NO.1470 「判らないことだらけの事業仕分け」
以下の記事へのコメントで、「林俊成」さんから質問をいただきました。
■NO.1469 「離島は海の中の老人ホーム」 仕分け人の暴言
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1517.html
そもそも行政刷新会議の「事業仕分け」とは、どういうものかということですから、おさらいも兼ねて分かる範囲でお答えしてみたいと思います。判らないことだらけの事業仕分け
この記述の全てに同感します。それにしても、私には判りません。事業仕分けには法的根拠があるのでしょうか。誰がどういうプロセスで仕分け事業を選んだのでしょうか。
民間の仕分け人は誰が選定し認めたのですか。事業仕分けの評価・判定基準って、あるのですか。これが行われても最後は「政治」が判断するとのことですが、これでは、単なるパフォーマンスなのでしょうか。
これら全てが、私には判りません。
2009-11-26 木 14:52:05 | URL | 林 俊成 #- [ 編集]
●事業仕分けには法的根拠があるのでしょうか。
行政刷新会議ホームページには以下のようにあります。
閣議決定に基づくものですね。行政刷新会議では、「国民的な観点から、国の予算、制度、その他国の行政全般の在り方を刷新するとともに、国、地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直しを行う」(平成21年9月18日閣議決定)とされています。
当面の課題として、提出された要求について、その必要性について徹底した精査を行うなど、歳出の徹底した見直しに取り組んでまいります。
ただし、「事業仕分け」という手法そのものは、鳩山政権になって初めて出てきたものではありません。行政刷新会議の事務局長をしている加藤秀樹氏が代表を務める「構想日本」が推し進めてきたものです。
小泉内閣時代につくられた「行政改革推進法」(2006年)に「仕分け」が、はじめて規定されました。その後、07年08年と経済財政諮問会議で議論がはじまり、08年には自民党内のプロジェクトチームでも「事業仕分け」に着手。ここには「構想日本」も参加していたのです。
●誰がどういうプロセスで仕分け事業を選んだのでしょうか。
詳しいプロセスはわかりませんが、財務相自身が選んだ447事業です。突っ込みどころなど、事務局が極秘の査定マニュアルを作って、民間有識者など仕分け人に配布していたことがわかっていますから。財務省の自作自演という批判もあるぐらいです。
「構想日本」は、事業仕分けの「副次的な効果」として、「職員や住民の意識改革」があるとしています。傍聴に来ている住民や報道を見た国民は、「行政サービスには相応の税金がかかること」を改めて認識するとされています。
したがって事業仕分けは、国民に、行政にどれだけ税金がかかるかを気づかせ、「自助努力」と「受益者負担」が必用だと納得させる手段として位置づけられているといっていいでしょう。
この「事業仕分け」を通じて、思ったほど「歳出削減」ができなければ、財源をどこから確保するのかという問題が当然でてきます。財源が足りないなら「消費税の増税しかない」という方向に国民の「意識」を変え、自助努力」と「受益者負担」を納得させる方向に誘導する・・・、ポピュリズム的・劇場的手法も中身も「小泉構造改革」の練り直し、小泉・竹中ラインが民主党主導で「衣替え」というのが私の見方です。
小泉は、社会保障予算を削減し、「どんどん切り詰めれば、最後は、もう勘弁してくれ、負担をするから(消費税を上げてもいいから)と国民が言う」と、うそぶいていましたから・・・。
最後まで見て冷静に判断しなければなりませんが、このまま行けば、「生まれも育ちも、そして行き着く先も「小泉・竹中構造改革路線」と言わなければならないでしょう。竹中平蔵がほくそ笑んでいることでしょう。
それにしても余談だが、新自由主義者・小泉・竹中をボロクソ批判して来た諸君が、この「劇場」を批判しないどころか賛美するのにはあきれ果てている今日この頃です。
●民間の仕分け人は誰が選定し認めたのですか。
民間の「仕分け人」は、行政刷新会議の事務局長・加藤秀樹が中心になっておこなわれたと言われています。そのため、元政府税調会長の石弘光氏や、経済財政諮問会議の審議に携わった川本裕子氏など「小泉構造改革」を推進した人物や、件の外国人もも含まれており、人選に問題ありと批判があります。
●事業仕分けの評価・判定基準って、あるのですか。
明確な基準はよくわかりません。(どなたか教えてください)。「提出された要求について、その必要性について徹底した精査を行うなど、歳出の徹底した見直しに取り組」み、ムダを洗いなおすと言いますが、見たところでは、効率がいいか黒字を出しているか・・・みたいなようですが。そもそもこの447事業が選定された基準も私には分かりません。
「官僚利権」を削るといい、大学が天下り先になってるからとか言って大学予算を削ったり、「自立せよ」とオーケストラ支援のための文化予算を削ったり、成果がすぐに出ないからと科学技術予算を削ったり、・・・乱暴極まりないと思いませんか。ましてや、離島のバス路線への支援が官僚利権とどうつながるのかさっぱり分かりません。
詰まるところ、「脱官僚」「官僚利権に切り込む」と言いながら、国民の暮らしや福祉にとってどうなのかとかの視点がなく、軍事費や大企業優遇の政策・予算は「聖域」にして不問だと言う大問題があると思います。
●これが行われても最後は「政治」が判断するとのことですが、これでは、単なるパフォーマンスなのでしょうか。
「評定」をもとに内閣が決めて予算案に反映するそうですし、最後は国会で決まるものです。どこまで反映されるのか・・・?先の、科学技術予算関係の「評定」について、科学者や大学関係者は「反映するな」と要求しています。
政治的なショーに過ぎないと私は見ています。
演出されたショーのようなものです。魔女狩り的な(ちょっと乱暴かな?)・・・と思います。しかも悪質で危険な!
財務相と各省庁との間での予算の決め方が、国民の目の前に露わになることはいいことです。しかし、内容が問題だと指摘してきましたが、本来ならこれらは国会で議論する中身ですね。国会審議を形骸化(民主党は最初は予算委員会に質問も立てないと言ってましたが・・・)して、こういうやり方でお茶を濁すようでは、議会制民主主義にとっても問題が大きいことも指摘しなければればならないでしょう。
今日のお薦めブログ:
ペガサス・ブログ版さんの以下の指摘は重要だと思います。
本来の「事業仕分け」である衆参の予算委員会が問題
行政刷新会議によるいわゆる「事業仕分け」は,劇場性,乱暴さ,粗雑さ,ポピュリズム,人民裁判と言った様相を呈している.しかしこれは政府部内の作業である.今回の政治的イベントが意味あるものにつながるかどうかは,本来の「仕分け」,つまり国民の代表たる衆参の予算委員会での議論が,これを上まわる公開性,つまりメディアの報道量と話題性とを持って,そして時間と手間とを費やして行われるかどうかにかかっていると思う.
これまでの予算委員会の議論と言えば,いわば「大所高所」的な議論ばかりに終始し,細かい個別の費目のすべてについて洗いざらいチェックするなどという本来の機能をほとんど果たして来なかった.これを回復(?)させることにつながらなければ,民主主義の質が向上したとは言えないだろう.
大体、以上です。
間違いの指摘(見解ではなく事実について)や補足していただく方、歓迎です。
以下のエントリーも参考にしていただければ・・・。
●NO.1449 「思いやり予算」が「仕分け作業」の対象?「包括的見直し」(鳩山首相)には程遠い
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1494.html
●NO.1454 小泉構造改革時代以来の手法・「事業仕分け」作業 ほんとの無駄を削っているか?
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1498.html
●NO.1458 「事業仕分け」という名の「政治主導」ショー 欺瞞もいいところ
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1501.html
●NO,1468 「事業仕分け」は、「消費税増税やむなし」への「議論」の始まり。
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1516.html
●NO.1469 「離島は海の中の老人ホーム」 仕分け人の暴言
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1517.html
ご参考までに、お薦めサイト「キーワード 事業仕分け」もどうぞ。
参考になったと思われる方は



「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
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2009.11.26 | | Comments(5) | Trackback(7) | ・民主党政権批判Ⅰ
