NO.1560 「ない袖は作れ!」 「豊かで活力ある国民生活を目指して」 消費税増税を!(日本経団連)
財界が、国民生活の心配をしてくれているらしい。
「豊かで活力ある国民生活を目指して」・・・だそうだ。
ありがたく読ませていただくこととした。
とは言っても長大な文章、斜めにチラッとだが。
その「むすび」は以下の文言である。経団連 成長戦略 2010 「豊かで活力ある国民生活を目指して」(2010年4月13日 日本経済団体連合会)
もくじ
(前略)
IV.成長戦略にかかわる税・財政・社会保障の一体改革
1.基本的考え方
2.財政分野
(1)成長戦略の実行を通じた名目成長率の引き上げ
(2)歳出重点化・合理化努力の継続
(3)歳入構造改革の推進
3.社会保障分野
(1)社会保障の横断的な将来像を見据えた改革の推進
(2)雇用の多様化・流動化に対応したセーフティネットの再構築
4.税制分野
(1)消費税の拡充
(2)所得税の再分配機能の回復
(3)法人実効税率の早期引下げ等
(4)社会保障・税共通番号制度の早期導入
豊かな国民生活のために、財界がある袖(内部留保など)を振ってくれるという話ではない。成長戦略のための「カネ」が足りないのなら、「カネ」は作らなければならない。成長という卵を求めても、餌をやらなければ鶏は卵を産まない。「ない袖は振れない」ではなく、「ない袖は作れ」である。
税・財政・そして社会保障の一体改革を急務とするゆえんである。
・・・なんと!消費税というエサで、財界の儲けという卵を産ませろ!という話だった!
財界も『社会保障費に』 経団連 10%台後半 同友会 17%(東京新聞 2010年4月14日 朝刊)
日本経団連は、「豊かで活力ある国民生活を目指して」と題した経済成長戦略についての提言を発表した。税・財政・社会保障の一体改革の一環として、消費税率の引き上げを明記し社会保障費用の増加分に充てる考えを盛り込んだ。
具体的には、二〇一一年度から「速やかかつ段階的に、消費税率を少なくとも10%まで引き上げていくべきである」と指摘し、上げ幅は毎年2%ずつを例示。さらに二〇年代半ばまでに消費税率を「10%台後半ないしはそれ以上へ引き上げていかざるを得ない」と指摘した。
消費税の問題点として、高所得者より低所得者の方が負担が重くなる「逆進性」への対策も明記。カナダで実施されている控除制度を参考に、中低所得者層の生活必需品に関する負担増分を定額還付する制度の導入を求めた。
一方、経済同友会も十三日発表した成長戦略案の中で新基礎年金制度の創設と「年金目的消費税」の導入に言及。一三年度から六十五歳以上の全国民に対し一人月額七万円の基礎年金を支給する代わりに消費税率を同年度から10%(年金目的分3%、国税2%、地方税5%)にアップ。これを段階的に引き上げ一七年度には17%とする案を例示した。
「成長戦略2010」は、消費税率の段階的引き上げと法人実効税率の引き下げなどを求めている。
経団連は、政府が6月に策定する「新成長戦略」や「中期財政フレーム」に反映させるために圧力をかけるのが狙いのようだ。(民主党政権なら、さぞや簡単に乗ってくるだろう・・・と?)
提言は、「税制改革」について触れ「消費税率を一刻も早く引き上げ、所得税の基幹税としての機能を回復し、法人税への過度な依存を改め、社会保障給付をはじめとする中長期的歳出の増大に耐えられる税体系の構築を一体的に講ずることである」と、迫っている。
消費税率について、「2011年度から速やかかつ段階的に(例えば毎年2%ずつ引き上げて)、消費税率を少なくとも10%まで引き上げていくべきである」と、ご丁寧に具体的に毎年の上げ幅まで挙げている。
そして、20年代半ばまでに「10%台後半ないしはそれ以上へ引き上げ」るべきだと。
提言は、消費税の引き上げによって個人消費が落ち込んだり景気に悪影響を及ぼすことはないと言い切り、「消費の前倒し効果を重視すべきだ」と、身勝手に国民に負担増を強いる立場を合理化している。
一方で、法人実効税率の引き下げは「成長戦略の必須の柱」と位置づけ、現行約40%の税率を30%程度に「早期に引き下げるべきである」と迫っている。
全ては、大企業の国際競争力をつける事が、「豊かな国民生活のため」の基本なのだそうだ。
なんとも身勝手な話ではないか!!
昨日のエントリーで、「資本の負担」で財源を確保し社会保障政策を実施し、「垂直型の所得再分配機能」を果たすのが世界の常識だと書いた。
その中で、「法人税半減と消費税増税の道」が日本の現実と書いたが、あらためてその中身を数字で見てみよう。
それは、この四半世紀を見れば明らかだ。
1995年度のGDP(国内総生産)は約330兆4000億円。
2010年度は、約475兆2000億円で約1.5倍の伸びがある。
しかし、、
法人税収は1985年度は約12兆円。
2010年度は約6兆円で約半分に落ち込んだ。
その理由は法人税の基本税率を43.3%(85年当時)から30%に下げ、連結納税制度でグループ企業の税額を軽減したことなど、大企業優遇税制の結果である。
一方で1989年導入の消費税の、21年間での累計税収は224兆円(国地方計)。
他方、89年以来の法人税の減収累計額は208兆円。
数字が示すように、消費税増税で国民の「ない袖」を振らせ、そっくりそのまま大企業に「エサ」を回してきたのだ。ところが、この鶏(大企業)は「エサ」は食うだけ食って肥え太っただけで、国民のための「卵」なんか産んだためしがないではないか。
社会保障は切り捨てられてきたのだ。
かくて、日本の税収は減り、今また、
「社会保障財源はどうする」
「社会保障が欲しけりゃ、消費税を上げろ!」
と、叫ぶのだ。
参考過去ログ:NO.1559 社会保障財源論と国の財政責任
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1618.html
貧乏人ほど負担が重い消費税は、もともとが反福祉税なのだ。
「社会保障のために消費税を」という議論は、破綻しつくした議論なのだ。
またしても騙される”お人よし”でいいのか日本人!
ところが、消費増税論 公然と 主要2閣僚 安定財源求め(東京新聞 2010年4月14日 朝刊)という報道がある。
政権交代の意味がここでも問われているのだ。
国民の「ない袖」を振らせ、大企業に「エサ」を回せなどとはもってのほか!

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http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
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テーマ:政治・経済・社会問題なんでも - ジャンル:政治・経済
2010.04.14 | | Comments(4) | Trackback(4) | ・消費税・財源・税Ⅳ
