NO.1015 西松献金問題に関する「政治ブログ」言論について。
NPJ お薦め ブログ推薦御礼
民主党小沢代表秘書の西松建設献金問題での逮捕以来、多くのブログがこの問題について触れている。
ペガサス・ブログ版からTBをいただいた。
小沢秘書の逮捕問題では,少なくとも次の3つの要素に目を配らなければならないと思う.
1. 検察の政治性
2. 容疑事実の検証,つまり「実質的な」違法性の有無
3. 「政治悪」としての企業献金 (以上、部分引用)

かなり納得できる視点の提起である。この提起に基づいて少し考えてみようと思う。
1.検察の政治性について
多くのブロガーの視点は捜査のあり方についてである。「国策捜査」批判だ。
その批判を強めた根拠は「地検特捜部の捜査が自民党の議員にまで拡大することはない」との見通しを示した政府高官発言だ。この高官がは内閣官房副長官 漆間 巌(うるまいわお)氏であることを、河村官房長官が明らかにしたことで、この議論は更に広がるであろう。国会にも出てくる意向だそうだから、経過を注視したい。
(追記:国会での答弁は予想したとおり「記憶にない」と否認して見せた。記憶のない人なのに、検察の捜査の中立性、公平性を否定する発言はしていないということは覚えているなんて!・・・ま、ここの論旨には、今のところは変わりは無いのでこの件には言及しないでおく。蛇足だが参考までに 政府首脳=官房長官 政府高官=官房副長官(事務) 首相周辺=総理秘書官 ということらしい)
一般論として、階級社会において国家機関は支配階級の利益を守るものであり、「公正中立」などありえない事は常識だ。もちろんそんな中でも、国家機関を法に基づき公正に中立に機能させていくことが、民主主義における一つの課題であることは論を待たない。
この視点に関しては、ペガサスも指摘しているように当然 2.容疑事実の検証,つまり「実質的な」違法性の有無 に深く関わってくる。「法に基づき公正に中立に機能させていく」根拠になる問題だ。
自民党二階派や森喜朗元首相、尾身幸次元財務相らが献金を受けたりパーティー券を購入してもらっている。一方だけでは公正じゃないだろう。ここに来て、捜査当局は二階派を、今週にも立件する方針だと伝えられている。当然の方向だ。すべての関係者を厳しく取り調べる事を要求する。
2.容疑事実の検証,つまり「実質的な」違法性の有無 についてはどうか。
これは疑惑があるということだが、先ずは、小沢氏は全く疑惑に応える説明責任は果たしていない。 「国策捜査」と批判したたかうと言うなら、先ずはここが出発点である。小沢氏はそこが危ういのである。ここをあいまいにしたまま「不当だ」と言っても、不当性を実証できないのだ。
関連過去ログ:
N.1009 「こんな時」だからこそ・・・西松建設の献金問題について。
NO.1012 「あしながおじさん」信じる? 「小沢代表辞任、61%が求める 説明納得せず78%」
捜査の方はまだ明らかにされていない。この件に関しての立件は難しいという見方も示されている。
検察OBで桐蔭横浜大学法科大学院教授の郷原信郎氏の発言に関わる報道がある。
少なくないブロガーが、この発言を論拠に、「国策捜査」「不当捜査」批判を強めている。・・・そもそも政治資金規正法は必ずしも実質的な資金の提供者を寄付者として記載することを要求していないことを指摘する。「実際は西松建設がお金を出していることが分かっていても、政治団体から寄付を受けたのであれば、政治資金収支報告書には政治団体の名前を記載しても違反にはならない。政治団体がなんら実態の無いダミー団体で、しかも寄付を受け取った側がその事実を明確に把握していたことが立証されない限り、政治資金規正法違反とは言えないが、実態の無い政治団体はたくさんある。」郷原氏はそう語り、選挙を控えて政治的な影響の大きなこの時期に、あえて野党党首の公設秘書の逮捕にまで踏み切った検察の意図に疑問を呈した。
上記の2点については、私は現段階で責任を持って結論付けるような判断には至っていない。2点目はもちろん捜査の結果が出ていないが、小沢氏の説明は到底納得できないものであり、「疑惑」のままである。したがって当然1点目についても断定はできない。
「公正で厳正な捜査」を要求し進行を見守るという立場だ。
以上2点を考えるに当たって、参考になるブログがあるので紹介しておきたい。
≪小沢秘書逮捕は国策捜査か・小渕総理のダミー団体との違い≫と題する弁護士阪口徳雄氏の冷静なエントリーである。
「小渕総理のときは不起訴。野党の党首は強制捜査に踏み切った」経緯に触れ、「ダミー、実態がない政治団体に関する従前の東京地検の解釈」を検証しながら、「ダミー政治団体を全て否定し、今後は実質で判断するというなら、それはそれで私は賛成である。」としながら、 「小沢の秘書の認識問題について」は、「立証は一般的には極めて困難。」としている。
以上は部分的な引用なので、是非リンク先でお読みいただきたい。・・・(略)・・・検察は「政治団体の実質の内容まで介入しないというスタンスであろう」と当時は善解した。
今回の小沢の秘書の事件は、寄付する側の団体がダミーであるが、小渕のときは、貰う側の政治団体のダミーという違いだけであり、団体のダミー性では同じである。
実体のない政治団体でも「独立の政治団体である」と小渕総理のときはその団体性を認め、外形は一応存在していても、西松が支配し、そのカネを西松が実質調達したからという理由で、この政治団体性を否定できるものではない。
時の総理のときは政治団体の団体性を肯定し、野党の党首のときは政治団体の団体性を否定するという、ご都合主義が許されるとすれば、法の支配はない。
以上の問題は、政治団体の団体性に関する問題であり、小沢の秘書の認識問題ではない。(この点、マスコミがごっちゃにしている)
(3)【小沢の秘書の認識問題について】
小沢の秘書が、今回の「新政治問題研究会」又は「未来産業研究会」⇒陸山会のカネが、西松建設から≪ストレート≫にでていると認識して初めて西松の企業献金の認識となる。
その点では、「新政治問題研究会」又は「未来産業研究会」⇒陸山会のカネが、西松建設が≪直接調達した≫というところまで、小沢の秘書が認識していたということを立証しなければならない。
「新政治問題研究会」のカネが、西松建設の社員の給料に上乗せしたり裏金で「新政治問題研究会」などに支払われていることなど、≪ストレート≫に西松建設が≪直接調達した≫ことまで、秘書の認識として要求される。
そこまでの立証は一般的には極めて困難。
・・・(中略)・・・
どちらにしても迂回献金を立件せず、今回の場合はもっと迂回献金より難しいのに、強制捜査に及んだ検察の在り方に批判がでるのはその為である。
なお、ダミー政治団体を全て否定し、今後は実質で判断するというなら、それはそれで私は賛成である。
それなら、小渕総理の告発のときに、殆ど調べもせず、安易に不起訴にした理由、石原の迂回献金のときに何故立件すらしなかったかについて、地検は国民に説明する必要がある。
従前の小渕総理のダミー団体なら許し、与党の迂回献金を放置しながら、その説明もなく突然、政権交代が行われる選挙が近く、受け皿となる野党の党首の秘書を、強制捜査するやり方を肯定できない。
仮に小沢に、収賄事件などがあったとして、まず政治資金規正法で、別件逮捕し、その証拠探しの為の強制捜査なら、なおさら許されない。
次の視点である。
3.「政治悪」としての企業献金 について。
私はこの視点を重点に記事を書いてきたが、多くのブログ言論のみならず一般のメディアでも、この件についてはあまり重要視していないような印象だ。「それは悪」が暗黙の前提なのか・・・?
村野瀬玲奈さんが、西松建設政治献金問題についてとりあえずまとめのメモで、
「いろいろと新聞やインターネット言論を読んでいますが、これが民主党を「陥れて」政権交代をさまたげるための「国策捜査」なのかどうか、私にはわかりません。」としながら、「もう一度繰り返します。「自民党的なもの」からの決別は(自民・公明・民主の)政治家レベルでも政府レベルでも有権者レベルでも必要だと思います。主権者である国民の生活を優先する政治・社会政策をすすめながら「自民党的なもの」から決別しなければなりません。」と、自民党的金権政治からの決別を訴えています。
賛成です。
目の前の「自民党的」悪の所業は、当然裁かなければならない。同時に重要なのは、再発防止である。「政治と金」の問題は、この国では古くて新しい未解決の課題だ。
カネが政治をゆがめ、国民の暮らしと経済をゆがめている。
今回問われている問題も、企業による「迂回献金」である。実質は「悪」としながらも「手続き」でしか裁けないのである。この「手続き」こそ、自民党と自民党的政治家・政治潮流が共同して掘ってきたトンネルだ。自民のみならず小沢一郎氏もその一方の当事者である。そういう意味においては、関わった政治家はすべて法の抜け道を知る「確信犯」だ。(いやそうは言えないか。本人達は「企業献金大いに結構」といっているのだから。なんか、こんがらがって来た、ま、いいかここんところは)
世論調査結果をどう見るか
各社の世論調査で、小沢代表は「説明責任を果たしていない」が8割近くに及ぶという事実。7割近くが「麻生氏も小沢氏も首相にふさわしくない」とする事実。特に、追い風に乗っていた小沢氏の失速ぶりには、「政治と金」問題に対する国民の批判が一気に吹き出たものと見るべきだろう。国民が納得する説明と再発防止への明確な立場抜きの「政権交代」は、国民が望むところではないということだ。
民主党も小沢氏も結局は、説明もできず、「国策捜査」も実証できないだろうと言うのが私の読みだ。なぜなら、上述したように、小沢氏自身が最も「自民党的」金権政治家だからであり、この点では自民も民主も一蓮托生、お互いを批判すれば自分に飛び火する関係にあり、一緒になって疑惑隠しをするであろうから。
その点を、有権者は賢明に見抜いているというのが世論調査の結果だ。
国会で真相解明を
カネにまみれお互いにスネに傷を持つ2大政党が、お互いを追求すると薮蛇とばかりに疑惑にふたをすることは許されない。かくなるうえは、当局の捜査待ちにせず、国会が進んで疑惑の解明、真相究明し国民への責任を果たすことが求められている。疑惑の張本人たちを呼び出して集中審議をすべきだ。
蛇足だが、世論調査にはこんな読み方もある。
一つの数字も立場が違えば読み方も違う。民主党議員たちに小沢おろしをするなと言う。何が何でも小沢氏を応援したいのだと。もちろんこの方の場合は、一部の(イヤ、ブログ界隈には結構いる、不思議!)「政権交代」教や妄信的小沢信奉者ではなく「国策捜査とたたかう」が先にあり、そうなれば何が何でも小沢を、という立場のようだ。冷静に見れば、小沢の支持が12%ほど下がり、そのうちの2%が麻生に流れ、10%は行方不明ということだ。
ここ数日の翼賛報道のすさまじさから考えると、信じられないほど下がっていない。
・・・中略・・・
理想論ではなく、現実の次の一歩を踏み出せるのは、やはり小沢一郎しかいない。
適法であっても企業献金はよくない、という議論もあるが、企業献金だろうがなんだろうが、集められるだけ集めることでここまで攻め上ってきたのも事実だろう。
それはたぶん、民主党員がいちばんわかっている。わかっているから、簡単には小沢おろしに走れない。
おろしたところで、誰も責任をとれないからだ。
この方は私がブログを始め右も左もわからない頃、一度だけ親切なコメントをいただいたことがある。それにこちら経由の訪問も多く恩義があるが・・・、私はこの見方には組しない。
企業・団体献金の全面禁止へ
政治が「政治と金の問題」にどう応えるのか。改めて、ここに大きな課題があるということだ。
国会が、企業・団体献金の問題を真正面から議論し、これを全面禁止することが必要だ。
当ブログでは、引き続きいろんな角度からこの問題について考えて行きたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
いつもありがとうございます。
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2009.03.09 | | Comments(7) | Trackback(12) | ・2009総選挙Ⅰ
