NO.114 マグロと俺とどっちが好きや?
ツンクン(37歳)は、毎日数回「友さんが好きです」と言ってくれる。
今年の初めに、私の庵に泊まりに来てくれた。
(私の所に泊まりに来たと言うのは、彼にとってはステイタスなのだ。)
その時、マグロをご馳走した。と言っても、安物。
近所に、黒マグロのコッパが安く売られてる。時々買う。味は一級品である。
それを出したら、美味い美味いと沢山食べてくれた。
それ以来、「友さんが好きです。マグロが好きです。」と言う。
私は「俺とマグロとどっちが好きや?」と聞く。
彼との付き合いは、20年近くになる。
前の施設に、養護学校を卒業して入ってきて以来だ。知的には中重度。
いつでも誰でも、心を和らげてくれる。
その秘密を、初めての家庭訪問で見た思いがした。
今は亡きおじいさんと話した。
「うちの孫はよか孫です。この頃は、朝は自分で起きてきて、支度して出かけるようになって。じいちゃん元気でと、声かけてくれる。やさしか孫です。」
普通、手のかかる孫ですがよろしくお願いします、と来る筈だが。
若い時ブラジルに開拓移民として行ってたと言う。
少し、スケールガ違う人だった。
なるほど・・・と、後から考えた。
おじいちゃんを始め家族が、彼のことを肯定的なまなざしで見て、育てて来たのだろう。
ツンクンはいじけたところがまったく無く、とても気持ちいい。
人を気持ちよくしてくれる。
ちょっとひ弱なところもあったが、
後輩たちが入ってくるたびに、少しづつ逞しくなって来た。
特に、私がイライラしてる時等、
何の脈絡も無く突然「友さん」と声をかけ、「好きです!」と言う。
ダウン星人特有の顔を、フニャーッと崩して。
「何イライラしてんの。」と優しくチェックされた気がする。
ツンクンは精神的にとても落ち着いている。そして優しい。
先日、「知的障害そのものは、対人的な面ではそう難しくは無い」と書いた。
ゆっくり丁寧に、そのペースに沿って関われば、ゆっくりゆっくり共に歩むことが出来る。
ツンクンのように、お互いいい気持ちで。
彼のおじいさん達のように、障害を受容し、肯定的に関われば、心がねじれたり、性格障害や精神障害を2次的に蒙る事も無かろう。
個人的に言えば、私はツンクンに何度も救われてきた。
無認可の頃から、幾たびもの困難の中で、
「友さんが好きです。」と言う一言で。
「どっちが好きや?」の質問に、当初は困惑してた。
最近は、すかさず「友さんです。」と答える。
俺が、そう言うように頼んだから。(ははは)


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2007.10.22 | | Comments(6) | Trackback(0) | ・仲間とともにⅠ
