NO.1024 男が怖いという。
男が怖いと言う。
「あ、俺アウトだな。ただでさえみんなに怖がられる風貌だ。・・・ほんとはこんなに優しいのに・・・(涙)」
「かつての父親の暴力虐待がトラウマになっている」と、お母さんが言う。
ジョー君は19歳。
まだ陶友では殆どコトバを聞いたことが無い。頷いたり首を横に振るだけだ。
先月から契約して利用しているが、まだ十分仲間になりきれていない。休みがちだし、出てきても作業室に入れない日が多かった。
10日は給料日だった。お、入ってきた!いったん入ってくると、後は終日作業に励む。紙漉き班で、パルプ作りだ。そして初めての給料を、今日手にした。わずかに2000円程度だが・・・。
「お金でつってる」
聞くと、作業所に入れないことを知らされたお母さんが、ジョー君に、
「仕事しないとお金がもらえないよ。お兄ちゃん達のようにゲームが欲しいんでしょ?仕事とがんばりなさい」
すると、「がんばる」・・・そんなことがあったらしい。
「お金でつってる」とお母さんは言う。
母親一人で、5人の何らかの障害のある子ども達を育てている、前向きなお母さんだ。
「ゲームでいいんです。お金でつってもいいんです、先ずは。本人が理解できる目標と結びつけた時、本人は自分から動くんです」・・・目標、目的を持つこと。人間の活動はここから始まる。
かくて、ジョー君は初めての給料をうれしそうに持って帰った。
すかさず次の矢を放つ。
実は、紙漉き班の仲間たちの仕事を確認するホワイトボードの表には彼の名前の欄がまだなかったのだ。「明日来たときに彼の名前がちゃんと仲間たちと一緒にあること、もうジョー君は仲間なんだというメッセージを、わかり易く伝えるために、すぐに表を作り直すこと」・・・実習生に指示してやってもらった・・・鉄は熱いうちに打て!である。
そして、昨日は給食の時、持参して備え付けるお湯飲みがジョー君には無い。当面そこにある湯飲みにお茶を入れながら調理員が、お家から湯飲みを持ってくるようにはなしていたが、私は「これを使いい」と、トノ作のマグカップを渡した。頷いて、それがいいといった。
今日はもっと相応しいのを進めると、これがいいと手を出して受け取って、早速給食の時使っていた。意志ははっきりしている。
今朝、作業所に着いたとたん私を見て後ずさりをした。寄って行って、「早う、入りい。タイムカード押さなばい!」というと、ススッと階段を上って事務室にあるタイムカードを押していた。これまでだと、イヤイヤしながら離れて、遠くに行っていたのに・・・。
安心できる居場所を
今、ジョー君は一つの壁を超えつつある・・・。
これがしっかりしたものかどうか、しばらく確認せないかんけど。
明日も来週も続けば、一つの大きな変化を作り出したことになる。
我々の仕事はこんなささやかな仕事ではある。
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いつもありがとうございます。
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2009.03.13 | | Comments(2) | Trackback(0) | ・仲間とともにⅢ
