NO.1070 「寝たきり」→「自立」判定は、介護給付削減のため 厚労省内部文書が明かす
厚生労働省は、介護保険の保険料収入を増やすために被保険者を増やそうとしていた。そのために考え出したのが、障害者自立支援法だった。障害者福祉もいずれ介護保険に統合することによって、現在45歳の被保険者を20歳にまで引き下げる・・・、それが当初の狙いだったが、強い反対に合い統合を断念したかのように言ってきたが・・・。
障害者自立支援法の見直し作業の中で、介護保険への統合をあきらめていないことが伺える。
制度の整合性のために、どんなに強い反対にあっても変えようとしないのが、利用者負担と報酬の日割り制度。そして、今度は「障害程度区分」の問題。
障害程度区分について、改定案概要では次のように触れている。
どうもごまかしっぽい。「障害の多様な特性を踏まえて」などと実しやかに言うが、「障害支援区分」・・・「要介護」認定と同じ考えである。この人にはどういう介護がいるか・・・。このやり方で、今、要介護認定が大問題になっている。(課題)障害程度区分の名称・定義が、標準的な支援の度合を示す区分であることが分かりにくい。→名称を「障害支援区分」とし、定義についても、障害者等の障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示す区分であることを明確化。
※法律上の規定の見直しと並行して、障害程度区分そのものについても障害の多様な特性を踏まえて抜本的に見直す。
※支給決定に当たって、別途障害者を取り巻く環境を勘案することについても、法律上明確化。
即ち、「寝たきり」の人は移動のための介護は要らないから「自立」と判定されるわけだ。
要介護認定改悪の例を以下に示しておきます。

詳しい内容は、以下を参照。
2009年3月3日(火)「しんぶん赤旗」
介護認定新方式 民医連が検証 ヘルパー週10回→3回 生活壊す軽度判定続出 厚労省も認める
2009年3月26日(木)「しんぶん赤旗」
介護認定 新基準 厚労省見直し 根幹変わらず “実態に合わない”
そして、これらの改悪は、厚労省が介護給付を切り下げるために行ってきたという呆れた事実を、共産党・小池議員が入手した文書が明らかにしているということだ。
毎日新聞 2009年4月2日 21時26分
厚労省:介護認定を低く誘導か 共産が「内部文書」を指摘
4月からの改悪は、2日の参院厚生労働委員会で、共産党の小池晃氏は、厚生労働省が介護給付費の抑制を誘導していた可能性を示す「内部文書」の存在を指摘した。舛添要一厚労相は「初めて見た。どのような資料か、よく調べたうえで答えたい」と述べるにとどまった。
小池氏が示したのは、「要介護認定平成21年制度改正案」と題した資料で、今年度予算作成の際の概算要求に向けて作られたものとみられ、昨年4月から1年間のスケジュール表も添付されている。
(1)利用者への聞き取り調査の項目を82から74に減らす
(2)調査の際に介助が必要と判断する基準を狭める
(3)審査会の役割を引き下げる
・・・などで、認定を軽度化するものだ、そしてその狙いが給付費の削減にあると、関係者から厳しい批判の声が上がっていたものだ。
これに対し、厚労省は、「給付費抑制の意図はない」と説明してきたところだが、厚労省内で作成された内部文書では給付費を284億~384億円削減できると明記しているという。
そしてこれはただの文書ではなく、実際に東京北区の介護保険課長がこの文書で厚労省からの指導を受けたことも公の場で発言しているとのことだ。

(写真:赤旗より)厚労省の内部文書の「介護報酬改定に係る平成21年度予算要求関係スケジュール(案)」から抜粋
与謝野経済財政相は、小泉内閣以来の社会保障費削減路線の見直しもやむをえないような発言をしていたが、実際は構造改革路線にしがみつき、いかにして社会保障予算を削減するかが厚労省の仕事になっているということだ。
由々しきは、舛添要一厚労相が「初めてみた。どういう資料か調査したい」と述べたこと。
所管の大臣が知らぬ間に、官僚サイドで政策が立案、推進されている。
共産党の調査力はかねてより定評があるが、ここは徹底追及が必要だ。
話を、障害者自立支援法改定問題にもどすが、障害程度区分が「障害支援区分」になると、例えば「火の取り扱いについて」、「危ないから使わせていません」というと、「支援必要なし」→「自立」となるのである。今でさえ、身体機能中心の程度区分になっているが、潜在的な身体能力や理解力があると見られる場合でも、知的障害者や精神障害者の場合、そもそもその力を統合し管理、発揮する大本に問題がある場合が障害の特徴として見られるわけだ。
先を行く介護保険制度改悪は、政府がねらう明日の障害者福祉の姿ではないだろうか。
以下は、2009年4月3日(金)「しんぶん赤旗」より転載。
認定方式変え介護費削減 厚労省が内部文書作成
舛添厚労相「調査する」 小池議員追及
介護保険の要介護認定方式の改悪(一日から実施)などで給付費を284億~384億円削減できると明記した内部文書を厚生労働省が作成していたことが二日の参院厚生労働委員会でわかりました。日本共産党の小池晃議員が質問で明らかにしました。
同省は要介護認定方式の改悪について、「給付費抑制の意図はない」と説明してきました。この説明を根底から覆すものです。
小池氏は「要介護度を低くして給付費を抑制する狙いは明白だ。『介護切り』ともいえる認定方式改変の四月実施を中止すべきだ」と要求しました。
小池氏が入手した文書は、「介護報酬改定に係る平成21年度予算要求関係スケジュール(案)」。介護報酬を「プラス改定」した場合には「財源確保策が必要」だとして「介護給付費の縮減効果額」を列挙しています。
「認定の適正化」の項目では「非該当」とされた一次判定が二次判定で重度に変更される割合を10%減らせば「約82億円縮減」できると記述。「介護給付の適正化」の項目では「認定の適正化」などで「200~300億円」を縮減できると書いています。
また、小池氏が入手した別の同省文書「要介護認定平成21年制度改正案」では、要支援2と要介護1の認定の割合を現在のおよそ五対五から七対三へと軽度の人を増やす方針を明記しています。「介護認定審査会委員の関与を減らし…当初想定していた割合に近づける」などと、二次判定を行う審査会の役割を後退させる狙いも書き込まれています。
小池氏は、東京都北区では介護保険課長が、同省から要支援2と要介護1を七対三にするよう指導を受けたと公の席で述べていることなどを挙げ、「この文書の記述の多くが実際に行われている」と指摘。政策決定の過程を徹底調査するよう求めました。
他党議員からは「すごい資料だ」と驚きの声が上がり、舛添要一厚労相は「初めてみた。どういう資料か調査したい」と述べました。
要介護認定方式の改悪
介護保険サービスを利用するためには「要支援1、2」「要介護1―5」のどれに該当するか、認定が必要です。聞き取り調査にもとづくコンピューターによる一次判定をへて、認定審査会の二次判定で要介護度が決まります。
四月からの改悪は、(1)利用者への聞き取り調査の項目を減らす(2)調査の際に介助が必要と判断する基準を狭める(3)審査会の役割を引き下げる―などで、認定を軽度化すると危ぐされています。
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テーマ:医療・介護・障害制度改正の余波 - ジャンル:福祉・ボランティア
2009.04.04 | | Comments(1) | Trackback(7) | ・福祉・社会保障全般Ⅰ
