NO.1364 「自殺予防週間」・・・自殺予防は新政権の大きな課題・試金石
10日は世界保健機関(WHO)が提唱する「世界自殺予防デー」だった。
そして9月10日から16日までが、日本の「自殺予防週間」。
しかし、メディアも含めて世間の関心は高くないようだ。慣れっこになってしまったのか・・・?
最近は個々の自殺もニュースにはならない。デリケートな部分やプライバシー保護の問題も分かる。
自殺は警察が一次情報を握り、政府がその情報を管理しており、まずいちいち警察が発表しないことがニュースにならない原因だと聞いたことがある。・・・まあ、1日100人近くともなれば・・・。
身近に思えば・・・
幸いにして、私の身の回りで自殺が起きたことはない。
知人の息子さんが自殺をほのめかし連絡が取れないということで、消息を探し現場に駆けつけた経験はある。幸い未遂に終わり、駆けつけたときはアパートにぽつんと一人でいた。
「海まで行ったが死に切れなかった・・・」、と。
息詰まるとはこのことかと思う体験だった。
大学で進級・卒業が出来なくなり、その他の事情もあり、「親に申し訳ない」と追い込まれたのがその原因のようだった。
「なんだ、それくらいのこと」と思うかもしれないが、本人にとっては、複雑で様々な作用が働き、そういうこともありうるものだ。
私も、思い当たる節がある。
学生のころ、留年し、ほんとに「親に申し訳ない」と思い、「留年するのは親にとっては計算外だから、
この1年は自分のことは忘れてくれ」と、手紙を書いたことがあった。兄から、「お母ちゃんが泣きよった。バカなことを言うんじゃない!」と、電話で叱られたことを思い出す。
貧乏なのに、離農までして現金を稼ぐために、両親が身を粉にして働き、4人の兄弟のうち私だけ1人を大学に行かせてくれた。こんな事情もあったり、こんな思いもしたりしが、どうしても大学で勉強する意味が分からず、寮に引きこもり大学には行かずに留年した時だった。ほんとに申し訳がなく、消え入りたい気分だった。
・・・幸い、私には心を許せるたくさんの友がいた。
今思えば、他愛も無いような「何だそんな事で・・・」ということだろうが、本人にとっては深刻だった。
自殺の原因・要因は単純ではない事は明らかだが・・・。
2008年の日本の自殺者は3万2249人にのぼり、11年連続で3万人を超えている。今年も1~7月で1万9859人(暫定値)に上り、統計開始以降最悪だった03年(3万4427人)に迫り、過去最悪になりかねないと心配されている。
政府の「取り組み」も効果なし
世界保健機関(WHO)は、自殺は「自殺する個人」の問題ではなく、「自殺する個人を取り巻く社会」の問題だと指摘し、「その多くは予防可能な公衆衛生上の問題」だと提起している。
これを受けて、2006年10月には日本でも自殺対策基本法が施行され、「自殺は、個人的な問題としてのみとらえるべきものではなく、その背景に様々な社会的要因があることを踏まえ、総合的な対策を早急に確立すべき時期にあります。」と謳っている。
さらに、2007年6月には、政府が推進すべき自殺対策の指針として「自殺総合対策大綱」が決定された。
この大綱は、「社会的な取組により自殺は防ぐことができるということを明確に打ち出すとともに、うつ病対策と併せ、働き方を見直したり、何度でも再チャレンジできる社会を創り上げて行くなど、社会的要因も踏まえ、総合的に取り組むこと」としている。
そして、毎年、9月10日からの一週間、自殺予防週間を設けているのである。
自殺対策を推進するためには、自殺について、誤解や偏見をなくし、正しい知識を普及啓発することが重要です。このため、平成19年6月に閣議決定された「自殺総合対策大綱」において、「9月10日の世界自殺予防デーに因んで、毎年、9月10日からの一週間を「自殺予防週間」として設定し、国、地方公共団体が連携して、幅広い国民の参加による啓発活動を強力に推進」することとされました。
しかし、この期間中も自殺に関する関心が高くなっている様子は寡聞にして知らない。
そして、何よりも政府の自殺対策は、功を奏しているとは言えない状況だ。
自殺が減らないのは一体なぜだろう。
自殺の原因・要因は必ずしも単純ではないし、私は「自殺総合対策大綱」が示す、「3つの基本認識」や「6つの基本的考え方」、「当面の重点施策(9項目)」などを否定したり軽視するものでもない。
しかしこれらのキャンペーンや啓発・相談活動より以前に、現実に人々が生きるこの国の社会や政治がどうなっているかが問題だと思う。
WHOの「自殺は社会問題」だという立場は、一人ひとりの自殺を考えるうえでも、それをとりまく政治と社会のあり方を問うているのである。社会のあり方によっては予防もできるというのがWHOの考え方だ。
世界的にみても異常な「自殺大国」(人口当たりの自殺率は、先進国の中でもイタリア、イギリスの3倍以上、アメリカ、カナダの2倍以上・・・)の政府の役割と責任は大きいと言わなければならないだろう。
成果が上がらない象徴的な政府の姿勢が、記憶に新しい、この発言。
■NO.1261 自殺は社会問題じゃなく遺伝の問題? 「自殺にはDNAが関係」 鳩山邦夫前総務相
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1190.html
自殺が減るどころか増えてきたのは、こういう認識の自公政権が、「健康問題」や「経済・生活問題」といった自殺の主要な要因を解決するどころか、その不安を大きくしてきたことに原因があると言い切っていいだろう。
政治の責任が問われている
さて、9月16日で「自殺予防週間」が終わる。
その日は、民社国の新政権誕生の日となる。
新政権の政策は、自殺の予防に寄与できるか、自殺者の減少に転じることが出来るか・・・大きな試金石となる。
後期高齢者医療制度や高い医療費問題、・・・健康不安に対して安心して医療をうけれれるようにする。雇用問題の改善で安心して働き暮せるようにできるか?教育費を気にせず、安心し学び子どもを育てるる仕組みは?障害を持つ人たちの安心は?・・・こうした一つ一つの国民の暮らしや福祉を守る政策を、国民自身の参加で実現しなければならない。
新政権がすぐに全ての政策を実行することは出来ないにしても、国民が「希望」を見出せる政治の大きく舵が切れるか。
そこにこそが、自殺を予防しなくす決定的な政治の役割があるだろう。
以下、「日本共産党の基本政策」も参考にどうぞ。↓”続きを読む”へ。
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http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
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自殺防止に全力を尽くし、自殺者をつくりださない社会をめざします
http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/syuuin/bunya/bunya_27.html
2008年の日本の自殺者は3万2249人にのぼり、11年連続で3万人を突破しました。09年も、6月までのすべての月で前年を上回る自殺者が出ており、今年は過去最悪になりかねないとの指摘もあります。
1人の自殺者の周りには、その10倍にも及ぶ自殺未遂者がいると指摘されています。日本のどこかで、1日あたり90人もの人が自殺をしていることになり、1000人近い人が自殺をしようとしていることになります。自殺問題は、なによりも本人や家族にとって痛ましいことであるとともに、社会にとっても重大な問題です。現状のまま放置することは、絶対に許されません。
日本の自殺問題は、世界的にみても、いくつかのきわだった異常な特徴があります。1つは、自殺率が主要な先進国のなかで最悪であり、世界的にみても最高水準になっていることです。10万人あたりの日本の自殺者は24.0人で、これは主要7カ国のなかでは突出した比率です(他の主要国は、フランス18.0人、ドイツ13.0人、カナダ11.6人、アメリカ11.0人、イタリア7.1人、イギリス7.0人)。世界的にも日本は9番目に自殺率が高い国となっています。
2つ目の特徴は、高齢者と働き盛りの中高年の自殺者が異常に多いことです。07年の自殺者のうち、60歳以上は36.6%とほぼ4割に達しました。家庭でも職場でも中心的な存在であり、働き盛りであるはずの40、50代の自殺者は、全体の36.7%にのぼっています。
第3は、20代、30代の死因のトップが自殺になっていることです。ここにはインターネットを通じて「自殺仲間」を募り決行する「インターネット自殺」とともに、社会的疎外感からの自殺などがあると指摘されています。
世界保健機関(WHO)は、自殺は「自殺する個人」の問題ではなく、「自殺する個人を取り巻く社会」の問題だと指摘し、「その多くは予防可能な公衆衛生上の問題」だと提起しています。一人ひとりの自殺を考えるうえでも、それをとりまく政治と社会のあり方を問う必要があるし、社会のあり方によっては予防もできるというのがWHOの立場です。とりわけ、日本が世界的にみても異常に高い「自殺大国」であるだけに、このことは正面から考える必要があります。
日本では、自殺の原因・動機では、「健康問題」(44%)がトップで、ついで「経済・生活問題」(22%)となっています(1人の自殺の動機には、複数の原因・理由があるとされています)。ここには、人が人として大切にされない社会、「人間に冷たい社会」という日本のこんにちの姿が反映しています。この背景にあるのが、長く続いてきた大企業中心、アメリカいいなりの政治です。人びとの社会的な連帯が阻まれていることも大きな問題です。
自殺を誘発しかねない「社会的要因」をとりのぞくためにも、「人間に温かい社会」に変え、それに必要な施策をすすめることが重要です。そのために政治と行政ができることは無数にあります。なによりも、まず、この間の「貧困と格差」を拡大してきた路線を根本的に転換し、社会保障や医療制度を改悪してきた政策を改める必要があります。
日本共産党は、当面、以下のような施策をただちに実行に移していくことを求めます。
――不安定雇用の急速な拡大に歯止めをかけ、非正社員の権利を守る。長時間・過密労働やサービス残業を根絶する。
――大企業による下請けいじめや身勝手を規制し、中小企業の経営を守るルールを確立する。
――年金・介護・医療など社会保障の負担増、サービス切り捨てをやめ、社会保障を予算の主役にすえる。生活保護が必要な人には、無条件で保障するようにする。
――競争と管理の教育から、子どもの発達と成長を中心にすえた教育に転換する。
(以上部分転載。全文はリンク先でどうぞ。)
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2009.09.14 | | Comments(2) | Trackback(6) | ・民主党政権批判Ⅰ
