NO.1278 問われているのは 「日本の方向」 総選挙の争点は 「政権の選択」 ではない (NPJ通信より)
これはメディア論であり、メディア批判です。
メディアへの批判は即ち主権者国民への警鐘であり問いかけでもあります。
福岡で豪雨災害が起きています。箱崎宮の夏越祭り、昨日は最後に大雨。本日は豪雨の中、出店は中止し撤収作業。12時に撤収した後、雨が上がり晴れ間も出ましたが、今夜から明朝にかけてまた豪雨になるとか。福岡県は全域に非難勧告が出されていました。心配です。
私はかねてより「政権交代」が目的ではなく、どういう政治の中身に変えるのかが問題だと主張してきました。
いよいよ総選挙が始まり、民主党の大勝が予想される中で、その政策路線の「現実路線」化を心配する声は小さくない。「現実路線」は、多少の色合いは違おうともその基本においては現実容認、自民党政治への迎合であり、顔を変えた継承に他なりません。
一体、新自由主義・構造改革路線の政策即ち、財界・大企業本位の政治を根本的に転換するのかどうなのか。アメリカ言いなりの外交を続けるのかどうなのか。憲法は変えるのかどうなのか。消費税は増税するのかどうなのか・・・。自民党政治の基本的な中身をどうするのかこそが問われなければならないのではないでしょうか。
しかし、メディアはその「不安」を検証することもなく相変わらず、「政権交代選挙」「自民か民主か」という報道姿勢です。劣化したメディアは、自ら「郵政選挙の反省」は口にするものの、小声の口先だけで、その報道姿勢には全く進歩がうかがえない現状です。
私なんぞが云々するよりも、ここにすっきりした論者がいました。紹介します。
関東学院大学教授・日本ジャーナリスト会議の丸山 重威 (まるやま しげたけ)氏の小論です。
【マスメディアをどう読むか】
◎問われているのは 「日本の方向」
総選挙の争点は 「政権の選択」 ではない
・・・メディアは、選挙はいつか、自民党と民主党とどちらが勝つか、と政治家の言動を追い続けた。
日本の政治もマスメディアも、問題の捉え方は皮相的で、薄っぺらなものでしかなかった。どちらの問題にも、関心が薄く、無気力、無感動で、積極的な行動は起こせないでいるのではないだろうか。
いま、問われているのは、「政権選択」 ではない。「この日本をどうするか」 であり、「日本の方向をどこに見定めるか」 である。
報道は 「政権選択の面白さ」 に溺れてはならない。本当の豊かさとは何か、平和とは何か、日本はアジアで何をすべきなのか。メディアがそれを語らなくて、国民の豊かな政治参加などあり得ない。メディアの言説が力を持つためにも、そうした真摯な分析と思索、それに基づく提起こそが求められているのではないだろうか。(部分引用)
主権者国民の賢明な選択こそが、自民党政治を転換し新しい日本の進路を切り開くでしょう。
ズバリ!溜飲が下がるような、思わずひざを叩きたくなるような・・・、”続きを読む”でぜひとも一読をお薦めします。
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【マスメディアをどう読むか】
関東学院大学教授・日本ジャーナリスト会議
丸山 重威 (まるやま しげたけ)
◎問われているのは 「日本の方向」
総選挙の争点は 「政権の選択」 ではない
衆議院が解散し、事実上の選挙戦が始まった。メディアが一様に合唱しているのは、「政権交代、成るか否か」。「いよいよ政権交代がある二大政党時代が来た」 などという議論もあって、あたかも世の中は、自民党と民主党以外にはないような語り方だ。おまけに、自民党を抜けた平沼赳夫、渡辺喜美氏らを 「第3の極」 などと持ち上げ、問題の焦点を逸らしている。
しかし、今回の選挙で本当の焦点になるのは、小泉、安倍、福田、麻生と積み重ねてきた自民党の極端な新自由主義構造改革路線と、明文改憲と解釈改憲に両股をかけた、自衛隊の海外派遣恒久化、軍事力強化の米国追随路線を続けるのか、これを変えるのか、の選択である。その意味で、自民・公明政権が、民主党政権になってどう変わるかの道筋は明らかではない。
▼鳩山・福島論争はどうなるのか
いよいよ政権が近づいてくると、民主党の政策は揺らぎ始めた。というより、元々の地金が出てきただけだとも言えるのだが、憲法や軍事・外交問題では、その地金が次第に表れ、のっぴきならない事態に陥るのではないだろうか。
7月18日、民主党の鳩山由紀夫代表は、高松市での記者会見でテロ特措法以来のインド洋の給油活動に関し、「他の国とのかかわりもあり、政権をとってすぐストップするのは難しい」 と述べ、給油について当面継続の方針を表明した。政権交代でアフガニスタンやイラクから軍隊を引き上げたのは、スペイン、オーストラリアなど別に珍しい話ではない。「他国とのかかわり」 などあるはずもないのだが、こう述べた。
鳩山氏は14日には 「核密約」 に関連して、「北朝鮮の問題も含めて必要性があったからこそ、現実的な対応がなされてきた」 と述べ、「持ち込み容認」 の姿勢を示している。
これに対し、民主党と 「選挙協力」 する社民党の福島瑞穂氏は、同じ18日、沖縄県沖縄市での記者会見で、「野党として給油活動に反対したのに、政権が近くなったから考えを変えるのはおかしい。民主党のぶれは看過できない」 と強く批判。核持ち込みの日米密約についての鳩山発言にも 「許せない発言だ。密約を肯定するなら、自民党とどこが違うのか」 と批判した。
だが、そんな議論は 「どこ吹く風」。民主党は7月23日の 「09年版政策集」 では 「インド洋給油の終了」 を削り、原案になかった 「国連安保理決議にもとづく貨物検査の実施」 を明記、原案で 「抜本的な改定に着手する」 としていた日米地位協定について、「改定を提起」 に和らげた、「穏当な表現」 だそうだが、本当に自民党とどこが違うのだろうか。
▼一体「改憲」はどうするのか
もともと鳩山由紀夫氏は、2005年に 「新憲法試案 尊厳ある日本を創る」 を出版。「天皇を元首とする」 「自衛軍を保持する」 などと明記した独自の改憲試案を示している。昨年3月には、改憲派議員でつくる 「新憲法制定議員同盟」 の顧問に就任した。おまけに、ことし3月11日付の自身のメールマガジン 「はあと通信」 第10号 (通算第389号) では、「政局が安定しない限り憲法の議論を落ち着いて出来ない」 「早く政権交代を実現させ、憲法の議論も可能になるような安定政局を作り出さなければなりません」 と政権交代による改憲論議の促進を主張している。 (参照)
前日の 「鳩山友愛塾」 一期生の卒塾式で、「時代に相応 (ふさわ) しい憲法を創ることは急務」 などと述べたのだそうで、これは穏やかな発言ではない。少なくとも、かつての自民党の党首が 「党是」 を持ちつつ改憲には慎重だったように、せめて 「私は憲法改正論者ではあるが、当面、私の政権では政治課題にしない」 くらいの発言をしないと、政権交代論者であっても、支持には二の足を踏むのではないだろうか。
ここはどうあっても、社民・共産両党が躍進して、この改憲・対米従属路線に歯止めを掛けなければ、かえってひどいことになるだろう。
▼新自由主義・構造改革との決別、少数意見の尊重は?
もう一つ重要な課題は、小泉構造改革の思想的な柱である格差是認、市場優先、民営化推進、「小さな政府」 論の新自由主義と決別し、国民生活優先の政策を進めることができるかどうか、である。
いま、民主党は1人月額2万6000円の 「子ども手当」、公立高校授業料の無料化、私立高校授業料分補助、農業の 「戸別所得補償制度」 の創設などの政策を掲げ、「生活重視」 の路線をアピールしているが、一方で、「国家公務員の総人件費2割以上削減」 「衆院比例定数を80人削減」 などと主張している。
しかし、これはどうだろうか。行きすぎた規制緩和によって多くの問題が噴出し、適正な規制が必要なときに、必要なのは公務員いじめや少数党いじめではない。行われなければならないのは、例えば 「自衛隊の縮小」 や 「防衛計画の再検討」 であり、「土建中心の公共事業から福祉、環境のための公共事業への転換」 ではないのか。
特に、議員定数、それも小選挙区ではなく比例区の削減は、「経費節減」 ではなく、「少数党の抹殺」 という、民意を反映しなければならない民主主義政治の根本問題への挑戦だ。
小選挙区制になってから、投票率と議席獲得率との乖離はますますひどくなり、党首討論など、少数党は発言する機会さえ奪われている状況にある。
比例区の人数をこれ以上削減するいという主張は、自民・民主の二大政党さえあればいいという、少数派無視、言い換えれば 「共産、社民振り落とし政策」 そのもの。価値観も国民意識も多様化している現在、全く非民主主義的な方向といわざるを得ない。
▼「政権選択の面白さ」に溺れるな
昨年9月、福田康夫首相が政権を投げ出し、「選挙の顔」 とされた麻生太郎氏が政権の座について10カ月。メディアは、選挙はいつか、自民党と民主党とどちらが勝つか、と政治家の言動を追い続けた。
それをいいことに、麻生政権は、金融経済危機をいいことに解散総選挙を先延ばしし続け、政権に座り続けた。「少しでも有利な解散を」 と求めたのは、自・公だけではなく、民主党も同じだった。基本線より、国会戦術に傾いた行動も少なくなかった。
そんな中で、日本の政界全体が、世界の状況に無頓着だった。
世界経済の危機が実は、資本主義そのものを問い、「新自由主義の黄昏」 といわれる世界史的状況にあることの本当の意味をどう理解したのだろうか。そこからどんな教訓を引き出そうと考えたのか。
「チェンジ」 を合い言葉に 「敵対国とも対話する」 と述べ、「核廃絶の先頭に立つ」 と語ったオバマ新大統領が、これからの世界をどう変えていくのか、そこに日本がどう絡めばいいと考えるのか。
日本の政治もマスメディアも、問題の捉え方は皮相的で、薄っぺらなものでしかなかった。どちらの問題にも、関心が薄く、無気力、無感動で、積極的な行動は起こせないでいるのではないだろうか。
いま、問われているのは、「政権選択」 ではない。「この日本をどうするか」 であり、「日本の方向をどこに見定めるか」 である。
報道は 「政権選択の面白さ」 に溺れてはならない。本当の豊かさとは何か、平和とは何か、日本はアジアで何をすべきなのか。メディアがそれを語らなくて、国民の豊かな政治参加などあり得ない。メディアの言説が力を持つためにも、そうした真摯な分析と思索、それに基づく提起こそが求められているのではないだろうか。
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2009.07.26 | | Comments(3) | Trackback(1) | ・2009総選挙Ⅱ
