NO.1373 福祉労働の成果は、仲間(利用者)の「いきいき」に集中的に表現される (歩み 31)
(歩み 31)
今日は窯焚きで明日未明まで残業です。(いや、深夜で終わりそう)
おお~い、誰か、差し入れもって来てくれ~~~、なんちゃって。
そこで、久しぶりに「陶友の歩み」を再開し、続編を書こうかなと思います。
そろそろ退職に向けての心の整理・・・という訳でもありませんが(笑)。
・・・で、今日は逃げ出したいほど辛かった時期。(これじゃ、陶友の歴史じゃなく友さんの歴史か!笑)
陶友は、1992年に無認可作業所(法外の任意の施設)としてスタートし、95年にひかり作業所の「分場」として認可施設(知的障害者福祉法に基づく授産施設)となりました。
カテゴリー「陶友の歩みと出会いⅠ」では、やっと認可に到達するまでの3年間の歩みを振り返りました。
その後の歴史は、大きく3つに分けられます。
陶芸だけやっていた時代から紙漉き班を作るまでと、次に食品班を作り3班体制になるまで、そして自立支援法により新しい事業体系に移る時代です。
ま、公式な記録ではありませんので、率直に振り返りつつ、かなり主観的な体験談としてまとめていきたいと思います。
ということで、先ずは認可初期。
希望に満ちた船出、前途洋々?で書きましたが、認可して仲間が増えるとともに、混乱に突入しました。情けなや、全くの予想外でした。(後で考えれば、15名もの仲間を陶芸班一つで受け止めるのがいかに無謀かは当たり前のことですが・・・。勿論、新しい作業班を作ることの必用は認識していたのは当然ですが、体制ができていなかった。それは当時の障害者支援のための社会資源の整備の遅れという事情との関連もありました。この辺は、また別項で書きたいと思います。)
新しい作業と仲間集団をつくること
そこでの課題は、新しい作業を開拓し集団を分けて小さくすること。
箱折の下請け作業や色々な試行を繰り返し、紙漉き班を確立するまでには、実に2年を要しました。
この2年間が、私にとっては精神的に一番辛い時期でした。
自分がやっていること、自分自身が信頼されない・・・。
まあ、こんなつらい事はありませんね。
仲間たちが落ち着かず、生き生きしないわけですから、当然新しい親御さん達には不信を買います。陶芸班に入れられなかった仲間の親御さんにしてみれば、「うちの子は、陶芸班から外された」「見放して、大事にしてくれない」となるわけです。
陶友は、陶芸をする作業所として知られ、無認可時代から認可当初まで新聞やテレビでも何度も取り上げられて来ましたから、 試行段階とは言え、その「陶芸班から外された」思いは親御さんにとっては、適性がどうのこうのというよりも、それ以前の問題しとして深刻だったことでしょう。
今になって思えば、よくわかることですが、時効ということで言わせてもらえば、当時はゆとりもなく、自分の未熟さを棚に上げて「バカ親どもが!一生懸命やっとるやんか、だれが差別なんかしとるか!」と心の中で思いながら、申し訳ない申し訳ないといつも自分を責める暗い日々でした。
事に当たろうとする時には、色々な困難があります。しかし、一緒に立ち向かおうとして手をつなぐべき人たちと確かな信頼関係があれば、困難など何のそのです。肝心なその信頼が無いのです。
勿論その間も、仲間たちの社会生活体験を豊かにするための様々な活動に取り組み、それなりに仲間たちも楽しくは参加しています。
しかし、肝心なのは「働く」こと。
知的障害のある仲間たちは、認識の力はそれぞれですが、「僕は働いているんだ!」という実感は皆それぞれのやり方で、感じ取ります。将にその実感(自己認識、自己評価)こそが、誇りであり、存在感なのです。そしてその実感は、仲間たちを実に生き生きとさせ、様々な面で成長させます。
若い職員達のフントウで紙漉き班をやっと確立し、新しく入った仲間たちの「いきいき」の入り口に到達するのに、2年間もかかったということでしょうか。
こんな偉そうな志でスタートしたした友さんでしたが。めげそうな2年間でした。
どんなに一生懸命やっても、偉そうな理屈をふりまいても、 (友さんはいつもは黙っているので怖がられますが、結構話が上手く、顔に似合わず話をすると受けはいいんです・・・笑)、それで信頼されるものではありません。私たちの仕事は、仲間たちの「いきいき」が勝負です。仲間たちのリアルな姿が、私たちの仕事を全て表現しています。福祉の仕事というものはそんなものです。
せっかく来た作業所で、子どもが目に見えて生き生きしなければ、当然親御さんが施設に信頼を寄せることは無いでしょう。私の作品は、陶器でもその他の何でもありません。目の前にいる仲間たち一人ひとり、その人なのです。
・・・それにしても、あのころの友さんは最低でした。でもそんな私でも、多くの皆さんが支え応援してくれました。ありがたいことです。だから、頑張れたのです。
・・ちょっと感傷的になりましたが、まあ、「主観的」と断っていますから、お許しを。
次回は、紙漉き班の成長を中心に書いてみます。(つづく)
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2009.09.18 | | Comments(5) | Trackback(11) | ・陶友の歩みと出会いⅡ
