NO.1346 選挙がオセロゲームでいいわけないっしょ!! 上から読んでも下から読んでも「ギインゲンイギ」 比例定数の削減は論外!
NPJのトップページ欄外に「ギインゲンイギ」という回文がある。
「議員減 異議!」 衆議院の比例定数削減は、民主主義を破壊する!
ということで、今日は「選挙がオセロゲームでいいわけは無いでしょう。」という話です。
長くなるので、貼り付け・紹介だけ。
メディアの反応は極めて心許ない中、淡々とした論調ながら正論の地方紙がありました。全文転載しておきます。
民意の反映 比例削減に反対する (信濃毎日 社説 9/2)
あらためて変動の大きさに驚く。衆院選の結果は、民主党と自民党の議席の差が4年前の「郵政選挙」とまったく逆の形になった。
小選挙区制の特徴である。勝ち負けがくっきりした形で現れた。
結果的に国民が直接、首相を選んだことになった。1票の重さを実感できた選挙ではある。
けれども、正確に民意が反映されたのか、疑問も残る。
小選挙区で民主党の総得票は、自民党の1・2倍だった。これに対して、当選者は3・5倍にもなっている。1票でも多い方が当選し、負けた方はすべて「死に票」になったためだ。
小選挙区制は、どうしても大政党に有利になる。そこで少数意見もくみ取れるようにするため、比例代表制が組み合わされている。
しかし、これがきちんと機能したとは言い難い。
比例代表全体で政党別の得票率と議席の割合を比べると、民主党と自民党は得票率よりもやや多くの議席を得ている。逆に共産党や社民党は少ない。比例代表は各党の得票数に応じて議席が割り当てられるとはいえ、11ブロックに分かれていて、少数政党に死に票が出やすいためだ。
民主党はマニフェスト(政権公約)で「小選挙区選挙をより重視する観点から、180の比例議席を100に削減する」と訴えた。
政権選択の可能な選挙を実現するため-というのだが、いまの制度でも政権交代ができることは、すでに実証された。
もはや比例定数の削減は無用である。むしろ、多くの死に票が出て、正確に民意を反映できない弊害を真剣に考えるべきだ。
自民党も「次回の総選挙から総定数の1割以上を削減する」と掲げていた。これも多様な民意の反映に逆行する。
定数削減が歳費節減につながるというのなら、議員年金の支給を完全にやめにしたり、政党助成金を見直したりする方が効果的ではないか。
比例代表の近畿、東海ブロックでは、候補者が足りないなどで、他の政党に4議席が移った。
有権者の意思をゆがめる、との指摘がある。不足分は欠員にするといった次善の策が考えられる。
小選挙区で落選した候補が比例代表で復活する重複立候補の是非も、当初から指摘される課題である。1票の格差の問題もある。
選挙制度は、民意をより正確に反映できる形が望ましい。国会で論議を深めたい。
630おじさんの学習帳さんから、コメントいただいた。
迫り来るハトマンダー3世の恐怖
民主党が言うように比例を80削減し100にすると、今回の得票数をもとに独自試算によると、

民主 276 自民 99 公明 99 共産 4 みんな 4 社民 3 国民 3 ・・・となるそうだ。
民主が優に3分の2の266を超えることになる!ようだ。
で、「ハトマンダー」って「ナンナンダー」とお思いの方は以下の解説を。
◎ゲリマンダー
1812年美国(アメリカ)、マサチューセッツ州知事エルブリッジ・ゲリーが次の選挙で自分たちが勝てるように好き勝手に選挙区を改定しました。その地図を見た新聞記者が四本足を描き足すと、その図形は山椒魚(英語でサラマンダー)によく似ていました。編集長が叫んだんだそうです。「ゲリマンダーだ!」。このことから、自分たちに有利に選挙区を改定することや身勝手な選挙操作をすることをゲリマンダーというようになりました。
◎床マンダー(床次竹二郎=とこなみ・たけじろう)
1928年、新党倶楽部の床次は政友会と図って、衆議院議員選挙法改正案を提出しました。これは実現したばかりの中選挙区制を小選挙区制に戻そうという内容で、この企みは民政党や無産政党から「床マンダー」と呼ばれ激しい抵抗を受け失敗しました。
◎ハトマンダー(第3次鳩山一郎内閣)
1956年、第3次鳩山一郎内閣は、477区中、2人区を20区設けたり飛び地を設けるなど露骨な選挙区割りの小選挙区制を提案し、憲法改悪を図りました。自陣営の自民党からも旧民主党寄りであるとして反対され、衆議院で修正の上可決したものの、参議院で審議未了で廃案に追い込まれました。
◎カクマンダー(第2次田中角栄内閣)
1973年、第2次田中角栄内閣が提案した小選挙区比例代表並立制は一票制で、直前の選挙で大敗した自民党に極端に有利な制度でした。、狭い選挙区での候補者への投票がそのまま比例区での政党票に配分にされるのでは、比較第一党に利するのは自明の理です。野党の抵抗で、閣議段階で断念に追い込みました。
◎ハトマンダー3世
2009年第45回衆議院選挙に於いて、民主党はマニュフェストに衆議院比例代表部分の定数(現行180)を80議席減らすことを記載しました。これはただでさえ民意を正確に反映していない小選挙区比例代表並立制の比例的性格をさらに弱める、まさしく多数党に都合の良い身勝手な選挙操作です。政権交代可能な二大政党を醸成するという大義名分があるけれど、腐敗した二大政党が政権を盥回し(たらいまわし)を始めたら、第三第四の政党が一度の選挙で突如として第一党に躍り出る以外、永遠にそのシステムから抜け出すことができなくなります。比較多数に傾斜的に有利な制度では、政治の民主的進歩の道が閉ざされてしまいます。
「床マンダー」は知らなんだあ。
「カクマンダー」は、直接経験して記憶に新しい。とはいっても40年近く前の学生時代でしたが、
学生自治会で小選挙区制粉砕中央連絡会議(当時は公明党までも入っていた)に結集し、見事に粉砕したものでした。 以来、奴らは常に党略的な選挙法の改悪による民意締め出しをねらい、今日に至ったわけです。
ハトマンダー3世、絶対に阻止しなければなりませんね。
次は、米国からの便りさんの、ドイツの選挙制度なら日本共産党の議席は37議席より。
OECD加盟国の選挙制度
【比例代表制】(19)
アイスランド・アイルランド・イタリア・オーストリア・オランダ
ギリシャ・スイス・スウェーデン・スペイン・スロバキア
チェコ・デンマーク・トルコ・ノルウェー・フィンランド
ベルギー・ポーランド・ポルトガル・ルクセンブルク
【小選挙区比例代表併用制】(2)
ドイツ・ニュージーランド
【小選挙区比例代表並立制】(4)
韓国・日本・ハンガリー・メキシコ
【小選挙区制】(5)
アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダ・フランス
ブログ時評さんの、ドイツ総選挙と比べながら考えたは、ドイツの小選挙区比例代表併用性と日本の比例代表並立制の違いと、ドイツ型での試算を紹介しています。以下、部分引用。
◆ドイツ式に計算した総選挙の議席数◆
自民 民主 公明 共産 社民 反郵政 合計
北海道 7 8 2 2 1 0 20
東北 17 13 5 2 3 2 42
北関東 27 16 7 4 2 3 59
南関東 28 16 7 4 3 2 60
東京 23 12 5 4 2 2 48
北陸信越 13 10 3 2 2 2 32
東海 21 19 7 3 2 2 54
近畿 34 22 12 8 4 3 83
中国 16 9 5 2 2 2 36
四国 11 6 3 2 1 1 24
九州 25 17 9 4 5 8 68
合計 222 148 65 37 27 27 526
ドイツでも日本のように有権者一人で2票を入れる。「第1票は小選挙区の候補者に、第2票は各州単位でつくられた政党の候補者名簿に対して」である。連邦議会の定数は598で、その半分が小選挙区から、残り半分が政党候補者名簿から選出される。日本と違うのは、各政党の獲得議席の大枠は第2票による比例代表選挙で決まってしまい、16ある州別に議席は算出される。日本の「ドント方式」ではなく「ヘア・ニーマイアー方式」で、これは議席数を計算して整数部分で足りない分を補充するのに、小数点以下が大きい党から順に繰り入れる仕組み。ただし、小選挙区の当選者を最初に「当選」と認定する約束なので、州別に比例配分した議席数よりも多くの小選挙区当選者を持つ党が出てくる。「超過議席」と呼ばれ、この当選も有効になるから、選挙が終わってみると議会定数以上の当選者が出ることになる。
Cityscape Blogさんの、民意を歪めてまで安定政権をつくるのかより。
ドイツの併用制を、安定政権にならずに混乱状態を招く悪い制度という指摘もあるようだが、民意を歪めてつくる安定政権とは一体何なのか。民意を正確に反映させない選挙など、選挙といえるのだろうか。単純小選挙区制のような、極端に民意を歪める制度は、少なくとも日本国憲法に違反しているだろう。
議院内閣制で単純小選挙区制を使用しているのはイギリスとカナダだけであるし、小選挙区制主体の並立制もイタリアだけで、少数派である。ヨーロッパの多くの国は比例代表中心の選挙制度であり、比例代表中心でもドイツの併用制のように、小選挙区制をとりいれて、顔の見える選挙にする方法もある。
比例代表制に対する批判の多くは的はずれで、間違った俗説に過ぎない。
最後にたかしズムさんの、さらに選挙制度についてのまとめを。
・・・しかるに現在民主党と自民党は、この不公平な日本の選挙制度の中でも「比較的公平な」部分である比例部分を何と!80議席も「削減」しようと目論んでいるのだ。「税金の無駄遣いをなくす」を口実に国民をだまし、民主主義の根幹に係わる選挙制度を歪めることは、取り返しのつかない結果をもたらす。考えても見よう。歪んだ選挙制度で多数を得た政党が、自らの手で自分の都合のよいように選挙制度を次々に変えていったら、行き着く先は独裁政治に決まっているではないか。
以上、他人のフンドシでしたが、有意義なものは紹介するということで、ご勘弁を。
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テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済
2009.09.03 | | Comments(2) | Trackback(9) | ・小選挙区制・国会議員定数削減問題Ⅰ
