NO.1463 子どもを大事にしない国に未来はあるのか!?「地方分権」の名による「規制緩和」を許すな!
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長妻昭厚生労働相は、国が全国一律に定めている認可保育所の面積の最低基準について、「東京都など待機児童の深刻な都市部の一部に限り、地方自治体に基準を定める権限を委譲する」との考えを表明している。
国が決める保育施設の面積などの「最低基準」は、全国どの地域でも、子どもたちが健やかに発達・成長できる環境を保障するために必要な最低基準であり、絶対に緩和すべきではない。
保育所基準を緩和 施設面積 東京など、時限措置(東京新聞 2009年11月5日 朝刊)
厚生労働省は四日夜、地方分権改革推進委員会の第三次勧告を受けた対応方針を発表した。焦点の一つとなっていた保育所設置基準について、待機児童問題が解消するまでの一定期間、東京など大都市部に限り、最低基準面積を緩和できるよう、地方自治体の判断に委ねることを盛り込んだ。長妻昭厚労相は記者団に、関連法案を来年の通常国会に提出したい考えを明らかにした。
保育所の最低基準面積は、同省が省令で「保育室は二歳以上の子ども一人当たり一・九八平方メートル」とするなど、全国一律で定めていた。しかし、東京など大都市部では、周辺地価が高いため、基準面積の確保が難しいことが指摘されていた。特例措置が認められる大都市の自治体では、「合理的な理由」を盛り込んだ条例制定により、待機児童が解消されるまでの「一時的措置」として、独自基準の設定が可能になる。
対象自治体は今後、待機児童数の多さや周辺地価などを勘案しながら選定を進めるが、長妻氏は横浜、川崎両市も候補に挙げた。
第三次勧告では、面積基準をすべて自治体判断に委ねるよう求めていた。
しかし、基準緩和には保育の質の低下への懸念があり、同省は大都市以外の緩和は見送った。保育士などの人員配置基準も自治体判断とする勧告も、大都市も含め実質的に現行基準の維持を回答した。
要するに、自治体が「保育所が満杯だから詰め込みも我慢しなさい」と、子どもたちに犠牲を押し付けることを国が容認するものだ。一部地域だからといって、基準を引き下げれば最低基準は、有名無実になる。生まれた場所によって格差が生ずるなら、子どもの権利保障にとっても法の下の平等にとっても重大な問題である。
「一時的措置」と強弁してみても、肝心な保育所増設の方向はなんら示されていない。このままでは一事が万事であり、待機児問題の真の解決はいつまでたっても望めない。勢い、既存の保育園につめこみが起こり、子どもたちが犠牲になるだけである。
今必要なのは、認可保育園の増設整備である。政府は自治体に丸投げせず、整備計画を立て本腰を入れて取り組むことを強く要求する。
「規制緩和」による事故死増
「赤ちゃんの急死を考える会」によると、認可保育所での乳幼児の死亡事故が2001年度以降急増しているそうだ。
「認可外施設での事故が全体の約85%と多いものの、認可保育所でも、00年度までの40年間に15件だった死亡事故が、01年度以降の8年間では22件と大幅に増えている」という。
01年といえば、小泉内閣の『待機児童ゼロ作戦』で、認可保育所への定員以上の詰め込みや保育士の非常勤化が推し進められた年である。「規制緩和」が、子どもたちの生命の安全を脅かしてきたことは明らかだろう。
「地方分権」の名による「規制緩和」
ところが、原口一博総務相は、最低基準の見直しは「地域主権」に基づいて、「国と地方自治体の役割分担を見直すもの。(地域が基準を)上書きをする権利」だとしている。更に、「地方財政が苦しくなっているなか、詰め込みが起こる可能性がある」と認めつつも、「(地域が)ルールを自分で決めた方が守る」とも。
「地域主権にしなければよりよいものができない」というのであろうか。現在の児童福祉法では「地域の自主性が保障さない」とでも言うのだろうか。国の責任を逃れるための方便としか言いようが無い!
さて、小泉構造改革路線は、福祉や教育を「官製市場」と批判し、その分野の規制緩和を押し進めてきたのだった。国民は、この転換をこそ求め自公政権に退場を迫ったのであった。
「市場万能論」「官から民へ」の構造改革が通用しなくなるや否や、今度は「地方分権」「地域主権」の名前で「規制緩和」を推進するという。「地方に任せればサービスが向上する」といいながら規制緩和を続け、実は、福祉や保育を営利企業に「市場開放」し、国の責任を放棄しているのである。これが今、民主党政権がやろうとしている事の本質では無いだろうか?
16日の「事業仕分け」の場で、民間「仕分け人」が、厚労省の保育制度改悪を煽っていた事実は、そのことをリアルに物語っているであろう。
ある民間「仕分け人」は、保育の担い手に社会福祉法人が多いことを「厚労省のセクショナリズム(縄張り主義)」などと問題にし、「厚労省は『保育は福祉』と考えているようだが、株式会社を積極的に入れていくかを国民は見ている」と主張した。国民がそんなこと望んでいるものか、言語道断だ。
ところが、厚労省、きっぱり反論するでもなく、「現在、社会保障審議会の少子化対策特別部会で、株式会社の件も含め根本的な議論をしている」とこびて迎合していたではないか。あきれてモノが言えないとはこのことだ。
再度いうが、国民は、小泉構造改革路線の転換を求め自公政権に退場を迫ったのであった。
民主党新政権が、「地方分権」「地域主権」という耳障りのいい看板に変えながらこの路線を引き継ぐのであれば、国民の支持を失うであろう。
子どもを大事にしない国に、政権に未来はあるのか?!
関連過去ログ:
■NO.1453 「チルドレンファースト(子ども第一)」の公約が泣くばい。
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2009.11.22 | | Comments(2) | Trackback(1) | ・子どもと福祉・保育・教育
