NO.1165 辺見庸 「資本主義が問われている 重層的危機が人の内面も壊す」
作家辺見庸さんの「資本主義が問われている 重層的危機が人の内面も壊す」という話が、赤旗(5.26付)の文化欄「シリーズ・現代の視点」で紹介されている。
電子版には載ってないので、かいつまんで紹介します。
辺見庸さんは、ご存知のように戦場取材をしたジャーナリストから芥川賞作家になった方だ。
1990年代初め頃より、「新しい貧困」と「自殺」の2点に関心を持ち始めたと言う。
今、凄まじい勢いでプレカリアートという「新しい貧困」が増え続け、一方で年間3万人以上という自殺者が11年間も続いている現状に、「僕は、アフガン、イラクパキスタンなど戦場取材をしてきたが、そういう戦争の死者を上回っている日本は、異常な社会に突き進んでいるのではないか、病気で言うと、重篤になっている」という。
そして、マルクスの「(資本主義では)物質的価値が増大すればするほど、人間世界の価値が衰えていく」という分析に触れ、「資本主義の物質優先、人をモノ化する『憑依(ひょうい)』=妄想が何百年も民衆の心を支配し、世界は狂ったまま逆立ちして踊り続けている。そのことを21世紀のいま自覚しなければならない」と警鐘を鳴らす。
以下は、丸写しの方が伝わるでしょうから、そうします。
流石に「強靭な文章」だ。後段は赤旗へのリップサービスを差し引いても、十分に・・・ですね。生体に会わない社会システムに
昨年、茨城県土浦と東京秋葉原で相次いだ無差別殺人事件が起きた時、僕は考えた。犯罪は許せないが、あの青年らは、犯罪歴の無い普通の真面目な青年だったのではないか。でも、ある日、こらえられなくいなって突然、発作的に痙攣し犯行に及んだ。
人間臭い手触り感がなくなり、パソコンのモニター画面にのみ社会的な接点があって、ケイタイの書き込みをやっていた。心のうちの荒涼たる風景、いいがたい悲しみが見えてきます。ですから、秋葉原などの犯人は捕まったが、「真犯人」はまだわかっていないと思う。
今の社会は人間の生体に合わないのではないか。資本主義という社会システムが人間の価値という座標軸を失い、「人間破壊の装置」になっているのではないか。戦後の年月と同じ分を生きてきた僕の実感です。
つまり、世界規模の金融危機に端を発した大不況は。大恐慌の様相を呈しています。経済だけの危機ではなく、新型インフルエンザなどの疫学、さらに天変地異が複合した「世界的な大恐慌」となる。日常の継続性を脅かす異質の危機が同時に進行した大変な時代に来ていると思う。それとともに、これまで自明とされてきた価値観、道義、人間の内面性も崩壊しつつあると考えます。
自民・民主には期待できない
こうした大問題を前に、政府は、「経済不況は底をついた」「経済対策にお金をつぎ込むから景気回復できる」などと能天気なことを言っています。経済危機をまるで「ドリンク剤」のように利用して政権を維持しようとする、最悪の麻生政権です。
ところで、今の日本の政治状況はどうでしょうか。総選挙を前にして、マスコミは、自民と民主両党の選択しかないような報道ぶりです。これは、国民を「錯視」状況に置くものです。小沢さんの辞任を受けて鳩山さんが代表に選出された民主党。僕は民主党は第二自民党だと思っています。日米安保や憲法9条について、自民顔負けの右派の政治家がいっぱいいます。二大政党制というアメリカ的な考えから抜け出せない、自民・民主以外、政治をやる資格が無いような言い分こそ、欧州などの実態を見ても異様です。
次の総選挙で、共産党は大いに議席を伸ばして欲しい。共産党の支持・不支持を問わず、今のだれきった政治に緊張をつくるために、そうした議論が起きてもいいのではないか。
「共産党」という名前は変えて欲しくない。人間の生体の悲鳴が聞こえてくる危機的な状況だからこそ、社会主義を目指す政党として、国民への吸引力を持って欲しいのです。(以上丸写し)
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2009.05.21 | | Comments(4) | Trackback(0) | ・社会評論Ⅱ
