NO.1829 職場実習終わる
昨日で四女の職場実習が終わった。
認識を少し変えなければならないようだ。
私はこれまで、娘に限らず、障害者の一般就労には余り積極的ではなかった。
それは、無理に一般就労を勧められ就労できたものの、職場に適応できずに「二次障害」、すなわち精神障害を引き起こしてしまった障害者を何人も見てきたからだ。陶友にはそういう、精神に障害をきたしてしまい、結局大きな困難を抱えるに至った仲間が数人いる。その傾向は軽度の知的障害者に多い。
職場での、狭い意味での労働能力・スキルが主な原因ではなく、人間関係や仕事でのつまづきに対応できずに不適応に陥る場合が殆どだ。つまり、職場に身近で丁寧な支援の体制ができていないことが多い。ここで引き起こされる精神障害は、殆ど完全には立ち直れないような深い傷となって彼らの一生を狂わせてしまっている。
彼らの就労できる職場は、殆どが小さな事業所で、そこには職場の人間関係、労働者の集団というものがない場合が多い。パートなどで一人ひとりが働いているというような関係であることが多い。これまでの娘の実習先もそうだった。スーパーで実習した時も、棚の整理やいろいろやるが、結局職場では孤独なのである。
孤独の中では、ちょっとしたつまずきは解決できず増幅し、頑張りも共有されない。長期にわたる孤独は人間をしぼめてしまい、可能性を閉じ込めてしまう。一人で袋小路に入り込んでしまうのである。自信を喪失しどんどん落ち込んでいくのである。無理な就労の失敗は、「又やり直そう」という単純なものではなく、自信喪失を引き起こし駄目な自分しか見えず、自分と向き合えなくなり自己喪失し、・・・結局自分を壊すことでしか生き残れなくなるのである。
今度の職場は、援助担当者がしっかりとついてくれ、やさしく丁寧に関わり支援してくれた。
初日の面接の時から、オーナーさん初め店長さんや担当者がとても優しく声をかけてくださり、娘も安心して少しずつ自分を出して実習に取り組めたようだ。周りのたくさんに人たちにも声をかけられたようだ。
それは、帰宅してからたくさん職場の人のことを話し、日誌の反省欄の、「できました」に○が増えていくことで伺えた。自己評価が前向きで肯定的になっていくのである。そんな中で、仕事の一つ一つも確実に上達したようである。
外資系のファーストフード店である。7店舗に30名の社員と600人?のアルバイトを使っているというオーナーさんは、今日最終日の反省会で、「同業者で障害者雇用や実習受け入れをしているところは知っているが、自分では気楽にいいですよとは言えなかった。今、ミズさんが、笑顔で頑張った様子を見てやってよかった、ほっと肩の荷が下りた・・・」と話された。
担当の方からも、親から見れば過大評価じゃないだろうかと思うぐらいにいい評価をいただいた。そして、「ミズさんに気づかい一緒に仕事をしながら、私は接客のことでもいろいろ気づかされたことがあるし、そういうことを心がけて仕事に生かしたい。バイトさんたちも同じことを感じたと思う・・・」と言ってくださった。
よく聞く話ではある。「障害者政策は社会の鏡だ」と。
障害者に優しい社会は、みんなに優しいと。障害者に優しい職場は、働くものにもお客さんにも優しいと。これは全く正しいと思う。担当の方はそのことを言っていたのだと思う。
父親の立場から言うのもなんだが、娘は、優しさとか気遣いとか丁寧さとか、いつもなら我々がそんなものはなくてもスーッと済ませている日常に、そんなことを気づかせてくれるところがある。
娘のことや、父親と言う立場を離れたら、私は、「人類史的に見れば、障害者の存在は人間の中に優しさを呼び起こしてくれたのではないか、人間は障害者とともに生きる中で、やさしい豊かな人間になってきたのだ・・・」と、大きな声で言っているのである。
地域や会社や社会も、そういう風に彼らのことを見てくれ、受け入れいっしょにやってくれたなら、世間はどんなにかやさしく心地よくなることだろうと思う。
日頃から、障害を持つ仲間達と仕事をしていて、彼らの足りないところを問題にするよりも、可能性に対して手助けをすれば、どんなにたくさんの出番があるだろうと思う。そうすれば、特別な専門的な知識や技術が求められる仕事は無理にしても、彼らが社会参加して働き役に立つところは沢山あるように思う。
最初、私の中には、「パートでこなす外食産業」という否定的な見方があっった。しかし世の中には、そうした状況の中でも、働く人を大事にしようと努力している人たちも沢山いて、障害者を理解しようとし、その就労を支援しようという経営者もいるのだと知った。
私の悪いところである。決め付けて物事を見てしまう・・・。
帰りの車の中で、「ホントみんな優しいよ」と娘が言う。
「ここに就職したくなった?」と聞くと、実習序盤では、「もっといろいろ経験して考えないと・・・」と言っていた娘が「うん!」と言った。
これまでファーストフードは、年に一、ニ回ぐらいしか利用しない私は、「ビッグ・・・セット」を家族全員分も買ってしまい、みんなに笑われてしまった。
おっかあも昨日退院した。
一息だ。
今日は、夕方から特別支援学校卒業生の親御さんたちとの懇談会。
ある親御さんに「一般就労しか選択肢を知らない親御さんに作業所のことも知って欲しいから話してくれ」と頼まれた。一杯入れての懇談だから気楽ではある。
問題は、月曜日の講演。
まだ形だけのものだが、レジュメだけは送付した。
夕方、カンタの散歩の時一通り組み立ててつぶやいてみた。
まだ60%の出来。
ちょっとだけ気が軽くなった・・・。
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テーマ:思ったこと・感じたこと - ジャンル:日記
2010.08.28 | | Comments(10) | Trackback(2) | ・父子家庭日記
