NO.1377 (速報!)障害者自立支援法違憲訴訟、国が和解方針?
新政権の方針で長妻厚生労働大臣が、「自立支援法の廃止」を言明したのが19日。
早速国が動き出したようだ。
自立支援法を憲法違反として提訴して全国で裁判中だが、国が方針を変え和解を申し入れたという。
これまで国は、「障害者は障害者集団の中での差別がされないようにすればよいのだ、障害を持つ市民と持たない市民との平等を考える余地はない」という陳腐な理論(おいおい、大丈夫かよ、と言いたくなるような・・・)で、全面的に争う姿勢を見せていた。例えば以下のように。
原告側の主張:
「障害を持たない市民が働く場合に事業所利用料を払わないにも関わらず、障害を持つ市民の場合に働くことに事業所利用料が課せられるのは、障害者差別で、憲法第14条法の下の平等に反する。」
被告国、自治体の反論の骨子:
「障害者自立支援法とは、障害者を支援する法である以上、障害者と障害者でない者との差別や区別といったことが問題となる余地はおよそないのである。
そうであれば,当該社会保障給付が行われるに当たって問題となる利用者負担についても、当該社会保障給付を受ける障害者の間での区別,差別を問題とするならばともかく, 当該社会保障給付を受ける「障害者」とおよそ当該社会保障給付を受ける余地のない「障害者でない者」との間の比較において, 当該利用者負担についてのみ取り上げて, 憲法14条の「平等」を問題とする余地はないというべきである。……したがって,憲法第14条に違反するかのようにいう原告らの前記主張は, 失当というほかない。」
この被告国らの主張、裁判所に提出した公式見解(これは福岡地裁だけでなく、各地の裁判所に対して全く同じ主張が提出されています)は正しいでしょうか。
そもそも、障害者福祉とは、ノーマライゼーションとは、障害を持つ人が障害のない人と同じよう差別されることなく平等に社会に参加できるような社会にすることを目的としているはずであって、まさに、障害を持つ人と持たない人との間での平等を目的としている制度です。
国は、「障害者は障害者集団の中での差別がされないようにすればよいのだ、障害を持つ市民と持たない市民との平等を考える余地はない」という理念から障害者自立支援法を作ったのだというわけです。
国は普段言わない本音でも、裁判になるとこの法の本質を正直に説明してくれます!
障害者差別は障害者同士の問題であって、障害を持たない人には関係がない。ということです。
参照:NO.1142 障害者自立支援法違憲裁判 福岡地裁 第2回口頭弁論報告(転載)
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1167.html
自立支援法制定に至る過程から、「私たち抜きで私たちのことを決めるな!」と全国的な反対運動を起こし、強行成立後も「自立支援法は出直しを!」と、粘り強い運動を重ねてきた障害者と国民の共同のたたかいが、今政府を動かし、自立支援法の廃止と新たな総合的な政策作りの方向が示されたところだった。
裁判においても国の譲歩を勝ち取りつつある。
報道に一喜一憂せず見守りつつ、最後まで闘いぬかなければならない。
詳細はいずれ、全国弁護団より明らかになるだろうが、以下に報道をコピーしておく。
障害者自立支援法訴訟:国が争う姿勢を転換へ 広島地裁(毎日新聞 2009年9月24日)
障害者自立支援法で定める福祉サービス費の原則1割負担(応益負担)は「生存権を侵害するもので違憲」として、全国の障害者が国などに負担撤廃を求めた集団訴訟で、全面的に争ってきた国が従来の姿勢を転換する方向で準備を進めていることが関係者への取材で分かった。長妻昭厚生労働相が19日、同法の廃止を明言したことを受けたもので、早ければ24日に広島地裁で開かれる口頭弁論で、主張撤回を表明する。
自立支援法の違憲訴訟では、東京、大阪、福岡など全国29人の障害者が08年10月、各地の地裁に一斉提訴した。今年4月の2次提訴でさらに28人が加わり、現在、計57人が13地裁で係争中だ。
24日に広島地裁で開かれる弁論は、一連の訴訟で、長妻厚労相の発言後に初めて開かれる弁論となる。関係者によると、国は応益負担の是非について原告側と今後は争わないとの考えを示し、各地裁で係争中の訴訟でも同様の対応をとるとみられる。ただ、違憲性に踏み込むかどうかは不透明だ。【夫彰子】
障害者自立支援法、違憲訴訟で係争方針変更 国側示す(朝日 2009年9月24日13時57分)
福祉サービスに応じて障害者に原則1割の自己負担を求める障害者自立支援法は、憲法が定める「法の下の平等」に反するなどとして、広島県廿日市市の夫婦と広島市の男性が国や市に負担の取り消しなどを求めた訴訟の口頭弁論が24日、広島地裁(橋本良成裁判長)であった。被告側は、全面的に争うこれまでの方針を転換する考えを示した。
長妻昭厚生労働相が同法の廃止を明言したのを踏まえての判断。今後国は、各地の地裁で係争中の訴訟でも同様の対応をとるとみられる。
被告側代理人はこの日の弁論で、予定していた準備書面の陳述を取りやめ、「新政権が支援法を廃止し、新たな制度をつくると言っており、その方針を前提に検討する必要がある。時間的猶予を3カ月程度ほしい」と述べた。
廿日市市の原告秋保(あきやす)和徳さん(58)は「厚労相が支援法を廃止すると明言し、司法の場にも変化があったことは一歩前進。ただし問題は、国がどんな制度をこれから組み立てていくかだ。尊厳ある暮らしをしたいという私たちの希望に沿った制度が保障されるまで、国に働きかけていきたい」と話した。
日本障害者協議会の藤井克徳・常務理事は「障害者が尊厳ある人間として社会生活を送りたいと求めてきた闘いに光が見えてきた」と評価したうえで、「支援法にかわる新制度で障害者の所得保障などが実現することが課題」と話した。(森本美紀)
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http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
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テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済
2009.09.24 | | Comments(0) | Trackback(2) | ・障害者自立支援法2
