NO.1544 イラク戦争答弁書 「赤旗の暴投」? 池田香代子氏に一言。
「世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし」 在原業平(古今和歌集)
木の芽起こしの雨が降り続いている。桜が早く散らないかと心配やな。
昨日のエントリーで、小沢一郎氏主導の「国会改革」は強権国家つくりに道を開くものだと批判し、特に内閣法制局長官の答弁の禁止について、以下のように書いた。
ここで引用紹介した「しんぶん赤旗」の記事について池田香代子ブログ「答弁書のもやもや・赤旗の暴投 本編」が、「赤旗の暴投」と書き、「赤旗のミスリード、感情的な反撥を見込んだミスリードであって、ポピュリズムの手法だ」と批判を加えている。小沢主導
国連の決定があれば自衛隊の海外派兵も可能だと独自の憲法解釈に立つ小沢氏は、ことあるごとに内閣法制局を批判し、法制局の廃止や長官の国会答弁禁止を要求してきた経緯がある。小沢氏が音頭をとって言い出した「国会改革」が、解釈改憲の拡大につながる危険は明白だ。
参考までに、つい先日、鳩山内閣はイラク戦争支持を検証するという約束を反故にし、「違憲となるとは考えていない」などとする答弁書を閣議決定し、自公政権のイラク戦争支持を正式に正当化したそうだ。小沢氏の法制局長官の答弁「禁止」の狙いと同じ方向である。
2010年3月20日(土)「しんぶん赤旗」
イラク派兵 鳩山内閣が正当化
戦争支持の検証棚上げ
赤嶺議員に答弁書 野党時の主張翻す
池田氏は「『イラク派兵を正当化』というのは、答弁書のどこをどう読んでも出てきません。」とした上で、以下のように書いている。
池田氏が呼びかけ人の筆頭に名を連ねたイラク戦争検証シンポは、いったい鳩山政権とこの答弁書をどう評価したのでしょうか?・・・前略・・・
後者についての答弁書の件(くだり)を引用します。
「同法第八条第三項に規定する実施区域が、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域であるなど、同法の規定に従って行われるものである限りにおいては、違憲となるとは考えていない。」
こうした文章の「くせ」は知りませんが、「行われるものである限りにおいては」というのは、事実ではなく一般論としての前提に読めます。事実なら、「行われたものである限りにおいては」と、過去形にするのではないでしょうか(まあ、悪文ですけど)。過去形で事実を述べ、それは違憲ではないと締めくくれば、自衛隊のイラク派兵という過去の事実を合憲として追認していることになりますが、そうではない以上、鳩山政権はイラク派兵を正当化していると断定するのは勇み足です。なのに、見出して「正当化」と謳(うた)うのは、赤旗のミスリード、感情的な反撥を見込んだミスリードであって、ポピュリズムの手法だと思います。
・・・・中略・・・
そして、鳩山政権はイラク派兵を正当化したかどうか、ご判断ください。
日本共産党赤嶺政権議員の質問主意書と内閣の答弁書は以下である。
平成二十二年三月十一日提出
質問第二五一号
イラクに対する武力行傲及び自衛隊派遣についての鳩山内閣の統一見解に関する質問主意書
提出者 赤嶺政賢
イラクに対する武力行傲及び自衛隊派遣についての鳩山内閣の統一見解に関する質問主意書
二〇〇三年三月二十日、米国及び英国をはじめとする有志連合国は、国際社会の圧倒的多数の反対の声を押し切り、イラクに対する武力行使を開始した。同日、当時の小泉純一郎首相は武力行使への支持を表明し、同年末以降、イラク特措法に基づき、戦闘の継続するイラクに自衛隊を派遣した。
ところが、その後、二〇〇四年十月に米政府調査団の報告書が公表され、開戦の最大の根拠とされた大量被壊兵器はイラクに存在しなかったことが確定した。二〇〇五年十二月には、当時のブッシュ米大統領自身が誤った情報に基づいて判断したことを公式に認めた。旧フセイン政権と国際テロ組織アルカイダとの間に一切関係がなかったことも、二〇〇六年九月に米上院情報特別委員会が公表した報告書などで明らかになった。
自衛隊のイラクへの派遣については、二〇〇八年四月、名古屋高等裁判所が、イラクにおける航空自衛隊の空輸活動は、武力行使を禁止したイラク特措法第二粂第二項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条第三項に違反し、かつ憲法第九条第一項に違反する括動を含んでいるとの判断を示し、確定した。
民主党は、イラクに対する武力行使は国連憲章をはじめとする国際法の原則に違反し、自衛隊のイラク派遣は憲法上の疑義があるとの見解を表明し、政府の対応を批判してきた。
昨年九月、鳩山内閣が発足した。日米両政府は、日米安保条約の改定から五十年を迎えた今年、日米同盟を深化させるための協議を開始しているが、イラクに対する武力行使を支持し、自衛隊を派遣するに至った経緯について現政権が検証し総括することは、今後の日米関係と日本外交のあり方にとって、きわめて重要な意味を持つと考える。
したがって、次の事項について、鳩山内閣の統一見解を示されたい。
一 イラクに対する武力行使は、国際法に違反するとの認識か。
二 航空自衛隊及び陸上自衛隊のイラクへの派遣は、憲法に違反するとの認識か。
三 イラクに対する武力行使を支持し、自衛隊を派遣した当時の政府の判断は、誤っていたとの認識か。
四 イラクに対する武力行使を支持し、自衛隊を派遣するに至った経緯について検証し、結果を公表すべきではないか。
したがって、以下質問する。
----------------------------------------------------------------
内閣衆質一七四第二五一号
平成二十二年三月十九日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫
衆議院議長 横路 孝弘 殿
衆議院議員赤嶺政賢君提出イラクに対する武力行使及び自衛隊派遣についての鳩山内閣の統一見解に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員赤嶺政賢君提出イラクに対する武力行使及び自衛隊派遣についての鳩山内閣の統一見解に関する質問に対する答弁書
一について
イラクに対する武力行使は、国際の平和と安全を回復するという目的のために武力行使を認める国際連合憲章第七章の下で採択された決議第六百七十八号、決議第六百八十七号及び決議第千四百四十一号を含む関連する国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。) の決議により国際法上正当化されるというのが当時の政府の考え方であつた。
二について
政府は、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号)そのものが違憲であったとは考えていない。同法に基づく自衛隊のイラクへの派遣についても、同法第八条第三項に規定する実施区域が、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域であるなど、同法の規定に従って行われるものである限りにおいては、違憲となるとは考えていない。
三及び四について
当時の政府は、イラクが十二年間にわたり、累次の安保理の決義に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会をいかそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかったとの認識の下で、米国を始めとする国々による武力行使を支持したと承知している。他方、当該武力行使を支持し、イラクへ自衛隊を派遣した当時の政府の判断については、異なる判断もあり得たのではないかとの考えもあり、当該武力行使を支持し、自衛隊を派遣した当時の政府の判断の検証は、将来の課題である。
自公政権の罪状の追認・容認であり「正当化」
答弁書は、イラクへの武力行使は「国連安全保障理事会の決議により、国際法上正当化されるというのが当時の政府の考え方であった」とし、現政権としての判断を回避している無責任極まりないものである。イラク特別措置法「そのものが違憲であったとは考えていない」とし、同法に基づく自衛隊のイラク派兵については、活動の実施区域が「非戦闘地域」であるなど同法の規定に従えば「違憲となるとは考えていない」と表明している。これらは、法の字面をなぞり、派兵の現実を検証しない無責任な態度と言わなければならない。
イラク戦争を支持し、自衛隊を派遣した当時の政府の判断については「異なる判断もあり得たのではないかとの考え」もあるなどとしながら、検証については「武力行使を支持し、自衛隊を派遣した当時の政府の判断の検証は、将来の課題である。」と答え、鳩山政権としては検証しないという無責任な立場をあらためて表明している。
この答弁書の特徴は、日本政府によるイラク戦争支持と自衛隊派兵について、当時の自公政権の考え・判断をなぞることに終始し、現政府自らの立場を明らかにせず、いわんや、実際の派兵の検証を「将来の課題」に追いやってしまったというところにある。これこそ、自公政権の罪状の追認・容認であり「正当化」というのではではないだろうか。
自らの言動にも無責任
民主党は野党時代に、イラク戦争について、国連憲章をはじめとする国際法の原則に違反していると主張していた。イラクへの自衛隊の派遣は憲法上の疑義があるとして、イラク特措法に反対し、当時の自公政権の対応を批判していたのは紛れもない事実である。
鳩山首相は、政権発足後も、「イラクに対し戦争を始めること自体が誤っていた」(09年11月2日、衆院予算委員会)と発言した。
答弁書を読んで字の如く、「赤旗」が書くように「イラク派兵 鳩山内閣が正当化」し、「戦争支持の検証棚上げ」したのであり、「野党時の主張翻」したのではないか。
アメリカと一心同体でイラク戦争に加わったイギリスやオランダでさえも、独立調査委員会が設けられ、政府高官らの証人喚問を進め、真摯な検証を始めているという。
イラク戦争とそれに対する当時の自公政権の対応について責任ある検証もしない・・・、そして自らの言動にも責任を持たない。こういう態度こそが、戦争の歴史的事実を容認し、そして「正当化」するのである。
誤りを認めなければ又誤りを繰り返すのである。
私には赤旗の「勇み足」「赤旗のミスリード、感情的な反撥を見込んだミスリードであって、ポピュリズムの手法」とは読めないが・・・。池田氏は、「政府答弁のもやもや」とし、政府答弁を字面で読み、読み方が、つまり政権への見方が甘いのではないか。批判すべきは政府答弁であり、ましてや「赤旗」への批判は的外れというべきだと思う。それともあの誠実で真面目な方に、「為にする意図」があるのかと勘ぐりたくなる一文ではある。
共通に連なる
この政府答弁といい普天間問題の混迷・迷走といい、新政権の誕生は一体なんだったのかと問いたい。
2004年11月のあのファルージャの悲劇は、「大量破壊兵器除去」とか、「テロリスト掃討」という戦争の「大義」がまったくのウソで、侵略戦争そのものだということを象徴的に証明したものだったではないか。そしてあれを引き起こしたのは沖縄駐留の海兵隊そのものだった。
鳩山政権が、自公政権の立場をなぞるだけで追認し、イラク戦争の無法を認めないのであれば、それは結局、侵略部隊としての米海兵隊の役割にも目をつむるということだ。そして、普天間基地問題は“移設先探し”に終始し、をさらに混迷の泥沼にはまるだろう。
イラク戦争の評価に現れた政府の姿勢は、普天間基地の問題にも共通に連なっているのである。すなわち何よりも「日米同盟絶対」という姿勢において。
反省なき者は過ちを繰り返す。
と思われたら



「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
- 関連記事
-
- NO.1984 ゆすり・たかりの本家が、言いたい放題や!占領軍さながら。(ケビン・メア講義メモ全文つき) (2011/03/08)
- NO.1931 11.23が、「朝鮮半島戦争勃発の日」とならないことを祈り・・・ (2010/11/23)
- NO.1826 自衛隊 初の海外基地建設 「派兵恒久法」の先取りか (2010/07/24)
- NO.1825 「思いやり予算」などの米軍経費をなくすことが基地撤去への道 (2010/07/24)
- NO.1816 「そんな連中(アラブ人)を射殺するのは、すごい快感だ。」 (2010/07/15)
- NO.1629 5.15 沖縄復帰38年 「沖縄を返せ!」 (2010/05/15)
- NO.1601 市民のまつり「博多どんたく」に、米軍参加はなじまない! (2010/05/04)
- NO.1546 イラク戦争7年を検証する。 (2010/03/25)
- NO.1544 イラク戦争答弁書 「赤旗の暴投」? 池田香代子氏に一言。 (2010/03/24)
2010.03.24 | | Comments(5) | Trackback(1) | ・米軍・自衛隊・安保Ⅱ
