NO.1068 「”ハンディキャップ”税」「”障害”税」は違憲 第二次提訴に28人
4月1日、障害者自立支援法の「応益負担」は違憲だとして、全国10地裁で障害者28人が二次提訴しました。
福祉や医療サービスを受けた障害者に利用料の負担を強いる障害者自立支援法の「応益負担」は、法の下の平等などを定めた憲法に反するとして、障害者28人が一斉に提訴しました。
これは、昨年10月31日の第一次提訴29名ににつづくもので、原告は約60名となりました。
これに先立ち政府は、3月31日、障害者自立支援法の改定案を国会に上程しました。概要は→こちら
上程された改正案は、応益負担制度の矛盾がどうにも隠しきれないものであることを政府が認めた証しであり、これまでの3年以上にわたる障害者団体等関係者の粘り強い運動と、そして昨年10月に全国一斉提訴したこの訴訟の反響などがもたらした結果であり、一歩前進として評価できる面はあります。
しかし、「応益」を「応能」と言葉を変えただけで、障害者自立支援法が障害を自己責任としている本質や、あくまでも公的支援を受ける権利者から利用料名目で負担をとろうとする基本的姿勢は何ら変りません。
「応益負担」の本質は何か?
障害者自立支援法弁護団Webで、わかり易く述べていますので紹介します。
■私たち弁護団がめざすもの
「お体の不自由な方は、不自由な分だけ税金をお支払い下さい」という。
「”ハンディキャップ”税」「”障害”税」にほかならないのが障害者自立支援法が導入した応益負担の正体です。
障害が重いほど支援の必要性は高くなり、必然的に負担は大きくなります。
それが障害を持つ人の「自己責任」、「受益者負担」だからと政府はいいます。
しかし、障害に起因する社会的不利益を支援するのが公共の社会福祉責任です。
応益負担は法の下の平等に反する、障害を持つ人に対する差別にほかなりません。
たとえば視覚障害者の白杖(障害者の補装具)から1割を徴収する社会に住みたいとほんとうにみなさん願っているのでしょうか?
補装具でいえば、身体障害者福祉法時代の従来は応能負担+自治体支援によって、原則として無償でしたが、障害者自立支援法の1割負担思想によって、現在原則として1割が視覚障害者から徴収されています。
たとえば、健常者(晴眼者)が国家試験を受けるのに受験料1000円、視覚障害者の場合は点訳に費用がかかるから1万円とされていればそれは障害による差別として憲法違反、違法な行為とされるはずです。
しかし、政府のいう応益負担の正当化はこの事例についても「視覚障害者の受益者負担だから自己負担は当然」と弁明することと同じ意味を持ちます。
補装具利用、点訳利用は障害当事者の受益、応益ではありません。
居宅介護でも就労支援でも同じです。
応益負担は障害者福祉の根幹に関わる理念に抵触し、人権擁護を使命とする弁護士としても看過できない過ちです。
すなわち、応益負担は障害を持つ市民の基本的人権を侵害するものです。人権侵害を放置する社会に誰も住みたくないはずです。
工賃平均12222円と言われる授産施設等で働いても数万円が徴収されることがあります。
政府は、批判に押されて軽減措置を発動していますが、たとえば親の残してくれた家(現に居住している家以外)の所有名義に障害当事者が入っていれば、軽減措置は受けられません。
厚労省の調査でさえ、応益負担が原因で職場(授産施設等)の退所に追い込まれた人は1000人以上に及びます。実数は推定で数千人規模でしょう。利用回数を減らした人の数は数万人を超えるはずです(厚労省調査でさえ4000人を超えます)。
障害者自立支援法のいう「自立」とは端的にいえば、「早く営利企業で働いて、福祉からお金を受けない人間になれ」ということと評価できます。要するに「障害者福祉不要論」ではないでしょうか。そこには障害者福祉の心が感じられません。
応益負担に苦しむ皆さん!
もう泣き寝入りしないで、この裁判に参加しませんか。
私たち弁護団が力を尽くします。
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http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
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テーマ:医療・介護・障害制度改正の余波 - ジャンル:福祉・ボランティア
2009.04.03 | | Comments(1) | Trackback(0) | ・障害者自立支援法Ⅰ
