NO.1559 社会保障財源論と国の財政責任
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社会保障の基本原則と、社会保障に対する国の財政責任について若干、整理してみたい。
「家にはお金が無いから、よそのうちと比べるな」と、小さいころよく言われたものだ。
なんとなく「そうなんだ」と思い、諦めがついたものだった。
多くの人はそういう経験を持っているのではないだろうか。
ところで、この国は「財源が無い、財源が無い」と大騒ぎし、社会保障のための財源探しが大変だ。
子どもの頃の癖で、「財源が無い」といわれると、「仕方ないのかな」とあきらめがちになりそうな・・・。
それをいいことに、「社会保障財源のために消費税の増税を!」と、自民党が迫っている。その急先鋒は、「立ち枯れ・・・」、いや「たちあがれ日本」などという新党を作り、消費税増税に特化した役割を担おうとしている。
ところで、わが鳩山新政権はというと、鳩山総理も管副総理も「議論を開始する」と、自民党に呼応し、仙石国家戦略相にいたっては、「消費税を20%にしても追いつかないぞ!」と、張り切っている。
そして仙石氏は、今度は「消費税増税は4年間凍結」とした政権の方針を見直すように、ボルテージを上げているようだ。
仙谷戦略相、消費税増税の凍結解除求める(4月13日13時20分配信 読売新聞)
仙谷国家戦略相は13日の閣議後の記者会見で、「消費税だけではなく税制改革、歳入改革を掲げて選挙をしなければ、国民に甚だ失礼だ。今の税収のままなら(財政は)大きな壁にぶちあたる」と述べ、「消費税増税は4年間凍結」とした鳩山政権の方針の見直しが必要だとの認識を表明した。
仙谷氏は政府が6月までにまとめる「中期財政フレーム」に関し、「消費税を含めた税制改革全般に触れざるを得ない」と強調。さらに、消費税率引き上げを争点に、任期中の衆院解散も検討すべきだと指摘した。
ここで、考えてみたいのは、「社会保障財源」論議ってのは、家計の話でも無ければ、自然現象の話でももないだろうということ。
社会保障に関しては、財源論の前に、国の「財政責任」というものがあるのではないか。
「垂直型の所得再分配機能」が世界の常識
社会保障制度は、20世紀に入り、垂直型の所得再分配機能として世界の知恵としてで受け容れられてきた。
資本主義の発展過程で起こる恐慌など経済のひずみの中で失業や貧困などの社会問題が避けられないものとして起こってくる。その社会問題解決のために生まれた社会保障制度の原則としてILOや国際法で合意されてきたのが、「資本の負担」(平たく「大企業」としておこう)というこである。
つまり、国民に納税を強制する国家は、生存権を始めとする社会権の保障を公共的な責務としており、法人税などの累進的な租税や社会保険の使用者負担として、資本(大企業)からお金を集め、財政責任を果たし、社会保障政策を実施することで、所得再分配機能を果たしてきたのである。
最近のアメリカでも、09年「予算教書」で大企業への課税強化(10年間で約33兆円)や、高額所得者・配当所得課税の引き上げ(同約58兆円)で、格差是正を打ち出したばかりだ。イギリスでも配当所得課税を引き上げている。
「法人税半減と消費税増税の道」が日本の現実
日本の「財政責任」論なき財源論は、したがって国民負担増だけを求める「負担転化装置」といわれている。
財政責任を「事業仕分け」の政治ショーなどでごまかしながら、国民への負担増だけを求める。
自民党の消費税増税論やこれに呼応する民主党政権の増税論も、本末転倒なのである。
民主党では、マニフェスト見直し論が浮上している。
民主党は、「政権をとって財政全体を見直せば20兆円の財源が生まれる」とが言ってきたが、この財源論の破綻が明らかになったのである。
民主党財源論の一問題点の中心は、「二つの聖域」にメスを入れられないことだ。
先ずは、軍事費には指一本ふれない。今年度予算で軍事費は162億円増えている。
次に、大資産家・大企業優遇税制にメスを入れられ無いことだ。
日本経団連が法人実効税率の引き下げと消費税の引き上げを政府に求める(1月)と、この大企業の社会的責任(雇用や社会保障など)をかなぐり捨てた儲け第一主義に対して、鳩山政権はそれを受け容れるしか道を知らないのであろうか。
だから、自民とともに“消費税増税連合”の大合唱にを組みしようとしているのだ。
責任論なき財源論が来た道は、法人税半減と消費税増税の道だったことを、肝に銘じておくべきだろう。
政府は社会保障への「財政責任」を果たせ!

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2010.04.13 | | Comments(2) | Trackback(4) | ・消費税・財源・税Ⅳ
