NO.1673 チャルマーズ・ジョンソン「弱者に嫌なものを押しつけるという生き方 」(転載紹介)
普天間基地の「移設先探し」は、弱者探しの差別につながる。だから無条件撤去以外にはない。
イワタバコ
ジャーナリスト金平茂紀氏の「THE JOURNAL」というサイトがある。
かつてCIA顧問で、日米経済摩擦の時代には日本叩きの急先鋒だった人物が、普天間基地問題に対する鳩山政権のやり方を、弱者に嫌なものを押しつけるという生き方と激しく批判しているという。至極当然で別に新しい考えでもないが、今求められる確かな視点であろう。アメリカ事情も良くわかる。
そして、金平茂紀氏氏は、「僕は沖縄の海兵隊はグアムに移転すればいい、と一瞬でも考えていたことを恥じた。嫌なものは弱者に押しつけるという生き方を、僕らは考え直すべき時に来ているのに。」と言う。一読に値する。以下、部分転載。(全文はリンク先でどうぞ)
↑ チャルマーズ・ジョンソン氏(Wikipediaより)
(前略)
アメリカの日本研究者のなかでも、長老格である国際政治学者チャルマーズ・ジョンソン氏(以下CJ氏と記す)に話を聞く機会があった。ちょうど、普天間問題で鳩山首相が沖縄を1回目に訪れた直後のことである。CJ氏は歯に衣着せずに鳩山首相のふがいなさをこき下ろしていた。首相を「意気地なしで卑劣」と評したあと、米政府は海兵隊を今すぐにでも米本土に戻すべきだと主張していた。CJ氏の口調があまりにも激越だったので、こちらも若干たじろいだが、CJ氏が怒りをあらわにした理由をその言葉を噛(か)みしめながら考えた。
CJ氏は1980年代の日米経済摩擦の時代には日本異質論者として日本叩きの急先鋒だった人物である。かつてCIA顧問も務めたことがある。その人物が今やアメリカの世界規模での軍事基地展開に根源的な批判を繰り出すまでになった。冷戦は終わった、時代は変わったのだと。もう外国に軍事基地を維持しておく時代ではないのだと。CJ氏は普天間問題の歴史的な経緯(95年の少女暴行事件や沖縄国際大学へのヘリ墜落事故など)を熟知しているばかりか、戦後史のなかでの沖縄戦、日本復帰前の米軍統治時代の歴史を周知している。だからこそ、今回の鳩山首相の動きが「不正義」を正す歴史的転機に対する「裏切り」と映っているようだった。
95年の米兵による少女暴行事件をきっかけに盛り上がった反基地感情には正当な根拠があった。それが「海兵隊よ、島から出て行け」ではなく、基地機能の一部縮小、そして普天間基地移設にずれこんでいく過程にこそ問題があったことを見据えている。CJ氏の認識では、海兵隊が沖縄に駐留している理由は、「抑止力」などというレベルではなく、単に陸軍、空軍、海軍、海兵隊といった軍内部のライバル意識がそうさせているだけなのだと断じていた。
だが、CJ氏がもっともこだわっていた点は、沖縄県が圧倒的に被っている不利益を半世紀以上に放置し続けている日本の政治に向けられていた。それは端的な言い方をすれば、弱者に嫌なものを押しつけ続けて平気でいられるという生き方を日本が選んできたということである。このことを「不正義」でなくて何と呼べばいいのか。質問の最後の方で僕は「鳩山政権は辺野古移転案に戻るしかもう選択肢がないと思うか?」と聞いてみた。CJ氏の答は以下のようなものだった。
《あまりにも長期間、自民党政府がアメリカの操り人形だったので、それが制度化(institutionalize)されてしまった結果、人々は今までどおりにするのが自然と思い込んでしまっているんだ。日本はアメリカの植民地じゃないし、沖縄もアメリカの植民地ではない。だからアメリカ人は嘉手納基地の中と同じようにその周辺を歩きまわってはならないのだ。だが現実はそうじゃない。
言っておきたいんだが、アメリカではこの普天間については全く議論にもなっていないよ。人々が知らないということは、それを考えたこともないからだろう。大体のアメリカ人はフテンマなんて聞いたこともないし、何事かも、どう発音するのかも知らない。クリントン元大統領が昔そうだったようにね。私はひとりのアメリカ人として沖縄の人々に申し訳なく思っている。
結局、アメリカの沖縄占領は世界中のどこよりも長く続いているんだ。そして1972年に復帰後、沖縄県民は日本国憲法が自分たちを守ってくれると期待していたのに、それは起こらなかった。彼らは日本国民であるのに憲法の同等な保護を受けていないことに純粋な悲しみを抱いている》
鳩山首相の2回目の沖縄訪問の翌日、アメリカの独立系ニュース番組『デモクラシー・ナウ!』は、鳩山首相の普天間問題での「屈従」について特集を組んでいた。その番組があまりにも日本のテレビでは見当たらない視点を提供してくれていたので見入った。それは、ハワイ、グアム、沖縄という米軍の基地駐留地の住民たちが「太平洋地域の軍事化構想」という視点から討論する内容だった。
ハワイにしてもグアムにしても、その地の住民、特にネイティブと呼ばれている人々は、基地の拡大を歓迎していないばかりか、基地を押し付けられることに「差別感」を抱いている。現に、グアム島の人々はアメリカ市民と同等の政治的な権利を有していない。彼らはオバマ大統領に投票などできない「二級市民」とされているのだ。この冷徹なる差別構造。
僕は沖縄の海兵隊はグアムに移転すればいい、と一瞬でも考えていたことを恥じた。嫌なものは弱者に押しつけるという生き方を、僕らは考え直すべき時に来ているのに。
だから、普天間基地は無条件撤去以外にはない。

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2010.06.06 | | Comments(3) | Trackback(1) | ・普天間基地問題Ⅲ
