NO.1497 障害者自立支援法 緒戦の勝利をたたかいの本番へつなごう!
ほんとに久しぶりのエントリーです。
先ずはこの間の暖かいコメントに感謝し、お礼を申し上げますます。
さて、通常国会が始まり課題は山積ですが、私としては先ずこの間の障害者自立支援法を巡る問題について整理をしておきたいと思います。
ご承知の方も多いかと思いますが、去る1月7日、障害者自立支援違憲訴訟団と国が「和解」し、訴訟を取り下げることとなりました。
この間、障害者自立支援法によって、障害者が生きるために欠かせない福祉や医療の支援に1割の自己負担を課すのは、生存権を保障した憲法に違反するとして、全国の障害者ら71人が負担取り消しなどを求めた集団訴訟を起こしていましたが、原告・弁護団と国側は7日、同法廃止などを定めた基本合意文書を取り交わしました。
これを受け、原告団は訴訟の終結を表明したのです。
たたかってこそ道は開けるです。
先ず原告・訴訟団の皆さんに「ご苦労様でした、おめでとうございます。ともにたたかい前進しましょう!」のエールを送ります。
もろ手を挙げて賛成とは行きませんが、緒戦の勝利でありこれからのたたかいに大きな前進です。
この合意は、問題を完全に解決したものではありません。しかし、訴訟の目的や意義に照らし、国がその趣旨を理解し、「今後の障害者福祉施策を、障害のある当事者が社会の対等な一員として安心して暮らすことの出来るものとするために最善を尽くすことを約束したため」に、結ばれたものです。
そういう意味では、緒戦の勝利であり戦いの本番はこれからということです。
この間、長妻厚生労働大臣が「自立支援法の廃止」を口にしてきていましたが、国側が改めて文書で「速やかに応益負担制度を廃止し、遅くとも平成25年8月までに、障害者自立支援法を廃止し新たな総合的福祉法制を実施する。そこにおいては、障害者福祉の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的権利の行使を支援するものであることとする。」と確約しました。
基本合意文書では、「自立支援法制定の総括と反省」の中で、「国は憲法第13条、14条、25条、ノーマライゼイションの理念等に基づき、違憲訴訟を提訴した原告の思いに共感し、これを真摯(しんし)に受け止める」としています。
そして、「国は、・・・立法過程において十分な実態調査の実施や、障害者の意見を十分に踏まえることなく、拙速に制度を施行するとともに、応益負担の導入を行ったことにより、・・・障害者の人間としての尊厳を深く傷つけた」と、「陳謝」とまでは行きませんでしたが、文書で表明しています。原告達は「謝罪」を求めていましたが、「原告らをはじめとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するとともに、この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たる」と、国に反省の意を表明させたのです。
更に、今年4月から廃止までの対応として、市町村民税非課税の障害者の福祉支援や車いすなどの器具の自己負担をなくすとしています。医療支援の自己負担についてはそのまま残され、今後協議することになっています。
また、新法制定に向けた論点として原告側から、▽少なくとも市町村民税非課税世帯は無料にする▽収入認定は家族を除外し本人だけにする▽介護保険優先原則の廃止などの指摘がされたことが明記されています。
不十分と言う意味では、実際、鳩山政権は10年度予算案で、最大の問題点である応益負担制度について廃止までの暫定的な負担軽減策として約300億円の予算を約束しておきながら、決定したのは3分の1程度の107億円にとどまっており、医療支援は、軽減策の対象外とされているのです。
そういう点でも、この全国署名運動の意義はますます大きくなっています。
ある原告は「医療費の負担は軽減されないなど不十分な点もあるが、憲法に照らして応益負担は廃止するべきものと明確にされた意義は大きい。問題点はあるが、この合意をスタートとして、障害者が参加する国の『障がい者制度改革推進本部』で声を反映させるとともに、引き続き運動を盛り上げ誰もが安心して暮らせる制度をつくりたい。今後ともご支援をよろしくお願いします。」」と語っていました。
政権交代の後、「後退」が目立つ新政権ですが、この成果は、将に障害者と国民のたたかいが勝ち取ったものであり、主権者国民の参加とたたかいこそが、人間らしく生きて働く社会と政治の前進を切り開くものだということを証明しているように思います。
国は「基本合意文書」で、「障害のある当事者が社会の対等な一員として安心して暮らすことのできるものとするために最善を尽くす」と約束しました。これを実行させる世論と運動を、共に大きく広げていきたいものです。
私も、隊列に伍してともにたたかい続けたいと決意を新たにしました。皆さんの引き続くご支援を心よりお願いします。
以下に基本合意文書を転載しておきます。
基本合意文書
平成22年1月7日
障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と国(厚生労働省)との基本合意文書
障害者自立支援法違憲訴訟の原告ら71名は、国(厚生労働省)による話し合い解決の呼びかけに応じ、これまで協議を重ねてきたが、今般、本訴訟を提起した目的・意義に照らし、国(厚生労働省)がその趣旨を理解し、今後の障害福祉施策を、障害のある当事者が社会の対等な一員として安心して暮らすことのできるものとするために最善を尽くすことを約束したため、次のとおり、国(厚生労働省)と本基本合意に至ったものである。
一 障害者自立支援法廃止の確約と新法の制定
国(厚生労働省)は、速やかに応益負担(定率負担)制度を廃止し、遅くとも平成25年8月までに、障害者自立支援法を廃止し新たな総合的な福祉法制を実施する。そこにおいては、障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする。
二 障害者自立支援法制定の総括と反省
1 国(厚生労働省)は、憲法第13条、第14条、第25条、ノーマライゼーションの理念等に基づき、違憲訴訟を提訴した原告らの思いに共感し、これを真摯に受け止める。
2 国(厚生労働省)は、障害者自立支援法を、立法過程において十分な実態調査の実施や、障害者の意見を十分に踏まえることなく、拙速に制度を施行するとともに、応益負担(定率負担)の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、原告らをはじめとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するとともに、この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たる。
3 今後の新たな障害者制度全般の改革のため、障害者を中心とした「障がい者制度改革推進本部」を速やかに設置し、そこにおいて新たな総合的福祉制度を策定することとしたことを、原告らは評価するとともに、新たな総合的福祉制度を制定するに当たって、国(厚生労働省)は、今後推進本部において、上記の反省に立ち、原告団・弁護団提出の本日付要望書を考慮の上、障害者の参画の下に十分な議論を行う。
三 新法制定に当たっての論点
原告団・弁護団からは、利用者負担のあり方等に関して、以下の指摘がされた。
① 支援費制度の時点及び現在の障害者自立支援法の軽減措置が講じられた時点の負担額を上回らないこと。
② 少なくとも市町村民税非課税世帯には利用者負担をさせないこと。
③ 収入認定は、配偶者を含む家族の収入を除外し、障害児者本人だけで認定すること。
④ 介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること。
⑤ 実費負担については、厚生労働省実施の「障害者自立支援法の施行前後における利用者の負担等に係る実態調査結果について」(平成21年11月26日公表)の結果を踏まえ、早急に見直すこと。
⑥ どんなに重い障害を持っていても障害者が安心して暮らせる支給量を保障し、個々の支援の必要性に即した決定がなされるように、支給決定の過程に障害者が参画する協議の場を設置するなど、その意向が十分に反映される制度とすること。
そのために国庫負担基準制度、障害程度区分制度の廃止を含めた抜本的な検討を行うこと。
国(厚生労働省)は、「障がい者制度改革推進本部」の下に設置された「障がい者制度改革推進会議」や「部会」における新たな福祉制度の構築に当たっては、現行の介護保険制度との統合を前提とはせず、上記に示した本訴訟における原告らから指摘された障害者自立支援法の問題点を踏まえ、次の事項について、障害者の現在の生活実態やニーズなどに十分配慮した上で、権利条約の批准に向けた障害者の権利に関する議論や、「障害者自立支援法の施行前後における利用者の負担等に係る実態調査結果について」(平成21年11月26日公表)の結果も考慮し、しっかり検討を行い、対応していく。
① 利用者負担のあり方
② 支給決定のあり方
③ 報酬支払い方式
④ 制度の谷間のない「障害」の範囲
⑤ 権利条約批准の実現のための国内法整備と同権利条約批准
⑥ 障害関係予算の国際水準に見合う額への増額
四 利用者負担における当面の措置
国(厚生労働省)は、障害者自立支援法廃止までの間、応益負担(定率負担)制度の速やかな廃止のため、平成22年4月から、低所得(市町村民税非課税)の障害者及び障害児の保護者につき、障害者自立支援法及び児童福祉法による障害福祉サービス及び補装具に係る利用者負担を無料とする措置を講じる。
なお、自立支援医療に係る利用者負担の措置については、当面の重要な課題とする。
五 履行確保のための検証
以上の基本合意につき、今後の適正な履行状況等の確認のため、原告団・弁護団と国(厚生労働省)との定期協議を実施する。
参考のために、弁護団声明ときょうされんのコメントも「続きを読む」に転載しておきます。
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声明文「国との基本合意締結にあたって」
本日、障害者自立支援法違憲訴訟の原告71名と弁護団は,国(厚生労働省)との間で基本合意書を締結し,本件訴訟の終結を図ることとした。
2008年10月31日の第一次全国一斉提訴以降、全国14地裁,原告71名は、障害者自立支援法の応益負担制度導入により,人としての尊厳を傷つけられるとともに,経済的に困窮し,将来への計り知れない不安を抱く状況に陥っている全国の障害者のために、同制度の違憲性の確認と応益負担制度の廃止を求め、やむにやまれぬ思いで違憲訴訟に踏み切った。
その後政権が交代し,与党三党の合意により障害者自立支援法及び応益負担制度の廃止が宣言され、これに伴い,国は,従来の主張の見直しとともに、原告らに対し,訴訟終結に向けた協議の申し入れをしてきた。原告らは熟慮の結果、これに応じ、本日まで3ヶ月余り、訴訟に至った原告それぞれの思いを原点に、国に障害者の声と実態を踏まえた合意を求めるべく、精力的に協議を行ってきた。
その結果、本日、本件訴訟を提起した目的と趣旨に見合うところの合意内容に達することができたため、本基本合意の締結に至ったものである。
本基本合意は、
(1) 判決を前提としない段階で、国と原告らとが真摯かつ積極的に合意形成に努めた協議が生み出したものであること、
(2) 国の制度・法律の変更自体を約束するという、基本的な政策形成に関し、訴訟当事者と国とが確約するという初めてのものであること、
(3) 自立支援法の制定経過の問題点と応益負担の導入を反省し、再発防止を約束していること、
(4) 今後の障害福祉施策の基本理念として、初めて、基本的人権行使の支援にあることを明確にしたこと、
(5) 合意内容実現のため定期協議による検証の場を設けたこと等、社会保障裁判の歴史や障害者福祉運動において画期をなす歴史的なものである。
これは、原告らが、まさに自らの生活の実態や苦しみや不安を、勇気をもって各裁判所に訴えてきた、その一つ一つの事実の重みを、国が受け止めざるを得なかった結果である。
とはいえ、国の障害者自立支援法廃止の宣言にもかかわらず、次年度予算措置における十分な低所得者無償化への財源確保ができなかったことなど、本基本合意へ踏み切る道筋は平坦ではなかった。
本基本合意の締結により訴訟は終結のための手続に入るが、これは自立支援法の廃止と新たな総合的福祉法制に向けた新しい出発にすぎない。原告71名は、引き続き、本基本合意の内容が真に達成される日まで、定期協議などを通じて、原告らをはじめとした当事者の声を反映し、国が「障害のある当事者が社会の対等な一員として安心して暮らすことのできるものとするために最善を尽くす」(本基本合意書前文)よう、全国の障害者、家族、関係者とともに、不断の努力を続けるものである。
最後に、これまで本訴訟を支え、励まし、協力をしていただいた全国の方々に心から御礼を申し上げるとともに、今後とも共に手を携えて、新しい障害福祉の未来のために尽力いだくことをお願いして、本声明とする。
以 上
2010年1月7日
障害者自立支援法違憲訴訟 原告71名一同
全国弁護団勝利をめざす会
(コメンTOMO2010年1月8日)
運動が勝ち取った基本合意
~これからが本当のスタート~
■歴史の扉をこじ開けた原告たち
2010年1月7日、障害者自立支援法訴訟の原告は政府との間で基本合意文書を交わした。これにより、今後この訴訟は終結に向かうことになる。2005年10月31日に全国の障害のある人と関係者の切実な思いを踏みつぶすようにして成立したこの法律の廃止を政府が文書で表明し、原告と確約をしたのである。2008年10月31日の第1次提訴、2009年4月1日の第2次提訴、2009年10月1日の第3次提訴と続いた原告は14の地裁で71名にも及ぶ。この原告たちの勇気ある決意と行動が、重い重い歴史の扉を押し開いたのだ。
実はこの日、全国の原告と弁護団、障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会(以下、めざす会)のメンバー115名は、基本合意文書(この段階ではまだ案であった)の内容と扱いなどについて調印式直前まで4時間以上にわたって真剣な議論を行っていた。例えば「障害者自立支援法制定の総括と反省」の項目について、多くの原告は「反省という文言では不十分であり、謝罪とするべき」と主張したが、結果的にはこの主張は叶わず「・・・心から反省の意を表明するとともに、この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たる。」との表現にとどまった。また、応益負担の廃止に向けてまず2010年度から障害福祉サービスと補装具の利用に関して市町村民税非課税世帯はすべて無料となるが、自立支援医療の利用料は無料にならなかった点についても「当面の重要な課題とする」にとどまっている。このようにこの合意文書は100点満点というわけではなく、それ故に少なくない原告は「本当に合意していいのか」「障害のある者同士が分断される気がする」「合意した後は一体どうなるのか」と不安を口にした。
一方、「障害者自立支援法廃止の確約と新法の制定」「・・国(厚生労働省)は・・違憲訴訟を提訴した原告らの思いに共感し、これを真摯に受け止める」「・・新たな福祉制度の構築に当たっては、現行の介護保険制度との統合を前提とはせず・・」など、現時点で政府側が精いっぱいの歩み寄りをしていることも原告たちは受け止めた。自立支援法の全般的な課題についての問題意識を基本合意という形で政府側と共有することは、今後の新制度の検討に当たっても有効に働く。
こうした二つの側面の間で原告たちは率直に議論をし、そして最後に、残された課題は今後の運動の課題として引き継ぎつつ、訴訟に傾注してきたエネルギーを今後は新たな法制度作りに向けることを決意したのである。またこの場で、新たな法制度を検討するために内閣府に設置される障がい者制度改革推進本部の下の障がい者制度改革推進会議のメンバーとして、本訴訟の弁護団長である竹下義樹氏と、めざす会世話人であり日本障害フォーラム(JDF)幹事会議長でもある藤井克徳氏が招請を受け、1月12日に開催される第1回会合に出席する旨が報告された。
調印式は厚生労働省の講堂で行われ、長妻昭厚生労働大臣、原告の代表として秋保喜美子さん、そして竹下義樹弁護団長の3人が、基本合意文書に調印をした。その後行われたそれぞれの立場からのあいさつの中でも、やはり原告の言葉は心に残った。「初めて応益負担の金額が分かった時、その余りの多さに妻が『離婚しなければ生活できない』と言った。障害のある自分と結婚したばかりに妻にこんな思いをさせてしまう、これがこの国の障害福祉制度の実態です」「自立支援法と同時にホームヘルパーの時間が100時間も減らされてしまい本当に困った」など自らがこの法によって受けた被害、「応益負担をなくして障害はあっても誰もが安心して暮らせるようにしたい」という原告として立ち上がって以来持ち続けてきた熱い思い、そして「これで終わったわけではありません。今からがスタートです。本当に安心できる制度を作るために頑張りたい」という今後に向けての決意・・・その一つ一つの言葉の重みは、立場の違いを越えて調印式の会場にいたすべての人の胸に刻まれたことだろう。
■全国の大運動があったからこそ…
準備期間も含めると約3年余に及んだ本訴訟はこれで一応の区切りを迎え、今後の選択肢としては和解・取下げ・放棄の3つがあるという。これから原告・弁護団・めざす会の三者でどの道を選ぶのかを議論することになるが、原告の思いを尊重するならば、取り下げや放棄はあり得ない。政府との合意事項を司法の場でも確認するという意味で、14地裁すべてで和解を目指すべきだ。和解となれば、判決と同等の効力を原告と被告の双方に及ぼすことになり、今回の基本合意の内容から言えば原告サイドの勝訴的和解と言ってもよいとのことだ。まさに、原告を中心として弁護団・めざす会の三者が、途中では激しい議論も交わしながら、最後まで「ひと固まり」で進むことを堅持したことによってもたらした歴史的な成果である。
そして更に忘れてはならないのは、この歴史的成果は約5年に及ぶ全国の障害のある人たちと関係者の「自立支援法反対」「応益負担はいらない」という大運動が勝ち取った成果でもあるということだ。訴訟運動は、言ってみればこの大きな運動の一環でもあった。2005年の7月5日に日比谷公園で行った11000人の大フォーラムを皮切りに、毎年自立支援法が成立した10月31日に取組んできた全国大フォーラムは大きなインパクトをもたらし、旧政権の下でもその都度、一定の制度改善を勝ち取ってきた。そして新政権の下で初めて行った2009年10月30日の大フォーラムでは、長妻大臣が出席して「自立支援法は廃止することを決意している」と参加者の前で直接明言したのである。
またこの大運動の特徴は、主要な障害団体がお互いの主張の違いは尊重しつつ一致できる点で共同を広げてきたことである。こうした共同の取組みは中央のみならず全国各地でも模索され、地域の障害者運動にとっても財産となっているのだ。今にして思えば、まさに未来につながる大運動に取組んできたと言っても過言ではない。
■本番はこれから
折しも、同じ1月7日に各マスコミは自立支援法成立の中心人物であった国立社会保障・人口問題研究所の京極高宣所長の論文盗用問題を報じた。他にも自立支援法成立に深くかかわった複数の厚労省関係者による不正事件も既に報じられている。こうしたことを見るにつけ、この人たちが深く関与した法律が障害のある人と家族、関係者に対して筆舌に尽くしがたい苦しみを与えてきたことへの憤りを改めて感じる。また、この3年の間に福祉支援の利用をストップして家に閉じこもった人や、将来の展望を見失い福祉の職場から去って行った支援者、そして心中事件などで失われた命など、取り返しのつかない被害が実際にあったことを思うと、「もっと早く今の局面をつくりだすことができていれば」という痛恨の思いがこみ上げてくる。
こんな思いを胸に抱えつつ、私たちはこれから新しい歴史の出発点に立ったことになる。新たな制度作りに直接関与するという、これまで経験したことのない未知の世界に足を踏み出すのである。
障害のある人の願いを真ん中にして、きょうされんがこれまで蓄えてきた実践と政策検討の到達を新制度に反映する絶好の機会が到来した。原告が言うように、「今からがスタート」なのである。
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2010.01.20 | | Comments(0) | Trackback(12) | ・障害者自立支援法2
