No.1594 民主党政権の「地域主権」は、自公政権の「構造改革」の踏襲
前のエントリーNO.1593 「地域主権改革」の名で 社会保障への責任放棄で、「民主党政権がす進める「地域主権」は、自公政権の「構造改革」を踏襲し、これを加速するものと言わなければなりません。」と書きましたが・・・。
例えば、「規制緩和」を求めてきたのは、保育事業への参入を狙う営利企業です。
JPホールディングスは全国で保育事業を展開し、山口洋代表取締役は厚労省の審議会の保育専門委員も務めていいます。
その山口氏は「首都圏では事務所ビルなどを保育所に改装するケースが中心だが、都市で保育所をつくるには避難階段や2方向への避難経路の確保などの規制が邪魔だ」といって、規制緩和を求めてきました。
営利企業は田舎の保育所整備などには手を出しませんから、保育所不足・待機児童問題をビジネスチャンスと見て、都市で効率よく儲けるために「規制を緩和しろ!」と言うわけです。
まさに今回の「地域主権改革」一括法案で緩和されようとしている内容そのものです。
幼い子どもは、自分では逃げられるわけがありません。国は、安全のための基準を定め、防災施設整備のためにお金を出し、幼い命を守る責任があります。
ところが、営利企業の要求どおりに、安全基準を緩和するというわけです。
これこそ、自公政権の「構造改革路線」そのものではないでしょうか。
民主党が掲げる「地域主権」は、国の役割を軍事や外交などに、自治体の役割を住民サービスにかかわるものに限定するものだと指摘されています。同党の「地域主権」論は、財界の要望にこたえて自公政権が進めてきた「国と地方の役割分担」論をそのまま踏襲したものであり、自治体の権限は強化されても、「住民自治」とはかけ離れたものになるでしょう。そして、いずれは「道州制」に続くものと思われます。
そのことを証明する 国会論戦がありました。
「地域主権改革」一括法案の論戦の当事者、日本共産党の山下芳生議員が「きよしのブログ 」 に、書いていましたので紹介します。
鳩山内閣の「地域主権改革」は小泉「構造改革」と同じだ! 2010年04月27日
以上、転載。4月8日から審議してきた「地域主権改革」一括法案の締めくくりの質疑が総務委員会で行われました。
きょうは、先日視察した知的障害児入所施設の様子も紹介しながら、職員配置基準など最低基準をなくすのではなく引き上げるべきだと山井厚労政務官に質問。また、保育所の面積基準を地方に条例委任する際、待機児童の多い地域は、他の地域より基準を引き下げることを認める問題をただしました。
保育所の面積基準の緩和を認める期間はいつまでか問うと、山井政務官は「潜在需要も含めた待機児童解消を図るまでの間と考えている」と答弁しました。
これは重大です。これ以上保育所はつくらなくていい、子どもが減るまでの間つめこんでおけばいいと言っているようなものではありませんか!民主党には「チルドレン・ファースト」の看板を直ちに降ろしてもらいたい。
続く、原口総務相との論戦は委員会室が沸きました。
私は、小泉内閣がまとめた「日本21世紀ビジョン」(05年4月19日)に「地域主権を確立する」「地方分権を徹底し、地域住民が自らの判断で地域における最適な行政を選択できるようにする」とあることを紹介。「どこかで聞いた言葉がすでにここに出ている」と指摘すると、他党委員から「ほう」とどよめきが。
そこで、「鳩山内閣が『地域主権改革』と称してやろうとしていることは、小泉内閣のビジョンと同じではないのか」と迫ると、原口総務相は、「日本21世紀ビジョン」の当該箇所を見ながら、「私、不勉強でこれ見ておりませんでしたけど、地域主権という言葉はまさに小泉内閣のときにも使われていたんですね。ちょっと、非常にこれまでの議論からすると驚きでございました。たしかにこれどこかで見たような文章だなと…」とポカンとした表情。
ただ、すぐに「いいものは私たちは取り入れていい」とあっさり認めてしまいました。
はっきりしたと思います。鳩山内閣の「地域主権改革」は、小泉「構造改革」がめざした方向と同じものです。しかし、貧困と格差を拡大し、地方を切り捨てた元凶こそ、小泉「構造改革」にほかなりません。この路線とキッパリ決別することに、痛んだ国民生活と地方を建て直す道があります。
一方、自民党もこれまで「地域主権などと言う新語を法律のタイトルに使うのはけしからん!」と一本調子の質問を繰り返してきましたが、まさに天に唾するものだったことが明らかとなりました。
締めくくりにふさわしい論戦となりました。衆院の論戦で待ったをかけるためにがんばりたいと思います。
「いいものは私たちは取り入れていい」・・・。
民主党政権の「地域主権」が自公政権の「構造改革」の踏襲であることを、原口大臣自身が認めた形になりました。
・・・余談ですが、
山下議員は、別のエントリーで、知的障害児生活施設を見学した感想を以下のように書いていました。
「子どもたちの障害の程度は軽度から重度まで幅広い。そのうえ家庭での虐待やネグレクトを受けている子どもも増えています。一人ひとりに向き合い、適切な支援を行うことが求められています。そのためには職員がもっと必要だし、子どもたちが一人になりたいときになれる場所など施設の改善も必要とのことでした。
国の職員配置基準が何十年も変わらないなど、こうした施設が政治的・社会的に放置されてきたことに胸が痛みました。今回、児童福祉法の最低基準がなくなれば、私たちの社会がいよいよ“豊かな社会”から遠ざかるなと思いました。」
こういう国会議員を増やしたいものです。
参考;
■NO.1593 「地域主権改革」の名で 社会保障への責任放棄
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1660.html
■NO.1595 「地域主権」法案 自立支援法後の新法にも 制約
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1663.html
「地域主権改革」の名で 社会保障への責任放棄はゆるされない!

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http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
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2010.04.30 | | Comments(0) | Trackback(1) | ・福祉・社会保障全般Ⅰ
