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NO.1008 ”保育難民”を生む恐れ 。

如雪さんから、こんなコメントをいただきました。 保育所問題に関してです。

この問題について書こうとするといろんなことがありすぎて頭が混乱します。
ので、少し遠巻きにコメントを書きます。
子育て中の母は本当に忙しいです。仕事を持っていてもいなくても。ニュースをじっくり見て考えるという余裕はほとんどの母親にはないとおもいます。子どもの日々の健康、食事の世話、その他家事、それで頭の中はほとんどいっぱいです。でも母親がそうするからこそ、人類がここまで生き残ってきたんだと思います。
上の娘は運よく自然に囲まれたユニークな無認可保育所でのびのびしました。
下の息子はいろいろな所で揉まれました。 (笑)



   雑草 020

 過去ログ:NO.943 そもそも選べるだけ無い!・・・いつか来た道 障害者自立支援法の時もそうだった。で、現在進められている厚労省の保育「改革」について、いつか来た道だと書きました。

いつか来た道
 障害者自立支援法の時もそうだった。
行政が決めるのは、本人の意思を無視したものだ。自分で決めて自分で「直接契約」をするのがいい。自由な契約で競争原理が働きサービスが良くなる。民間事業者も参入できる。そして『契約制度』にしたら今度は予算が足りない、・・・そこで出てきたのは、「応益負担」制度という自己負担。お金が無い人は、福祉の利用を控えなければならない。福祉が、金儲けの対象となり、公的責任はどんどん後退している。

 この間の社会福祉の「構造改革」は、高齢者も障害者も子どもたちも共通した切込みでやられてきています。

 伊藤周平さん(鹿児島大学法科大学院教授)が、そこらへんを赤旗でわかり易く解説してくれています。打ち出してみますのでよろしくどうぞ。なお、伊藤さんは九大在職当時、私たちの学習会に数回お呼びしてお話を聞いたことがあります。社会保障法が専門で、緻密な論理でわかりやすい話しでした。
 

 「選べない」「入れない」は解決するのか
             むしろ”保育難民”を生む恐れ


 厚労省の新保育制度案は、介護保険法や障害者自立支援法をモデルとしています。

 これらの法の下では、行政(市町村)がサービスを給付するのではありません。要介護高齢者や障害者が事業者。施設と直接契約を結び、それに基づいて福祉サービスをした場合に、サービス料の9割が支給される仕組みです。

 サービスを提供するのは営利企業を含めた指定業者で、国や自治体の責務は情報提供や利用援助などに限られます。

 新保育制度案も同じ仕組みです。保育を公的責任から「自己責任」に変えるもので、子どものことを全く考えていません。

現場大混乱に
 福祉は本来、利用者の生活全体を支援するものですが、介護や障害者はそうなっていません。受けられるサービスは「ホームヘルパー○時間」など細切れです。要介護度や障害程度区分ごとにサービス量が決められ、その分しか補助が出ないからです。

 現在の保育制度の下では、保育所は親がいない間、子どもを単に預かるわけではなく、子どもの生活全体をみて成長・発達を保障しています。ところが新制度では、「フルタイム」「パート」など親の就労形態に応じて、保育の必要量(時間)が認定されます。必然的に保育も細切れとなります。4時間保育や8時間保育の子が混在し、登降園もばらばらでは、集団保育は成り立ちません。

 保護者が急な残業などで、保育時間を超えて保育した場合には、全額自己負担となり、その分の料金を計算し、請求する事務作業も発生します。その作業はすべて保育所がかぶります。現場は大混乱です。子どもと向き合う時間は減ってしまうでしょう。

「応益負担」へ
 介護、障害者とも、利用者は利用した代金の1割を負担します。このように、本人の所得に関わりなくサービスの対価として料金をを支払う仕組みを「応益負担」といいます。

 新保育制度案は、保育料負担については具体的に明らかにしていませんが、制度の構造から見て応益負担になるのは間違いありません。

 応益負担になると、低所得者層は保育所に入るのが難しくなります。日中誰も面倒見てもらえない「保育難民」が生まれ、虐待も増えるでしょう。

 子育て世代に「貧困」が広がり、働きに出る母親も増えています。そういう人たちが排除される仕組みを、なぜ今つくるのか。内容はもちろん時期も問題です。
 
 保育所には地域の子育て支援の拠点としての役割も期待されています。保育所が連帯し、専業主婦世帯などを支援する取り組みが増えています。

 ところが新制度になれば、保育所どうしは子供の取り合いとなり、自分の事で手一杯となり連携どころではなくなります。地域の子育てを支える基盤は崩壊します。

 新聞各社が新保育制度案を「選択制」などと報じているのにはあきれます。

 市町村を通さず、親が保育所に申し込めるようにしても、保育所の数が増えなければ「選べない」「入れない」のは同じです。企業などに参入させれば増えるなどと思っているでしょうが、楽観的過ぎます。首都圏では認可をとった企業経営の保育所が、すぐに倒産して撤退した例が出ています。その企業につぎ込んだ税金はすべて無駄です。

今から正念場
 公の責任で認可保育所を作れば、雇用も増えるし、地域の子育て支援の拠点にもなる。税金の使い道としてはよっぽどいい。保育所が足りない原因は、現行制度の下で、しっかりと保育実施義務を果たしてこなかった国と自治体の怠慢にこそあるのです。

 介護や障害者の制度が変わる時も、「選べる」と宣伝されましたが、そうはなりませんでした。
障害者自立支援法の応益負担制度については憲法違反とする裁判まで起きています。

 保育に同じ徹を踏ませてはなりません。新制度の法案化までにはまだ時間があるから、これからが正念場です。





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2009.03.07 | | Comments(2) | Trackback(0) | ・子どもと福祉・保育・教育

コメント

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2009-03-08 日 09:48:49 | | # [ 編集]

カギコメさんへ。

> 立場の弱い人を思いやって生きるのか、弱者を踏みつけにしても平気で生きるのか、今、人は最終的な選択を迫られているように思います。

社会で起こっているさまざまな問題が、人としての生き方、人間のありようを一人ひとりに問いつめてきます真摯に真剣に向かい合いたいものです。
コメントありがとうございます。

2009-03-08 日 10:18:12 | URL | 友さん #- [ 編集]

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