NO.182 誰のための「家つくり」か?・・・陶友の歩みと出会い・・・NO.17
無認可時代(9)
陶友の歩みについて、再開します。これから週3本ぐらいアップして、早く今に追いつこうかなと思います。興味ある方はカテゴリー「陶友の歩みと出会い」を参照ください。いよいよ、1000万円募金の峰への挑戦です。
サトウさんは、ジッと考えた後「次の打ち合わせの日程を入れよう。」と提案してきました。
???次の日程を決めて、われわれは失礼しました。
帰り道3人で、
「次ってどういう事や?」
「サトウさん、設計の相談に乗ってくれるってことじゃない?」
果たして、サトウさんは自ら陶友の現場に、打ち合わせのため尋ねてこられたのでした。
8月の終わりか9月の初めごろだったか・・・、プレハブの作業所に西日が指し、うだるような暑い日でした。
汗を拭きふき、佐藤さんは仲間たちにどんな作業所が欲しいかと聞きました。
彼の家つくりは、徹底して施主と話し合うところから始まります。
通常の家の場合は、100項目以上のチェックリストに基づきながら、家族一人ひとりの出身や生い立ち、暮し方、性格、趣味、癖に至るまで掴んでいくそうです。
私は、仲間たちに聞いても、彼らは主観的で一面的だし、「しょうもないんやないと?」と思っていましたが。
「トイレが欲しかです。」「着替えする所が欲しかです。」「ご飯食べるところが広かとがよかです。」・・・仲間たちは口々言います。
・・・「そげなことは、当たり前やろうもん」と、思いながら、「あーくそ暑か、早う形だけの聞き取りは終わらんかね。」・・・不謹慎にも私はそう思っていました。
そして、小脳の障害で平衡感覚がおぼつかないK君が切り出しました。
「ぼくは、段差があると歩きにくいです。靴を脱いだりするのも面倒です。外国のように靴を履いたままで、仕事も食事も出来る様にして下さい。」と。
一時間近い聞き取りが、やっと終わりました。
佐藤さんは、その部屋で唯一涼しげな、熱帯魚の水槽を見ていました。
後で佐藤さんに聞いた話。
あの空間に、熱帯魚を置いた演出のセンスが気に入ってくれたそうです。いや、小さな生き物を育てる気持ちが気に入ってくれたそうです。
もっと大事なことを聞きました。K君の話で、設計の基本構想が浮かんだと・・・。
全ての空間をオープンにして、三和土(タタキ)の土間でつなごうと。
私は、「仲間が主人公」と言い、「仲間たちの要求にこたえる作業所運営を」と言いながら、「こんな話は、どうでもよかろうもん。」と思っていました。
ところが、佐藤さんは、あの一流の建築家が、素人のしかも知的障害のある彼らから、辛抱強く、その願いを聞きだそうとしたのです。
彼の家つくり思想の原点を見た思いがしました。
誰のための「家つくりか」・・・。そこに自分の専門性を、どう提案して形にしていくのか。
「私も設計者の一人、皆さんも設計者です。一緒に設計をしましょう。」
後で、自分が恥ずかしくなりました。


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2007.12.04 | | Comments(2) | Trackback(0) | ・陶友の歩みと出会いⅠ
