N.1193 「政権交代」ポピュリズムでいいのか?・・・海賊対処法案 参議院 。
タイトル、ちょっと過激かしら?
ソマリア沖への自衛隊派兵を合法化し、以後世界のどこにでも自衛隊を出す恒久法、「壊憲」の「海賊対処」新法案について。これまでも色々書いてきたが、参院での審議も大詰めを迎える。
その違憲性や諸問題については繰り返しを避けるが、ここではそれは法律としても急ごしらえの欠陥商品だということの例を一つ。
例えば、派遣される自衛艦には海賊を逮捕するため逮捕権限をもつ海上保安庁職員を乗り組ませるそうだが、海賊の身柄は48時間後に検察官に、その24時間後には裁判官に送らなければならない。しかし検察官や裁判官が乗船するということにはなっていない。
一体逮捕してどうするというのか。ジブチ・日本間の定期航空路はないので、海賊はヨーロッパ回りの定期航空路か、大金をかけてチャーター便で日本に送るつもりなのだろうか。???・・・という具合だ。
さて、参院では民主党の修正案が提案され、各党持ち帰りで検討中だという。
民主党の基本的な考え方は、「海賊対処に関する民主党の考え方(談話)」に示されている通り。
以下に部分引用しておく。
色々いうが、修正内容は衆院段階と変わらないものだ。民主党は、わが国における海賊対策は、一義的に海上保安庁の責務と考える。そのため、海上保安庁がしかるべく対応できるよう、体制の整備を図る必要がある。海上保安庁のみでは対応が困難な場合は、シビリアン・コントロールを徹底する見地から、国会が関与する等の仕組みを整えた上で、海賊発生海域に自衛隊を派遣することも認める。また、武器使用基準の拡大についても、海上における警察活動であることから、警察官職務執行法に認められた武器使用に加えて、海賊行為を未然に防ぐための危害射撃を行うことも、やむを得ないと考える。
民主党は、わが国周辺を越える海域での海賊対処にあたっては、国際協力の観点からも、海賊対処のための本部を設置し、わが国が持つ海賊対策のノウハウを一元的に集約することで、オール・ジャパンの体制で機動的に活動を行うことが必要と考える。また、対応困難な場合の判断は海上保安庁が行い、国土交通大臣が海賊対処本部の設置を内閣総理大臣に要請する仕組みを整えることで、海上保安庁に説明責任を果たさせ、自衛隊という実力部隊を遠洋にも派遣することから、国会の関与が必須である。以上の認識に立ち、下記6項目について、引き続き、参議院においても政府案の修正を求めていく。
(1)国土交通大臣の要請
・海賊対処は海上保安庁が主体的に取り組むことをより明確化するため、海上保安庁のみでは対応が困難な場合に、国土交通大臣の要請を受けて、本部が対応するよう、規定を整備する。
(2)海賊対処本部の設置
・内閣総理大臣は、国土交通大臣から要請があった場合、海賊対処のための本部を設置し、自衛官らに本部員の身分を併有させ、活動させることとする。
・海賊対処業務を行う場合は実施計画を作成し、実施計画には、①海賊対処隊の設置、②海賊対処業務を行うべき区域及び期間等を定める。
(3)国会の関与
・自衛隊による海賊対処の実施について、国会の事前承認を義務づける。
・実施計画を変更、終了する場合には、国会への報告を義務づける。
(4)国際協力の推進
・国際間における海上警察の連携の促進、関係諸外国の海上警察の能力の向上のための支援等、海賊行為に適切かつ効果的に対処するために必要な国際協力を推進する。
(5)海上保安庁の体制整備
・海上保安庁は、海賊対処にかかる活動を行うために十分な体制の整備を図る。
(6)見直し
・施行後三年を目途に、海賊対処の実施状況に照らして所要の見直しを行う。
それは、国会に事前報告を求めるなどの部分的手直しはあるにしても、自衛隊の海外派兵の拡大容認が前提であり、武器使用範囲の拡大であり、憲法9条をふみにじるものであるという、その本質は自公政府案と何ら変わり無いのである。
参考:NO.1075 民主党の「海賊対策」は、憲法違反の政府案とどこが違う?
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1093.html
残念ながら、民主党はこの件でも徹底的な論戦による抗戦は望めないだろう。
もともと、ソマリア沖派兵は昨年の臨時国会で民主党長島昭久議員が、「現行法の範囲内でもやれる行為ではないか」と自衛隊派兵を迫り、首相が検討を約束したものだから、落としどころは先にあるわけでしょうね。
衆院でやったように、修正を出し表向きは反対ポーズをとりながら、「悪いものだが法案は上げる、だから早く解散して」と採決日程を容認することになるだろう。数では参院優位とは言え、中身がこれでは国民の役に立つ多数とはだろう。衆院で多数になっても、「これではね!」というわけだ。
こうした民主党の事実に目を瞑り、「政権交代」のために民主党批判をするなとは、「政権交代」ポピュリズムであり、思考停止である。民主党主敵で批判するのではない。自公政権を批判しその政治の中身を変えようと思うからこそ、中身で追随するなよ民主党!と批判しているのだ。
民主主義は、自分が言いたいことを言うために他人の発言を遮るものではない。「例え意見が違っても、私はあなたがもの言うことを守る」がその出発点ではなかっただろうか。
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2009.06.05 | | Comments(4) | Trackback(4) | ・ソマリア沖派兵
