NO.1355 「国家戦略局」を考える。
民主党が掲げる「国家戦略局」が、テレビで話題になっている。
近年の自民党政治の手法は、諮問会議政治とでも言うべき・・・経団連の代表や御用学者からなる経済財政諮問会議や規制改革会議の諮問や答申を受け、そこで実質的に政治の中身が決まる・・・ものだった。
自民党などは、「最終的には総理と担当の閣僚など政治家が決めてきた。」というがそれは形式的でしかなかった。
民主党の目玉政策、「国家戦略局」について考えてみたい。
保坂展人のどこどこ日記によると、9日、政権合意ができた段階でも、
「次第にわかってきたのは「国家戦略局」の具体像はまだ固まっていないか、あるいは「極秘」だということである。社民党に国家戦略局について説明をするようなことはまだ出来ないということであり、民主党から届いたペーパーにも「準備室」は内閣官房副長官の下に置くことになっている。これは、戦略担当大臣の間違いではないかとも思ったが、まずは法的根拠もない段階では、比較的小規模な準備室を置くということしか決まっていないように受け止めた。」
ということのようだ。
以上のように、それはまだ具体的でないので、一般的論になるということをお断りした上で述べたい。
岡田克也幹事長は、「民間から集めた人、党の職員とかで戦略局の中身をつくる」と説明している。
枠組みとかシステムももちろん大事だが、中身が国民の要求や立場にそったものになるかどうかということが一番大事だろう。
枠組みとかシステムという問題でいえば民主党の「国家戦略局」は何も新しいものではない。
かつてから、財界が似たような提言をしてきている。
経済同友会は、「中央政府の再設計」(2007年04月09日)で、以下のように。
4.3 「国家戦略本部」の新設による内閣機能の新定義
・・・現内閣官房を改組し、「国家戦略本部」として新組織を創設する。首相の諮問機関で
ある経済財政諮問会議は、「国家戦略本部」内に設置する。現内閣官房の機能に加え、
外交戦略、経済成長戦略、安全・安心生活戦略などの重要な国家戦略(外政・内政)を
担う機能については各省庁から移行し、組織横断的に企画立案・調整が可能な組織と
して位置づける。
重要かつ横断的な戦略組織にはテーマ別戦略大臣を置く。また、各省庁から移行し
た機能の当該局長以上はすべて転籍させる。必要なスタッフもまた、「国家戦略本部」
に集約させる。
よって、「国家戦略本部」の幹部およびスタッフは原則として政治任用とし、官民問わ
ず優れた人材を結集できるような仕組みを構築する。
これにより、「国家戦略本部」が国家戦略の企画・立案部門を、各省庁は戦略執行部
門を担うという役割・機能を明確にする。
日本経団連は、 「わが国の基本問題を考える」(2005年1月18日)で以下のように。
2、内閣府機能の強化と省庁縦割りの排除
・・・内閣府は各省庁からの人材で構成され、また、予算配分権限がないため、最終的な政策執行の段階で従来型の各省庁別の政策に陥りがちであり、期待された総合調整機能は未だ十分に機能するには至っていない。従って、例えば、総合的な安全保障に係る分野など、省庁横断的な対応が必要とされる重要分野については、政策の企画立案から予算要求に至るまで、総合的な観点から内閣府が政策執行できるような体制を整え、総理が掲げる政策方針を機動的に実現し得る仕組みを強化すべきである。
これらは、民主党の「国家戦略局」と、システムとしては大した違いがあるだろうか。
財界・大企業は、このようなシステムで、自らの要求に沿う政治が、もっと効率的に行われると見て提言をしてきたのである。
現在でも自公政権は70人くらいの政治家が行政の側に出ている。「国家戦略局」では100人にするという。これだと人数が増えたらうまくいくかと言う疑問がある。
諮問会議政治の実態は、経済財政諮問会議も規制改革会議も、経団連の代表や、政府の御用学者らを中心に動かされてきたのが実態だ。
さらに、アメリカから毎年出される「年次改革要望書」。
「郵政民営化」も、「年次改革要望書」に基づくアメリカの要求であり、ブッシュと小泉の会談でも話になって、アメリカ側がまるで日本を「属国」扱いするようなやり方で、押し付けてきたものだ。こうしたやり方をやめて、日本が自主的に考えて、アメリカの言いなりにならないという立場が必要だろう。
ここでも、システム以前に(私はシステムそのものの是非はまだよくわからないが)、財界にも堂々とものを言えるか、アメリカにも堂々と自主的な立場でものを言えるか、・・・政治の基本的立場が問われているのではないか。
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2009.09.09 | | Comments(2) | Trackback(3) | ・民主党政権批判Ⅰ
