NO.1668 沖縄差別とチャルマーズ・ジョンソンの「沖縄出島」論
ここでは日米安保の是非は中心の論点にはしません。
沖縄が問題にしている一つは「不公平」。
沖縄タイムス:[安保の歪み]解消されない不公平 県民に「悔しい思い」
では、県外に移設すればいいかというとそうではない。沖縄がイヤなものはどこだってイヤなのだ。普天間は無条件撤去!そのもととなる日米安保はなくそうということとなるのだが。27日の全国知事会では米軍基地を抱えていたり、在沖米軍の移転訓練を引き受けている地域が「すでに責任は果たしている」と主張するなど、鳩山首相が呼びかけた沖縄の負担軽減には非協力的な態度が目立った。
「米兵の犯罪、不祥事が多く何の手当てもせず全国にばらまくのか」(大分県知事)「この時期に知事会を招集して全国に火の粉を分散するつもりか」(千葉県知事)。
心ない言葉だ。沖縄ならいいのか。くやしく、むなしい気持ちになる。全国に存在する米軍専用施設の75%が国土面積の0・6%に集中する現状を固定化する差別的な構造が堅固にある。これが日米安保の実態なのだ。
参考に、TBいただいたマスコミに載らない海外記事さんの「アメリカ軍はなぜいまだに沖縄にいるのか? 1997年4月」も、一読を。ここで紹介されているチャルマーズ・ジョンソンの沖縄論---アメリカから見た沖縄少女強姦事件の意味と無意味。(文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記』)がお薦めの本命。
チャルマーズ・ジョンソン*による沖縄米軍の実態分析と「沖縄出島論」
(*現在、民間シンクタンク「日本政策研究所 the Japan Policy Research Institute」所長を務める。元中央情報局顧問。タカ派の論客だったが現在は反軍主義に転向。)
「沖縄出島論」とは「国家の主権者である日本国民には、米軍の存在が見るに耐えないので、徳川幕府がオランダ商人を長崎の出島に隔離したのと同じ発想で、本土日本人の目から米兵の姿を隠すため」に沖縄に隔離しているというもの。
果たして我々日本人は「米軍の存在が見るに耐えない」ほどに、まともにそれを見てきたのだろうか。いま、そのことが問いかけられていると思う。さらに、この一文は在日米軍、在沖米軍の実態とその存在を支える「思いやり予算」の異常ぶりを指摘するものである。そしてその異常ぶりを「沖縄出島」論で説明し批判する・・・。前置きはこれぐらいにして以下、転載。
2003年11月現在、日本配属の米軍制服組要員は4万7000人であり、それとは別に、神奈川県横須賀市・長崎県佐世保市に海軍基地を置き、時に洋上にある第7艦隊所属海軍将兵が1万4000人いる。さらに加えて、軍人家族が5万2000人、国防総省文官は5500人を数え、また、ゴルフ場管理、無数の将校クラブの給仕といったサービス業務から、中央情報局(CIA)と国防省諜報庁(DIA)のための日本の新聞記事の翻訳業務にいたる多種多様な仕事をこなしている日本国籍の米軍雇用者が2万3500人いる。
これほど大規模な派遣部隊が日本国土に置かれた91ヵ所の基地に配属されている。沖縄の基地数は38ヵ所、総面積は2万3700ヘクタールであり、米軍施設は沖縄本島総面積の19パーセントを占め、しかも一等地に立地している。沖縄配属の米軍人は2万8000人であり、それに同数の軍関係者、国防総省文官が加わる。沖縄で最大規模の派遣部隊は人員1万7600の海兵隊であり、東アジア最大の米軍基地・嘉手納空軍基地の航空パイロットと整備要員がそれに続く。これら招かざる客がいなくても、沖縄は、ハワイ諸島のカウアイ島よりも小さな陸地に、地元住民130万人が生活する人口密集地なのである。
海兵隊の基地群は、(3師団ある米海兵隊のうち、ただひとつ米本土外に司令部を置く)第3海兵師団の司令部があるキャンプ・フォスター、金武町のキャンプ・ハンセン、具志川市のキャンプ・コートニー、名護市のキャンプ・シュワブ、それに沖縄第2の大都市・宜野湾市の中心部に、市域の実に25パーセントを占めて広がる普天間海兵隊航空基地など、広大な立ち入り禁止区域を占めて展開している。すべての海兵隊基地は、1945年春夏の沖縄戦、それに1950年代・冷戦最盛期に設置されて以来、今も存続している。
このような沖縄に見られる米軍帝国主義の姿は、沖縄の極端な基地集中度を除けば、特に珍しくはない。ドイツ、イタリア、コソボ、クウェート、カタール、ディエゴガルシア、その他、どこでも見られる普通の光景であり、最近ではアフガニスタン、中央アジア、イラクに新たに出現した光景である。だが、他にはない在沖縄米軍基地の際立った特徴は、莫大な維持経費、すなわち総額76億ドルのうち、42億5000万ドルを日本政府が負担していることである。
その理由は、部分的には、国家の主権者である日本国民には、米軍の存在が見るに耐えないので、徳川幕府がオランダ商人を長崎の出島に隔離したのと同じ発想で、本土日本人の目から米兵の姿を隠すためである。1879年に日本が力ずくで併合した沖縄は、日本のプエルトリコとでも言うべき、文化的に異質な領土であり、行政当局からも本土住民からも、公的、社会的に長く差別されてきたが、その沖縄の地で、米軍将兵の快適な生活を保証することも、日本政府の負担金の狙いの一つである。
このような基地経費負担を日本の報道は「思いやり予算」と呼び習わしているが、これは、アメリカは貧しいので、対外拡張政策を賄うことができず、だから同情すべきであるということを意味している。日本における米軍の地位を定めた協定(第24条)は、配備経費の全額を米国の負担としているが、思いやり予算が初めて計上された1978年以降、半額を軽く超える経費を日本政府が負担してきた。日本の他に、このような「被駐留地負担」の大盤振る舞いをしている国はない。
結果として、任地の歴史と文化にまったく無知であり、上官からまったくと言っていいほど教育されなくても、沖縄の海兵隊員たちは、キャンプ・ペンドルトン第1海兵師団司令部が立地するカリフォルニア州オーシャンサイド、キャンプ・ルジューン第2海兵師団司令部が立地するノースカロライナ州ジャクソンビルに配属されるよりも、はるかに快適に生活できる。日本の予算を使って沖縄で建設された米軍関連施設を列挙してみれば、この2年間の新築だけでも、キャンプ・フォスターの「高級ホテル」、2~3寝室備えた家族向け近代住宅68区画の高層アパートが2棟、440平方メートルの青少年会館、第3海兵遠征軍楽団が練習し、演奏する「最先端」複合シアター、それに美術・工芸室、「娯楽センター」、大ホール、放送設備、撮影現像設備室をすべて備えた3000平方メートルの「公民館」がある。
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2010.06.04 | | Comments(0) | Trackback(2) | ・普天間基地問題Ⅲ
