NO.1118 民主党は「元の問題から目を逸らして本質的な問題に全く答えないで、別のことで答えようとしている」・・・ジェラルド・カーティス
大型連休中、皆さん、いかがお過ごしでしょうか。・・・ちょっと長いですが、最後までお付き合いください。
民主党内が揺れ続けているようです。
渡部恒三最高顧問が、「法的な問題とは別に、土建屋から多額の献金を受けていたことが女性支持者に評判が悪い」と、小沢氏の辞任を求め、「小沢氏を何が何でもかばうのか」と鳩山氏の対応を批判したと報じられている。
また、小沢一郎代表が28日の記者会見で、「結論は(民主党内の)皆さんの赴くところに任せるが、私は即時全面禁止で差し支えない」と、企業・団体献金を即時全面禁止すべきだとの考えを表明したとも報じられている。それは正論であり、誰が言おうと正しいし、小沢氏としては「即時」として一歩踏み出しているように見える。
党内では「一定期間後の」企業・団体献金全面禁止の方針では一致しているが、移行期間については「5年以内」とする意見と、即時禁止を求める声が対立していた中で、小沢氏のこの発言をどう見るか。
ところが、小沢氏は、「即時全面禁止」を言いながら、同時に「企業献金がいいとか悪いとか、個人献金ならいいとか悪いとかというたぐいの話を基本的な考えとしていっているわけではない。一番はディスクロージャー(情報公開)だ」と述べている。・・・もらい続けたい本音は隠せない。本質的にはこれまでと変わらない。変わっているとすれば、「追い込まれている」ことだ。
要するに、「そげん色々言うなら、よかったい!」という、子どものすねた開き直りにそっくりとしか、私には見えない。
だから、もし本気なら「差し支えない」と言うだけでなく、企業献金の何が悪かったのか、なぜ止めるべきなのか、この間の総括を明らかにした上で、「私は自らやめる」と言うべきだろう。したがって、どう実を結ぶかは、甚だ心もとないと言わなければならない。これが私の一貫した見方であった。そして今も、小沢氏が変わっていない以上、この評価は変わらない。
前置きが長くなったが、今日のエントリーは、まさにこのことに関するものです。
さて、私はこの間、民主党批判ばかりするものだから、お叱りを受けた。
参考:「大脇道場」の民主党批判エントリー集
過去ログ:NO.1115 「国民とのコミュニケーション能力がない人は総理大臣になる資格はない」 ジェラルド・カーティス での、「朝日」の報道に関する記事に、「カーティス氏の発言を全部読んでから、モノを言え」と言う趣旨だ。
「政治資金問題をめぐる政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会(略称:政治資金問題第三者委員会)」は、設置前は、小沢代表の西松献金疑惑事件に関する検察のあり方や報道のあり方の問題を議論すると報道されていたので、そういうものと誤解していたが認識を改めたい。
委員会では次のように、「・・・事件に関する小沢代表および民主党の対応、説明責任について検討するとともに、政治資金問題をめぐる検察およびメディアのあり方について議論を行うこと」と明記された。当然だろう。小沢氏や民主党のあり方を問うことなしに、検察批判も報道批判も真の意味をなさないし、現実的な力にならない。こういう目的の第三者委員会なら、実りを期待したい。
第1回委員会議事の内容
私は一貫して、民主党は「たたかっていない」と批判してきた。自らの問題を明らかにし、世論の支持を得てこそ、検察の問題もメディア批判も生きてくると。3.委員会の設置の経緯・目的の確認
(経緯)
-本委員会は、4/3の鳩山幹事長の記者会見を受けて、民主党からの依頼に基づいて本日から実施するものである。しかし、会議には民主党からは参加せず、事務局も独立の第三者が担当しており、完全に民主党外部の第三者だけでの議論となる。
(目的)
-民主党から詳細な目的の指定は受けていないため、本日は本委員会の目的からまず議論を進めたい。
-検討の結果、本委員会は、「民主党小沢代表秘書政治資金規正法違反事件に関する小沢代表および民主党の対応、説明責任について検討するとともに、政治資金問題をめぐる検察およびメディアのあり方について議論を行うことを目的とする」こととなった。
小沢・民主党はたたかわなければならない
小沢氏も民主党も何ら、たたかってなんかいないというのが私の見方です。
「政権交代」の大儀に隠れて、自分自身が変わろうとする姿が、全く見えない。
「国策捜査」だと言うなら、自ら身を捨てて、真相を語り総括をし、二階氏はじめ森、尾身などゾロゾロいる自民党金権政治に切り込むべきでしょう。わが身を守りながら「遠吠え」をするかに見える政治家を誰が信用するのでしょうか。
敵に塩をやりながら、「政権交代」を自ら遠くに追いやっているとしか言いようが無い。
小沢代表は、代表を降りる必要など無いでしょう。自ら先頭に立って、「企業・団体献金全面禁止」の旗を掲げ、部隊を率いて国会でも巷でも大論争をすればいいのです。その過程で、自らの総括もし、自らと部隊を変えながら攻め込む・・・。その中でこそ「国策捜査」も打ち破っていくのです。たたかわずして、「国策捜査」を言い訳として確保している場合じゃないでしょう。
自分の傷を守ろうとして、より深い相手の傷が致命傷であることを見失っては勝負にならないでしょう。

私がお叱りを受けた記事を書いた時は、まだカーティス氏との意見交換会の議事録がアップされていなかったが、後にアップされたので、ちょっと長いがここにも紹介しておきたい。きわめて全うで、重要な問題提起だと思う。(太字の小見出しは友さん)
以下、カーティス氏との意見交換会速記録 から転載。(読みやすいように改行しています)
開催日時 平成21年4月24日(8:30~9:20)
開催場所 虎ノ門パストラル
出席者 飯尾潤(政策研究大学院大学教授)、
郷原信郎(名城大学教授・弁護士)、
櫻井敬子(学習院大学教授)、
服部隆章(立教大学教授)・・順不同
有識者 ジェラルド・カーティス氏
1.カーティス氏からの説明 【冒頭~11分頃】
-まず始めに、この問題について簡潔に申し上げたい。
ひとつはこの委員会の目的として、「小沢代表秘書の政治資金規正法違反に関する、小沢代表および民主党の説明責任について検討する」と掲げられているけれども、説明することは当然のことで、そもそも検討すること自体がおかしなことと考えている。
政治・民主党のあり方の問題
検察の話に行く前に、小沢代表の説明責任について言わなければいけないことは、民主主義の政治体制の中では政治家は国民を説得して納得を得る必要があり、説明会を全くしないで続投するだけでは、国民に対する説明責任は果たしていないと思う。
であるから、最近の世論調査で見るように、国民は説得されていない、納得していない、もっと説明して欲しいというのが明らかであるのに、十分な説明が行われていないのは、民主党にとって大変な問題であると思います。
私は40年以上前から日本の政治を観察、研究していますが、今の日本は昔のように、政党に属する代議士の支持さえあればいいという時代ではない。国民とのコミュニケーション能力がない人は、総理大臣になる資格がないと言っていいと思う。口下手な人は、選挙参謀はともかくとしてトップリーダーにふさわしくない。それは今の、民主党だけではなくて、自民党の問題でもある。
一方、政党の責任は、党首ではなくて有権者に対して存在するものであるから、民主党の議員が一人も小沢代表が辞めるべきだと言わないのは、民主党が小沢代表の私物化された政党だというイメージを広めるだけで非常に残念であるように思う。有権者はそういった政党に政権を委ねて良いだろうかと考えるのは当然であると思う。
検察のあり方の問題
また、検察については、未だに行うべき説明責任を果たしていない。
なぜ、ああいったタイミングで、政治資金規正法のどちらかというと形式犯で、総理大臣になりうるかもしれない人の秘書を逮捕したのか、十分な説明責任が果たされていない。検察が摘発することによって政治的な影響が非常に大きい場合には、やはりそれに対してもっと丁寧な説明をする必要があると思う。
にも関わらず、一方的な、法律上こういう権限が検察にあるという説明だけでは通らない。記者会見を開いて厳しい質問を受けて、なぜこのタイミングでこの人だけを逮捕したのか、次の選挙に大きな影響を与えかねないにも関わらず、どうして逮捕したのかを説明しなければならない。
これは徹底的にマスコミが追求すべきことである。検察は説明はしたけれど、説明にならない説明である。いまだに検察に対しての不審は恐らく日本の国民にあるだろうと思われるが、それは民主主義国家にとって非常に危険だと思っている。
マスコミのあり方の問題
最後に、これに関する日本のマスコミの取り上げ方、対応の仕方は、問題が大きいというか、気になるところがある。
日本には、本来あるべきものではない記者クラブ制度があって、検察の記者クラブの人たちは検察に対して厳しい質問をせず、検察の出先機関のように検察がリークしたことを事実として新聞に載せて、世論を操縦しているような状態であり、検察の狙いのために利用されている。
これに対して日本のマスコミは反省すべきだと思う。若い新聞記者は、自分のジャーナリストとしてのPrincipleに基づいて、勇気を出して客観的な立場から特に国家権力を持っている検察には厳しく追求する。そういう気持ちがなければ本当のジャーナリストの資格はない。
以上のように、民主党、小沢代表、検察、マスコミ、いずれの対応を見てもこんなに日本にとって嫌な事件はないのではと、呆れている。
追加
追加であるが、小沢代表の責任について、代議士会を開くと、みなが続投してほしいと言って、一人も反対しない。そういうのは非常に古いやり方であって、そうではなくて、タウンミーティングを開いて、一般の有権者からどうしてあんな代金を集める必要があるのか、何に使っているのか、そういった皆が持っている疑問をぶつけてそれに対して答えるべきである。
その結果、納得がいくような答えができれば支持は復活するだろうし、納得できない答えしかできないのであればやめるべきである。それくらいのことをしないと党内の代議士が支持してくれているから続投するといっても、民主党が政権をとる可能性はますます遠ざかる。
2.質疑 【11分頃~最後まで】
(質問1)【11分頃~14分頃まで】
(飯尾座長)
-小沢代表の説明責任と民主党の説明責任と、どのように関係を整理すればよいか?
(カーティス氏)
民主党の行動が問題となる
-民主党は説明責任ではなく行動が問題となるわけであって、小沢代表の説明責任が十分でないと思うのであれば、その党首をどうするべきかという対応を考えるべきで、民主党が何か説明する必要があるかどうかはよく分からない。
近頃ニュースで、企業の政治資金を完全に禁止するとか、世襲議員を制限するとか、そういうことが言われているが、元の問題から目を逸らして本質的な問題に全く答えないで、別のことで答えようとしているように思える。
特に二世議員は衆議院全体で180人くらいで、そのうちおよそ150人が自民党、30人くらいが民主党であると聞くが、その二世議員が少ない民主党が二世議員を廃止するということは、かえって民主党に二世議員が多いのではないかというような印象を与えることになる。「世襲の政党はもう結構です。自民党は世襲の政党になってしまったので、うちの方が優れています。」というような言い方であれば理解もできるが、今、二世議員の評判が悪いからと言って禁止しようとして、自分達の手で自分達自身の首をしめようとしている。
こういった民主党を見ていると、考え方が古くて、新しい改革を行うべき政党と言いながらも発想そのものが21世紀にふさわしくないと思っている。 (以上、部分転載)
速記録はさらに、検察の問題、メディアの問題についての質疑応答が (質問6)まで紹介されていますので、直接リンク先でどうぞ。私には大変参考になりました。

私はカーティス氏は名前ぐらいしか知らなかったが、速記録を熟読すれば、「元の問題から目を逸らして本質的な問題に全く答えないで、別のことで答えようとしている」という見方は、私がこの間指摘してきたことと同じで、なるほどそうだ!と心強くうなづけるものだ。
こうして見ると、「朝日」の記事が偏向しているわけでもなく、私の引用が一面的であったわけでもないことは改めて明らかだ。
これが「回答」です。
お叱りいただいた気弱な地上げ屋さんの 「『真実』・『本質』を見極められた後の『新たなコメント』を楽しみにしております。」 への「気弱な友さん」の回答は、「お教えいただいたサイトの議事録がアップされました。ご覧になればお解かりでしょう。」で十分だろう。これを見て前言を訂正すべきは一点もない。
私は、「反民主党真理教徒」ではない。
政治は空論でも教条でもない。生きた現実だ。
政治の事実を根拠に、政党の具体的な発言、動きの事実をもとに、批判しあるいは評価し、自らの政治的な立場と要求を常に表明してきたつもりだ。
昨日の記事については、「口も悪い雑駁な殴り書き」と断りつつも、その基本は少しも外してはいないと思っている。
今後も、このスタンスは変わらない。
リアルでの35年以上にわたる生活と労働に根ざした私の社会・労働運動や政治的活動で身につけた政治的なものの見方・考え方は、基本的に変わらないでしょう。
今後も、保守二大政党の政治の現実、民主党の第二自民党的事実についても、まさにその政治行動を明らかにしながら批判していくつもりだ。
大企業中心、アメリカべったり政治のチェンジを
言うまでもなく、今日、政権交代は、多くの国民の願いである。
「民主党批判は、自公を助ける」などというトボケた批判は受け入れない。あわせて「共産党は席を譲れ」と言う暴論も。中身の変わらない「政権交代」には一切の幻想はない。
国民が求めているのは「首」のチェンジではなく、自公政権の中身そのもののチェンジにこそある。
国民の暮らしと労働や営業、福祉や平和を踏みにじっている元凶は、大企業中心、アメリカべったりの政治にあり、この政治の基本の中身をチェンジすることが求められているのである。
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
応援よろしくお願いします。 ランキングー



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2009.04.29 | | Comments(5) | Trackback(7) | ・民主党批判Ⅰ
