NO.1142 障害者自立支援法違憲裁判 福岡地裁 第2回口頭弁論報告(転載)
障害者自立支援法違憲裁判の福岡地裁での第2回口頭弁論が行われました。
全国弁護団事務局 通信(第8号 2009年5月8日)より転載し紹介ます。
障害福祉現場の私たちにとっては、しっかり学習すること自身が裁判への参加の第一歩です。
障害者差別に対する、被告・国の呆れるほど陳腐な反論への弁護団事務局長の批判が紹介されています。
「こんな反論って有りか?!」・・・率直に言って、国の反論には驚きます・・・!
第二次一斉提訴
4月1日に障害を持つ原告28名による第二次全国一斉提訴が行なわれ、第一次原告29名と合わせて全国12箇所の地裁で57名が原告として障害者自立支援法違憲訴訟を行なっています(原告児童の親として損害賠償訴訟での原告である私を加えると58名)。
福岡地方裁判所 第2回期日 第二次一斉提訴原告山下さん登場
本日午後1時30分 福岡地裁301号法廷で第2回口頭弁論が開かれました。
第二次一斉提訴の原告である山下裕幸さんの事件も第一次の原告平島さんの事件と一緒に審理されることが決まり、山下さんの訴状が原告弁護団より陳述されました。
次に原告側の意見陳述が実施されました。
① 原告山下裕幸さん
② 補佐人鶴我房子さん
③ 原告代理人小山明輝弁護士
④ 同弁護士藤岡毅
の順で行なわれました。
① 1980年生まれの原告の山下さんは、かつて高校での寮生活での思いがけない仕 打ちを原因として、引きこもりになった経験をきっかけに、現在通所している授産施設つくしの里に通うようになり、仕事を経験して生きがいを感じてきたこと、自立支援法がそんな自分から人間としての誇りを奪ってしまうことを力強く訴えました。
② 山下さんの通う授産施設つくしの里の施設長の鶴我房子さんは、つくしの里の生活で山下さんが成長してきた姿、つくしの里の立ち上げから実感してきたことを淡々と話され、この法律が真の自立を困難にするその本質を理解してもらうよう裁判官に訴えました。
③ 福岡弁護団の小山弁護士は、応益負担の矛盾を指摘し、原告山下さんが電動車いすを利用することで障がいを持たない人と同じように移動できることが「利益」なのかと問いかけ、また、被告国らが裁判所に提出した準備書面での主張はもノーマライゼーションの完全否定だと断じました。
④ 私は、この3月末日に厚労省が国会に上程した見直し法案の欺瞞に裁判官が惑わされることないよう注意を喚起する意見を述べました。
裁判後の報告集会も第1回のときにも増して盛り上がりました。
私は集会で、この裁判の意義として、「国の本音」が浮き彫りになる機能をコメントしました。
このことは小山弁護士も法廷で指摘していましたが、国の主張には、障害者福祉の原理を完全否定するような「障害者自立支援法の本音」が出てくるのです。このこと自体がビッグニュースとして報じられてもおかしくないほどの問題です。
被告が本日法廷で陳述した準備書面の内容のポイントの数点に次のものがあります。
原告側の主張:
「障害を持たない市民が働く場合に事業所利用料を払わないにも関わらず、障害を持つ市民の場合に働くことに事業所利用料が課せられるのは、障害者差別で、憲法第14条法の下の平等に反する。」
被告国、自治体の反論の骨子:
「障害者自立支援法とは、障害者を支援する法である以上、障害者と障害者でない者との差別や区別といったことが問題となる余地はおよそないのである。
そうであれば,当該社会保障給付が行われるに当たって問題となる利用者負担についても、当該社会保障給付を受ける障害者の間での区別,差別を問題とするならばともかく, 当該社会保障給付を受ける「障害者」とおよそ当該社会保障給付を受ける余地のない「障害者でない者」との間の比較において, 当該利用者負担についてのみ取り上げて, 憲法14条の「平等」を問題とする余地はないというべきである。……したがって,憲法第14条に違反するかのようにいう原告らの前記主張は, 失当というほかない。」
この被告国らの主張、裁判所に提出した公式見解(これは福岡地裁だけでなく、各地の裁判所に対して全く同じ主張が提出されています)は正しいでしょうか。
そもそも、障害者福祉とは、ノーマライゼーションとは、障害を持つ人が障害のない人と同じよう差別されることなく平等に社会に参加できるような社会にすることを目的としているはずであって、まさに、障害を持つ人と持たない人との間での平等を目的としている制度です。
国は、「障害者は障害者集団の中での差別がされないようにすればよいのだ、障害を持つ市民と持たない市民との平等を考える余地はない」という理念から障害者自立支援法を作ったのだというわけです。
国は普段言わない本音でも、裁判になるとこの法の本質を正直に説明してくれます!
障害者差別は障害者同士の問題であって、障害を持たない人には関係がない。ということです。
以上の国の主張、障害者自立支援法を支える国の思想の根本的過ちについては、今後、各地の地方裁判所で、原告弁護団から徹底的に批判されます。
そのため、ここで触れるのはこの程度にしておきます。
今後の各地の裁判がほんとに楽しみです。 藤 岡 毅
(以上、引用)
なお、各地の様子は、各地の弁護団の報告と勝利をめざす会のホームページ http://www.normanet.ne.jp/~ictjd/suit/index.htmlでご覧下さい。
福岡からは第3次提訴に、母親の立場からもう一人加わるそうです。
次回から、障害のある人たちにとって作業所がいかに大事なものであるか、その中での行き来と成長する姿を裁判官に知っていただくために、作業所の様子をDVDに収めて見てもらうそうです。
障害者作業所の存在は広く知られるようになりましたが、その実際についてはあまりよくは知られていないでしょう・・・。威力を発揮して欲しいものです。
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2009.05.11 | | Comments(3) | Trackback(2) | ・障害者自立支援法Ⅰ
