NO.1449 「思いやり予算」が「仕分け作業」の対象?「包括的見直し」(鳩山首相)には程遠い
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政府の行政刷新会議の「仕分け作業」で、「思いやり予算」が対象となるという。
このところ民主党鳩山政権の後退ぶりに嫌気がさしていたところなので、「いいところもあるじゃん」と調べてみれば・・・なぬ?!!である。
「公務員」給与カットだけ
防衛省の来年度概算要求のうち米軍「思いやり予算」は1919億円で、自公政権の概算要求額と同じ。うち日本人従業員の給与約1164億円のごく一部を「見直す」だけというものだ。
基地で働く日本人は、ゴルフ場やレストランなど米軍の娯楽施設が中心で、その数2万5499人(08年度)。そのうち2万3055人分を日本政府が負担している。
彼らは民間労働者の扱いだが、給料は公務員並み。これが、周辺労働者と比べると高すぎるから引き下げるというのだ。10数億円が削減される見込みだというが・・・。
「包括的見直し」には程遠い
「思いやり予算」について、日本共産党の志位和夫委員長が「切り込む意思はあるのか」とただしたのに対し、鳩山首相は「包括的な見直しに取り組む」と約束していたのだが、「包括的見直し」には程遠い。単に「公務員給与引き下げ」をやろうとしているに過ぎない。
言い換えれば、日本政府の負担を単に基地労働者の負担に切り替えただけの話だ。
(参考ブログ:非国民通信「働く人までは思いやれないようです」)
ちょっと脇にそれるが、基地がなくなると、基地で働く人たちが困るといい、基地撤去はできないとする議論がある。単純にいえば、基地をなくしても、「思いやり予算」分を沖縄の雇用対策に回せば、なんら問題はないということだ。だって、実質的には基地の金で雇われているのではなく国の金で雇われているんだから。
「思いやり予算」とは
「思いやり予算」は、米軍家族住宅や教会などの建設のほか、光熱水料、演習費、戦闘と不可分の施設整備など、米軍活動のほとんどすべてを対象にしている。娯楽施設のバーテンダーの蝶ネクタイから、米兵が遊びに使う高速道路料金まで!いわば、「米兵の給料以外は何でもあり」なのだ。
米軍地位協定24条は、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は」「この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される。」と明記している。「思いやり予算」で負担しているものは、本来すべて米軍に負担義務があるものだ。
重大なのはこうしたものまで日本側が負担していることだ。協定に照らしても「思いやり予算」は全てなくすのが当然の代物である。
なんでこげなとにまで俺たちが税金を払わないかんとや!
「思いやり予算」は、ベトナム戦争後のアメリカ経済と財政が不振だった時代に、思いやりに満ち慈悲深い金丸信防衛庁長官(当時)の思いつきで、1978年の62億円から始まった。それは日米地位協定の枠を超える法的根拠のない負担なのだ。 その後は、アメリカで「インフレ無き高度成長を成し遂げた、戦後最大最長の好景気の時代」といわれた1992~2000年(2700億から2400億円)のクリントン時代も増額され続けてきた。累計では5兆5000億円近い。
年 合計金額
1978年 62億円
1979年 280億円
1980年 374億円
1985年 807億円
1990年 1680億円
1995年 2714億円
2000年 2567億円
2001年 2573億円
2002年 2500億円
2003年 2460億円
2004年 2441億円
2005年 2378億円
2006年 2326億円
2007年 2173億円
2008年 2083億円
2009年 1928億円
2010年(概算請求) 1919億円
在日米軍駐留経費負担の推移
日本の米軍駐留経費負担額は、この「思いやり予算」だけでなく、米軍再編経費などほぼ6000億円。米国の同盟国・友好国の負担総額の半分以上にものぼる異例のものだ。
米政府は「米国内でよりも、日本で米軍を維持する方がわれわれにとって少ない費用ですむ」と米議会で証言している(1995年。「思いやり予算」が2714億円と最高のとき)。「思いやり予算」をはじめとした日本の巨額の負担が米軍の引止め役にもなっているのだ。
「思いやり」への返礼は
米兵たちは、日本政府の「思いやり」に対し、騒音を撒き散らすこともさることながら、1995年、民間の住宅街で買い物帰りの沖縄の少女を米海軍と海兵隊員3人が拉致し暴行する事件を初め、先日のひき逃げ事件など実に5500件の事件(うち550件は凶悪事件)(1972年の沖縄返還後)を引き起こし、犯罪でこれに応えているのである。
日本の安全を守るどころか、アメリカが仕掛ける世界中の戦争の出撃基地になり、国内においては犯罪を働き、沖縄県民の生命の安全を脅かす米軍を「思いやる」道理など微塵もないのだ。
戦争を放棄した憲法九条に照らしても、米軍の戦争を支える「思いやり予算」はもってのほか。
軍事費に思い切ったメスを
行政刷新会議は「思いやり予算」以外の軍事費全体にはスルーを決め込んでいる。わずかな「見直し」だけでは、とうてい納得できるものではない。
鳩山内閣がむだな予算の見直しというなら、総理の約束どおり「思いやり予算」を「包括的に見直し」、この全廃をめざすなど、軍事費に思い切ったメスを入れることが求められている。
在日米軍への思いやりはいりません。(東京サバイバル情報)
「仕分け作業」では、「当然、2000億円削減たい!」
・・・でしょう?
「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)
政府が「思いやりの精神」(金丸信防衛庁長官=当時)と称し、1978年度から予算案に計上を始めました。在日米軍基地で働く従業員の労務費のほか、▽基地内の施設や家族住宅などの光熱水料▽米軍厚木基地などで実施されている夜間離着陸訓練(NLP)を硫黄島で実施するための訓練移転費▽施設建設費―から成ります。2008年度政府予算案では、総額で2083億円に達します。在日米軍の特権を定めた日米地位協定でさえ、基地の提供以外の駐留経費は「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」(第二四条)と明記しており、この規定にも違反する支出です。
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2009.11.14 | | Comments(5) | Trackback(2) | ・軍事費削れ
