NO.1874 知的障害者と高齢者 三食つきの刑務所が一番のセーフティーネット
障害者と犯罪については色々書いてきました。
参照:カテゴリー ・障害者と「犯罪」
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-category-62.html
ここでは冤罪ではなく、「三食つきの刑務所が一番のセーフティーネット」になっている現実を、新聞記事からコピーしておきます。
以下の過去ログも参照ください。
■NO.436 受刑者の出所―知的障害者の復帰に手を・・・朝日の社説を支持する。
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-480.html
■NO.1021 「大阪のおばちゃん捕り物帳」と障害者・・・刑務所が一番のセーフティーネット!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-1037.html
ついでに、こんなこともありました。
●oowakitomosan 大脇 友さん
軽度知的障害の仲間がネットで「パチンコ必勝法」を150万で契約。後始末が大変でした。バカと言えばバカだが・・・。 RT @kikko_no_blog: 「パチンコ必勝法」や「競馬必勝法」に騙されるバカが後を絶たないように、今でも「成功本」に騙されるバカがいっぱいいるんだね。
以下、新聞よりコピー。
追跡・累犯:/1 揺れる「更生」/出所しても…(その1)(毎日新聞 2010年10月13日 東京朝刊 )
◇社会の支援こそ必要
知的障害や高齢という事情を抱えつつ、社会と刑務所を行き来する人たちがいる。なぜそうなるのか。身元引受先のない出所者の約15%を自立困難な障害者、高齢者が占めるとの試算もあり、社会支援の乏しさが背景に浮かぶ。裁判員裁判を通じて「罪と更生」が改めて注目される中、刑事司法と福祉のはざまに落ち込んだ「累犯者」の姿を追った。
◇52歳・知的障害者「刑務作業楽しい」
被告席に立つのは3度目だった。今年1月、関西地方の簡易裁判所。京都府の男性(52)はさい銭を盗んだとして2度目の執行猶予中、今度は自転車窃盗の罪に問われた。知的障害があり、知能は5~9歳程度。
弁護人「自転車を盗んだらどうして裁判になるんですか」
男性「窃盗やから。紙(起訴状)に書いてますから」
弁護人「前の裁判で言われたことを覚えていますか」
男性「剣道の練習を頑張りなさいと」
どこかすれ違うやりとり。代わって検察官が質問する。
検察官「なぜ自転車を取ったのですか」
男性「(歩いて)足が痛くなったからね」
罪を認めたが、「泥棒は悪い」と繰り返すばかりで法廷に身を置く深刻さは感じられない。検察は懲役1年を求刑した。逮捕前から男性を支援し、裁判を傍聴した社会福祉協議会の責任者は「誰かに教えられた『音』として『悪い』と話すだけ。なぜ悪いのか、本当の意味で理解していない」と言う。
弁護人は心神耗弱を主張した。判決は知的障害を認定する一方で「物を盗むのが悪いことと十分理解できる」と懲役8月の実刑を言い渡した。
京都府にある男性の実家を訪ねた。84歳になる父親は「本人は警察や検察に言われた通りに答えるのを名誉なことだと思っている」と嘆く。
両親は男性が20歳ごろから知的障害者入所施設に20年近く預けた後、自宅に引き取った。父親が定年退職し、時間をかけて自立の手助けをしようと考えたからだ。家にいれば問題を起こさない。放浪した時だけ警察の世話になる。
執行猶予中、父親は「息子の生活の見守りが必要」と、社会福祉協議会に相談した。母親の認知症が進み、父親自身がんの手術を受けた。男性が家を飛び出し、旅先で自転車を盗んだのはそのころだ。花見や紅葉の季節になったり、生活の変化で不安を覚えると放浪と野宿を繰り返す。社協の責任者は「行動の傾向がつかめ、対策を取る矢先だった。次の罪を犯さないためには福祉の支援こそ必要なのに」と残念がる。
法務省は再犯防止を重要政策に掲げる。軽微な犯罪の場合、福祉施設などの身元引受先がしっかりあれば検察側が起訴を見送ったり、裁判所が実刑を避け、更生を社会に託すケースも出始めている。省内からは「福祉が刑務所に代わる受け皿となりうるのなら、有効だし実情にも合う」(幹部)という声も漏れる。近年、刑務所に刑務作業すらできない高齢者や障害者が少なくないという現状が指摘されていることが背景にある。
◇ ◇
この夏、大阪拘置所で男性に面会した。「夢見るんですわ。泥棒してバットで殴られる夢。だからもうしません」。初対面でも屈託のない笑顔だ。「仕事(刑務作業)は楽しい」「(父親に)元気で頑張ってやっています、と言ってください」。最後も笑顔だった。
弁護人は「刑が重すぎる」として上告したが9月に棄却され、執行猶予が取り消された分も含め1年半の刑が確定した。【長野宏美】=つづく
◇09年の新受刑者のうち 知能指数70未満23%、65歳以上7%
07年版犯罪白書は過去約60年間に発生した犯罪を分析し、罪を犯した人の3割が再犯者で、起こした事件件数では全体の6割を占めている実態を指摘した。
再犯傾向を詳しく調べると、短期間に罪を重ね、刑務所に何度も入る「累犯者」の中に高齢者や知的障害者が多いことが分かってきた。09年の新たな受刑者のうち、65歳以上は2100人で全体の7%。この10年間で約3倍に急増した。知的障害の疑いがある知能指数70未満の新受刑者も6520人で、23%を占める。
福祉関係者からは「地域で適切な福祉の支援を得られないことで生きにくい環境に置かれ、犯罪につながりやすくなっている」との声が上がり始めた。これまで切り離されてきた刑事司法と福祉は連携を求められ、大きな転換期を迎えている。
市民が刑事裁判に参加する裁判員制度が09年5月に始まり、「裁かれた後」にも関心が集まる。社会的に弱い立場にある人たちの犯罪と更生にどう向き合うのか。ともに社会で生活する私たち自身が問われている。
【関連記事】
追跡・累犯:/1 揺れる「更生」/出所しても…(その2止)
追跡・累犯:/1 すぎなみ障害者生活支援コーディネートセンター・赤平守さんの話
毎日新聞 2010年10月13日 東京朝刊
追跡・累犯:/1 揺れる「更生」/出所しても…(その2止)
◇路上生活の経験多く
法務省が再犯防止を重要政策に位置づける中、再犯が多数に上り、社会的支援の弱さが犯罪につながると指摘される知的障害者と65歳以上の高齢者について毎日新聞は再犯歴のある各10人ずつ計20人にインタビューした。罪に至った理由や刑務所出所後の支援状況を聞いたところ、大半が生活苦から再犯に及んでおり、10人が路上生活の経験を持っていた。
刑務所出所者が一時的に身を寄せる民間の更生保護施設や福祉施設、非営利組織(NPO)などに協力を求め、取材に応じると答えた人から順に面会した。その際、取材に正確を期すため、施設職員ら支援者に立ち会ってもらった。
主な罪名別では、窃盗が19人で、大半が食料品などの万引き。1人は詐欺。10回以上の服役経験があったのは4人で、最多は19回。窃盗罪の場合、過去10年で3度以上6月以上の懲役を受けると、常習累犯窃盗罪に問われ、窃盗罪より重い3年以上の懲役刑となる。このため、万引きの繰り返しで人生の半分以上を刑務所で送った高齢者もいた。
また、服役後も身を寄せる場所がなく、再び路上生活に戻ったケースも目立った。前回の刑務所出所(または釈放)から再犯までの期間でみると、判明した18人のうち11人が6カ月未満。出所後の支援がなく、生活苦から再犯に走る実態が浮かんだ。【坂本高志、石川淳一】
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◇インタビューに応じた人たち◇
入所回数 主な罪名 路上生活経験 主な発言
【知的障害】
(1)男性(45) 7 窃盗(置き引き) 無 お金をためて結婚したい
(2)男性(27) 2 窃盗(銅線盗) 有 お金の管理は自分ではまだ無理
(3)男性(54) 4 窃盗(万引き) 無 相談に乗ってくれる人がいなかった
(4)男性(31) 3 窃盗(さい銭盗) 有 結婚はしたい。今は特に思う
(5)男性(63) 1 窃盗(万引き) 無 つらいことがいっぱいあった
(6)男性(49) 3 窃盗(万引き) 無 地元だとまたやってしまいそう
(7)男性(58) 4 窃盗(車上荒らし) 有 福祉の支援なんて考えなかった
(8)男性(52) 0 窃盗(さい銭盗) 有 泥棒して殴られる夢を見るんです
(9)男性(40) 4 窃盗(万引き) 無 刑務所に戻りたくないが自信ない
(10)男性(63) 12 窃盗(自動車盗) 無 出所時、生活できる金があったら
【高齢者】※65歳以上
(1)男性(69) 8 詐欺(金券詐取) 無 口先だけで自分を飾ってきた
(2)男性(68) 19 窃盗(万引き) 無 今まで無駄な生活をしてきた
(3)男性(69) 3 窃盗(空き巣) 有 無銭飲食して逆戻りしようかと
(4)男性(66) 2 窃盗(万引き) 有 食事は5日くらい我慢してたかも
(5)男性(72) 13 窃盗(万引き) 有 もう年だし、できる仕事もない
(6)男性(69) 7 窃盗(万引き) 有 できるなら畳の上で往生したい
(7)女性(67) 5 窃盗(万引き) 無 孫が生まれ、絶対最後にしないと
(8)男性(74) 17 窃盗(万引き) 有 刑務所に40年近くいてしまった
(9)男性(72) 3 窃盗(置き引き) 無 本来の自分に戻るチャンスだと
(10)男性(68) 2 窃盗(万引き) 有 60歳の誕生日を留置場で迎えた

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2010.10.29 | | Comments(4) | Trackback(2) | ・障害者と「犯罪」
