NO.1856 「『障害=個性』は一度も口にしたことはない」(乙武洋匡さん)
「障害は個性だ」なんてごまかしだと思いながら、乙武さん好きになれないと思っていたが、誤解だったという話。と、ツイッター使えるかな、という感触。
まだ、秋の夜長というほどではありませんが・・・。
昨日昼寝をしすぎたのと、今日が公休日だという二つの理由で夜更かしをしています。
で、最近やりだしたツイッター。
イマイチ面白くないと思いながら、たまたま見かけた乙武 洋匡さんのツイート。
・・・そこで、暇に任せて「検索」してみたら・・・、こういう使い方もあったのか!と。■「障害は個性か?http://bit.ly/9Flzk5」――みなさんから続々とご意見が届いています。もちろん、正解の存在しない問いだから、人によって捉え方は様々。でも、障害を「個性」という耳ざわりのいい言葉に置き換えることで、改善すべき問題点から目が逸らされてしまうことが怖い。
キーワードは「障害」と「個性」。
出るわ、出るわ!「障害と個性」について改めて考えるきっかけになりました。
以下は、乙武さんの主なツイートから。
■h_ototake 「障害は個性」は、いちども口にしたことのない言葉です。 RT @J_A_Peazer: やっぱり、自分の言葉がゆがめられて報道されたりしたことがありましたか?
■h_ototake 「障害は個性か?http://bit.ly/9Flzk5」――みなさんから続々とご意見が届いています。もちろん、正解の存在しない問いだから、人によって捉え方は様々。でも、障害を「個性」という耳ざわりのいい言葉に置き換えることで、改善すべき問題点から目が逸らされてしまうことが怖い。
次が関連する私のツイート。
●「障害は個性だ」とよく言う。善意の受容で使うのは歓迎するが、専門的には正しくない。障害は障害以外の何物でもない。乙武洋匡さんの説に賛成。http://bit.ly/9Flzk5
●「障害=個性」は障害を個人のレベルだけで見る見方。障害は環境因子も含めてとらえるのが世界の到達。個人レベルで問題視すると「障害自己責任論」,「応益負担論」・・・自立支援法擁護に行き着く。社会政策も含めた広義の環境との相互作用の中でとらえる時問題解決の方向性が見えてくる。
●「障害、個性」論争?http://bit.ly/9MddNm を覗いて考えた。客観的障害と主観的障害。本人が障害の事実をどうとらえているかは大きな要因。乙武さんと同じ客観的な身体の機能障害がある人がいても、それを主観的ににどうとらえるかで障害=「生きることの困難」は違ってくる。
●「障害、個性」論争?http://bit.ly/9MddNm を覗いて考えた。主観的障害。例えば顔のほくろ。機能・能力障害はなんらない。でも本人にはすごく気がかり。周りの目もある。これも立派な障害=「生きることの困難}になる。
実は、私は、「障害は個性」という言葉と共にメディアに露出しだした頃の彼のことをあんまり好きになれなかったのです。これは誤解だったようです。
ご本人が次のように話しています。
そう語る乙武さんは、「障害を個性で片付けるのは、似非ノーマライゼーション」という厳しい批判もある中、ブログ「障害」=「個性」?の中で、次のように穏やかに語っています。■「みんなちがって、みんないい」というメッセージです! RT @chamannsa: 乙武さんはテレビに出ることによって視聴者に何を伝えたいと思っているのですか?
・・・メディアに言葉を託したことによって、誤解が生まれ、
その言葉だけが独り歩きしてしまった最たる例があります。
「障害は個性です」と語る乙武さん――。
みなさんも、どこかで見聞きしたことのある文言かもしれません。
でも、じつは、僕は一度もこのセリフを口にしたことがないんです。
個性とは、「その人らしさを形成する上で、必要不可欠な要素」。
だから、本来の意味で言えば、障害も個性なのかもしれません。
でも、やはり日本で「個性」という言葉が使われるとき、そのほとんどが
肯定的な意味であることが多いように思うんです。
それでも、「障害=個性」と言えるのか?
ならば、障害という個性があこがれられたりもするのか?
たぶん、答えはNOだと思います。
だから、僕自身は「障害=個性」と言いきってしまうことに、
少なからず抵抗を感じてしまうのです。
Twitterでそんなことを書いていたら、こんなツイートをいただきました。
「じゃあ、乙武さんにとって障害とは?」
僕にとって障害とは、「二児の父」「メガネをかけている」――
そうした要素とならんで、乙武洋匡を形成する数ある特徴のひとつ。
そして。
性格や能力、そして障害も含めた僕自身を形成するすべての特徴を
振り返り、それらを生かして、「自分にしかできないこととは……」と
考えたとき、そこに初めて「個性」が生まれると思っているのです。
僕は、この手足がないという特徴を生かして、多くの人々に
「みんなちがって、みんないい」というメッセージを伝えていきたい。
それは、『五体不満足』から一貫して強く思っていることです。
そうした信念で活動していくことが、僕の「個性」だと思っているから。
なるほど、よく知らないで印象だけでちょっと斜に見ていた自分を反省!です。伸び伸びした精神の持ち主でした。乙武さん、ゆがんだメディア情報による誤解と不理解でした。ごめんなさい。
もうずんぶん前に 「NO.241 障害は個性か?」(http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-254.html)エントリーを書きました。視点はちょっと違ったところからですが、再掲しておきます。よろしかったらどうぞ。
陶友に見学に来られた方が、仲間達の働く様子や作品を見て、
「障害も個性ですね。」と感想を述べたり、
「陶友では障害を個性としてとらえ、一人一人にあった取り組みをしている」と、紹介していただいたりすることが良くある。
善意で、いい意味で言っていただいているのだが・・・。
人は一人一人みんな違う。それは障害者も同じ。
体つきや、顔つき、身のこなし方など、外から見えるものも、
知的な発達や性格など見えにくいものでも、色々な違いがある。
そう言う意味においては、みんな、勿論障害者も個性がある存在だ。
しかし、「個性を発揮する」「個性を伸ばす」などと言うことがあっても、
「障害を発揮する」とか「障害を伸ばす」とは言わない。
「障害」と「個性」とは、明らかにレベル、質の違うものなのだ。
私たちの日常で使う「障害」という意味は極めて曖昧なものだ。
実習に来る学生に聴いても、「なにかが出来ない」面をとらえて言うことが多い。
この曖昧さ、不理解が「障害=個性」という考えに結びついているのではないだろうか。
日常的に善意で言う場合は、そう細かくやかましく言う必要もないのだが、
「個性尊重」論という価値の中に、「障害」が埋没すると成れば、実践的には極めて危険になる。
つまり、特別な教育や支援や配慮の必要性を過小評価し、これが昂じると「障害児教育」(今は特別支援教育と言うようだが)や、福祉の不要論まで出てくるのである。
実際、障害者運動の中にそう言う流れが悪影響を及ぼした時期もあった。
福祉や介護の勉強をしているはずの学生達が、「障害とは、何々が出来ないこと」ぐらいな認識のレベルにあるのを見ると、「おいおい、大丈夫かよ」「マジやばい」と思う。
うちでは、実習期間中に必ず「障害とはなにか」の特別講義を入れることになる。
障害とはなにか、科学的な認識がなければ、自分ががやっていることの意味がわからず、仕事が出来ないのである。
マニュアル化された事を、実務的にこなすことしかできない。
個別的・創造的な関わりや支援が出来ないのである。
福祉の仕事は、対象者一人一人の人間として生きる願い、その要求に、多様なあらゆる方法で応えることである。
(福祉分野でもコンプライアンス(顧客満足度)という言葉が大流行だが・・・私は好きじゃないが)
この「多様なあらゆる方法」を、個別的に創造する仕事なのだ。
事実・実態に即して、考える頭がなければ仕事にならないのだ。
そのためには、障害に関する科学的な理解が必要なのだ。
長々とありがとうございました。
もう夜が明けそうです・・・。

ポチポチッと応援よろしく。
↓ ↓


「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
福祉目的なんて嘘っぱち!財政再建目的なんて嘘っぱち!
消費税は、昔も今もこれからも「法人税減税目的税」

- 関連記事
-
- NO.2194 「障害を乗り越えた」「明るい障害者」?・・・障害と環境を考える。 (2012/01/19)
- NO.2177 障害者福祉は黒字?バカ言ってんじゃないよ!! (2011/12/24)
- NO.2112 戦争とともに障害者が消えた? (2011/08/02)
- NO.1866 「きょうされん全国大会inふくおか」・・・尊厳を私たちの手に (2010/10/25)
- NO.1856 「『障害=個性』は一度も口にしたことはない」(乙武洋匡さん) (2010/09/27)
- NO.1846 お知らせ きょうされん全国大会 in ふくおか (2010/09/15)
- NO.1632 「仲間が主人公」を問う (2010/05/17)
- NO.1620 「生きていくのにお金がかかるから自殺を私は考えている。」 (2010/05/13)
- NO1610 <障害者郵便>引受数9割減に 不正事件で審査厳格化 (記録) (2010/05/09)
2010.09.27 | | Comments(1) | Trackback(1) | ・障害者福祉いろいろ
