NO.1089 国と大人たちによるいじめと子どもの権利条約 (カルデロンさん一家の問題について)
カルデロンさん一家の強制退去処分問題と日本に残された少女のことは、村野瀬玲奈の秘書課広報室さんが系統的に書かれて来ました。
私は、あまり深くは考えてきませんでしたが、いくつかのブログで、由々しきことが起こっていることを知り、ひとことものを言わなければならないと思い、初めてこの件にふれます。
これは私と私の4人の娘たちの問題でもありました。もっと関心を持って早くから発言すべきでした。
先ずは、45秒ほどの動画をご覧ください。
大人が寄ってたかって、少女をいじめる
これは、去る11日(土)、埼玉県蕨市での「犯罪外国人・犯罪助長メディアを許さない国民大行進 in 蕨」(主催:在日特権を許さない市民の会)の模様の一部です。これは、法務大臣により、その在留が認められたフィリピン人少女を名指しでつるし上げるために、彼女の通う中学校を標的にコースを組み、「ここがA子の通う中学校です。皆様怒りの声を上げましょう」・・・とがなりながらデモをする100人ほどの集団の様子の一部です。彼らがどういう人々かは、掲げた「日の丸」がその一部を物語ってはいますが・・・。
強制退去そのものも、冷たい度量の無い国だなと思っていましたが、一人取り残され心細い思いをしているであろう少女に対して、大の大人たちがこんな「デモ」をかける・・・、救いがたい恥ずべきことではないでしょうか。日本人て何なんでしょう。恥かしいです。
法務省の措置・決定に批判があれば、その主張の仕方は別にあるはずだ。少女のことを思うと、はらわたが煮えくり返るような思いです。
シバレイのblogさんは、
と、怒りをあらわに批判しています。全く同感です。先の「デモ」は、少なくとも私には、怖い大人がよってたかって、一人の少女をつるし上げして悦に入っているようにしか見えず、「いい大人が本当にカッコ悪い」「キモイ」としか感じませんでした。もはや、主張の内容うんぬん以前の問題でしょう。また、このような未成年の一個人に対する集団リンチを「デモ」として許可した、蕨警察署や埼玉公安委員会の人権感覚も全く、噴飯ものだと思います。
私の考えも ひとこと
この機会に、カルデロンさん一家に関する法務省の強制退去命令について、一言私の考えも書いておこうと思います。
入国管理局は、カルデロン夫妻と中学生・A子さん(13歳)を「不法滞在」として、親子3人で帰国するか、A子さんを残し、両親だけ帰国するかのどちらかを迫り、両親が帰国する意思を示さない場合は3人を強制送還すると命令していました。
これに対し、一家は、少女だけを日本に残し、両親は4月13日に帰国しました。それは始業式を見届けてからという切ないものでた。
少女はまだ13歳です。
家にも娘が4人いますが・・・、考えただけでも、身が引き裂かれる想いです。
当局は、「他の不法滞在者に影響する」などと説明していますが、一家の滞在の特別許可を出すことがそんなに問題なのか、理解に苦しみます。
カルデロンさん一家は来日して15年になり、日本で生まれた少女はは日本語しか使えません。このまま日本で両親とともに生活し、日本の学校に通い、友達とともに学び成長することは、少女の当然の権利では無いでしょうか。少女がこのまま帰国すれば、教育や社会生活などでさまざまな困難な条件に置かれ、成長発達にも大きな障害にもなるでしょう。
子どもの権利条約に照らして
法務当局は、何よりも本人たちの希望に耳を傾ける必要があったと思います。そして、何より少女の今後のことをどう考えるかが大事だったと思います。
子どもの権利条約は、次のように謳っています。
これは、本国に強制送還したり、親から引き離すような措置は、あってはならないことを示しています。日本政府は子どもの権利条約を遅まきながらも、1994年4月22日に批准しています。第3条
1.児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれかによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
第9条
1.締約国は、児童がその父母の意志に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続きに従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りではない。このような決定は、父母が児童を虐待し若しくは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければならない場合のような特定の場合において必要になることがある。
今回の措置は、政府が批准している子どもの権利条約に照らしても違法ではないでしょうか。
政府が下した今回の措置の法的根拠は、不勉強で詳しくは知りませんが、法律というものは人々が幸せに暮すために使うべきものだろうと、素朴に思うのです。
懐の深い国へ 優しい人々
カルデロンさん一家は来日して15年以上日本で働き暮らし、きちんと納税義務も果たしていたというではありませんか。当局が、「不法滞在」とし、「他の不法滞在者に影響する」として強制退去させることにどれだけの国民の利益や幸せがあるというのでしょうか。
多くの国民は、もっと懐の深い優しい国・日本を望んでいるのではないでしょうか。
冒頭から不愉快な動画でしたから、最後にれんげ畑で深呼吸でも・・・今日はこの辺で・・・。

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2009.04.16 | | Comments(11) | Trackback(6) | ・社会評論Ⅱ
