなければなりません。
以下、参考に紹介しておきます。
2012(平成24)年6月25日
社会保障費削減を企図する「社会保障制度改革推進法案」の撤回を求める緊急声明
生活保護問題対策全国会議
代表幹事 弁護士 尾藤廣喜
1 「社会保障制度改革推進法案」の撤回を!
民主党,自民党及び公明党の3党は,本年6月15日,社会保障・税一体改革について合意した。そのうち,社会保障部分の確認書では,「社会保障制度改革推進法案を速やかにとりまとめて提出し,社会保障・税改革関連法案とともに今国会での成立を図る」とされている。
しかしながら,ここに来て突然提示された「社会保障制度改革推進法案(以下,「本法案」という。)」なるものは,その内容面においても手続き面においても,極めて問題が大きい。私たちは,本法案の「すみやかなとりまとめ」と「今国会での成立」に断固として反対する。
2 「社会保障制度改革推進法案」=「社会保障費抑制推進法案」
本法案の内実は,「社会保障費抑制推進法案」と言うべきものである。
「社会保障の充実のために増税が必要である」という「社会保障・税一体改革」の当初の目的はかなぐり捨てられ,「消費増税の合意を得るためには,社会保障はどうなってもよい」とばかりに,自民党の主張にすり寄る内容となっている。
すなわち,
①本法案は,「目的」において,社会保険料に係る国民負担の増大と国及び地方公共団体の財政状況の悪化に鑑みて,「持続可能な社会保障制度の確立を図る」としている。
②「基本的な考え方」1では,「自助・共助・公助の最適バランスに留意し,自立を家族相互,国民相互の助け合いの仕組みを支援していく」として,「自助(自己責任)」をことさらに強調し,「公助(国や自治体の責任)」は全く軽視する内容となっている。
また,
③同2でも,「(社会保障)給付の重点化,制度運営の効率化」によって「負担の増大を抑制しつつ,持続可能な制度を実現する」として,社会保障費抑制の基本方針が示されている。
さらに,
④同4において,社会保障の公費負担は「消費税収を主要な財源とする」とされている。社会保障費の財源を消費税収に限定するということは,国民に「消費増税か社会保障費抑制か」という「究極の選択」を迫ることによって,社会保障費の上昇にキャップをはめる効果を持つ。消費増税負担に耐えられない国民をして,社会保障費抑制を選ばざるを得ない状況に追い込む点において,極めて姑息な政策と言わざるを得ない。
⑤各分野において給付抑制策が掲げられているが,私たちの取り組み分野である生活保護制度についても,不正受給への厳格な対処,給付水準の適正化(=切り下げ),就労が困難でない者に対する厳格な対処など,生活保護制度を利用せざるを得ない社会構造については目を向けないまま,制度利用者に対する厳格な対応のみが目立つ内容となっている。
3 事の重大性を理解しない拙速極まりない手続
「聖域なき構造改革」路線が掲げられた自民党政権の末期の小泉政権下では,「骨太の方針(経済財政運営と構造改革に関する基本方針)」によって,社会保障費の削減策がとられた。
その結果,「厚生労働省の直轄地」「生活保護行政の優等生」と言われた北九州市において,2005年から2007年にかけて3年連続で生活保護をめぐる餓死事件が起こるなどし,社会保障費抑制策に対する国民の厳しい批判が沸き起こって,歴史的な政権交代につながったことは記憶に新しいところである。
しかし,「骨太の方針」は「閣議決定」によるものであったが,本法案は,「法律」の形式に格上げされている点において,より問題が大きい。
本法案は2で述べたような重大な問題を含んでいるにもかかわらず,国民にその内容が知らされることのないまま,3党の密室協議のみで今国会での成立を得ようとするのは,手続的にもあまりにも拙速であり乱暴極まりない。しかも,それを「社会保障のための一体改革」であると強弁して,成立を強行しようとするのは,「国民の生活が第一」をスローガンに政権交代を果たした政権党として,国民に対する背信行為以外の何ものでもない。
4 各種団体・市民各層の連帯した取り組みを!
以上の次第で,私たちは,本法案の国会提出に断固として反対するとともに撤回を強く求めるものである。
繰り返すが,本法案は,社会保障費を抑制すべく法律でキャップをはめようとする内容となっており,今後の我が国における国民生活に深刻かつ重大な影響を及ぼす内容となっている。私たちとしては,社会保障に関連する各種当事者団体,市民団体,個人にも連帯しての取り組みを求め,連携していく所存である。
以 上
社会保障制度改革推進法案に反対する会長声明
社会保障制度改革推進法案に反対する会長声明民主党、自由民主党及び公明党が今国会で成立を図ることにつき合意した社会保障制度改革推進法案(以下「推進法案」という。)は、「安定した財源の確保」「受益と負担の均衡」「持続可能な社会保障制度」(1条)の名の下に、国の責任を、「家族相互及び国民相互の助け合いの仕組み」を通じた個人の自立の支援に矮小化するものであり(2条1号)、国による生存権保障及び社会保障制度の理念そのものを否定するに等しく、日本国憲法25条1項及び2項に抵触するおそれがある。
すなわち、推進法案(2条3号)は、「年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料負担に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とする」として、年金・医療・介護の主たる財源を国民が負担する社会保険料に求め、国と地方の負担については補助的・限定的なものと位置付けており、大幅に公費負担の割合を低下させることが懸念される。
また、推進法案(2条4号)は、社会保障給付に要する公費負担の費用は、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとするとしているが、財源の確保は、憲法13条、14条、25条、29条などから導かれる応能負担原則の下、所得再分配や資産課税の強化等の担税力のあるところからなされなければならない。
さらに、推進法案(4条)は、新設する社会保障制度改革国民会議の審議を経て社会保障制度改革を具体化する立法措置を講じるものとしているが、社会保障制度改革をめぐる国民的議論は、全国民の代表である国会において、全ての政党・会派が参加し、審議の全過程を国民に公開すべきであり、内閣総理大臣が任命する僅か20名の委員による審議に委ねることは民主主義の観点から不適切である。
最後に、推進法案(附則2条)は、「生活保護制度の見直し」として、不正受給者への厳格な対処、給付水準の適正化など、必要な見直しを実施するとしている。しかし、生活保護受給者の増加は不正受給者の増加によるものではなく、無年金・低年金の高齢者の増加と非正規雇用への置き換えにより不安定就労や低賃金労働が増大したことが主たる要因である。むしろ、本来生活保護が必要な方の2割程度しか生活保護が行き届いていないことこそ問題である。給付水準の見直しについては、最も低い所得階層の消費支出との比較により、保護基準を引き下げることになりかねず、個人の尊厳の観点からも是認できない。
当連合会は、2011年の第54回人権擁護大会において、「希望社会の実現のため、社会保障のグランドデザイン策定を求める決議」を決議した。しかし、推進法案は、上記のとおり、社会保障制度の根本的改悪、削減を目指すものとなっており、当連合会の決議に真っ向から反する法案である。
よって、当連合会は、今国会で推進法案を成立させることに強く反対するものである。
2012年(平成24年)6月25日
日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司
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2012.06.26 |
| Comments(0) | Trackback(0) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
きょうで5月も終わりですね。
・・・にわかに注目を集める生活保護問題。
やつらの思惑を徹底して打ち砕かなけばなりません。
(ここにこの間の資料をまとめておきます)

生活保護を扶養義務者の責任に帰すれば、これは「家族内再分配」「再分配の家族化」であり社会保障とは程遠い「自助・共助」の世界にほかなりません。これは「新型自己責任論」「日本型自己責任論」とも呼ばれています。
この間の一連の流れ
4月9日には自民党の「生活保護に関するプロジェクトチーム」が次の政策を打ち出しました。
①生活保護給付水準の10%引き下げ、
②自治体による医療機関の指定、重複処方の厳格なチェック、ジェネリック薬の使用義務の法制化などによる医療費の抑制、
③食費や被服費などの生活扶助、住宅扶助、教育扶助等の現物給付化、
④稼働層を対象とした生活保護期間「有期制」の導入など、
これらは、憲法25条に基づき住民の生存権を保障する最後のセイフティーネットとしての生活保護制度を確立するという視点を全く欠いたもので、ただただ財政抑制のみが目的の施策である。
そして、河本さんの問題を週刊誌が取り上げ、これきっかけにメディア検証なし、検討違いのバッシングキャンペーンを張り、政治の舞台では自民党PTの世耕弘成議員と片山さつき議員が利用し、自民の上記の生活保護切捨て政策を迫る。
これに呼応した小宮山厚生労働大臣が保護費の切り下げや扶養照会など生活保護法の改悪に言及する・・・。
まさに「税と社会保障の一体改悪」と連動した出来レースとしか言いようのない経過です。
昨日(5月30日14時30分から)生活保護問題対策全国会議主催の緊急記者会見が行われました。
なんと!これだけ問題になりながらテレビカメラは一台も入っていなかったそうです。この間の報道が如何に無責任で作為的なものであったかを証明するようなものです。
2012年05月30日生活保護問題対策全国会議主催緊急会見_1
2012年05月30日生活保護問題対策全国会議主催緊急会見_2
以下報道から。
■申請の足遠のく恐れ
全国会議緊急会見「生活保護たたき」批判しんぶん赤旗 2012年5月31日(木)
生活保護問題対策全国会議は30日、東京都内で、お笑いタレントの母親の生活保護受給報道により生活保護制度批判が強まっている問題について、緊急会見を開きました。
NPO自立生活サポートセンターもやいの稲葉剛代表理事は「政治的な動きが絡んでいる」と批判。自民党が給付水準の10%引き下げなどを含む生活保護政策を4月に発表し、小宮山洋子厚労相が自民党の提起を踏まえての給付額引き下げや扶養義務強化の検討の意向を示していることにふれました。「この動きが強化されれば、ますます申請の足が遠ざかり、命を落とす人が出る」と問題を指摘しました。
全国生活保護裁判連絡会の林治弁護士は、現行の生活保護制度では扶養義務者の扶養は保護利用の要件ではなく、民法が示す3親等内の親族の扶養義務を負うのは極めて例外的な場合だ、とのべました。
生活保護を受給している50代後半の男性は報道について、「生活保護を受給しつつ仕事を探している人たちが、精神的に追い詰められている。後ろめたさをおぼえ命を絶つ人が増えるのでは、と危ぐする」と話しました。
40代の女性は夫の暴力から避難した後、生活保護申請に伴う扶養照会によって夫に自身の居所が知られてしまった体験を語りました。「いまでも申請の際に、資産状況などの厳しい調査を受けている。扶養義務が強化されれば、生活保護申請が難しくなる」と訴えました。
■
貧困を家族の責任にする生活保護バッシングは新型の「日本型自己責任論」 (すくらむブログ)
以下、緊急記者会見での発言要旨を紹介します。
▼NPO法人自立生活サポートセンターもやい代表・稲葉剛さん
「新型自己責任論」「日本型自己責任論」が作られつつある
生活保護バッシングでメディアが騒ぎ、自民党が取り上げて、政府がそれに乗っかっていくという恐ろしい状況になりつつあります。
大阪維新の会が発達障害というのは家庭で予防できるのだという条例案を出して撤回したという問題がありましたが、私はこれらは一連の動きではないかと見ています。ひとことで言うと「新型自己責任論」「日本型自己責任論」とでも言うべきものが意図的に作られつつあるのではないでしょうか。
私たちはこの間、「貧困は自己責任ではない」「貧困は社会の問題である」「貧困を生み出す社会を変えて貧困問題を解決していく必要がある」とずっと訴えてきて、ある程度そのメッセージほ伝わって広がってきたと思っています。貧困状態にある人に対して、「自分ひとりの努力で頑張ればいい」「ひとりで頑張ればなんとかなる」という人は今でもいますが少なくなってきたと思います。ただその変わりに「家族で支え合いなさい」という言説があちこちで出て来ているのが今の状況なのではないでしょうか。
▼元日本テレビ解説委員、法政大学教授・水島宏明さん
テレビ報道は取材者側の偏見と差別に満ちたもの
一連のテレビ報道は、取材者側の偏見に満ちたものになっています。河本準一さんの記者会見で、レポーターが「恥ずかしくないのですか?」という質問をし、「生活保護は恥ずかしいものだ」というメッセ―ジを国民に伝え、それを制作者側は差別的な発言であるという意識さえ持っていません。そして、連日、生活保護問題を報道しているのに、この会場に、テレビカメラが1台もないこと自体、今のテレビ局の抱える問題を象徴しています。
▼弁護士・林治さん
生活保護バッシングは「餓死者」を増やすことに
今でさえ、自分が生活保護を申請したことで親や兄弟に迷惑にかけるのではないかと躊躇する人がいる中で、今回のバッシングでさらに躊躇する人が増えることになります。現時点でも扶養紹介があるから生活保護を申請したくないという人がいる中で、それを一層強化することになればまさに「餓死者」を生み出すことになりかねません。
あらためて、
しんぶん赤旗 2012年5月29日(火)が、問題を簡潔にまとめています。
主張
生活保護たたき
生存権奪う“便乗改悪”やめよ
お笑いタレントの実家の母親が生活保護を受給していたことを自民党議員や一部メディアが問題視したことをきっかけに、政府が生活保護制度の改悪を加速させようとしています。以前から狙っていた生活保護費の大幅削減を、今回の問題に便乗してすすめようという政府・与党と自民党の姿勢はきわめて悪質です。国民の命と暮らしを救うための「最後の安全網」である生活保護制度をこんな乱暴なやり方で破壊することは絶対に許されません。
特殊な事例を口実に
今回のタレントの場合は、自民党議員が「不正受給」と指摘するような法律違反はありません。
14~15年前、母親が病気で働くことができなくなり、息子も当時の収入では扶養できなかったため受給が認められました。収入が増えてから一定額の仕送りもしていました。いずれも福祉事務所と相談しながら行ってきたものです。
民法は、祖父母、父母、子、孫など直系血族と兄弟姉妹に扶養義務を定めていますが、成人になった子の親への扶養義務は、無理のない範囲で行うというものです。扶養内容や範囲は、当事者同士が実情に応じて話し合いで決めるのが普通です。
現在も生活保護申請の際、申請を受けた福祉事務所は扶養義務のある親族に扶養意思の有無を確認しています。このため親族に生活保護を申請したことを知られるのを嫌がり、申請しない人が少なくありません。そもそも生活保護が必要な人たちの親族には、扶養できる経済力のある人がほとんどいないのが現場の実態です。
小宮山洋子厚労相が、扶養できないことの「証明義務」を生活保護受給の事実上の条件にする法改定の検討を表明したことは重大です。こんな条件をつければ、保護が必要な人がますます申請をためらい排除されます。かりに無理に扶養をしたとしても、扶養される側もする側も「共倒れ」になる危険もあるものです。
人気が出てきたタレントの親の扶養という非常に特殊なケースは、あくまで道義的な問題であり、制度の欠陥ではありません。問題をすりかえて改悪の口実にするのは邪道というほかありません。
いま生活保護制度で重要なことは、必要な人に手が届いていないことです。全国各地で実際に起きていることは、生活が困窮している人に対して「まだ働けるでしょう」などと申請すら受け付けない事態なのです。
今年1月に判明した札幌市白石区の姉妹「孤立死」では、姉が生活保護の相談のために市の窓口を3度も訪問していたのに、申請させなかったことによって引き起こされた悲劇です。ますます制度から締め出す改悪は「孤独死」を激増させることになります。
必要な人に届くよう
生活保護受給者が209万人へ増加したのは雇用破壊と貧困の拡大によるものです。生活保護を受ける資格のある生活水準の人が実際に受給している割合は、欧州諸国7―8割に比べ日本はわずか1―2割です。この改善が求められます。日本はいま病気や失業すれば誰もが一気に無収入になりかねない「滑り台」社会です。憲法25条で保障された生存権を破壊する改悪は中止し、生活を保障する機能を強めることが急務です。
関連する過去ログも、よろしければ。
■
NO.2587 河本よ、なぜ頭を下げた?「俺は悪くない!生活保護は権利だ!」と言ってみな。■
NO.2600 お笑い芸人バッシングに乗じて生活保護の切り下げや扶養義務の徹底化、法の改悪に言及する小宮山大臣は厚生労働大臣の資格なし!罷免せよ!。■
NO.2602 “個”や“尊厳”が原点 緊急声明 ―生活保護をめぐる世論に問題あり― 障害連が緊急声明■
NO,2162 生活保護・・・最多、最多というけれど。■
NO.1688 「人間裁判」朝日訴訟50周年■
NO.1621 生活保護以下の低所得世帯 厚労省推計(メモ) 次は必読!専門的な視点からの問題の整理を
「生活保護問題対策全国会議のブログ」から。
■
生活保護制度に関する冷静な報道と議論を求める緊急声明■
扶養義務と生活保護制度の関係の正しい理解と冷静な議論のために■
利用者数の増加ではなく貧困の拡大が問題である~「生活保護利用者過去最多」に当たっての見解~■
市民生活の岩盤である生活保護基準の引下げに反対する意見書
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2012.05.31 |
| Comments(0) | Trackback(2) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
生活保護問題をめぐり、障害連として、ただならぬ状況と認識し、緊急声明を出しました。

私たち障害者は親をはじめ家族から独立して生活できる所得保障など、社会的基盤の確立をずっと訴えてきた。家族の思いや重荷から自由に生きる権利があると考えるから だ。
たとえ億万長者の子どもが障害者であったとしても、その人は成人になれば家族から自由になる権利があるはずである。家族からの独立や自由が認められなければ、いつまでたっても障害者は保護の対象から抜けきることはできない。金持ちの子どもは親から扶養してもらえばよい、という理屈は、障害のある本人からすれば、一生家族に隷属せよ、と言われていることと同じである。金持ちの親は、きちんとそれだけの税を納めていけば良いだけの話である。その税額が低ければ高くすれば良い。
いつまでも親の扶養のもとに押し込められ、自立への願いを踏みにじられ自立を阻害されてきた障害のある人たちの願いをわかってほしいと思います。
2012年5月29日
“個”や“尊厳”が原点
緊急声明 ―生活保護をめぐる世論に問題あり―
障害者の生活保障を要求する連絡会議
日本は、いつからこうなってしまったんだろう。有名タレントの親が生活保護を受けていたことが明らかにされ、そのタレントは、自民党議員やマスコミから批判にさらされてしまう中、小宮山厚生労働大臣は扶養照会など、生活保護の適正な運用を明らかにしている。
今私たちが直面している問題は、ワーキングプアの問題であり、非正規雇用の増大であり、年をとってからの介護の問題であり、生活保障のあり方の問題ではないだろうか。 年間自殺者は3万人を超えており、また生活保護を受けられず餓死してしまった事件も 何件か明らかになっている。
今回のバッシングともいえる現象は、それだけ皆の生活が厳しい状況に置かれていることの裏返しといえる。
私たち障害者は親をはじめ家族から独立して生活できる所得保障など、社会的基盤の確立をずっと訴えてきた。家族の思いや重荷から自由に生きる権利があると考えるから だ。
たとえ億万長者の子どもが障害者であったとしても、その人は成人になれば家族から自由になる権利があるはずである。家族からの独立や自由が認められなければ、いつまでたっても障害者は保護の対象から抜けきることはできない。金持ちの子どもは親から扶養してもらえばよい、という理屈は、障害のある本人からすれば、一生家族に隷属せよ、と言われていることと同じである。金持ちの親は、きちんとそれだけの税を納めていけば良いだけの話である。その税額が低ければ高くすれば良い。
今回の問題は、障害とは直接的にはあまり関係がない話と受け取れるが、親子の良い関係性という視点に立ってみても、子どもに多くの収入があるからといって、子どもが親を扶養しなければならない、というような迫り方をする今の社会風潮は、あまりにも個や尊厳を他人事のようにしてしまっているようで、恐ろしい状況だと思う。
障害者政策はもちろんであるが、今の社会で本当に解決しなければならない問題は何なのか、その原点は何か、きちんと見つめ直す必要がある。
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2012.05.30 |
| Comments(2) | Trackback(1) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
初ほたるでした。

自宅から1キロ弱、下見に覗いたら、数十匹飛び交っていました。
アイフォンの感度と画角ではこれがぎりぎりですね。
さて、渦中の人河本さんですが、日テレ社長が生活保護で「特に問題なし」として、「火曜サプライズ」のレギュラー降板はさせないとのことで、取り合えづは一息でしょうか・・・。
ところで、片山さつき議員、河本会見「弁護士とすごく打ち合わせした印象」(産経 2012.5.26 10:20) の記事によると両氏は以下のように語っている。
片山さつき氏、「自民党に対して、この問題の追及を弱めないでほしいという反響がすごいんです。マジメに働いて、税金を納める気がしないというような類型がたくさん来ている。こういった類型に、きちっと穴を閉じていくような法改正、提言を自民党が他党に先駆けて打ち出したい」。
世耕弘成氏、「私は著名人が親の扶養義務を果たさず生活保護を受給させることで、『あの人もやってるから』と安易な受給が進むことを懸念し、問題を指摘してきた。彼の返納表明で『生活保護の前にまずは家族が扶養』という常識が浸透することを期待します」。
お笑いタレントバッシングの中心となった世耕弘成議員と片山さつき議員は、自民党の「生活保護に関するプロジェクトチーム」の座長とメンバー。
そして、同党が2012年4月9日に発表した生活保護制度に関する政策は、
①生活保護給付水準の10%引き下げ、
②自治体による医療機関の指定、重複処方の厳格なチェック、ジェネリック薬の使用義務の法制化などによる医療費の抑制、
③食費や被服費などの生活扶助、住宅扶助、教育扶助等の現物給付化、
④稼働層を対象とした生活保護期間「有期制」の導入など、
これらは、憲法25条に基づき住民の生存権を保障する最後のセイフティーネットとしての生活保護制度を確立するという視点を全く欠いたもので、ただただ財政抑制のみが目的の施策である。
両氏の発言を聞くにつけ、「仕組まれたバッシング」の感を否めない友さんなのです。
生活保護をめぐる攻防は、これからますます厳しくなるでしょう。
これからも注視していきたいものですね。
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2012.05.29 |
| Comments(0) | Trackback(3) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
再び生活保護の問題についてです。

人気お笑い芸人、河本準一氏をカッコウのネタで叩き、生活保護切捨ての下地作りをやっていることについては、「NO.2587 河本よ、なぜ頭を下げた?「俺は悪くない!生活保護は権利だ!」と言ってみな。」で、その問題点を大まかに指摘しました。
・扶養義務は受給のための用件にあらず。
民法は直系血族、兄弟姉妹の扶養義務を定めていますが、それは未成年者が対象であり、双方が成年の場合は無理のない範囲でという程度のものとみなされています。それを拡張解釈して芸能人の例のように成年を対象とするのは間違いなのです。
そもそもこの民法の義務規定そのものが前近代的ものであると言わなければなりません。
障害者のある仲間たちは、いつまでもこの扶養のもとにおかれ、自立が阻害されたり、あるいは自立支援法により家族の収入をもとに費用負担が迫られるという不合理な実態もあります。
・不正受給は0.3%、1000件に3件。
これはもちろん問題だが、保護が必要な貧困層の2割しか需給できてない、保護率の異常な低さが日本の生活保護の実態なのです。
日本では、受給者・世帯が200万を超えたと大騒ぎしていますが、例えばフランスでは日本の半分の人口・世帯数で、約329万世帯が受給しているのです。
このように諸外国では、スウェーデンを始め、少なくとも日本の3倍以上です。
また、捕捉率(収入ベースで、貧困水準未満の世帯中の保護利用世帯)も、イギリスを始め、少なくとも日本の3倍以上と言われています。
・小宮山大臣は罷免もの!
しかるに、検証なしの芸人バッシングをメディアが垂れ流し、小宮山大臣は、国民の生活保障に責任をもつ厚生労働大臣として、マスコミに対して冷静な対応を呼びかけるどころか、これに乗じて生活保護の切り下げや扶養義務の徹底化、法の改悪に言及する始末です。
厚生労働大臣の資格なし!罷免せよ!と言いたい。
・消費増税なしに社会保障の充実への道を。
現在審議中の「税と社会保障の一体改革」は、消費増税と社会保障切捨ての一体改悪であり、断じて容認できるものではありません。更なる貧困の拡大再生産という悪夢の循環は必至でしょう。
消費増税なしに社会保障の充実、セーフティネットの充実で生存権を守る道こそ、目指さなければなりません。
大企業の内部留保266兆円のうち99兆円はすぐに現金化可能なことは政府も認めており、その6.8%の切り崩しで月1万円賃上げ、時給100円アップが可能と言われています。。
・生存権保障は政府の責任
いま求められているのは、政府の失策によって作り出された過去最高の貧困の拡大に対して、雇用を建て直し、雇用保険を始めとする社会保険の充実、第2のセーフティネットなど生活保護に至る前の社会保障制度を拡充して、生活保護制度への負担を軽減することです 。
また、それらの社会保障制度からこぼれる市民を、生活保護制度の適正・迅速な活用によって漏れなく救済することです。
この問題で、生活保護問題対策全国会議と全国生活保護裁判連絡会が連名で、非常に明解な緊急声明を出しています。生活保護問題対策全国会議のブログより、以下転載して紹介します。
★生活保護制度に関する冷静な報道と議論を求める緊急声明
生活保護問題対策全国会議 代表幹事 弁護士 尾藤廣喜
全国生活保護裁判連絡会 代表委員 小 川 政 亮
1 人気お笑いタレントの母親が生活保護を受給していることを女性週刊誌が報じたことを契機に生活保護に対する異常なバッシングが続いている。
今回の一連の報道は、あまりに感情的で、実態を十分に踏まえることなく、浮足立った便乗報道合戦になっている。「不正受給が横行している」、「働くより生活保護をもらった方が楽で得」「不良外国人が日本の制度を壊す」、果ては視聴者から自分の知っている生活保護受給者の行状についての「通報」を募る番組まである。一連の報道の特徴は、なぜ扶養が生活保護制度上保護の要件とされていないのかという点についての正確な理解を欠いたまま、極めてレアケースである高額所得の息子としての道義的問題をすりかえ、あたかも制度全般や制度利用者全般に問題があるかのごとき報道がなされている点にある。
つまり、
①本来、生活保護法上、扶養義務者の扶養は、保護利用の要件とはされていないこと、
②成人に達した子どもの親に対する扶養義務は、「その者の社会的地位にふさわしい生活を成り立たせた上で、余裕があれば援助する義務」にすぎないこと、
③しかも、その場合の扶養の程度、内容は、あくまでも話し合い合意をもととするものであること、
④もし、扶養の程度、内容が、扶養義務の「社会的地位にふさわしい生活を成り立たせ」ることを前提としても、なお著しく少ないと判断される場合には、福祉事務所が、家庭裁判所に扶養義務者の扶養を求める手続きが、生活保護法77条に定められていることなどの扶養の在り方に関する正しい議論がなされないまま、一方的に「不正受給」が行なわれているかのごとき追及と報道がなされているのである。
また、そこでは、
①雇用の崩壊と高齢化の進展が深刻であるのに雇用保険や年金等の他の社会保障制度が極めて脆弱であるという社会の構造からして、生活保護利用者が増えるという今日の事態はて当然のことであること、
②生活保護制度利用者が増えたといっても利用率は1.6%に過ぎず、先進諸国(ドイツ9.7%、イギリス9.3%、フランス5.7%)に比べてむしろ異常に低いこと,
③「不正受給」は、金額ベースで0.4%弱で推移しているのに対して、捕捉率(生活保護利用資格のある人のうち現に利用している人の割合)は2~3割に過ぎず,むしろ必要な人に行きわたっていないこと(漏給)が大きな問題であることなど,生活保護制度利用者増加の原因となる事実が置き去りにされている。
さらに、今回の一連の報道は、厳しい雇用情勢の中での就労努力や病気の治療など、個々が抱えた課題に真摯に向き合っている人、あるいは、苦しい中で、さまざまな事情から親族の援助を受けられず、「孤立」を余儀なくされている高齢の利用者など多くの生活保護利用者の心と名誉を深く傷つけている。
2 ところで、今回のタレントバッシングの中心となった世耕弘成議員と片山さつき議員は、自民党の「生活保護に関するプロジェクトチーム」の座長とメンバーである。
そして、同党が2012年4月9日に発表した生活保護制度に関する政策は、
①生活保護給付水準の10%引き下げ、②自治体による医療機関の指定、重複処方の厳格なチェック、ジェネリック薬の使用義務の法制化などによる医療費の抑制、③食費や被服費などの生活扶助、住宅扶助、
教育扶助等の現物給付化、④稼働層を対象とした生活保護期間「有期制」の導入などが並び、憲法25条に基づき、住民の生存権を保障する最後のセイフティーネットとしての生活保護制度を確立するという視点を全く欠いた、財政抑制のみが先行した施策となっている。
かつて、小泉政権下においては、毎年2200億円社会保障費を削減するなどの徹底した給付抑制策を推進し、その行きつく先が、「保護行政の優等生」「厚生労働省の直轄地」と言われた北九州市における3年連続の餓死事件の発生であった。今回の自民党の生活保護制度に関する政策には、こうした施策が日本の貧困を拡大させたとして強い批判を招き、政権交代に結びついたことに対する反省のかけらも見られない。
さらに問題なのは、社会保障・税一体改革特別委員会において、自民党の生活保護に関する政策について、現政権の野田首相が「4か3.5くらいは同じ」と述べ、小宮山厚生労働大臣が「自民党の提起も踏まえて、どう引き下げていくのか議論したい」と述べていることである。
そこには、「国民の生活が第一」という政権交代時のスローガンをどう実現していくか、また、「コンクリートから人へ」の視点に基づき、貧困の深刻化の中で、この国の最低生活水準をどう底上げしていくのかという姿勢が全く見られない。
そもそも、生活保護基準については、2011年2月から社会保障審議会の生活保護基準部会において、学識経験者らによる専門的な検討が進められているのであり、小宮山大臣の発言は、同部会に対して外部から露骨な政治的圧力をかけるものであって部会委員らの真摯な努力を冒涜するものと言わなければならない。
そのうえ、小宮山大臣は、「親族側に扶養が困難な理由を証明する義務」を課すと事実上扶養を生活保護利用の要件とする法改正を検討する考えまで示している。しかし、今回のタレントの例外的な事例を契機に、制度の本来的在り方を検討することなく、法改正を行うということ自体が乱暴極まりない。
また、生活困窮者の中には、DV被害者や虐待経験者も少なくなく、「無縁社会」とも言われる現代社会において、家族との関係が希薄化・悪化・断絶している人がほとんどである。
かつて、札幌市白石区で25年前に発生した母親餓死事件は、まさに、保護申請に際して、この扶養をできない証明を求められたことが原因となって発生した事件であった。
かかる点を直視することなく、法改正を行えば、ただでさえ利用しにくい生活保護制度がほとんど利用できなくなり、「餓死」「孤立死」などの深刻な事態を招くことが明らかである。小宮山大臣は、国民の生活保障に責任をもつ厚生労働大臣として、マスコミに対して冷静な対応を呼びかけるべき立場にありながら、混乱に翻弄されて軽率にも理不尽な法改正にまで言及しており、その職責に反していると言わざるを得ない。
3 今年に入ってから全国で「餓死」「凍死」「孤立死」が相次いでいるが,目下の経済状況下で、雇用や他の社会保障制度の現状を改めることなく、放置したままで生活保護制度のみを切り縮めれば、餓死者・自殺者が続発し、犯罪も増え社会不安を招くことが目に見えている。
今求められているのは、生活保護制度が置かれている客観的な状況を把握し、制度利用者の実態に目を向け、その声に耳を傾けながら、冷静にあるべき方向性を議論することである。
当会は,報道関係各位に対しては、正確な情報に基づく冷静な報道を心掛けていただくようお願いするとともに、民主党政権に対しては、今一度政権交代時の「国民の生活が第一」の原点に戻った政権運営を期待し、自民党に対しては、今回の生活保護制度に関する政策の根本的見直しを求め、本緊急声明を発表する次第である。
なお、生活保護問題の本質を理解するにはは、以下の見解が非常に役立つと思います。
■
★利用者数の増加ではなく貧困の拡大が問題である~「生活保護利用者過去最多」に当たっての見解~ ポチポチッと応援よろしく。
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2012.05.28 |
| Comments(0) | Trackback(3) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
人気お笑い芸人コンビ「次長課長」の河本準一氏をカッコウのネタで叩き、生活保護切捨ての下地作りをやってますね。
ワイドショー政治!きわめて危険な風潮です。

何かに便乗して鬱憤晴らしをしたい・・・、最近の「橋下人気」と同じ社会の「空気」を感じますね。
そして、河本は格好の餌食だとばかりに、政治がこれを巧妙に利用する。
公務員バッシングにも共通するやり方だと思います。
河本よ、なぜ頭を下げた?「俺は悪くない!生活保護は権利だ!」と言ってみな。生活保護の山本太郎になってみな!と言いたいところです。
早速、小宮山厚労大臣が生活保護支給引き下げを表明しました。
■生活保護支給引き下げ検討 厚労相、見直し表明2012/05/25 17:45 【共同通信】
小宮山洋子厚生労働相は25日午後の衆院社会保障と税の一体改革特別委員会で、生活保護費の支給水準引き下げを検討する考えを表明した。生活保護の受給開始後、親族が扶養できると判明した場合は積極的に返還を求める意向も示した。
消費税の増税や年金額の切り下げなど、国民に痛みを強いる改革を進めているため、生活保護も聖域視せず、削減する必要があると判断したとみられる。
過去最多の更新が続く生活保護をめぐっては、自民党が10%の引き下げを求めており、見直しの議論が加速するのは必至だ。
そもそも、何ら法的な違反はないのに、倫理的道義的な問題に絡めて批判する風潮は思考停止状態ですね。。
河本さんの問題をわざわざ国会でも取り上げた自民党の片山さつき議員は、河本氏の謝罪会見を受けて、
「生活保護を受ける人の親族や資産に対する地方自治体の調査権限が弱く、執行体制を支える人員や予算も少ないので、これらを強化することが今回の問題の本質だ。『追及を弱めるな』という反響が多く来ており、自民党として、法改正や執行体制の強化に向けた提言を打ち出していきたい」
と、迫ったのです。
この件には多くの方が触れていますが、問題を冷静に見るために、以下三つのブログをを参考にオススメします!詳しくはぜひリンク先でどうぞ、…って、またまた他人の褌です(笑)
まずは、生活保護がなんたるかの基本を。
■河本準一さん親子問題から考えると間違える。生活保護の本質は憲法上の基本的人権である生存権の保障だ!

実は今日、河川敷で暮らすホームレスの方々のテントをまわって、生活保護申請を提案するボランティアに行くんです。
路上生活ほど「健康で文化的な最低限度の生活」からはずれた生活はありません。
そんな生存権を侵害された人がまだ多数いらして、生活保護を受けずに、受けられずにじっと耐えておられる、それをそのまま放置している。
それが、生活保護問題の最も重要な問題なのです。
河本さんの問題に目を奪われませんように。
つづいて、「河本準一氏叩き」が隠そうとする危うさについて・・・。
■河本準一氏叩きで見失われる本当の問題
・・・わたしは河本氏叩きにはまったく賛同できない。不正はなかったにも関わらず、河本氏に謝罪を強要した社会を、わたしは怖いと思う。
河本氏批判の結果で恐れること
わたしは河本氏を叩くことで以下のような流れになることを恐れる。
1.「援助可能な収入のある親族」が存在するものの、実際には援助を受けられない立場の人たちが、ただ単に「援助可能な人がいる」というだけで生活保護を受けられなくなること。
2.不正受給は改善すべきであるが、単純に「不正受給をなくすためには受給条件を厳しくすればよい」という流れになって結局、必要な人に必要な生活保護が認定されないこと。
3.不正受給の追及にのみ専念し、生活保護を必要とする人が増えている現状を何も変えようとしないこと。
4.そもそも、不正受給分が適正に配分されたとしても、生活保護が全然足りていないという現状から目をそらし、「不正受給のせいで必要な人に回らない」という考えで不正受給叩きに専念すること。
5.門前払いが厳しすぎたり、一度受給すると生活保護から抜けることが難しくなるという現状の問題点が見逃されること。
6.別に不正でも何でもないことを不正だ不正だと騒ぎ立てることに対して疑問を抱いたら「不正受給者を擁護する」と扱われること。
7.「自分の払った税金」が他の人に使われることに対する嫌悪感が拡大すること。
8.「払えるのに払わなかったのは許せない」という道徳・倫理的な「反感」が、いつの間にか「社会正義」扱いされ、巨大な圧力となって数々の弊害を招くこと。
9.「子は親を養って当然(社会に養わさせるな)」が今後の高齢化社会においても強固な信念として抱かれ続け、その結果として自分の親の介護負担が過重なものとなってそこから逃れられなくなること。
10.河本氏と無関係な「民族問題」になぜか結びつけられること。
以上のようなことにならないことを強く願う。結論から言えば、河本氏叩きには何の意味もないし、氏が謝罪・返金する必要はまったくなかったと思う。ただ、これをきっかけに生活保護が「困っている人たちにまんべんなく」与えられるようになることを願うものである。そのために増税がどうしても必要なのだったら、甘んじて受け入れよう(それがこの信念に対する筋というものである。ただし、安易な増税はノーサンキューだ)。
次も全く同意!です。
■星野智幸 言ってしまえばよかったのに日記
「この件で異様さを感じるのは、生活保護の実態への関心など本当はなく、ただ世間の何でもいいから叩いてやりたい、バッシングしたいという気分に、人気の芸能人がらみという点がうってつけだったために騒ぎが大きくなっただけなのにもかかわらず、政治が動いている点だ。政治を動かす要素は、もはや現場の実情や構造、その分析ではなく、世の中の漠然とした気分へと、すっかり取って代わっている。
バッシングを受けて政治が生活保護水準を下げたりしたら、どのようなことが起こるか。ただでさえ、社会から経済的社会的にこぼれ落ちて、生存の瀬戸際にいる大量の人たちを、死の側へ押しやることになる。背中を押したら死ぬとわかっている人に対し、複数人で背中を押したら、これは殺人になるのではないだろうか。今の社会が行っていることは、そのような行為である。有権者も政治家も、報道も含め。」
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2012.05.26 |
| Comments(12) | Trackback(4) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
きょうされんが、「税と社会保障の一体改革」に関する声明を出したそうです。

声明
社会保障と税の一体改革では障害のある人の生活はよくならない
http://www.kyosaren.or.jp/news/2012/0521_1.htm
2012年 5月 21日 きょうされん 理事会
5月8日、国会では社会保障と税の一体改革(以下、一体改革)関連法案の審議が始まった。野田総理が並々ならぬ意欲を示している消費税増税である。すでに大手マスコミは、改革の優先順位や国会審議の見方などは多少異なるが、「消費税増税はやむなし」といった論調では一致している。逆進性の高い消費税が増税されれば、障害のある人の生活にも深刻な影響を及ぼすことから、ここにきょうされんとしての見解を示すこととする。
一体改革関連法案は税制、子ども、年金の3分野・7法案から成っている。それぞれの法案ごとに詳細な検証が必要であり、一言で評価することは出来ないが、すでに子ども、年金などについては、関係団体から批判が続出している。また、直接の法案ではないが、改正とはほど遠い先日の衆院での「障害者総合支援法」なるものの可決をみても、自己責任論や市場原理等、昨今の社会保障政策の根底に流れる思想が消費税政策に持ち込まれることは必至である。
ここで改めて問うておきたいのは、一体改革ということが果たして妥当であるか、ということである。一体改革と言えば聞こえは良いが、本来は全く性質の異なるものである。まずは、あるべき社会保障の形を国民に示し、これについての論議を尽くした上で、あらためて財源問題を論議するというのが筋である。今般の一体改革は、「財政状況が火の車にあって、改革を成すか、それとも放っておくか」といった乱暴な二者択一的な論立てで、言わば脅し同然の提案である。
私たちは声を大にして叫びたい。「消費税の増税は絶対にゆるせない」と。きょうされんには全国各地から「これ以上消費税をあげないでほしい」「自由になるお金がほしい」「福祉サービスや病院に払う負担をなくしてほしい」などの悲鳴にも似た訴えがたくさん届いている。消費税は逆進性が強く、収入が少ない人ほど負担が大きくなるのである。残念ながら障害のある人の多くは低収入の状態にあり、生活面への悪影響は避けられない。
きょうされんは2011年11月から2012年2月にかけて、他の障害関係団体の協力を得て「障害のある人の地域生活実態調査」を実施し、全国10,012人から回答を得た。その結果(第一次報告)によると、相対的貧困とされる年収112万円の貧困線を下回る人が56.1%にも及ぶ。厚労省が2010年に行った国民生活基礎調査によると、同じく収入が貧困線を下回るのは国民全体の16%であることを考えると、収入が障害のない人と比較していかに厳しい状況にあるかが分かる。また、ワーキングプアといわれる年収200万円以下の人は今回の調査では98.9%にも及んだ。
これほど過酷な実態におかれている障害のある人にとっては、現行の5%でも大きな負担であり、ましてや8%、10%への増税は、ただでさえ少ない所得を更に目減りさせることになる。一人暮らしやグループホームなど地域での生活をさらに困難なものに導き、ようやく始まった地域生活への移行の流れに逆行するものである。
社会保障と税の一体改革を審議する特別委員会が設置された4月26日は、奇しくも障害者総合支援法案が衆議院本会議で可決された日でもあった。「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」と「障害者自立支援法訴訟基本合意」を無視したこの法案の審議と平行して、消費税増税論議が進んでいることは単なる偶然ではなかろう。政権交代の時に抱いたあの期待感は今や跡形もなく、それとは正反対の大きなうねりが生活を直撃しようとしている。
我が国の財政が危機的状況にあることは論を待たないが、これを克服するのに消費税増税ありきと言うのは余りに短絡的すぎる。国益のために必要な増税だとの主張があるが、それならば問いたい。「国民益」につながらない増税が真に国益にかなうと言えるのかと。国民の命と健康を守るための社会保障の所得再配分機能を回復・強化する道筋と、税収を確保するための方策について、多様な選択肢の下での更なる国民的議論が必要ではないか。きょうされんは、今般の法案審議に対して以上のような見解を表明し、障害分野においても議論を喚起するとともに、障害のある人の困難な生活実態の好転に向けていっそう力を尽くす決意である。
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2012.05.22 |
| Comments(0) | Trackback(1) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
昨日、新宿のアパート火災で亡くなった方の多くが生活保護者だと報じられ、その孤独な生活ぶりが報道されていた。
先日、生活保護利用者数が制度始まって以来史上最多の205万495人(7月時点)を数えたと発表された。

最多、最多というけれど。
それが、財政難だからと切り捨ての世論形成に利用されてはならない。
実態はどうか。
これまでの最多は、戦後混乱期の1951年の204万6646人。当時の人口は8457万人だから保護率は2.4%。
対して、現在の人口は1億2691万人。利用率は未だ1.6%にとどまる。
すなわち、利用者数が現在の1.5倍、300万人超となって初めて1951年と同レベルということができるのである。
総人口比に対する生活保護(それに相当する制度)利用率を先進諸外国と比べると、
・ドイツ(人口8177万人)利用者793万人で、利用率9.7%(2009年末)
・フランス(人口6503万人)利用者数は372万人、利用率は5.7%(2010年9月)
・イギリス(人口6200万人)利用者数は574万人、利用率は9.3%で(2010年8月
であり、受給率は実に日本の3.6倍~6倍である。
日本の利用率や利用者数が先進諸国に比して著しく低いのは、「制度の利用資格のある人のうち2割弱の人しか利用し得ていない」という、極めて低い捕捉率に原因がある。
生活保護利用者の増加の原因は、長引く不況と非正規雇用の蔓延によるワーキングプアの増加、雇用保険のカバー率が低いなど失業時の所得保障制度の脆弱さ、高齢化が進んでいるのに最低生活保障としての年金制度が確立していない・・・ことなどにある。
雇用や社会保障制度が生活保障の役割を果たし得ていない中にあって、生活保護制度は、205万超の「いのち」を支える、「最後のセーフティネット」として不十分ながらも機能しているのである。
生活保護制度は、憲法25条に基づき生存権保障を具体化する重要な制度である。
生活保護を必要とする人がもれなく利用できるようにするとともに、低賃金の不安定雇用をなくし、生活保護制度以外の社会保障制度の拡充こそが求められているのである。
政府は、財政難を理由に保護の削減を狙っている。
ゆめゆめ、保護の増加と財政難を理由に、需給制限や制度の縮小があってはならない。
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(参考); 利用者数の増加ではなく貧困の拡大が問題である~「生活保護利用者過去最多」に当たっての見解~ 生活保護問題対策全国会議のブログ
【“NO,2162 生活保護・・・最多、最多というけれど。”の続きを読む】 テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済
2011.11.10 |
| Comments(2) | Trackback(2) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
介護保険の利用料値上げが目論まれています。

昨日早朝のツイートですが、
●@oowakitomosan大脇 友さん
年収320万円以上対象に、介護保険利用料を2割に倍化だと!!(厚労省社保審介護保険部会)
posted at 06:32:24
●@oowakitomosan大脇 友さん
厚労省は、介護労働者の賃上げ(月1万5千)のための「処遇改善交付金」を廃止し、その財源確保のために年収320万円以上対象に、介護保険利用料を2割に倍化を狙っている。利用者と支援者を反目させ、公費を削減していく…。社会保障切捨ての常套の手口だ。
posted at 06:37:53
●@oowakitomosan大脇 友さん
NHKがその狙いを語らない介護保険料値上げ。年収320万円以上対象に、介護保険利用料を2割に倍化方針。厚労省の狙いは介護労働者の賃上げ(月1万5千)のための「処遇改善交付金」を廃止し、その財源確保。利用者と支援者を反目させ、公費を削減していく…。社会保障切捨ての常套の手口だ。
posted at 06:42:53
同じ内容なのにのNHKの報道を批判したツイートの方が、当日のうちに倍以上の100回以上リツイートされています。
ネット界隈の人たちには、既存メディア批判が受けるようですね。
それは余談として、・・・。
そもそも、1割負担でも利用可能なサービスの6割弱しか使われていない介護保険の現状です。利用料が高すぎるからです。それを倍加とは、さらなる介護取り上げは必至でしょう。
「負担増を受け入れないなら、介護労働者の賃金が下がるぞ」と脅して、改悪を強行しようとしています。
もともと民主党は、予算を組み替え8000億程度の財源を作り介護労働者の賃金を4万円上げるとマニフェストで約束していました。なのに、4万円アップは投げ捨て1万5千円アップのための交付金も廃止する。賃金の現状維持と引き換えに介護料金を引き上げ介護を取り上げる・・・!
公約違反も甚だしいものですね。 民主党の財源論の決定的弱点は、大企業・大金持ち優遇や軍事費の聖域に切り込めないこと。だから、行きつく先は自民党と同じになってしまったのです。
似た者同士の二大政党政治の行き着く果てはこんなものです。
※削られる国庫負担額(厚労省試算による)
◆利用者負担増
・年収320万円以上の人の利用料2倍化(110億円)
・施設の相部屋の居住費値上げ(40億円)
・施設居住費を軽減する補足給付の改悪(20億円)
・要支援者の利用料2倍化(120億円)
・ケアプラン作成の有料化(90億円)
◆大企業労働者の保険料アップ(国庫負担の肩代わり)
・総報酬3分の1導入(430億円)
件のNHKの報道を転載しておきます。
【“NO.2157 介護保険利用料の二倍化・・・似た者同士の二大政党政治の行き着く果て”の続きを読む】 テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済
2011.11.02 |
| Comments(2) | Trackback(3) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
「いまは大震災被災地の介護体制再建に全力を尽くすべきだ。被災地の介護サービスが確保されるまで法案を凍結し、その後で十分な審議を行うべき時」・・・そんな声も無視し、ろくな審議もおこなわずに介護保険法が改悪された。

全国の介護関係者が被災地支援に力を注ぐ中、法案の内容も周知しないままの強行成立。とても許せない。
改正介護保険法が成立NHK 6月15日 14時27分
介護が必要な高齢者の生活を支えるため、24時間対応できる訪問介護サービスを介護保険で利用できることなどを盛り込んだ改正介護保険法が、15日開かれた参議院本会議で、与党や自民党、公明党などの賛成多数で可決・成立しました。
介護保険法の改正案と関連法案は、15日の参議院本会議で採決が行われ、与党や自民党、公明党などの賛成多数で可決し、成立しました。今回の法改正によって、在宅で生活している高齢者が24時間対応できる訪問介護サービスを介護保険で利用できるようになります。また、改正法には、これまで原則、医師と看護師にしか認められていなかった、たんの吸引などの医療行為を介護職員にも認めることなども盛り込まれています。一方、厚生労働省は介護保険制度の存続には財源の確保を図る必要があるとして、今回の法改正にあたって所得が高い高齢者などを対象に自己負担の引き上げを検討しましたが、民主党内や高齢者団体から反対が相次ぎ、自己負担の引き上げは見送りました。
こんな報道じゃまるでいいことみたいに聞こえる。
“負担あって介護なし” いっそうの改悪 最大の問題は、あらたに創設される「介護予防・日常生活支援総合事業」。
これは、「要支援」と認定された高齢者への保険給付を、人員・サービス内容・利用料などすべて市町村任せのサービスに置き換えるもの。サービスの質は担保されず、利用者の意思が尊重される保障もないだろう。
介護保険での訪問・通所サービスなどの事業には全国一律の基準があるが、「総合事業」にはそうした基準がない。市町村が事業費の上限を超えないよう安上がりな方法を選べば、劣悪なサービスしか受けられなくなるし、逆に利用料は、介護保険が定める「1割負担」より高くなることもありうる。
40歳以上の国民が保険料をはらっても、「要支援」と認定しながら全国一律の給付対象からはずすのは、介護が必要な人たちの権利を奪うものであり、「保険金詐欺」に等しいではないか。
これは、介護保険からの給付費削減と国の負担削減が狙いであり、今でさえ“負担あって介護なし”状態のいっそうの改悪だ。
24時間対応できる訪問介護サービスの創設といえば聞こえがいいが、介護労働者不足の中で実施できる保証はどこにもない。たとえ実施しても、事業者への報酬がサービス量に関係なく一定となる「包括払い」では、利用回数が制限されることは目に見えている。
医療行為の解禁については、関係者からの「職能を超える労働強化となり、離職を増やしかねない」という不安が根強い。法案に明示された「たんの吸引」以外は省令でも拡大できるものであり、看護職員不足を介護職員で補い、介護職員の負担をさらに重くするものといわざるを得ない。
何より、介護職員が行える医療行為の範囲を法改定なしに省令で拡大する仕組みは、命にかかわる重大問題であり、医療体制の充実をさぼり責任を転嫁するものだ。
また、7年後までの介護療養病床廃止も、医療の必要な高齢者から医療・介護・生活の場を奪うものといわねばならない。
・・・ったく、まともな審議も尽くさないわまともな報道もなしでは、高齢者・国民は蚊帳の外、暗闇の中。どうしろというのだ。
追記:以下、まともな報道をご参考に。
2011年6月16日(木)「しんぶん赤旗」介護保険法改定案が成立
日本共産党は反対
参院本会議
---------------------------------------------------------------
参院本会議で15日、介護保険法改定案が賛成多数で可決、成立しました。日本共産党、社民党は反対しました。
日本共産党は、「要支援」と認定された高齢者へのサービスを、市町村の判断で安上がりなサービスに置き換えることを可能にすることや、医療専門職が行うべき医療的ケアを介護職員に押しつけるなどの問題点があることから反対しました。
わずかの審議時間で強行
改定介護保険法 問題点こんなに
衆院で10時間弱。参院で8時間弱。
民主、自民、公明、みんなの各党はわずかの審議で改定介護保険法を成立させました。
医療・介護関係団体の運動や日本共産党国会議員団の追及で改定法の問題点が明らかになりましたが、その危険性は介護を必要とする多くの当事者に知られていません。
サービスの質低下する恐れ
一つは、「要支援」と認定された高齢者への介護のあり方です。
新設の「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)を導入した市町村は、要支援者へのサービスを従来通りの保険給付とするか、市町村任せの総合事業とするかを決められるようになります。
保険給付のサービスと異なり、総合事業にはサービスの質を担保する法令上の基準がありません。費用を減らすため、生活援助やデイサービスをボランティアに任せるなどの事態が起きかねません。
サービスのとりあげが広がる恐れもあります。これまで独自の「ローカルルール」をつくって生活援助や散歩介助をとりあげてきた市町村に対し、国民の運動を受けて、国は法令上の基準を根拠に是正を求めてきました。総合事業では肝心の基準がなくなるため、ローカルルールによるサービスとりあげが横行しかねません。
医療行為を押し付ける
二つ目は、医療専門職が担うべき医療行為を介護職員に押し付けることです。
国が看護師不足を放置し、医療が必要な患者を無理に退院させてきたため、施設の介護職員がたんの吸引などを肩代わりせざるをえない現状です。改定法はこの現状を逆手にとり、たんの吸引を法律で追認することを突破口に、介護職員が担う医療行為を厚労省令で拡大していく仕組みです。
安全性を確保できるのか。事故の責任は誰が負うのか。賃金上の評価もなく研修と業務の負担が重くなれば、離職者がさらに増えないか。現場は多くの不安を抱えています。
介護病床廃止方針を継続
三つ目は介護療養病床について廃止の方針を継続することです。
改定法には付帯決議がつきました。▽総合事業の実施にあたっては利用者本人の意思を最大限に尊重する▽医療行為の実施に向けて知識・技術の十分な習得、安全管理体制の整備、定期的な検証を行う▽介護療養病床の廃止について実態調査を行い、必要な見直しを検討する―などです。
共産党議員団や関係団体が批判した問題点を一定認めざるをえなかったのです。
改定法の施行は2012年4月。14日に国会内で開かれた抗議集会では、要支援者切り捨ての総合事業を市町村に導入させないなどのたたかいを広げ、改悪部分を運用段階で「骨抜きにしよう」(全日本民主医療機関連合会の山田智副会長)との決意が語られました。今後の世論と運動が重要です。 (杉本恒如)
■参照:
主張 軽度者への給付削減 “負担あり介護なし”の加速だ(2011年5月16日(月)「しんぶん赤旗」) ポチポチッと応援よろしく。
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「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中! http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html福祉目的なんて嘘っぱち!財政再建目的なんて嘘っぱち!消費税は、昔も今もこれからも「法人税減税目的税」
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2011.06.16 |
| Comments(0) | Trackback(1) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
「社会保障改革」の厚労省案が、「共助」の名で給付を削減したりして、自公の「構造改革」路線の継承を宣言し、社会保障切り捨てを加速するものであると書いた。

政府は社会保障改革について次のように説明している。
少子高齢化の進行をはじめとして社会経済状況が大きく変化する中、国民生活の安心を確保するためには、社会保障制度を根本的に改革する必要があります。
現在、社会保障改革の全体像とともに、必要な財源を確保するための、消費税を含む税制抜本改革の基本方針を示すべく、議論を進めています。
そして、集中検討会議については、「国民的な議論をオープンに進めていく」としている。
社会保障改革に関する集中検討会議は、社会保障・税一体改革の検討を集中的に行うとともに、国民的な議論をオープンに進めていくため、内閣総理大臣を議長とし、関係閣僚及び与党幹部と民間有識者からなる会議を政府・与党社会保障改革検討本部の下に設置したものです。
ところが、これまで開催のたびにインターネットで生中継されてきた会議が突然非公開になったという。厚労省案が出され成案をまとめる段階に入った
12日の第6回会合は、菅総理の挨拶だけ。
「構造改革」路線に回帰しし、社会保障切り捨てを加速するの議論の内容はとても国民には知られたくないのだろう。確信犯的密室化だ。「国民的な議論」?笑わせるのもいい加減にしてほしい。
与謝野馨担当相が、委員の名前を伏せて報告した議論の内容は、まさに言いたい放題!
「年金の高所得者への給付カット、支給年齢引き上げが必要」
「負担増が必要だということをまず確認してから議論すべきだ」
「効率化を冷たいというのは負担について当事者意識が足りない」
「米国では40%の人がお金がなくて医療が受けられないのに、日本では90%の人が医療に不満を持っている」「二十数万円でがん治療で生き延びるのはやりすぎ」・・・等。
密室で負担増・給付減にひた走る議論が大手を振っているようだ。
■2011年5月14日(土)「しんぶん赤旗」主張 社会保障「たたき台」 抑制路線の継続に道理はない
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【“NO.2062 密室論議で社会保障切捨てへ言いたい放題 社会保障改革集中検討会議”の続きを読む】 テーマ:政治・経済・社会問題なんでも - ジャンル:政治・経済
2011.05.15 |
| Comments(0) | Trackback(1) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
怒りを通り越してあきれ返っってしまう。

原発に翻弄され、震災復興策は遠のくばかり。
それどころか、大震災の影で社会保障人災をまねく準備が・・・!
大震災はまさに、国民の生存権を政府がどのように保障するかを問うている。
いや、切実に実施を求めている。ところが政府が真逆の方向をめざすなんて!
2次補正も先送りし、震災復興支援策を打ち出せないまま、その影で社会保障切捨ての準備だけは着々と実施している。原発人災のみならず、社会保障人災で、被災者とともに国民は幾重にも苦しめられることになるだろう。政治の力で国民の命までメルトダウンさせるというのか。
忌野清志郎&2・3's「メルト・ダウン」
自公路線「継承」宣言し 社会保障切り捨て加速
12日の政府・与党の「社会保障改革に関する集中検討会議」(議長=菅直人首相)。
厚生労働省案「改革の方向性と具体策」が「議論のたたき台」として提示された。自公政権の社会保障切り捨て路線を引き継ぎ、加速する方針だ。
自公政権が強行した社会保障改悪(後期高齢者医療制度の導入や年金支給年齢引き上げなど)を「改革」と評価し、「厳しい財政事情」のため「さらなる改革が必要」だという。「これまで以上に、給付の重点化、選択と集中、優先順位の明確化が求められる」と。つまり、いっそうの給付削減、社会保障切捨て宣言だ。
「世代間公平」のために、高齢者と現役世代を対立させて高齢者に負担増・給付減を求める。聞こえのいい、国民が共に助け合う「共助」を謳う。公的責任を縮小するための使い古された常套の思想攻撃だ。
例えば、「自立の助長」を名目に生活保護水準を引き下げる・・・。医療・介護・保育・障害の各分野の利用者負担の総額に上限を設ける「総合合算制度」の新設・・・。子育て支援では、保育を市場に任せる「新システム」。公約した最低保障年金は実現に「準備期間が必要」と先送り・・・。
検討会議では厚労省案以上に「もっと給付削減を」「もっと負担増を」という意見が相次いだそうだ。おえっ!5月末に試案を示し、6月末に成案を提示する予定だという。
あのな!
憲法25条は、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と書いて、社会保障への国の責任を明言してるんやぞ。
政権後退、どんどん後退。
自民党以下に成り下がっているではないか!!!
2011年5月13日(金)「しんぶん赤旗」がいい解説書いている。是非とも”続きを読む”でご参考に。
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2011.05.14 |
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8箇所の裁判における初勝訴。
生活保護老齢加算廃止は違法!まさにたたかってこそ!
老齢加算
生活保護受給者の加齢に伴う食事への配慮や慶弔費用の増加などに対応して、月に約1万8000円支給されていました。「社会保障構造改革」によって社会保障費が削減されるもと、04年度から段階的に減額、06年度に完全廃止されました。
取り急ぎ転載だけ・・・。
生活保護費 老齢加算廃止は違法 福岡高裁初判断 原告側逆転勝訴 「考慮不十分」=2010/06/15付 西日本新聞朝刊=
原則70歳以上に上乗せ支給されていた生活保護の「老齢加算」が減額・廃止されたのは生存権を保障した憲法25条に違反するとして、北九州市に住む74-92歳の男女39人が、市の処分取り消しを求めた控訴審判決で、福岡高裁(古賀寛裁判長)は14日、請求を棄却した一審福岡地裁判決を取り消し、全員の減額処分を取り消した。原告側が逆転勝訴した。
判決理由で古賀裁判長は「保護基準の改定は裁量権の逸脱または濫用(らんよう)で、正当な理由がない不利益変更にあたる」として、老齢加算廃止による減額は生活保護法違反と判断した。
老齢加算をめぐる一連の訴訟で、原告の勝訴は初めて。ただ判決は、生存権を保障した憲法25条に違反するかどうかは明確に判断しなかった。
判決は、「生活保護の認定判断は厚生労働相の裁量に委ねられる」とした最高裁の判断を踏襲。その上で、厚労省の専門委員会が老齢加算の廃止を答申したわずか4日後に予算決定した点をとらえ、「考慮するべき事項を十分に検討しておらず、社会通念に照らして著しく妥当性を欠いた」と指摘した。
判決によると、老齢加算は1960年、高齢者には食費などで「特別な需要がある」として創設。市は原告に月額1万7930円を加算して保護費を支給していたが、国の段階的な廃止決定で2004年4月から1年ごとに減額し、06年3月で廃止した。
昨年6月の福岡地裁判決は「廃止に著しく不合理な点は認められず、違憲、違法なものではない」として訴えを退けた。
老齢加算をめぐっては全国8地裁で同種の訴訟が起こされたが、東京、京都、広島の3地裁でも敗訴。今年5月に東京高裁でも、原告側の請求が棄却された。
■判決骨子
◇生活保護は国の恩恵ではなく、法的権利
◇老齢加算廃止の際、受給者の不利益を考慮しておらず、激変緩和措置も検討されていない
◇廃止は著しく妥当性を欠いており、正当な理由はない。廃止による減額を取り消す
■国のずさんさを断罪 福岡生存権裁判原告・弁護団
国の老齢加算減額廃止に至る決定過程のずさんさを断罪し、その違法性を明確に認定したことを高く評価する。北九州市にはいたずらに上告せず本判決に従うことを、政府には制度を元に復するための措置を速やかにとることを強く要求する。
■関係機関の指示仰ぐ 守口昌彦・北九州市保護課長のコメント
生活保護業務は法定受託事務であり、この訴訟は制度に関するものであることから、関係機関(厚生労働省、法務省)の指示を仰いで今後の対応を決定したい。
■慎重に議論して助言 長妻昭厚生労働相の話
判決を受けて北九州市から「助言をしてほしい」と求められた。高裁によって判断がばらけており、省内でも慎重に議論して助言したい。(上告期限まで)2週間あるので、専門家の話も聞いて議論したい。(老齢加算復活については)なかなか、すぐに結論が出る話ではないと思う。
■老齢加算
生活保護受給者で原則70歳以上の高齢者に対し、基準生活費に一定額を加えて支給していた制度。高齢者は栄養のある物を食べる必要があるほか、孤独にならないための交際費がかさむなど「特別な需要がある」として、1960年に創設され、都市部では最高で月1万7930円が上乗せされた。対象者は2005年度で約30万人。財政悪化を理由に04年度から段階的に減額され、06年3月に全廃。母子加算も昨年4月で廃止されたが、政権交代後の同12月に復活した。
すくらむさんで紹介された声明を転載させていただきます。
福岡生存権裁判の控訴審判決について
2010年6月14日
福岡生存権裁判原告団
福岡生存権裁判弁護団
生存権裁判を支援する全国連絡会
本日、北九州市内在住の74歳~92歳の生活保護受給者39名が、北九州市を被告として、2004年4月から2006年4月にかけて行われた老齢加算の段階的廃止を内容とする保護変更決定の取消を求めた裁判について、福岡高等裁判所第1民事部は、被告の決定の違法性を認め、保護変更決定を取消す判決を言い渡した。
老齢加算の段階的廃止をめぐっては、全国8カ所の裁判所(4地裁、3高裁、1最高裁)において約100名の原告により裁判が闘われているが、本判決は初めての勝訴判決である。
老齢加算制度とは、高齢者に特有の生活需要を満たすために、原則70歳以上の生活保護受給者について、一定額の保護費を加算支給する制度であり、1960年の創設以来、40年以上にわたり維持されてきたものである。
しかし、国は、老齢加算の廃止を決定し、2004年度から老齢加算を段階的に削減し、2006年度からはこれを全廃した。
老齢加算の廃止は、「財政問題の解決」のための社会保障費抑制策の一環として行われたものであり、高齢者にとっての「健康で文化的な最低限度の生活」についての実質的な検証をおろそかにしたまま強行されたものである。
今、格差と貧困が広がる中、最後のセーフティーネットとして生活保護制度が果たす役割の重要性については論を待たない。改正最低賃金法には「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」と明記されるなど、生活保護制度は他の諸制度、諸施策と連動しており、生活保護基準の切り下げは、生活保護受給者のみならず国民生活全般に影響を及ぼすものである。よって本件訴訟は、国民の生存権を保障する上で、重要な意義を有するものである。
本日言い渡された本判決は、専門委員会での議論など廃止に至る経過を詳細に検討した上で、高齢者世帯の最低生活水準が維持されることを求めた中間とりまとめの但書きや、同じく中間とりまとめが求めた激変緩和措置を十分検討することなく行われた本件老齢加算の減額廃止は、社会通念に照らし著しく妥当性を欠いたものであることを明快に指摘し、老齢加算減額廃止が生活保護法56条に違反し違法であることを認めた。
我々、原告団及び弁護団は、裁判所が、国の老齢加算減額廃止に至る決定過程の杜撰さを断罪し、その違法性を明確に認定したことを高く評価するものである。
被告及び政府は、本判決を厳粛に受け止めて、その誤りを率直に認めるべきである。
我々、原告団及び弁護団は、被告に対しては、いたずらに上告せず本判決に従うことを、政府に対しては老齢加算制度を元に復するための措置を速やかにとることを強く要求する。
以上
政府は老齢加算制度の復活を!

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2010.06.15 |
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今年は「日米安保50年」ということはよく知られています(?)が、「朝日訴訟50周年」というのはあまり知られていないようです。

先日、きれいな人のお店から漆器の器を買ってきた。
さつま無双。鹿児島市。
味?ん~~ん、気持ちよくなる味ッス!
私の飲み方。お湯を7、次に芋焼酎を3。
イモくささが消えて、やさしい香りと甘みが出る割り方。お試しあれ。
これでイモ焼酎嫌いを”転向”させている。
ただし、イモくささ好みの方にはご法度。
安保50年のこの年に「日米安保を機軸に」と言う政府。普天間基地の撤去を求めつつ日米安保を問う機運が高まるかと思いきや、メディアの普天間隠しが始まった。あの報道は将に政局趣味で普天間を「政争の具」にしただけ。政局の焦点が移るや、本土メディアは全くといっていいぐらい普天間基地問題をどこかに放り投げてしまった。ワジワジ(怒り)・・・。
それは別の機会に譲るとして、今日は「朝日訴訟50周年」について。
先ずは、「朝日訴訟」とはどんな裁判だったのか、おさらいから。
「朝日訴訟」とは、1957年、国立岡山療養所で結核療養中だった朝日茂さん(1913~64年)が憲法25条の意味を問い、生存権の保障を求めて起こした裁判です。
第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
朝日さんは、生活保護法に基づく医療扶助、生活扶助を受けていました。
ところが、社会福祉事務所は、旭さんのお兄さんを探し出して仕送りをさせ、その月1500円の仕送りから日用品費として月600円だけを本人に渡し、残りを医療費の一部自己負担としてとりあげたのです。
当時の生活保護の日用品費は月600円。それはシャツは2年に1枚、パンツは年に1枚でいいというとても貧困な基準でした。
朝日さんは
「そんなばかなことがあるか」「この基準は、健康で文化的な生活の保障(生存権)を定めた憲法25条に違反する」と、東京地裁に訴えました。生活保護処分に関する裁決取消訴訟を起こしたのです。
東京地裁判決(1960年)は、憲法25条の「健康で文化的な生活」は、国民の権利であり、国は国民に具体的に保障する義務があること、それは予算のあるなしではなく国が「指導支配」しなければならないとし、旭さんが勝訴しました。
しかし、第2審は、最低限度の生活水準は、固定的なものではなく多数の不確定要素を総合して考えなくてはならず、結局、本件保護基準は「すこぶる低額」ではあるが違法とまでは断定できないと、逆転判決。憲法は目標を掲げているだけ(
プログラム規定説)だから違憲ではない、と。
朝日さんは上告後になくなり、反動的な判決で結審することとなりました。
朝日さんは、この訴訟を
「個人の問題ではなく、国民生活のレベルを上げるもの」と位置づけ、「弱いもの同士の足の引っ張り合いはやめよう」と病床から主張した日本共産党員でもありました。
朝日訴訟は、人間に値する生活とは何かを問い直す「人間裁判」と呼ばれ、支援の輪は全国に広がり、「朝日訴訟を勝ちぬく列島縦断大行進」が3回もおこなわれたそうです。この裁判とこれを支援する運動がその後の日本の社会保障運動に大きな影響を与えました。
2010年6月11日(金)「しんぶん赤旗」が「3月の生活保護過去最多 134万世帯超に」と報じています。
また、内閣府が発表した2010年版「自殺対策白書」は、昨年の自殺者は3万2845人で、12年連続で3万人を超えたことを明らかにしています。
「生きづらさ」が暮らしにのしかかる今、あらためて「人間裁判」が問われているように思います。
以下報道より。
2010年6月6日(日)「しんぶん赤旗」生存権 声あげ続けよう
朝日訴訟50周年でシンポ
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「語り継ごう朝日訴訟50周年 そしていま生存権裁判」と題したシンポジウムが5日、東京都内で開かれました。主催は、生存権裁判を支援する全国連絡会と「軍事費を削ってくらしと福祉・教育の充実を求める」国民大運動実行委員会です。
・・・
NPO法人朝日訴訟の会の岩間一雄理事長が記念講演。朝日さんは、個人の問題ではなく、国民生活のレベルを上げるものと同訴訟を位置づけ、弱いもの同士の足の引っ張り合いはやめようと主張していたことを紹介しました。
第一審判決を起案した元裁判官、小中信幸弁護士は「朝日訴訟がいまだに生存権の道しるべとなっているということは、今日においても生存権が確実に保障されていないということではないか」と強調。現在、生活保護の老齢加算の復活を求めてたたかわれている生存権裁判にふれ、「憲法25条の理念を、国、厚生労働省や裁判官にも十分自覚してもらい、適正な判断をしてもらいたい」と訴えました。
朝日訴訟の主任弁護士を務め、東京生存権裁判の弁護団長の新井章弁護士は「何もしないと国の予算は、軍事費などに重点を置かれかねない。人間らしい生活を求めて、繰り返し懲りずに声を上げ続けることで社会保障費を勝ち取らなければならない」と提起しました。
人間らしい生活 今も問いかけ 『朝日訴訟』一審判決から50年(東京新聞 2010年6月6日 朝刊)
憲法で保障されている生存権の侵害について争った「朝日訴訟」で、違憲とした一審の東京地裁判決から五十年。五日、東京都内で開かれたシンポジウムに一審の裁判官の一人で弁護士小中信幸さん(79)が出席、「現在も生存権をめぐる訴訟が各地で起きており、憲法の理念が保障されているとは言い難い状況がある」と指摘した。 (小野沢健太)
小中さんは東京地裁の一審で、三人の裁判官の中で判決文の起案を担当。シンポジウムを主催した「生存権裁判を支援する全国連絡会」によると、小中さんが公の場で意見を述べたのは初めてという。
裁判では、当時の生活保護費の基準が、憲法二五条で保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を満たしているかが争点となった。
小中さんは、一審の審理について「生活保護額の根拠となった国の基準表には、受給者が必要とする日用品について肌着が二年に一着、パンツが一年に一枚などと書かれていた。これでは人間らしい生活はできないと感じた」などと振り返った。
判決文の案を書く際には、裁判長の浅沼武さんの言葉を重視した。「憲法は絵に描いたもちであってはならない」人間らしい生活を国民に約束したのが、憲法二五条の生存権だ。と解釈して執筆したという。
違憲判決は、高裁で覆された。しかし、朝日訴訟を通して生活保護費の少なさが社会的問題として注目されるようになり、提訴からの十年間で支給額は四倍以上に増額された。小中さんは「裁判の目的は事実上、達成できたと言えるのかもしれない」と話した。
しかし、現在も生活保護制度をめぐり生存権について争う裁判が起きていることについて「憲法の理念を、国や関係機関は十分に理解してもらいたい」と要望した。
七十歳以上の生活保護受給者に支給されていた「老齢加算」が、「高齢者に特別な消費需要はない」との理由で二〇〇六年度に廃止された。老齢加算の復活を求めた訴訟が、東京や青森など八都府県で起きている。五月二十七日に東京高裁で原告側敗訴の判決が出た。一審東京地裁を含め四地裁で原告側が敗訴している。東京原告団の弁護団長を務める新井章さん(79)は「人間らしい生活とは何か、繰り返し提起していくことが大切だ」と呼びかけた。
シンポには朝日訴訟の原告の朝日茂さんの訴訟を継承した朝日健二さん(75)も出席し「朝日訴訟の違憲判決が生存権確立の道しるべになってもらいたい」と話した。
<朝日訴訟> 1957年8月、岡山県の国立療養所に入院していた結核患者の朝日茂さん=当時(44)=が国を相手に提訴した行政訴訟。朝日さんに支給されていた月600円の生活保護費では、十分な栄養が得られず「国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めた憲法25条に反すると主張した。一審東京地裁は60年10月、朝日さんの主張を全面的に認め、違憲判決を出した。二審東京高裁では逆転敗訴。朝日さんは最高裁に上告後の64年2月に亡くなった。最高裁は生活保護の継承はできないとして訴訟終結を宣言した。
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2010.06.12 |
| Comments(3) | Trackback(3) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ
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