NO.137 父親の最初の思い出か?なんだろう?
先日の金八先生。
陶芸教室を終えて急いで帰り、授業シーンから観た。
父親について考える、父親の最初の思い出を語り合うと言う場面だった。
万葉の歌人山上憶良の和歌が教材。
銀(しろかね)も 金(くがね)も玉も 何せむに まされる宝 子にしかめやも
【通釈】銀も金も真珠も、何になろうかね。大切な宝と言ったら、子にまさるものなどありはしない
憶良らは 今は罷(まか)らむ 子泣くらむ それその母も 吾(わ)を待つらむそ
【通釈】憶良どもは、もうこれで失礼致しましょう。家では子らが泣いているでしょう。ええ、その母も私どもの帰りを待っていることでしょう。
これは、宴会を中座する時の歌。
どこかの誰かさんのように、いつまでもダラダラ最後まで飲み潰れないで、
妻や子どものことを思い、2次会はおろか1次会の途中で帰るというもの。
つめの垢でも煎じて飲みたいものだ。
番組では「そを負う母」と紹介されていたが・・・。
以上の2首は、中学の時に覚え、空で言える。
そして次も口から出てくる。
瓜食(は)めば 子ども思ほゆ 栗食(は)めば まして偲(しの)はゆ いづくより 来(きた)りしものぞ 眼交(まなかひ)に もとなかかりて 安眠(やすい)し寝(な)さぬ
【通釈】瓜を食えば、子供にも食わせてやりたいと、子供のことが思われる。栗を食えば、まして偲ばれる。一体どこからやって来たものなのか。子供の面影が目の前にやたらとちらついて、夜もおちおち眠れない。
次の歌は、番組ではじめて聞いた。
若ければ 道行き知らじ 賄(まひ)はせむ 下方(したへ)の使 負ひて通らせ
【通釈】幼いので旅の仕方も知らないでしょう。贈り物は我らがしましょう。ですから黄泉(よみ)の使いよ、我が子を背負ってお行き下さい。
これは、幼くして我が子を病気で亡くした山上憶良が、嘆き悲しんで成仏を祈る歌だそうです。
「ちっちゃい子だから、あの世までどうかおんぶして行ってやって下さい。」
あの優しい父ちゃんの嗚咽と慟哭が伝わってくる。
いや、もう涙も枯れ果てて、心も働きを忘れたのかも知れないな。
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さて、1300年以上も前の、このおじさんの子ども思い、妻思いは、
思春期の田舎の少年にもストレートに伝わり、何の抵抗もなく暗記したものでした。
しかし現実の親と言うものは、そう易々と受け入れがたいと言うのが、思春期。
そこで、親父と言うものを、客観化してみてみようと言うのが、金八先生の授業。
先生の話を今の私が聴くということでは、言い話だったが、
あの授業は、金八さんの一人相撲でドラマとしては、リアリティーに欠けていた。
ま、それはどうでもいい。
私の父親の記憶は、んーん、と言うところだ。
父親に抱っこされた記憶もない、弟たちがそのひざの上で遊ぶ光景も記憶にない。
働く姿や、一緒に働いた記憶はある。しかしそれはあまりにも日常過ぎて・・・。
そう言う日常的な記憶は、次々に出てくるが、改めて、父親の最初の記憶はと問われても?である。
特別にはない、と言うと親父に悪いような・・・。
不思議と覚えている風景がある。
5歳ごろ、父が、生まれて間もない妹をねんねこでおんぶして凧揚げをしたこと。
私と弟が父親のそばで、凧を揚げてもらい、兄は自分の凧を引っ張って走っていた。
正月、家の前の田んぼでの風景だ。
子どもも抱かない親父が、4人目に生まれた女の子がよっぽど可愛いんだろうと、近所のばあさんが言っていたのを不思議と覚えている。
それが最初の父親の記憶である。
さてさて、今度は、父親としての私の体験より。
腹立つと言うか惨めというか・・・。
娘4人とも、性格により多少の違いはあるものの、
生理が始まる5年生ごろより、極端に親父を嫌い避けたがる。
その度合いは、それまでのベタベタに反比例していた。
それまでは「男はお父さんしか目に入らない」といって、感涙を誘っていた次女などは、
ソファーの端っこに座ろうものならば、すっと立ち上がりどっかへ消え、
「なんなんじゃー!くらすぞー!」と言いたいぐらいだった。
そこは我慢。解ってんだよ。
自分の性に目覚め、受け入れる葛藤をしている最中に、
これまた気づいてしまった父親の性を、受け入れることなど絶対に出来ないなんて。
頭で解っても、目の前で毛嫌いされると・・・ね。
幸い、4人が順繰りにそう言う時期を迎えたので、
下の娘はくっついてくるし、上の娘は「まあまあ」となだめてくれたりもして、
孤独にはならずに済んだのだが。
「親の心 子知らず」と言うしね。
いつの世も親子の歴史は繰り返すか。
山上憶良は一人っ子をなくしたのかな?
もし思春期の娘でもいたら、どんな歌を詠んだんだろうな?

長々とホントにすみません。

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山上憶良っていいなあ。改めてゆったりした心持になりました。
今からでも遅くない、こんな親父目指そう!
でも、宴会を途中で抜けるのだけは、俺、絶対に出来ません

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2007.11.03 | | Comments(4) | Trackback(0) | ・自画像・自分史断片
