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NO.1380 「認めて欲しい!」 心の叫び。

(歩み34)

 働くことを通じて仲間が変わる。
紙漉きの仕事をする中で、その変化を見せたタッチンの当時の様子を、陶友通信NO.40(98年3月号)より紹介します。

        彼岸花22854

 働く仲間・・・「上手いっちゃん、オレ」
 陶友が休みの日、「家にいたら退屈とて!」・・・という。
最近、「うまいっチャン。オレ」と、ちょぴりハイテンションではがき作りに精を出すのは、タッチン24歳。

 昨年5月ごろのこと。それまで感情の起伏が激しく、作業に集中できない。ひたすらしゃべり続け、イラつけば壁や柱を蹴って八つ当たりしていたタッチンに大きな転機が訪れた。

 彼はちょっとしたきっかけから、はがき作りの工程の花形である紙漉きの腕前を上げ、
「オレ、落ちついとったら、何しても出来るとて!」と、日を追うごとに腕を上げ自身をつけていった。自信とはすごいもので、紙漉き以外のどの工程でもこなせるようになった。
 「タッチン上手ね」
 「タッチンのはきれいよ」
と、紙漉き班のみんなから声がかかるようになった。
 彼がもっていた強いこだわりがいい方向に開花したようだ。そして、班の中でゆるぎない居場所を見出していったのである。

 人に認められることがなく、常に人と比べて自分を否定的に見ていたタッチンにとって、自分がした仕事を仲間や職員に認められるということは、大きな財産になったようだ。

 「一般社会でも通用するかも知れんけど、おれ、陶友で頑張る」と語る、近頃のタッチンであった。


 高校で孤立しいじめに合い、何とか卒業はしたものの、定職に就けず転々。失敗を重ね「ダメ」という烙印をおされつずけて、遂には、精神科へ・・・。
 「トイレに連れて行かれ殴られ・・・。廊下を歩きよると、いきなり女子がスリッパで叩くとよ。なんで?!」

 さまよった挙句、「福祉」を頼ってきたタッチン。
入所当初は、目を合わせることも出来ず、話もしなかった。

 数ヶ月して転機が訪れた、それはほんの小さなきっかけだった。
重い荷物をもてない女子職員が、タッチンに「そこにある荷物を運んで下さい」とたのんだ。返事もせず、それでも彼は、ひょいと持ち上げ運んだ。
 「ああ、やっぱりタッチンは男やね。力がある。ありがとう。」と職員が言ったその時である。
 タッチンは初めて、職員の顔を見て言った。
「そっ、そう!そういうことオレにを言って欲しいとよ!ちゃんとね!」と一言。

 一年目の若い女子職員は、その一言を聞き逃さなかった。「認めて欲しかったんやね。」

 痛いほどに、黙りこくってしまいたいほど、そして心が壊れるほどに、・・・自分の事を認めて欲しかったのだ。

 みんな、誰かの役に立つ存在でありたい、誰かに喜ばれる存在でありたいと思う。
働く存在とはその思いを表現する存在なのだと思う。

 親御さんたちからも、「明日も忙しいな、私の仕事は紙漉き」、「私がいないと紙漉きが始まらない」、「この頃は自信を持っているようで、いい顔をしています」と、仲間の、家でも見える変化が報告されるようになった。

  紙漉き工房の増築とその資金作りを成功させなくてはならない。(つづく)




 第16回 陶友祭 
 ・10月24日(土) 11:00~17:00
 ・10月25日(日) 11;00~16;00(その後、大懇親会)
 ・場所 工房陶友
      〒804-0064
      福岡市中央区地行1丁目15-18 工房陶友   周辺地図はこちら
            (お問い合わせ)℡:092-771-5517

   *仲間の作品展示即売
   *ステージ企画
   *飲食コーナー
   *子どもコーナー
   *ミニ・リサイクルバザーコーナー などなど。
 お誘いあわせて、是非お越しください。
 


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2009.09.25 | | Comments(2) | Trackback(3) | ・陶友の歩みと出会いⅡ

NO.1378 当たり前の願いのもつ重み

(歩み33)

 紙漉き班の仲間たちが、「紙漉き工房がほしい」という。
う~~ん。

        彼岸花22852

 その時の想いを、陶友通信 98年2月号(NO.39)より転載しておきます。


当たり前の願いのもつ重み

 「何とかいい環境を作らないと・・・」と思っていました。認可され新しい仲間を迎え、色々と試行しつつも。安心して落ち着いて作業に参加するように仲間を受け止められない。職員体制を強め、一人ひとりの不安やオシャベリを受け止め、ともに仕事作りに取り組む中で、少しづつ仲間たちも落ち着き、作業そのものへの取り組みも変わってきました。その中での、「狭い」「うるさい」の声・・・。

 私の中には「何とかしなければ・・・」と同時に、「そんな贅沢な、精一杯じゃないか」みたいな気持ちも、正直言ってありました。

 「陶芸班のオマケみたい」「自分達の力でやって行きたい」・・・。この声に考えさせられ、自分の未熟さをいやというほど思い知らされました。

 その人生の入り口で、或いはいじめに合い、或いは「力が無い」と、現代社会から「働く権利」を奪われ、不安の中でやっとたどり着いた作業所。作業どころじゃあなかった仲間たちが若い職員達と心を通わせ、ともに試み、共に感じ、少しづつこれが自分達の仕事だと手応えをつかんできた。

 「オマケはいやだ」「自分達の力で・・・」は、働くことを知った者のプライドであり、自らの尊厳に目覚めた人間としての復権の声というと大げさだろうか。

 ナガノオリンピックの青年達たち・・・原田が、舟木が清水が私たちに与えた感動は、個性的に伸び伸びと自分を表現する輝きと、その日に向けた挑戦の日々ではないでしょうか。
 私たちも、一人ひとりが自分を信頼し(他人に競り勝つことではなく)、自分らしく伸び伸びと「心の一等賞」を感じて生きて行きたい。障害があろうとなかろうと、この共通の願いに響いたのではないのでしょうか。

 この職にありながら「ゼイタク」とか「もっとやることやってから一人前のことを言って」とか思った自分の恥もさらしても、何とか仲間たちの声に応えたい。
 この取り組みの中で、仲間たちがもっと輝きを増すと共に、私自身も成長したいと思います。当たり前の人間の願いの持つ重さをきちんと受け止められるように。  

 それが作業所の存在の意味だったし、陶友の生命だから。
仲間たちの願いはみんなの願い。
 皆様のご支援をよろしくお願いします。


 こうして、駐車場スペースに紙漉き工房6坪を増築すべく、資金作りが始まったのです。(つづく)



 第16回 陶友祭ご案内 

   ~ みんなちがって みんないい ~

 ・10月24日(土) 11:00~17:00
 ・10月25日(日) 11;00~16;00(その後、大懇親会)
 ・場所 工房陶友
      〒804-0064
      福岡市中央区地行1丁目15-18 工房陶友   周辺地図はこちら
            (お問い合わせ)℡:092-771-5517

   *仲間の作品展示即売
   *ステージ企画
   *飲食コーナー
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   *ミニ・リサイクルバザーコーナー などなど。
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2009.09.24 | | Comments(0) | Trackback(1) | ・陶友の歩みと出会いⅡ

NO.1374 紙漉き班が正式にスタート

(歩み NO.32)

 シルバー・ウィーク最終日。皆さんの休日はいかがでしたか?
鳩山君は外遊で奮闘中のようだが、こちらは4日間も、何もせずに過ごしてしまった。落ち込みそう・・・。

 ブログも数日間更新せずにほったらかしておくと、何から書いたらいいか困ってしまうもんだ。書きかけの記事は、政治や社会に関するものは日が過ぎると微妙に違ってきて、書き直しが求められる。そこで、気楽な話からアップしようと思います。

        彼岸花22850
        ドラゴン・フルーツ。
        種子島の知人から届いた。このごろは種子島でも栽培しているようだ。
        味はアバウト・・・。珍しさが売り物?
        四女が珍しがって、喜んでいた。ありがとう。


 1997年4月には、紙漉き班が正式にスタートした。

 「下請けをしたり・・・安定的に打ち込める仕事が確立できずに、色々と不安な思いをしてきた仲間たちも、この4月に2名の職員の援助で昨年末より試行して来た紙漉きの仕事を班として確立して取り組むようになりました。・・・牛乳パックのリサイクル。
 
 仲間5名、職員2名。ワイワイガヤガヤの濃厚な支援体制。今は細々とですが、ゆくゆくは地域と結び地球環境を守る新たな生産活動・・・?
 仲間たちが安心して取り組める場の条件が出来たことが何よりです。」(陶友通信 NO,33 より)


自分達で作る
 この取り組みは、上から作ってやる方法ではなく、自分達が試行錯誤で体験しながら作り上げて行くという方法で進めました。

 職員も若い新人ですから、自ら主体的に仕事に取り組むという体験をさせる必要がありました。まどろっこしくイライラもしましたが、大事なのは結果ではありません。その取り組みのプロセスで、何を学び身につけ成長するかが大事なことです。仲間たちも職員も。

「仲間が主人公」です。
 決して仲間たちをお客さんにして、あてがってはいけません。あらゆる取り組みに最大限の参加を保障しなければなりません。効率が悪くもどかしいのですが・・・。

 やったことは、何も大げさなことではなく、恥かしいぐらいささやかなこと。
20坪あまりの陶芸作業場の片隅に、紙漉きができるコーナーを作っただけのもの。パルプを溶かす水槽は、例の衣装用のプラケースです。ミキサーは、学校給食用の大きなのを廃棄処分用を譲り受けたり・・・。
 こういう一つ一つを、目で見て、話し合って決めてみんなで買いにいったり・・・、そうしてこそ「自分達の仕事」になって行くのです。

 八女の紙漉き工房まで行って本場の紙漉きを体験をしたりして、職員のモチベーションも仲間たちのテンションも盛り上げつつ・・・。

 こうして班が確立し「作業」らしい取り組みが出来るようになると、しばらくして「紙漉き班のスペースがもっと欲しい」という声が仲間たちの中からあがりました。無理も無いことです。設備もスペースも「お仕事ごっこ」レベルですから・・・。

 経営がアップアップの所長は、心の中で「贅沢言うなよ、それほどのことをしているのかよ」・・・まだ借金だってたくさんあるのにと思いながらも・・・。(つづく)






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2009.09.23 | | Comments(0) | Trackback(0) | ・陶友の歩みと出会いⅡ

NO.1373 福祉労働の成果は、仲間(利用者)の「いきいき」に集中的に表現される (歩み 31)

(歩み 31)
 今日は窯焚きで明日未明まで残業です。(いや、深夜で終わりそう)
おお~い、誰か、差し入れもって来てくれ~~~、なんちゃって。


 そこで、久しぶりに「陶友の歩み」を再開し、続編を書こうかなと思います。
そろそろ退職に向けての心の整理・・・という訳でもありませんが(笑)。
 ・・・で、今日は逃げ出したいほど辛かった時期。(これじゃ、陶友の歴史じゃなく友さんの歴史か!笑)

木漏れ日2836

 陶友は、1992年に無認可作業所(法外の任意の施設)としてスタートし、95年にひかり作業所の「分場」として認可施設(知的障害者福祉法に基づく授産施設)となりました。

 カテゴリー「陶友の歩みと出会いⅠ」では、やっと認可に到達するまでの3年間の歩みを振り返りました。

 その後の歴史は、大きく3つに分けられます。
陶芸だけやっていた時代から紙漉き班を作るまでと、次に食品班を作り3班体制になるまで、そして自立支援法により新しい事業体系に移る時代です。

 ま、公式な記録ではありませんので、率直に振り返りつつ、かなり主観的な体験談としてまとめていきたいと思います。


 ということで、先ずは認可初期。
希望に満ちた船出、前途洋々?で書きましたが、認可して仲間が増えるとともに、混乱に突入しました。情けなや、全くの予想外でした。(後で考えれば、15名もの仲間を陶芸班一つで受け止めるのがいかに無謀かは当たり前のことですが・・・。勿論、新しい作業班を作ることの必用は認識していたのは当然ですが、体制ができていなかった。それは当時の障害者支援のための社会資源の整備の遅れという事情との関連もありました。この辺は、また別項で書きたいと思います。)


新しい作業と仲間集団をつくること
 そこでの課題は、新しい作業を開拓し集団を分けて小さくすること。
箱折の下請け作業や色々な試行を繰り返し、紙漉き班を確立するまでには、実に2年を要しました。
この2年間が、私にとっては精神的に一番辛い時期でした。

 自分がやっていること、自分自身が信頼されない・・・。
まあ、こんなつらい事はありませんね。
 仲間たちが落ち着かず、生き生きしないわけですから、当然新しい親御さん達には不信を買います。陶芸班に入れられなかった仲間の親御さんにしてみれば、「うちの子は、陶芸班から外された」「見放して、大事にしてくれない」となるわけです。

 陶友は、陶芸をする作業所として知られ、無認可時代から認可当初まで新聞やテレビでも何度も取り上げられて来ましたから、 試行段階とは言え、その「陶芸班から外された」思いは親御さんにとっては、適性がどうのこうのというよりも、それ以前の問題しとして深刻だったことでしょう。

 今になって思えば、よくわかることですが、時効ということで言わせてもらえば、当時はゆとりもなく、自分の未熟さを棚に上げて「バカ親どもが!一生懸命やっとるやんか、だれが差別なんかしとるか!」と心の中で思いながら、申し訳ない申し訳ないといつも自分を責める暗い日々でした。

 事に当たろうとする時には、色々な困難があります。しかし、一緒に立ち向かおうとして手をつなぐべき人たちと確かな信頼関係があれば、困難など何のそのです。肝心なその信頼が無いのです。

 勿論その間も、仲間たちの社会生活体験を豊かにするための様々な活動に取り組み、それなりに仲間たちも楽しくは参加しています。

 しかし、肝心なのは「働く」こと。
知的障害のある仲間たちは、認識の力はそれぞれですが、「僕は働いているんだ!」という実感は皆それぞれのやり方で、感じ取ります。将にその実感(自己認識、自己評価)こそが、誇りであり、存在感なのです。そしてその実感は、仲間たちを実に生き生きとさせ、様々な面で成長させます。

 若い職員達のフントウで紙漉き班をやっと確立し、新しく入った仲間たちの「いきいき」の入り口に到達するのに、2年間もかかったということでしょうか。

 
 こんな偉そうな志でスタートしたした友さんでしたが。めげそうな2年間でした。

 どんなに一生懸命やっても、偉そうな理屈をふりまいても、 (友さんはいつもは黙っているので怖がられますが、結構話が上手く、顔に似合わず話をすると受けはいいんです・・・笑)、それで信頼されるものではありません。私たちの仕事は、仲間たちの「いきいき」が勝負です。仲間たちのリアルな姿が、私たちの仕事を全て表現しています。福祉の仕事というものはそんなものです。

 せっかく来た作業所で、子どもが目に見えて生き生きしなければ、当然親御さんが施設に信頼を寄せることは無いでしょう。私の作品は、陶器でもその他の何でもありません。目の前にいる仲間たち一人ひとり、その人なのです。


 ・・・それにしても、あのころの友さんは最低でした。でもそんな私でも、多くの皆さんが支え応援してくれました。ありがたいことです。だから、頑張れたのです。


・・ちょっと感傷的になりましたが、まあ、「主観的」と断っていますから、お許しを。

 次回は、紙漉き班の成長を中心に書いてみます。(つづく)
 

 


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2009.09.18 | | Comments(5) | Trackback(11) | ・陶友の歩みと出会いⅡ

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なお、気が弱いので「道場破り」はお断り。
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