NO.1111 保守二大政党 自民・民主は 「金権政治」はよそに置いて「世襲議員」か?(追記あり)
自民党と民主党の中で、「議員世襲」がにわかに「争点」になっているようだ。お互いに、金権疑惑問題は、避けて通りたいものだから周辺の話にもっていってしまった。な~んだか・・・。
かいつまんで平たく言えば、小沢一郎民主党代表が苦し紛れに、企業・団体献金の「全面禁止」を言い出したが、同党の政治改革推進本部がぴしゃりとまとめきらずに、「先送り」方針を発表した。その軟弱な「ザル」ぶりを覆い隠すために、国民の批判が強い「世襲問題」を取り上げたのがそもそもの始まりのようだ。こういうのを「論点をそらす」って言うんじゃない?
それに対抗して、自民党のマニフェストとりまとめ責任者の菅義偉選対副委員長が「世襲制限の公約化」に色気を出しているので、自民党内ではヤバイ!と言うことで、選挙政策はどこが責任を持つかという内輪の問題になっていると言うことらしい。
「11年に消費増税、マニフェストに」石原幹事長代理
(朝日 2009年4月23日1時15分)
記事は消費税問題をタイトルに掲げているが、石原氏が言いたかったのは、どうやら「菅義偉選対副委員長が作成を主導することにはならない」ということのようだ。自民党の石原伸晃幹事長代理は22日、東京都内で開かれた公開討論で、次期総選挙のマニフェスト(政権公約)について「消費税を11年に増税することが入る」と述べた。
石原氏は、民主党が過去に消費増税を訴えていたのに小沢代表になってから事実上撤回していることを指摘し、「整合性はどうするのか」と批判した。
マニフェストを作成する自民党内の組織については「政調会が中心になって政策を取りまとめ、それを選挙の責任のあるところで化粧直しをするのが望むべき方向だ」と述べ、菅義偉選対副委員長が作成を主導することにはならないとの考えを示した。
・・・ということで、次の記事だ。
<世襲制限>自民政権公約PTに党執行部 菅氏主導避け
4月24日20時24分配信 毎日新聞
やれやれ、なんでこんな記事につき合わないかんとや。
自民党は24日、次期衆院選の政権公約(マニフェスト)を策定するプロジェクトチーム(PT)について、党執行部から石原伸晃幹事長代理や園田博之政調会長代理らをメンバーに入れる方針を決めた。PT座長には菅義偉選対副委員長を充てるものの、菅氏が意欲を示す世襲制限の公約化に異論が相次いでいるため、菅氏主導の運営を避けるのが狙い。
PTは週明けにも設置し、5月の大型連休明けから本格的な議論に入る。自民党の細田博之幹事長は24日の記者会見で「検討チーム(の設置)を考えるが、最終的な責任を負うのではない。役員会なり、党組織として責任を持って決めていく」と執行部主導で策定する姿勢を強調した。
最初は、「朝日」の「11年に消費増税、マニフェストに」に反応して、「こりゃイカン、警鐘を鳴らさな、消費税反対キャンペーン本部長の沽券に関わる・・・」と思っていたのだ(笑)。
「世襲」問題よりも、もっと大事な問題を提起する記事があった。この記事は読むに値するだろうと言うことで貼り付けておきます。
日本の選択点・政党力 <1>資金源
東京新聞 2009年4月25日 07時12分
保守二大政党が、肝心な企業・団体献金禁止の問題から話題をそらし、この問題を解決する能力も気力も無いとすれば、国民の政治不信はますますつのり、民主政治への道は遠のくことだろう。・・・と言うよりも、保守二極ではなく、第三の極から日本共産党、社民党などの大躍進が求められていると言うべきだろう。日本は、かつてない政治不信のまっただ中にある。これは、次の衆院選で政権を争う自民党と民主党という二大政党に対する不信でもある。政党は今、どこに問題があるのか。そしてどのように“成長”すべきか。両党衆院議員に対するアンケート結果も踏まえながら考える。
民主党の小沢一郎代表の公設秘書が逮捕された西松建設の巨額献金事件。自民党の大物をしのぐ集金力を誇ってきた小沢氏は、3月17日の記者会見で唐突に提案した。
「今度のことを教訓に企業・団体献金を禁止するならば、私はいいのではないかと…」
負の印象が付きまとう企業・団体献金。一定の規制が設けられた1994年以降も、企業献金にからむ事件や疑惑は後を絶たず、その都度、全面禁止の声は上がる。だが、遅々として進まなかった。
特に企業献金を有力資金源とする自民党の腰は重く、麻生太郎首相は小沢氏の発言後に「企業献金が悪という考えには、くみしない。長い歴史の結果、今の制度がある」と突っぱねた。
2007年分の政治資金収支報告書(中央分)によると、自民党本部の企業・団体献金による収入は約35億円。民主党は1億円だから、約35倍だ。加えて、自民党には個々の議員の強い集金力がある。政治家個人への献金は1999年の政治資金規正法改正で禁止されたが、各議員が支部長を務める政党支部の資金集めは活発だ。例えば、首相が支部長の自民党福岡県第八選挙区支部は07年、3450万円の企業・団体献金を集めた。自民党支部は、選挙区単位だけでなく、職域や地域の単位にまで張り巡らされ、総数は7710。数の上でも民主党の564を圧倒している。
この“実績”があるからこそ、自民党内では企業・団体献金を禁止しようという機運がなかなか生まれない。もちろん「企業献金イコール悪」と決めつけるのは早計だ。諸外国でも企業献金に対する法規制はまちまち。フランスは禁止しているが、英国やドイツは献金上限の制限も設定せずに認めている。日本の政治資金規正法は、企業献金について厳しいとも甘いとも言えない中間ぐらいに位置する。
× ×
集金力で圧倒的に劣る民主党の財務体質はどうなっているのか。突出しているのは、国費である政党助成金への依存度だ。07年は全収入の84%の110億6000万円が助成金だった。政治資金に詳しい日大法学部の岩井奉信教授は「諸外国に比べて異常に依存率が高い。国営政党になってもいいのか」と疑問を呈す。もっとも自民党も全収入に占める助成金の比率は66%。こちらも諸外国と比べるとかなり高い。
民主党は、次期衆院選のマニフェストに将来的な企業・団体献金の全面禁止を盛り込み、広く薄く集める個人献金へ移行させる考えだ。だが、日本人は欧米と違い、個人が政党に寄付をするという風土は乏しい。
岩井教授は「個人献金で賄うのが理想だが、日本の政党は寄付したい存在になっていない。料亭やバーでの飲み食いも政治活動費になっており、政治家がカネを使う所にメスを入れないといけない」と話している。
自民、民主両党以外では、公明、共産両党は機関紙販売などによる事業収入が中心。共産党は助成金の受け取りを辞退している。
コピーばかりの手抜きですが、今回はこの辺で・・・。
追記:
この件に関しては、世襲政治家の制限を議論するということというこれお・ぷてらさんの記事がおススメです。
と指摘するのみならず、「世襲」論議の本質を民主政治の観点からバサリ!と次のように切り捨てています。私が、上の記事に違和を感じるのは、世襲制限を唱える人たちは何を解決しようとしているのか、皆目みえないからです。たとえば「政治とカネ」の問題を解決しようとしているとも思えない。「政治とカネ」の問題の解決は、世襲制限ではむろん不可能ですし、企業献金を全面禁止することを欠いてはいけません。全面禁止が必要条件になる。いったい世襲を制限して得るものは何なのでしょうか。何ができるのでしょうか。
むしろ、私には、こうした議論が結局、論点をそらす役割を果たしているとしかみえません。
以上、部分引用ですが、是非本文へアクセスしてみてください。いつもながら脱帽です。つまるところ、世襲を議論しよう、しようとする人の頭のなかには、「特権」ということが想定されていること、したがって、「特権」という切り口から政治家をみる以上、政治というものは政治家がやるものだとあらかじめ認識されていなければならない。政治家を選ぶのは有権者という視点を欠落させてしまう。
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http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
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2009.04.26 | | Comments(3) | Trackback(4) | ・二大政党制批判
