NO.1034 繰り返される金権腐敗 「企業献金は悪くない。透明にしておけばそれでいい」か?
09年度予算案が参院での審議中に、麻生総理は大規模な「追加経済対策」を取りまとめるように、自公の幹事長、政調会長らに指示したと伝えられている。
これは、本予算案自体が財政危機打開に有効でないことを自ら認めるものである。
年度末に向け、景気、雇用は日増しに悪化している。低支持率の麻生内閣が、その延命のために「追加経済対策」をもてあそぶことは許されない。
それにしても、国会論戦はにわかに低調になっている。
「対決」姿勢を売り物にする民主党も、どうした?と首を傾げたくなるぐらいに大人しい。もともと、この「対決」も実質的なものではなくポーズではあったが、そのポーズすらも見せられない?
こんな報道もある
「朝日」2009年3月16日20時42分より。
予算関連法 民主が「年度内成立」提案、社・共は拒否
民主党国対、あきれてモノが言えない。予算成立を前提だ。自民党自身が欠陥を認める予算案を通すことが、経済政策に前向きだというのか?国民生活に大きな問題を含む予算案、税制関連法案は消費税増税に道を開く重大なものも含まれている。ったく、なあなあで波風を立てないということか。すねにキズは持ってるわ、論戦には自信がないわ・・・!いつもいざというときには腰砕けだ。民主党の山岡賢次国会対策委員長は16日、共産党の穀田恵二、社民党の日森文尋両国対委員長と個別に会い、参院で「十分な審議を尽くす」ことを前提に、09年度予算案と関連法案について3月中に採決に応じ、08年度内の成立を認める考えを伝えた。穀田、日森両氏は「判断は時期尚早」として反対した。
参院審議が延びても、09年度予算は衆院通過30日後の今月29日に自然成立するが、関連法案の衆院再議決が可能になるまで60日かかる。
与党は民主党の審議引き延ばしを警戒し、「経済対策への抵抗だ」と牽制(けんせい)する構え。違法献金事件で民主党に厳しい視線が注がれるなか、山岡氏は関連法案を含めて年度内の成立容認を打ち出し、経済対策に後ろ向きとの批判を避けようとしたとみられる。
疑惑にフタは許されない
そこには、金権疑惑がある。自民も民主も、自ら疑惑を解明する”自浄能力”は、望むべくもない状況だ。両党ともこの問題にふたをし、痛い腹を探られたくないというのが本音としてあるからだろう。
とはいえ世論は厳しく、民主党官直人代表代行が、「公共事業受注企業からの企業献金を全面的に禁止する法制化を与野党を超えて進めるべきだ」と言い出したり、世論かわしの動きも報じられている。自民党は麻生総理を筆頭に、西松建設の違法献金事件を受けた政治資金規正法見直しについて問われ、「いま特に考えているわけではない。今の法律で解明されつつある」との認識だ。
ここの点に関する基本問題はは、花・髪切と思考の浮游空間さんが、厳しく指摘している通りだろう。
国会をめぐる体たらくも、まさにここに端を発しているといえよう。結局、漆間の発言が本意か否かは何もここでは問題ではなく、逆に、彼の「失言」がかえってクローズアップされるのは、こと企業献金という今日の日本政治をある意味で規定する重要問題に国民の関心と議論の論点が集中するのを避けるためのものであって、したがって表向き対立しているかのように描かれる自民・民主がほんとうは同質であること、線引きがけっしてできない根が同じものであることが暴かれることにたいする危機感の表れにほかなりません。自民党にとっても、民主党にとっても、それぞれの存在価値が理解されること、すなわちお互いの他者とのちがい、その意味で一方を形式上、排除するしかけをもたないことには政権を維持したり、奪取することはできないのですから。この点で、おそらく自民も、民主も(多額の献金をもらい、その違法性が強いという)傷をもっているのですから、最終的にはうやむやにされる可能性は高いと判断します。あえていうが、企業献金の禁止をやれるものならやってみなさい、自民、民主の議員の皆さん。
徹底解明を求める世論の力が求められている。
開き直りも
ここで、残念なのは、「企業献金は悪くない。透明にしておけばそれでいい」とする、小沢理論擁護がブログの中でも公然と起こり始めていることである。直接「小沢理論を支持する」とはいわないが内容はまさにそうである。
前向きな議論も
そうした中で、江田けんじ氏は「政治家個人への企業・団体献金を全面禁止せよ」で次のように述べている。
そもそも、細川政権の時に進めた政治改革の一環として、国民の税金を使って政党助成金を導入する代わりに、政治家個人への企業・団体献金は禁止するということだった。しかし、政治家という人種は、便法、脱法行為を考える天才だ。企業・団体献金が個人ではなく「政党」なら許されることをいいことに、自民党本部や民主党本部などの政党本部だけではなく、「政党支部」という組織を「雨後の筍」のように作り、そこを受け皿に、実際上、従前どおり、企業・団体献金が受けることができるようにしたのである。
さらに、今回の事件のように、政治団体を通せば、政治家個人も実際上、企業・団体献金を受けられるという「抜け道」もある。業界が、建設業政治連盟、自動車整備政治連盟といった政治団体をつくり、傘下の企業から集めたお金を、そこを通じて政治家個人に献金するのなら、それは合法なのだ。まさに「形を変えた企業・団体献金」「マネーロンダリング」と言っていいだろう。
こういう国民を欺くやり方、尻抜けの方法を平気で作っておきながら、一方で、税金で年間三百億円を超える政党助成金も受け、完全な二重取りとなっているのだ。これを国民との約束違反、裏切りと言わずして何と言えるだろう。
しかし、「政治とカネ」スキャンダルが起こる度に、大山鳴動してネズミ一匹も出ず。「政治資金の流れの透明化」だけでは、いつまでたっても同じことの繰り返しだろう。やはり、抜け道の政党支部への企業・団体献金も全面禁止し、政治団体を通じた政治家個人への企業・団体献金も禁止する。そして、必要な政治資金は、個人献金と政党助成金、せいぜい党本部への企業団体献金(全部公開)でまかなう方向で検討すべきだ。(以上、部分引用)
まあ、健全な方向ではある。しかし、甘い。
政党助成金も、一切の企業団体献金も禁止すべきだというのが私の立場だ。
企業は国の主権者じゃない
民主政治の基礎を構成するのは、主権者たる国民である。選挙権、投票権という参政権を持つのは国民だけである。企業は、社会の一員・構成員とはいえ、民主政治の構成員ではない。
財界は、「企業も社会の一員として、こうしたコストを負担していかなければいけない」という言い分で企業献金の存続を主張し続けてきた。
政党に政治献金をおこなうことは、憲法で保障された国民の参政権の一つで、国民の代表を選ぶ選挙権、投票権と不可分に結びついたものだ。したがって、問題の核心は、憲法によって選挙権、投票権を保障された国の主権者に企業がなりうるのかどうかというところにある。
民主政治の基本は、「主権は国民にあり」
いうまでもなく、企業は主権者ではなく選挙権ももっていない。その企業が、政党や政治家に金をだして政治に影響をあたえれば、主権者である国民の基本的権利を侵すことになる。
企業の政治献金は、国民主権という憲法原則と相いれないものだ。これこそが民主政治の基本なのである。
企業献金は本質において賄賂
本来的に営利を目的とする企業が政治に金をだせば、”投資”にみあう”見返り”を要求することは当然。企業にとって献金は営利のためのコストなのだ。何の見返りもなく金を出せば株主に背任罪で訴えられるだろう。
それは企業のトップ自身が、企業献金は「どうしても利益誘導型になってしまう」(熊谷直彦・三井物産社長、「日経」1993年6月24日付)などと認めてきたものだ。
企業献金は本質的には「事実上のワイロ」という性格をもっているのだ。
企業が民主政治を支える”あしながおじさん”などではないということは、誰だって知っている。
特に公共事業受注業者の政治献金は、税金の政治家への還流であり、国民の利益を二重三重に侵害するものである。
財界・大企業が政治献金攻めをしながら、消費税増税の旗を振るのも然り。のみならず、今日の大量の派遣切りにしても、大企業が政治献金で政治を買収しながら、労働の規制緩和を推し進めてきた結果であり、後期高齢者医療制度にしろ・・・大企業中心・庶民切捨ての貧困と格差を生み出す政治は、まさに企業・団体献金によってゆがめられてきた政治によるものであることは論を待たないだろう。
思想信条の自由も侵害
さらに、企業が具体的な選挙活動に社員を動員したり、団体が強制的に募金を徴収したりして、国民の政治活動の自由・思想信条の自由を侵している事実は広く知られている。
「企業献金は悪くない。透明にしておけばそれでいい」とする考えは、日本の民主政治にとって「百害あって一利なし」というべきだ。
本日のお薦めブログ:西松違法献金- 理解できない亡者たち 、(花・髪切と思考の浮游空間)
ことの本質をずばり突いています。こんな記事が書けるようになりたいものです。
「国策捜査」論は、金権政治への国民の批判をそらすもの。現に、一部で、国策捜査批判は「企業献金結構」に結びつく議論にまで発展しつつあるし、この国会の体たらくを招いている。
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
いつもありがとうございます。
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2009.03.17 | | Comments(10) | Trackback(8) | ・政治と金の問題Ⅰ
