NO.2710 紹介:きょうされん「障害のある人の地域生活実態調査最終報告」(2012年10月2日)
きょうされんが「障害のある人の地域生活実態調査最終報告」(2012年10月2日)を発表しました。
以下ダイジェストで紹介します。
「 障害のある子どもを親が手にかける、一家そろって心中を図る。21世紀となって10年経った今でもこうした悲惨な報道は後を絶ちません。その背景を一言で言えばこうなります。「障害のある人の極めて貧しい収入、家族に依存した介護による毎日は、ギリギリの生活になっている」。言いかえれば、親など家族が居なくなってしまえば、途端に生活を維持できなくなる『生活保護予備軍』『社会的入院・入所予備軍』ということです。それが私たちの国の障害の重い人のおかれている現実・・・」(前書きより)
◆2人に1人は相対的貧困以下、99%は年収200万円以下
年収100万円以下の障害のある人たちは56.1%、112万円の「貧困線」を下回る相対的貧困とよばれる状態に、2人に1人がおかれています。
また、年収200万円以下のいわゆるワーキングプアの状態にある人は、国の調査で22.9%を占めるとされていますが、障害のある人の98.9%、100人のなかで99人がこの状態におかれています。
年金や障害手当、生活保護、賃金などの年収が100万円以下は56・1%、200万円以下で99%を占めました。
◆生活保護の受給率は、障害のない人の6倍以上
年金や障害手当、生活保護、賃金などの年収が100万円以下は56・1%、200万円以下で99%を占めました。 1996年以来増え続ける生活保護受給者。保護を受けている人の割合は、1.52%となっています(2010年時点)。一方で、障害のある人が生活保護を受けている割合は9.95%。実に6倍以上です。
◆6割弱が「親との同居」
「誰と暮らしているか」との問いでは、「親と同居」が5637人(56・7%)と過半数を占めました。一人暮らしをしている人は762人(7・7%)で1割にも達しません。「配偶者」と回答した人は、わずか427人(4・3%)でした。
「誰と暮らしているのか」を年齢別にみると、10歳代から40歳代前半までの約6割が、また、40歳代後半でも4割が「親との同居」と回答。一方、50歳代から、親の高齢化で、一人暮らしや入所施設などの割合が高くなりました。(
10代から40代前半までの約6割の障害のある人が親との同居の生活を送り、40代後半から50代前半までの割合は4割に減るものの、「親との同居」の割合はもっとも高くなりました。つまり、障害のある人は生まれてから50歳を迎えるまで、「親と同居」している人が半数を占めるのです。その背景には、本人の低収入があり、親と同居せざるを得ない状況がうかがえます。
これは、障害のない人が20代前半から30代前半に一人暮らしが増え、その後結婚等により家族同居の割合が上昇するのと、大きく異なる生き方になっています。
◆低収入ほど社会と遠ざかる
障害のある人の暮らしぶりは収入によって大きく変わっていきます。収入と「休日の主なすごし方」、収入と「休日だれとすごしているか」の関係からは、収入の増加に伴い「趣味」、「友達とすごす」が増えていました。収入が増えるにしたがって、家族に支えてもらい、家族のみと家にいるだけの生活から、自らの選択による生活、他の人々とも交わりながらの生活へと広がりがみられます。逆に収入が低いほど、親と過ごす時間が増えて、交友関係が狭まっていきます。
◆結婚している人は4%台
こうした実態を改善・改革するためとしてきょうされんは、▽家族依存の温床となっている扶養義務(民法)の改正▽障害基礎年金の拡充を中心とした所得保障制度の確立▽地域で自立した生活を支えるための基盤整備▽労働と福祉を一体的に支援する「社会支援雇用制度」の確立―を提言しています。
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2012.10.31 | | Comments(0) | Trackback(1) | ・障害者総合福祉法制定へ
