NO.1473 阿久根市の竹原信一市長 「生命の尊厳は平等」の筈なのだが・・・。
気になったニュースから、一言だけ。
「高度医療が障害者生き残らす」・・・。
ブログで市議の不人気投票をしたりして物議をかもしてきた阿久根市の竹原信一市長だが・・・。
阿久根市長、ブログで物議…障害者家族ら反発(2009年12月3日06時13分 読売新聞)
医療の進歩が、障害のある人たちの命を救ってきたことは動かしがたい事実でしょう。鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(50)が自身のブログ(日記形式のホームページ)に「高度医療が障害者を生き残らせている」などと、障害者の出生を否定するような独自の主張を展開している。
障害者団体は反発、市議会でも追及の動きが出るなど波紋が広がっている。
ブログは11月8日付。深刻化する医師不足への対応策として、勤務医の給料を引き上げるべきだとの議論に対し、「医者業界の金持ちが増えるだけのこと。医者を大量生産してしまえば問題は解決する。全(すべ)ての医者に最高度の技術を求める必要はない」と批判。
そして、「高度な医療技術のおかげ」で機能障害を持ち、昔の医療環境であれば生存が難しい障害児を「生き残らせている」などと述べ、「『生まれる事は喜びで、死は忌むべき事』というのは間違いだ」と主張している。
知的障害者の家族でつくる「全日本手をつなぐ育成会」(本部・東京、約30万人)の大久保常明・常務理事は「人類繁栄のため、優れた子孫だけを残そうとするかつての優生思想そのもの。命の重さを踏みにじり、公人の意見とは思えない」と批判。
阿久根市身体障害者協会(約1050人)の桑原祐示会長も「差別意識も甚だしい」と反発、役員会で対応を協議し始めた。
同市議会の木下孝行市議も市長に説明と謝罪を求め、14日から始まる市議会一般質問で追及する。
竹原市長は取材に対し、「養護学校に勤めている人から聞いた情報をそのまま書いた。事実と思う。障害者を死なせろとかいう話ではない」と説明している。
しかし、「例えば昔、出産は産婆の仕事。高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果 擁護施設に行く子供が増えてしまった。」という言動は、「養護学校に勤めている人から聞いた情報をそのまま書いた。事実と思う。障害者を死なせろとかいう話ではない」では説明がつかないのではないでしょうか。
医療のみならず、あわせて、「全員就学」によって、平均寿命が大幅に延びました。
それまでの「就学猶予」という不当な扱いから解放され、障害児みんなが学校に行く(学校にけなくとも曲りなりに「訪問教育」とか・・・)ことが出来るようになったのは、ついこの間のことです。
1973年の「養護お学よ校びに養おけ護る学就校学義の務設 置義務に関する部分の施行期日を定める政令」を受けて、1979年に養護学校義務制が実施されたのです。彼らは、それまでは憲法が謳う「教育を受ける権利」を、障害を理由に、戦後30年以上にわたって不当に奪われていたのです。
学校に行くことで先ず変わったことが、「寿命が延びた」ことです。
朝起きる、昼間活動する、夜ぐっすり眠る・・・人間の当たり前の暮らしの基礎を獲得することによって、生命の活性化がもたらされたのです。
医療的ケアと生活・教育支援・・・どちらも大変重要です。
竹原信一市長のブログ 「さるさる日記 住民至上主義」■2009/11/08 (日) 医師不足の原因は医師会には以下のようにある。
医師不足が全国的な問題になっている。特に勤務医の不足は深刻だ。
医師が金儲けに走っている為だが、この体質を後押ししてきたのが医師会だった。
(中略)
勤務医師不足を解消する為に勤務医の給料を現在の1500万円程度から開業医(2500万円程度)に近づけるべきなどとの議論が出てきている。
しかしこんな事では問題は解決しない。医者業界の金持ちが増えるだけのこと。
医者を大量生産してしまえば問題は解決する。全ての医者に最高度の技術を求める必要はない。できてもいない。例えば昔、出産は産婆の仕事。高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果 擁護施設に行く子供が増えてしまった。
「生まれる事は喜びで、死は忌むべき事」というのは間違いだ。個人的な欲でデタラメをするのはもっての外だが、センチメンタリズムで社会を作る責任を果たすことはできない。
社会は志を掲げ、意志を持って悲しみを引き受けなければならない。未来を作るために。
次の日の日記「■2009/11/09 (月) 神の領域」では、
「・・・少なくとも機能障害を持った子の親に成られた方の心を支える魂を見せなければ成りません。・・・」というメールに答え、次のように書いている。
医師不足をどうするかという問題から派生した発言のようですが・・・。厳しい生活の中で喘いでいる方々には慎重さを欠く見解に見えたかもしれない。
高度医療が多くの人々に高い精神性を追求せざるを得ない機会を与えているのは現実だ。この世は生ばかりではなく死によっても支えられている。しかも人間は生と死の境目をコントロールする技術を手に入れつつある。
原子爆弾同様に、使い方を知らないままこれを乱用すれば多くの人々に高い精神性が必要な厳しい生活を強いる。これでは残酷な社会を作る事になる。
日本が人口減少で消滅しつつある過程でするべきことは、先ず人口を増やす事であって高度医療で儲ける医者と業界を増やす事ではない。精神的にも健康な子供達が増えれば障害を持った子供達、体の弱った高齢者をより良く支える社会を作ることができる。高度医療にかけるお金の一部で人口を増やす事ができる。先ずは健康な人々が多く居なければ心を支える社会作りもできはしない。社会作りは人工的に意図的にしなければならない。メディア等に煽られての情緒的、成り行き任せであってはいけない。理不尽さを神や悪魔のせいにもできない。社会作りの全てが神の領域に踏み込む技術を獲得した人類の責任だ。
障害児が「擁護施設」(ママ)に行くというはなはだしい誤解・認識不足(?)は論外として、ブログ日記を読むかぎり、どんな言い訳をしようと、少なくとも私には、命を尊重する姿勢は読み取れません。どう読んでも、障害者は「健康な人たちによって支えられる厄介な存在」、「自然に淘汰されて然り」としか聞こえませんが。生命の尊厳は平等であり、命に優劣は無いといえば、それはセンチメンタリズムなのでしょうか。
「志を掲げ、意志を持って悲しみを引き受け」て、彼が作ろうとする「未来」とは一体どういうものだろうか?
こういう人が行政のトップにいるということは、不幸なことのように思います。
★追記(12.4):こちらのはてなブクマでも多くの方が真っ当に批判していますね。
★追記(12.7):
お薦めブログ:■「阿久根市長「私自身も生きながらえている障害者」と激白」 (ボーガスニュース)
以上部分転載、是非ともリンク先へどうぞ!記者団の待つ市役所会見室に現れた市長は、開口一番「実は私自身も不治の病を宣告された障害者」と告白。高度医療による障害者支援を否定していると非難を呼んだ書き込みが、
「私も高度医療や保険制度の恩恵を受けて“生かされている”という感謝の気持ちを率直に表したもの」
と説明した。
同席した主治医によると市長は
「先天性デマゴギー症候群」
という重い障害に生まれたときから悩まされているという。同症候群を抱えた患者は脳の一部機能が阻害され、対人行動面で異常な行動を取るようになる。症例としては
ブログでニセ科学知識や差別発言をひけらかす
部下に給料を払わない
政治家の仕事は過激な言動でウケを狙うことだと思い込む
などがある。国指定難病で治療法は死ぬ以外にない。
生命の尊厳は平等なのだが・・・、と思われる方は



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2009.12.03 | | Comments(7) | Trackback(6) | ・障害者福祉いろいろ
