NO.824 トノの進化と自立。
ああ、自宅のパソコンがおかしくなってしまった。ブルーバックが出て、ネットがつながらない!パソコンオンチの私にはお手上げ。早速出張サポートをお願いしたが・・・。時間がかかりそうだ(涙)。で、職場のパソコンから。
ところがこちらはいい話。
トノのお父さんから、昨日電話があった。・・・ン?何事?
「実は言葉の調子の問題だから、連絡帳ではなく直接・・・」と言う。
で、あ~~あ、記録に残そうと電話をメモしていたがその紙が・・・無い、無い、無い!
今まであったのに、・・・ボケだしてる!(涙)
一つ一つの言葉は正確さを欠くかもしれないが、記憶に基づいて書くことにします。
トノは、34歳、自閉症で重い知的障害とされている。言語によるコミュニケーション能力が著しく困難で、どうしてもいいたいときに自分から「ラーメン!」「オカワリ」「デンシャ!」などの一語文で話しかけてくる。
彼は、熊本での中学校時代の先生が好きで、お父さんに「ナツヤスミ、クマモト、アオイフク、○○センセイ」とよく言うらしい。昨日、地下鉄駅まで送る車の中で、お父さんがそのフレーズを言って、話題でも作ろうとしたらしい。
すると、「フユヤスミ」と返し、「クロイフク」と返してきたそうだ。「お父さん、今度は冬休みに黒い服を着ていくんだよ」と言う意味だ。
お父さんは、「ニコニコして言い返し、言葉遊びを楽しんでいる」と言うのです。今まではなかったことだ、と。最近ガイドヘルパーからも、「最近、ラーメン、食べたいです、と文章で話すことが多い」と報告があったそうだ。付け加えて、「人と話をするようになった」と。
(実は彼にとっては周りの人は人の形をしているが、ただのモノではないか、・・・そう考えるとすべての行動が納得出来ると、以前の話されたことがあった)
確かに彼は作業所で、みんなが受け容れてくれる空気の中で少しづつ落ち着きながら、自分がしたいことを要求したり、いろんな主張をするようになった。周囲との関係が出来、彼なりのコミュニケーションのとり方が周りから受け容れられてきている。関係が出来るということは、「それはダメよ」も含めて、「双方向」で「帰ってくる」ものになってきたということだ。
そういう関係の中で、言葉がその機能を発揮し、言葉は彼の中でより有意義な意味を持ってきたのだ。そういう関係の中でこそ言葉が発達し、トノの中では”遊び”にも使いたいほどの位置を占めていったと考えられる。
自立について考える。
これは、ある障害を持つ青年の成長・発達の一つの断面に過ぎない。人は、支えあい支えられながら、自分らしい歩みで自分の人生を歩み成長し人生を作っていく。その過程こそが自立では無いだろうか、そう思うのである。自立を、結果としてではなくそのプロセスの中にとらえたい。
ところが、 障害者自立支援法は、社会的就労こそがの最大の価値とばかりに、就労移行支援には報酬を高目につけている。そしていかにもその他の就労に遠い障害者は厄介者だといわんばかりだ。社会的就労を自立の指標にするのはいかがなものか。
もっと、拡げていえば、「自立」が誰の世話にもならずに生きてゆくことだとしたら、最も自立に近い人は、生活保護にも頼らず、会社にも頼らず、公園で寝泊りしながら生きている人たちではないかと言えば極論だろうか?
いま、多くの若者達が生きる土台の労働市場から路上に捨てられている。彼らにしても望んで派遣になったわけではない。いろいろな事情で食うために自立するために、そういう選択が余儀なくされてきたのだ。あたかも、それが自己責任で仕方ないとでもいうような風潮の社会は、病んでいると思う。
いろいろ見聞する多くの派遣の人たち身の上を思うにつけ、障害者の「生きづらさ」(私は障害とは「生きづらさ」だと言ってきたが・・・)と、この国に生きることの「行きづらさ」が、同じ根を持つことを感じている。
こんな社会でいいのか?!
人事ではないのだ。問われているのは、障害者が生きづらいのは「自己責任だ」とはいわないまでも、仕方ないとするこの社会のあり方なのだ。同じように問題なのは、ハケンや期間工がきられるのは仕方が無いことだとしてしまう社会のありかたなのだ。
・・・知的障害を持つ仲間たちは、人間とその社会のあり方を、語らずに問いかけてくる。私たちは、その問いかけにこそ向き合わなければならないのだ。
そこに政治がどう役割を果たすかを問わなければならないのだ。
お付き合いついでにシャッターはこころで切れ!も、よろしく。
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いつもありがとうございます。
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2008.12.17 | | Comments(0) | Trackback(2) | ・仲間とともにⅡ
