NO.1417 鳩山首相所信表明 民主党政権の課題と不安が浮き彫りに
これはやはり「歴史的」には違いありません。
鳩山由紀夫首相の初の所信表明演説について簡単に書いておこうと思います。
自公政権のときとは確かに違い、前向きな言葉も政策もあります。
その立場は支持します。「今の日本の政治をなんとかしてくれないと困る」という国民の声が、この政権交代をもたらしたのだと私は認識しております。その意味において、あの夏の総選挙の勝利者は国民一人ひとりです。その、一人ひとりの強い意思と熱い期待に応えるべく、私たちは「今こそ日本の歴史を変える」との意気込みで、国政の変革に取り組んでまいります。
首相は、「戦後行政の大掃除」を掲げ、本当の意味での「国民主権」の国づくりをするために必要なのは、まず、何よりも、人のいのちを大切にし、国民の生活を守る政治だと述べ、「大きな政府とか小さな政府とかいう前に、弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない」と述べました。
そのことも支持できます。しかし、では、後期高齢者医療制度は具体的にどうするのか。
「廃止に向け新たな制度を検討する」と述べたにとどまっています。実質的に先送りをすれば保険料値上げで更に苦しめられるのは目に見えています。
さらに、「居場所と出番」のある社会、「支え合って生きていく日本」を作ると述べ、障害者を多く雇用するチョーク工場の話を紹介しました。
よく知られているいい話です。同感です。「人間の究極の幸せは四つです。愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること。働くことによって愛以外の三つの幸せが得られるのです。」
「その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う」、これは社長の実体験を踏まえた感想です。
このチョーク工場は、従業員のうち七割が「障がい」という「試練」を与えられた、いわば「チャレンジド」の方々によって構成されていますが、粉の飛びにくい、いわゆるダストレスチョークでは、全国的に有名なリーディングカンパニーになっているそうです。障がいを持った方たちも、あるいは高齢者も、難病の患者さんも、人間は、人に評価され、感謝され、必要とされてこそ幸せを感じるということを、この逸話は物語っているのではないでしょうか。
しかし、人間の幸せと働くことの大切さを語りながら、格差と貧困の元凶であり、今や日本の政治の中心問題であり、財界の抵抗が強い労働者派遣法の改正問題には一言も触れていません。
「人間のための経済」を提唱し、「市場にすべてを任せ、強いものだけが生き残ればよいという発想や、国民のくらしを犠牲にしても経済合理性を追求するという発想が成り立たないのは明らか」との発言は、自公政権時代の「構造改革」路線とは一線を画すものと受け取ることができます。
しかし、その推進者である財界や大企業が抵抗する労働法制の問題に一言も切り込めずに、大企業の儲けを応援し、暮らしや福祉や、労働者に犠牲を押し付けてきた「構造改革」を転換することができるでしょうか。
さらに、沖縄での普天間基地の撤去や新基地建設など緊迫する米軍再編問題についても、マニフェストでの「見直し」という表現よりも後退しています。日米同盟を堅持し、「真剣に取り組んでいく」としか言い切れていません。
岡田克也外相は日米合意を理由に、県外「移設」は選択肢にならないと発言しています。「基地たらいまわし」を容認するのか。国民の声にこたえるなら、無条件で普天間基地を撤去するよう、アメリカに要求し、交渉することが求められています。
総じて、内政においても外交においても、「財界中心」「日米軍事同盟中心」という自民党政治の「二つの政治悪」から抜け出す立場に踏み込むことができるのか・・・、課題と不安が浮き彫りになった所信表明と聴きました。
そのことは、同時に、政治の前進のためには国民の監視と要求、運動こそが求められていることを明らかにしたものです。
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2009.10.27 | | Comments(1) | Trackback(3) | ・民主党政権批判Ⅰ
