NO.1228 菅谷事件は、日本における正義の欠落である。 (ル・モンド紙)
「イル・サンジェルマンの散歩道」・jeanvaljeanさんによると、足利事件がフランスのル・モンド紙で報道されたそうだ。
内容、視点で特筆すべき点はありませんが、こういう事件が報道されること自体、フランス的に見てもよほど異常なのでしょうね。そこら辺のフランス事情が分かると、もっと面白い記事になるんでしょうが・・・。
以下、転載させていただきました。
L'affaire Sugaya expose les failles de la justice au Japon
26.06.09
菅谷事件は、日本における正義の欠落である。
2009年6月26日付
1990年に足利市(日本中部)において4歳の女の子を誘拐し殺した罪で1992年に終身刑を言い渡され、DNA鑑定のやり直しで無罪となった菅谷利和氏は、再審を受けるであろう。 彼は6月4日に釈放された。 日本の裁判制度についての批判が沸き起こるなか、東京高裁は6月23日に再審を命じた。
彼が17年間の拘留を経て釈放されたことは、日本中で大きな感動を呼んだ。 彼が生活をし、幼稚園の送迎バスの運転手として働いていた足利に戻ったときには、彼の周りは報道陣で埋め尽くされた。 彼は、女の子の死体が発見された渡良瀬川の川辺を訪れた。彼は女の子に話しかけ、真犯人を見つけ出すためにあらゆることをすると誓った。 「君と僕は、二人とも犠牲者なんだね。」と付け加えた。
なぜならば菅谷氏は、自分が日本の裁判所によって騙されたと思ったからである。 1991年12月1日に逮捕された彼は、13時間におよぶ尋問を受けて「強要され絶望のうちに」、その日に自白したと読売新聞のインタビューで語っている。 「私は取調官の手を握って、わっと泣き崩れた。」とその日を振り返った。
彼は自白したにもかかわらず、裁判のあいだ無実を訴え続けた。 しかし無駄であった。 彼の自白と、それ以上に犠牲者から採取されたDNAの明晰さを欠く分析が、弁論において彼に不利に働いた。 そして彼の刑は上告審で確認された。
2008年12月新たな遺伝子分析が、女の子から採取されたDNAが菅谷氏のものとは一致しないことを明らかにした。 それで菅谷氏は自由を取り戻した。 痛恨の思いを胸に抱いて。 「17年間のあいだ、私はここを出られる日のことしか考えませんでした。警察と検事は、私に謝らなければいけない。私は決して彼らを許さない。」と監獄を出たときに断言した。
取調官の尋問のやり方も問題になっている。 日本においては、逮捕された者を外部との接触なしに48時間拘留することができる。 検事はこの拘留を24時間延長し、さらに裁判官の同意があれば10日間の拘留を2回更新することを決定する権限をもつ。 尋問は弁護しぬきでおこなわれる。 そしてビデオによる記録は制限されている。 日本弁護士会は、ビデオの活用を求めている。
録音やビデオ録画は、「真実を発見するうえで問題がある」と法務大臣森英介は反論する。 ところで日本では、得られた自白は有罪を決めるための基礎的な部分を構成する。 有罪判決の割合は、フランスの70%強にたいし、99%を超える。
しかし菅谷氏に下される新たな判決は、法的手続きについてすべてを細部から再検討する契機とはならないであろう。 「法廷において自分たちの過失を認めようとしないかぎり、世間の信頼を取り戻すことはできない。」と朝日新聞は遺憾の言葉を述べている。 日本は5月末に、裁判員制度を発足させる。朝日新聞は司法の過失の原因を調査することを目的とする機関の設置を求めている。
フィリップ・メスメール東京特派員
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2009.07.01 | | Comments(2) | Trackback(0) | ・社会評論Ⅱ
