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NO.2206 2月8日総合福祉部会 関連資料メモ (これまでの経過も含む)

 2月8日午後3時間にわたる総合福祉部会に提出された厚生労働省案は、ハチャメチャ!
部会員の怒りと失望を買った。
ここに関連資料を添付しておく。
合わせて、この間の経過も、動画や障害者自立支援法違憲訴訟団の文書とともに。

     DSCF0643.jpg
     


■第19回総合福祉部会 資料
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2012/02/0208-1.html

■中継録画
http://www.youtube.com/watch?v=5agv-SqkqeY

福島先生の発言は必見!(2時間35分40秒あたりから)




●厚労省 中島企画課長の説明資料

 ・資料1 総合福祉部会の骨格提言への対応
     http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2012/02/dl/0208-1a01_00.pdf
 ・資料2 厚生労働省案
     http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2012/02/dl/0208-2a01_00.pdf

●佐藤部会長の発言
 ・骨格提言における提言項目と厚労省案の関連整理
    http://ow.ly/8WF3e
 ・総合福祉部会における「厚労省案」への意見と質問
    http://ow.ly/8WF7Y

 ・厚生労働省案と「骨格提言」との落差。
  「骨格提言」の60項目中、とりあげは3つだけ。
   内容不明確な事項は9つ、
   まったくふれられていないものが48/60

 ・自立支援法のマイナーチェンジの印象。なんのために部会は議論してきたのか。
  古い法律の一部修正ならば非常に不本意。
 ・地方自治体の「骨格提言」尊重の決議があがっている。
 ・「段階的、計画的な実施」の発言もあるが、方向性も示されていない。
  いつまでに、どういう方向で見直しするのか。
 ・本日の会議では、厚労省案ででいいのか、こまるのか、根拠は何かなど
  意見を出して、政務官に聞いていただく。
  どういう法案が求められているか、ぜひ政治主導を発揮していただき、
  よい法案にの、意見を届ける場としたい。

〇JDF藤井幹事会議長、森政策委員長
 ・素案と企画課長説明は、むなしく、無力感さえ感じる。
  膨大なついやした時間と労力に対してこんなものなのか。
 ・権利条約、基本合意文書、改正障害者基本法が遠ざかっていくような感じ
 ・ほとんど踏み込んでの話はなかった。
 ・今後民主党にひきとられるが、一縷の望みをもっている。ゼロ回答をどう救うか。
 ・このJDF案は骨格提言の現実版だ 
●JDF 障害者総合福祉法制定に向けて(第一次案)
 http://www.normanet.ne.jp/~jdf/sougou/contents.html 

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●弁護団藤岡事務局長の意見書

骨格提言と障害者制度改革を愚弄する厚生労働省案
第19回 総合福祉部会
  平成23年2月8日
    藤 岡 毅

 前日に事務局から送られてきた「厚生労働省案」。
 骨格提言を無視した内容であり、委員として到底こんなものを法案として認めることは出来ません。
 この障害者制度改革は障害者自立支援法を廃止することを大前提として委員は議論、発言してきました。ところが厚生労働案は、障害者自立支援法の名称を見直すなどとして、障害者自立支援法を維持、存続させることを所与の前提としており、制度改革の議論の方針そのものを否定、無視するものと厳しく批判されなければならない。

 新法は骨格提言を基本として法案が作成されることを当然のことと委員も全国で議論を注視する人々も疑うことなき所与の前提としてきました。

 ところが厚生労働省案は、障害者自立支援法を基本として本当にそのごくごく一部を手直しするものでしかなく、総合福祉部会が求める、骨格提言を基礎とした法案でなく、否定し、廃止するべき法の骨組みをむしろ強化・固定化しようとするものであり、これは国連障害者権利条約の国内法としての総合福祉法の制定と権利条約の批准を妨げ、障害者の権利を否定する根拠法になりかねない。

こんなものが法案化されれば、本当にこの国の障害者の生活と権利を将来的に損ないかねない、私たちの子孫に恥ずかしい悪法をこしらえてしまう。こんなことに加担するわけにはいきません。

政府にお聞きします。

① 骨格提言は、改革の理念を謳う前文を制定するべきとしています。
新法に前文を設けますか?
骨格提言では前文について次のように提言しています。

【説明】
 全国1000万人を超えると思われる障害者とその家族、支援者、一般国民、全ての人にとって、今回の改革の経緯と理念が伝わり、障害者総合福祉法の意義が共有され、さらに、個別規定の解釈指針とするためにも、前文でこの法の精神を高らかに謳うことが不可欠である。盛り込むべき前文の内容は以下のとおりである。
                  記

 わが国及び世界の障害者福祉施策は「完全参加と平等」を目的とした昭和56(1981)年の国際障害者年とその後の国連障害者の十年により一定の進展を遂げたが、依然として多くの障害者は他の者と平等な立場にあるとは言いがたい。

 このような現状を前提に、平成18(2006)年国連総会にて障害者権利条約が採択され、わが国も平成19(2007)年に署名した。現在、批准のために同条約の趣旨を反映した法制度の整備が求められている。
 障害者権利条約が謳うインクルージョンは、障害者が社会の中で当然に存在し、障害の有無にかかわらず誰もが排除、分離、隔離されずに共に生きていく社会こそが自然な姿であり、誰にとっても生きやすい社会であるとの考え方を基本としている。

 そして、それは、障害による不利益の責任が個人や家族に帰せられることなく、障害に基づく様々な不利益が障害者に偏在している不平等を解消し、平等な社会を実現することを求めるものである。
 とりわけ人生の長期にわたって施設、精神科病院等に入所、入院している障害者が多数存在している現状を直視し、地域社会において、自己決定が尊重された普通の暮らしが営めるよう支援し、地域生活への移行を推進するための総合的な取り組みを推進することが強く求められる。

 そのうえで、障害者の自立が、経済面に限らず、誰もが主体性をもって生き生きと生活し社会に参加することを意味するものであり、また、この国のあるべき共生社会の姿として、障害者が必要な支援を活用しながら地域で自立した生活を営み、生涯を通じて固有の尊厳が尊重されるよう、その社会生活を支援することが求められていることを国の法制度において確認されるべきである。

 この法律は、これらの基本的な考え方に基づき、障害の種別、軽重に関わらず、尊厳のある生存、移動の自由、コミュニケーション、就労等の支援を保障し、障害者が、障害のない人と平等に社会生活上の権利が行使できるために、また、あらゆる障害者が制度の谷間にこぼれ落ちることがないように、必要な支援を法的権利として総合的に保障し、さらに、差異と多様性が尊重され、誰もが排除されず、それぞれをありのままに人として認め合う共生社会の実現をめざして制定されるものである。
 ……………………………………………………………………………………………
 こういう前文を設けている法案なのですね?

② 法の目的
  骨格提言は法の目的条項について次の提言をしています。

○ この法律の目的として、以下の内容を盛り込むべきである。
・ この法律が、憲法第13条、第14条、第22条、第25条等の基本的人権や改正された障害者基本法等に基づき、全ての障害者が、等しく基本的人権を享有する個人として尊重され、他の者との平等が保障されるものであるとの理念に立脚するものであること。

・ この法律が、障害者の基本的人権の行使やその自立及び社会参加の支援のための施策に関し、どこで誰と生活するかについての選択の機会が保障され、あらゆる分野の活動に参加する機会が保障されるために必要な支援を受けることを障害者の基本的権利として、障害の種類、軽重、年齢等に関わりなく保障するものであること。

・ 国及び地方公共団体が、障害に基づく社会的不利益を解消すべき責務を負うことを明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加に必要な支援のための施策を定め、その施策を総合的かつ計画的に実施すべき義務を負っていること。

 このとおり、法の目的を定める法案ですか?

③ 法の目的で確認された地域で自立した生活を営む中核的権利を確認する基本的権利の保障規定について
  骨格提言では次の点が極めて重要な条文として提案されています。
  この条項を抜かしてしまえば、「骨格提言の骨抜き」の誹りを免れません。

 地域で自立した生活を営む権利として、以下の諸権利を障害者総合福祉法
において確認すべきである。
1. 障害ゆえに命の危険にさらされない権利を有し、そのための支援を受け
る権利が保障される旨の規定。
2. 障害者は、必要とする支援を受けながら、意思(自己)決定を行う権利が保障される旨の規定。
3. 障害者は、自らの意思に基づきどこで誰と住むかを決める権利、どのように暮らしていくかを決める権利、特定の様式での生活を強制されない権利を有し、そのための支援を受ける権利が保障される旨の規定。
4. 障害者は、自ら選択する言語(手話等の非音声言語を含む)及び自ら選択するコミュニケーション手段を使用して、市民として平等に生活を営む権利を有し、そのための情報・コミュニケーション支援を受ける権利が保障される旨の規定。
5. 障害者は、自らの意思で移動する権利を有し、そのための外出介助、ガイドヘルパー等の支援を受ける権利が保障される旨の規定。
6. 以上の支援を受ける権利は、障害者の個別の事情に最も相応しい内容でなければならない旨の規定。
7. 国及び地方公共団体は、これらの施策実施の義務を負う旨の規定。

 今回の「厚生労働省案」ではこれらが片鱗も見当たりません。
 骨格提言の真髄を理解しようという姿勢は皆無と批判されても仕方ないでしょう。
  
 今回制度改革で制定しようとしているのは、障害者権利条約の国内法ですから権利保障法です。
 しかし、障害者自立支援法の骨組みは、市場原理にサービス供給を委ね、法は支援サービスメニューを羅列するだけと違憲訴訟で批判されました。
障害者支援の実行と障害者の生存権を保障しようという法の姿勢が希薄過ぎるのです。
ですから、今回の改革で骨格と土台から作り直そうよということになったのです。
今回の厚生労働省案はそのことの意味が理解出来ていないのです。土台に手を触れず温存することしか考えていません。

総合福祉部会からの宿題の答えとして赤点と言わざるを得ない。
赤点どころか、万一、このようなものを法律化してしまえば、治すべき欠陥を埋めるどころか恒久化、固定化してしまう恐るべき事態です。
本気で骨格提言を受け止め、改革を実行しましょうよ。

 「性急な施行は現場を混乱させるから」などともっともらしい弁明も聞こえてきますが、新法移行の経過期間や見做し決定等の技術的な工夫の方法はいくらでも考えられます。やらないための方便はやめましょう。そんなこと言ったら障害者差別禁止法だって実現出来ません。

内閣府障がい者制度改革推進本部と会議にもお願いです。
今日で総合福祉部会が解散なんてことあったら茶番です。
この法がどうなるかをしっかり見届ける義務がこの総合福祉部会にあります。
制定可決の日まで意見反映の機会、会議日程を確保して下さい。



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◆YouTube動画が語る歴史的経緯!

○2010(平成22)年6月29日、第2回制度改革推進本部開催。
 首相官邸で手交された推進会議第一次に基づき閣議決定
 http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg3579.html

○2010年4月21日 14地裁で和解後の第1回検証会議後、
 訴訟団124名が首相官邸を訪問し鳩山首相と面談 首相発言
 http://bit.ly/zQ456G

○2010年1月12日 制度改革推進会議(第1回)
 山井和則厚労省政務官(当時)発言
 http://bit.ly/ymsw7y

○2010年1月7日 厚労省講堂 基本合意締結にあたって
 長妻厚労大臣(当時)の発言
 http://bit.ly/yTR7Gj

○2009年10月30日 自立支援法の廃止と新法実現求めた1万人集会
 長妻厚労大臣(当時)の約束
 http://bit.ly/xKYoUD

1.25記者会見時のプレスリリース

国は障害者自立支援法の「廃止」という約束を果たせ!

2012年1月25日
障害者自立支援法違憲訴訟 原告団
全国弁護団
障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会

★[障害者自立支援法違憲訴訟の提起]
 2008年~2009年全国の障害者ら71名が原告となり、障害を障害者個人の責任とする障害者自立支援法(以下「自立支援法」)は基本的人権を侵害し、憲法に違反するとして、法律を制定した国を被告とした違憲訴訟を全国で起こしました。

★[厚生労働大臣による障害者自立支援法廃止方針の表明]
 2009年9月19日 長妻昭厚生労働大臣が障害者自立支援法廃止を表明

★[国は法廷でも話し合い解決の方針を表明]
 2009年9月24日、広島地方裁判所の法廷にて、国は「障害者自立支援法廃止の方針を前提として訴訟のあり方を検討するため猶予を下さい」と裁判所に申し入れ。
 全国の法廷で国は同様の方針を表明して期日はストップしました。

★[国の訴訟団に対する話し合い解決の申し入れ]
 国は9月29日、話し合い解決を訴訟団に対して改めて正式に申し入れた。
 10月6日には厚生労働大臣政務官室において、山井和則政務官から、障害者自立支援法が障害者の尊厳を傷つけたことを認め、原告らに共感している旨話し合いの趣旨説明が訴訟団に対してなされました。
これを受けて訴訟団は真剣な内部協議を重ね、協議に応じることを表明しました(10月22日)。

★[協議が重ねられた]
 民主党障害者PTの国会議員のみなさん(現WT座長中根議員含む)が司会進行する形で協議が重ねられ、基本合意調印に向けて協議が続きました。

★[2010年1月7日 基本合意調印]
2010年1月7日、国(厚生労働省)(以下「国」)と訴訟団は基本合意文書を調印し、国は「障害者の尊厳を深く傷つけたことに対し心から反省の意を表明し、この反省を踏まえ今後の立案・実施に当たる」「2013年8月までに自立支援法を廃止」「新法は障害者の基本的人権の支援を基本とする」旨確約しました。

★[2010年4月21日 全ての訴訟が集結 総理大臣の陳謝]
2010年4月21日までに全国14の地方裁判所において基本合意を確認する和解が成立しました。
これは「障害者自立支援法を廃止する」という国の約束を信じたからに他なりません。
「障害者自立支援法改正法での事実上の廃止というやりかたもあります」などということは一言も説明されていません。そのようなことが言われていれば和解をするわけがありません。私たちは騙されたのでしょうか!

★[推進会議、総合福祉部会]
 そして総理大臣を本部長とする「障がい者制度改革推進本部」のもとの「推進会議」及「総合福祉部会」(以下「部会」)において活発な議論が行なわれ、2011年8月30日の部会において、自立支援法廃止後の障害者総合福祉法に関する骨格提言がまとまり、その提言に基づく法案が2012年春の通常国会に政府から上程される予定です。

★[不穏な噂]
 ところが、昨今、永田町・霞が関で「自立支援法を廃止することなく、同法の改正法案で済ませる」という噂が流れています。

★[2011年12月13日 第三回 国と訴訟団の検証会議]
基本合意に基づき訴訟団と国の第3回検証会議が12月13日に催され、訴訟団は国にその点を問い正しました。
「自立支援法を廃止するとした2010年6月の閣議決定の方針に一切変わりはない」旨政府は答弁する一方、訴訟団が「法案に自立支援法の廃止条項は入っていますね。まさか自立支援法の改正法案ではないですよね。」と上記の噂の真偽を問いただすと、なんと「その点も含めて現在検討中」と答弁しました。訴訟団が「廃止については検討の余地などないはずだ!」と問い詰めても、曖昧な答弁に終始しました。

★[政府・与党の動向は?]
 自立支援法が廃止されることを全国の障害者が期待しています。
万が一政府が約束を反故にして同法を存続させるならば、各地で国を被告とした違憲訴訟が頻出する事態が再現されかねません。どうか、政府は障害者との間の公文書における確約を守るという最低限の信義を守ってください。
 そして、2012年1月になり、民主党政策調査会厚生労働部門民主党障がい者ワーキングチームが会合を重ねています。動向が注視されます。

[『改正でも廃止と同じこと』など詭弁です]
障害者自立支援法は憲法第13条個人の尊厳、14条平等原則、25条生存権等の憲法に違反するという違憲訴訟に政府が共感したことにより基本合意が結ばれ、その基本合意に基づいて骨格提言があるものです。その悪法を延命させておいて「廃止」とは笑止千万です。廃止も出来ずして、骨格提言が活かされるはずはありません。廃止しないということは障害者制度改革の根本を否定することに他なりません。

★[基本合意文書を破ることなどあってはならない、あり得ない事態であること]
○ 他の集団訴訟にも悪影響が考えられます。
 今日、国に対する様々な集団訴訟において、基本合意文書を調印して訴訟を終結して解決するやり方があります。
 今回、基本合意文書は平気で踏みにじれるものだということになったら、今後、このような解決は出来なくなります。
 現在基本合意に基づいて訴訟終結後の協議を続けている事案は少なくありません。あらゆる分野に悪影響を及ぼしかねない事態であり、何としてもこのようなことは阻止しなければなりません。 日本の制度のあり方の根幹に影響を及ぼす事態です。
○ 「廃止しないで障害者自立支援法を延命させる」結論に至った場合
 考えたくもありません。
 しかし、万一、そのような事態に至った場合、基本合意調印とその違反に関与した関係者の責任の追及を含め、重大な決意をせざるを得ません。


障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と国(厚生労働省)との基本合意文書

平成22年1月7日

 障害者自立支援法違憲訴訟の原告ら71名は、国(厚生労働省)による話し合い解決の呼びかけに応じ、これまで協議を重ねてきたが、今般、本訴訟を提起した目的・意義に照らし、国(厚生労働省)がその趣旨を理解し、今後の障害福祉施策を、障害のある当事者が社会の対等な一員として安心して暮らすことのできるものとするために最善を尽くすことを約束したため、次のとおり、国(厚生労働省)と本基本合意に至ったものである。

一 障害者自立支援法廃止の確約と新法の制定
国(厚生労働省)は、速やかに応益負担(定率負担)制度を廃止し、遅くとも平成25年8月までに、障害者自立支援法を廃止し新たな総合的な福祉法制を実施する。そこにおいては、障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする。

二 障害者自立支援法制定の総括と反省
 1 国(厚生労働省)は、憲法第13条、第14条、第25条、ノーマライゼーションの理念等に基づき、違憲訴訟を提訴した原告らの思いに共感し、これを真摯に受け止める。

2 国(厚生労働省)は、障害者自立支援法を、立法過程において十分な実態調査の実施や、障害者の意見を十分に踏まえることなく、拙速に制度を施行するとともに、応益負担(定率負担)の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、原告らをはじめとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するとともに、この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たる。

3 今後の新たな障害者制度全般の改革のため、障害者を中心とした「障がい者制度改革推進本部」を速やかに設置し、そこにおいて新たな総合的福祉制度を策定することとしたことを、原告らは評価するとともに、新たな総合的福祉制度を制定するに当たって、国(厚生労働省)は、今後推進本部において、上記の反省に立ち、原告団・弁護団提出の本日付要望書を考慮の上、障害者の参画の下に十分な議論を行う。

三 新法制定に当たっての論点
 原告団・弁護団からは、利用者負担のあり方等に関して、以下の指摘がされた。
① 支援費制度の時点及び現在の障害者自立支援法の軽減措置が講じられた時点の負担額を上回らないこと。
② 少なくとも市町村民税非課税世帯には利用者負担をさせないこと。
③ 収入認定は、配偶者を含む家族の収入を除外し、障害児者本人だけで認定すること。
④ 介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること。
⑤ 実費負担については、厚生労働省実施の「障害者自立支援法の施行前後における利用者の負担等に係る実態調査結果について」(平成21年11月26日公表)の結果を踏まえ、早急に見直すこと。
⑥ どんなに重い障害を持っていても障害者が安心して暮らせる支給量を保障し、個々の支援の必要性に即した決定がなされるように、支給決定の過程に障害者が参画する協議の場を設置するなど、その意向が十分に反映される制度とすること。
  そのために国庫負担基準制度、障害程度区分制度の廃止を含めた抜本的な検討を行うこと。

国(厚生労働省)は、「障がい者制度改革推進本部」の下に設置された「障がい者制度改革推進会議」や「部会」における新たな福祉制度の構築に当たっては、現行の介護保険制度との統合を前提とはせず、上記に示した本訴訟における原告らから指摘された障害者自立支援法の問題点を踏まえ、次の事項について、障害者の現在の生活実態やニーズなどに十分配慮した上で、権利条約の批准に向けた障害者の権利に関する議論や、「障害者自立支援法の施行前後における利用者の負担等に係る実態調査結果について」(平成21年11月26日公表)の結果も考慮し、しっかり検討を行い、対応していく。
① 利用者負担のあり方
② 支給決定のあり方
③ 報酬支払い方式
④ 制度の谷間のない「障害」の範囲 
⑤ 権利条約批准の実現のための国内法整備と同権利条約批准
⑥ 障害関係予算の国際水準に見合う額への増額

四 利用者負担における当面の措置
 国(厚生労働省)は、障害者自立支援法廃止までの間、応益負担(定率負担)制度の速やかな廃止のため、平成22年4月から、低所得(市町村民税非課税)の障害者及び障害児の保護者につき、障害者自立支援法及び児童福祉法による障害福祉サービス及び補装具に係る利用者負担を無料とする措置を講じる。
 なお、自立支援医療に係る利用者負担の措置については、当面の重要な課題とする。

五 履行確保のための検証
以上の基本合意につき、今後の適正な履行状況等の確認のため、原告団・弁護団と国(厚生労働省)との定期協議を実施する。
 
以 上


政府 障害者自立支援法廃止を閣議決定

2010年6月29日
「障害者自立支援法(平成17年法律第123 号)を廃止」

国会答弁で政府は廃止方針を繰り返して確約
2010年11月19日 第176回 参議院予算委員会
 細川律夫厚生労働大臣が内閣国務大臣として答弁
(議事録の44番目)
国務大臣(細川律夫君)
「この障害者自立支援法につきましては、本年六月の閣議決定に示されたとおり、これは廃止をする予定でございます。」
(議事録の55番目)
国務大臣(細川律夫君)
「これまで政府が方針を決めております、自立支援法の廃止をして総合的な福祉政策をしっかり打ち立てるということについては、一切変わりはございません。」


骨格提言まとまる
 2011年8月30日、内閣府障がい者制度改革推進会議「総合福祉部会」第18回会議にて「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言-新法の制定を目指して-」(以下「骨格提言」)が55人の委員の全員一致でまとまりました。
この骨格提言は平成25年8月限り障害者自立支援法を廃止することを基本とする基本合意文書と障害者権利条約に基づき作成されたものと明記されています。

■第三回 国と訴訟団との定期協議 2011年12月13日
 政府は上記の「厚生労働大臣の政府答弁は一切変更ない」と答弁。

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テーマ:障害者の人権・福祉施策 - ジャンル:福祉・ボランティア

2012.02.09 | | Comments(0) | Trackback(2) | ・障害者総合福祉法制定へ

NO.2205 民主党政権の完全な裏切り!自立支援法の手直しで済まそうとするのか!?盲聾者でもある福島先生の声を聞いてみてください!

 完全な裏切りに、関係者から失望と怒りの声が上がっています。
今日は縷々書きません。
 総合福祉部会の障害当事者、ご自身が盲聾者でもある福島先生が、「政治的発言力が小さく、相対的に弱い立場におかれがちな障害者の問題は、無視・軽視してもよいということなのでしょうか。」と、怒りを理路整然と静かに語っています。
 ちょっと長いですが、ぜひ最後までお読みください。

     DSCF0617.jpg

 まずは、しんぶん赤旗 2012年2月9日(木)より。
障害者の願い置き去り
自立支援法に代わる法案概要
厚労省

 政府の障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会(佐藤久夫部会長)が8日開かれ、厚生労働省は障害者自立支援法に代わる法案の概要を示しました。法の名称と理念や目的を手直しする程度で、民主党政権がかかげていた自立支援法の廃止は内容的に見送る形になります。
-------------------------------------------------------------------

 新法制定に向け同部会は昨年8月、「骨格提言」を取りまとめました。障害者や関係者らは、「骨格提言」を具体化した新法を求めていますが、佐藤部会長は「(法案概要は)『骨格提言』との落差が大きい」と述べました。

 法案概要は、利用者負担について「骨格提言」の求める原則無償化は見送りました。2010年4月から、利用者全体の85・5%を占める低所得者の利用者負担は無料となっているとしています。

 概要は対象範囲を一部の難病患者に広げる程度にとどまりました。いまは障害者手帳のない人は、障害者福祉の利用を希望してもできません。「骨格提言」は、必要とする人が誰でも制度利用できるようにすべきだと指摘しています。

 概要では、施行後5年をめどに在り方を検討するとして、「障害程度区分」廃止はかかげませんでした。介護保険制度との統合を予定して自立支援法に「障害程度区分」が導入されました。「骨格提言」は、障害者のニーズに合ったサービス支給決定ができない「障害程度区分」は廃止し、障害者の意向を最大限尊重すべきだとしています。

 佐藤部会長は「厚労省案は『骨格提言』の尊重というよりは自立支援法の手直しという印象だ」と指摘。参加者からは「私たちは実態に即した議論をしてきた。それを真摯(しんし)に受け止めるべきだ」「基本合意にのっとった内容となっていない」など批判の声が上がりました。

 法案は今国会に提出される予定。13年4月1日から施行するとしています。
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民主政権また裏切り 障害者が望む法案を
 消費税増税、沖縄米軍基地移転、子ども手当など公約違反を続ける民主党政権が障害者の制度改革においても当事者の願いを裏切りました。

 「障害が重いほどサービス利用料も増える『応益負担』制度の障害者自立支援法を廃止してほしい」。これが民主党政権に託された障害者、家族の切実な願いでした。今回の法案概要は障害者自立支援法で問題とされた基本的枠組みを残すものとなりました。

 民主党政権は2010年1月、障害者自立支援法違憲訴訟団と、同法廃止と新法制定を明記した基本合意文書に調印。新法は「憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援する」ことが基本だとしました。

 さらに、障害者権利条約批准に向けて国内関連法を抜本的に見直すとして、当事者らを中心にした障がい者制度改革推進会議や総合福祉部会などを設置。同年6月、同法廃止を閣議決定しています。

 障害者権利条約は、障害の有無に関わらず誰もが主体性をもって社会参加できる社会を求めています。総合福祉部会は新法制定へ向けて昨年8月、「骨格提言」を取りまとめました。

 今回、示された法案では、障害者権利条約の求める社会を実現することはできません。

 法律の名称や理念・目的の変更のみでごまかそうとすることは、許されません。障害者や家族、自治体関係者など55人の総合福祉部会構成員の総意でまとめた「骨格提言」を具体化した法案にすべきです。 (岩井亜紀)
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 骨格提言
 国連の障害者権利条約と障害者自立支援法違憲訴訟団が国と結んだ基本合意文書がベース。▽障害のない市民との平等と公平▽すべての障害者を対象とした施策の充実―などの実現を目指しています。そのための施策として、▽障害者本人の意向を最大限尊重して支援内容を決定する▽障害に伴う必要な支援は原則無償とすること―など10項目を求めています。


 次に、ご自身が盲聾者でもある福島先生の発言を紹介します。
2012年2月8日総合福祉部会での発言メモ(福島智)

 東京大学の福島智です。海外出張などで長らくご無沙汰してしまいました。申し訳ありません。およそ1年ぶりに帰国して、私は障害者制度改革をめぐる日本の状況の変化に、愕然としています。しばらく日本を離れていたことをたいへん心苦しく思いながらも、その立場を踏まえて、あえてお話しさせていただきます。

 みなさん、思い出してください。
 2009年の政権交代時の衆議院選挙で、民主党はマニフェストにおいて、「障害者自立支援法を廃止し、新たに障がい者総合福祉法を制定する」、と明言したことを。
 そして、政権交代が実現し、2009年12月には、鳩山総理を本部長とする「障がい者制度改革推進本部」が設置されたことを。

 その翌月、2010年1月には、先に提訴されていた、「自立支援法違憲訴訟」において、政府・民主党は自立支援法の問題点を認め、原告・弁護団と「和解」にむけての「基本合意」を取り交わし、当時の長妻厚生労働大臣が合意文書に署名したことを。

 みなさん、思い出してください。
 その直後に障がい者制度改革推進会議が発足したときのあの熱気を。
 そして、同年4月にはこの「総合福祉部会」が設置されたことを。
 推進会議とこの総合福祉部会で、何十人という障害者やその関係者が、いったいどれだけ膨大な時間とエネルギーを費やして、議論を重ねてきたかを。
 そうして、昨年2011年8月には、この総合福祉部会の55人の構成メンバーの総意として、総合福祉法制定にむけての「骨格提言」を策定したことを。

 多くの傍聴者があり、ネットでの配信もありました。
 私たち自身の背後に、傍聴のみなさん、そして、ネットやさまざまなメディアで私たちの議論に注目してこられた方々がいったいどれだけの数おられたことか。
 こういう背景を踏まえたとき、「総合福祉法」は、この「骨格提言」の趣旨を最大限に反映したものでなければならないのは当然の流れだと思います。

 ところが、仮に名称は「総合福祉法」であったとしても、今の厚生労働省案では、実質的に「自立支援法の一定程度の改正」といわざるを得ない内容に留まっているのではないでしょうか。
 たとえば、「障害程度区分の見直し」について。
 「法の施行後5年を目途に、障害程度区分の在り方について検討を行い、必要な措置を講ずることとする規定を設ける」とありますが、結局これは、この問題を5年間先延ばしにすると言っているだけのことではないでしょうか。

 また、「地域生活支援事業の充実」という部分について。
 「地域生活支援事業として、地域社会における障害者に対する理解を深めるための普及啓発や、ボランティア活動を支援する事業を追加する」とあります。しかし、もともと現行の「地域生活支援事業」は、「自立支援給付」の10数分の1程度の予算規模しかありません。国の責任で進めるべき事業を、個人の自発的な活動である無償の「ボランティア」で補おうというのでしょうか。
 こうした「法案」を読んで感じることは、民主党の誠意の乏しさです。これは、信義を守ること、つまり「信義則」に反することと言わねばならないでしょう。昨年8月の「骨格提言」策定以後、いったい民主党は何をなさっていたのでしょうか。

 仮に総合福祉法の「骨格提言」の内容に全面的に沿った新法制定がすぐには実現できないのであれば、「骨格提言」のどことどこの部分なら実現できるのか。逆に、どこは実現できないのか。なぜできないのか。また、どうすれば実現できるのか。そして、いつごろまでに実現できるのか、といったことを、政府・民主党は一つ一つ丁寧に示すべきではないでしょうか。

 「骨格提言」を実現する上での最大のハードルは、厳しい財政状況を背景とした財源問題だといわれます。そして、その一方で、過去数年、こうした厳しい財政状況の下でも、障害関連予算は年々増加しているのだと指摘されます。しかしそれはニーズ増大に伴う予算の「自然増」であり、「自然増」はあくまでも「自然増」なので、実質的な「予算増」とは異なります。

 財政問題についていえば、民主党は「社会保障と税の一体改革」ということをさかんに主張していますが、その「社会保障改革」において、マニフェストに掲げていた「障害者制度改革」がどのように位置づけられているのか、まったく分かりません。

 政治的発言力が小さく、相対的に弱い立場におかれがちな障害者の問題は、無視・軽視してもよいということなのでしょうか。

 日本には法的に認定された障害者だけでも今、およそ750万人います。難病や発達障害などの方々も含めれば、1千万人を超えるでしょう。さらにご家族なども含めれば、障害のある当事者とその身近な人たちは、3千万人から4千万人、つまり、国民の3人から4人に1人が障害の当事者やそのご家族ということになります。

 こう考えると、けっして障害者問題は本来小さな問題ではないはずです。
 なにも、障害者だけを特別扱いにしてほしいというのではありません。道路を歩いたり、周囲の人と会話をしたり、トイレに行ったり、水を飲み、ごはんを食べ、酸素を呼吸する・・・、などの人間の生存のための最低限の行為、人間が尊厳をもってこの社会で生きていくうえで、絶対に必要なことが自力ではなかなか難しい人たちに対して、社会のみんなでお互いに支えあっていきましょうと要望しているだけです。

 弱い立場の人間を無視・軽視する社会は、やがて衰え、力をなくして滅びていくでしょう。
 逆に、たとえ人生でどのように困難な状態におかれ、辛い・苦しい状況におかれても、自分ひとりではないんだ、人としての尊厳をもって生きていける、社会のみんなで支えあって生きていけるんだ、ということが国民すべてに実感されれば、その安心感は、一人ひとりの生きる活力となり、それが合わさって社会全体の活性化につながるでしょう。

 民主党は、社会的に不利な立場にある人の味方であり、相対的に弱い立場におかれがちな人を応援するというメッセージを社会に発信して、そのことで3年前に政権をとったのではなかったのでしょうか。

 私たちすべての人間は、本来、おそらく人生において予期しなかった苦悩や悲しみ、辛さを体験する存在です。それは個人の力ではどうにも避けられないことです。国家と社会全体で互いに支えあうしかありません。私たち日本人は、こうした人と人との支えあいの大切さを、昨年の3月の大震災をとおして、象徴的な体験として改めて心に痛切に刻みこみました。

 民主党のみなさん、どうか政治家としての原点の志を、初心を思い出してください。
 マニフェストに掲げただけでなく、裁判所という公正な場での議論をとおして、「和解」が成立し、公式の文書に大臣が署名したことまでもが、もし、ないがしろにされてしまうのであれば、私たち国民は、いったい何を信じればよいのでしょうか。

 民主党のみなさんの、政治家としての誠意と魂にお願いします。
 政治への期待を繰り返し裏切られ、政治不信を通り越して、政治に絶望しかけている日本国民の一人としてお願いします。
 強く、お願いします。


 ■会議資料:障がい者制度改革推進会議総合福祉部会(第19回)議事次第平成24年2月8日(水) 5:00~18:00


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2012.02.09 | | Comments(0) | Trackback(1) | ・障害者総合福祉法制定へ

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