NO.1959 年頭に メディアの翼賛化・劣化と主権者
久しぶりに書こうとすると、この間の流れもあり、どこから書こうかと途方にくれてしまいそうです。
とりあえずは、遅ればせながら、「明けましておめでとうございます」。
とはいえ、「閉塞感」という言葉が支配する政治・社会状況を見れば、おめでたい年にするのは、難しそうだなというのが、率直な感想です。
いずれにせよ、今年もよろしくお願いします。
さて、日本ジャーナリスト会議は、昨年暮れに2010年「ジャーナリスト」10大ニュースを発表しました。その第一が「(1)「日米関係の危機」を煽り、「『普天間』の県外・国外移転」求める沖縄県民の切実な声を黙殺し続けた大手メディア」でした。
普天間基地問題に限らず、ここに象徴されるメディアの劣化が、新年から顕著に伺えます。その一端を大手新聞社の元旦社説から拾い上げて見ましょう。
翼賛社説のそろい踏み
・「強固な日米同盟が不可欠だ」「日本が(TPP)交渉に乗り遅れれば、自由貿易市場の枠組みから締め出されてしまう」「消費税率を引き上げる以外に、もはや財源確保の道がない」(「読売」)
・「税制と社会保障の一体改革、それに自由貿易を進める環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加。この二つを進められるかどうか。日本の命運はその点にかかっている」(「朝日」)
・「とりわけ急がれるのは、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を中心とする貿易の自由化」(「日経」)
・「日本を元気にする」のは、「日米同盟を揺るぎなくする」ことや、「消費税増税」。(「毎日」)
大手全国紙が取り上げるテーマは同じもの。日米同盟の強化、消費税の増税、環太平洋連携協定(TPP)参加問題など。しかもその中身が、時の政権の主張を無批判に宣伝し、財界やアメリカの要求のお先棒を担ぐだけのものになっているところに、先にあげた普天間基地問題の報道に見られる「メディアの劣化」がむき出しになっているとは思いませんか?
将に「翼賛報道」というほかありません。
菅直人首相は年頭所感で、「平成の開国」を掲げ、日米同盟の「深化」、消費税を含む税制の「抜本改革」を打ち出しましたが、この内容を翼賛する報道内容に他なりません。もはやこれらの全国紙はジャーナリズムの使命とも言うべき「権力の監視役」としての役割を自ら放棄するに至ったようです。
さらにはテレビメディア。
5日のテレ朝「報道ステーション」で、キャスターの古舘伊知郎は、「総理がトップとして、議員定数削減を、いばらの道の中で達成して、消費税(増税)に向かっていく覚悟はあるか」などと問い、「定数是正と1票の格差の是正はいずれも重要な問題だから、あわせて実行するよう、党の仕事として努力したい」との答えを引き出しました。菅首相に向かって消費税増税や国会議員の定数削減をあおる質問を繰り返していたのが特徴でした。
菅総理は、「国民にある程度負担してもらっても、社会保障が安心できるものにしなければならない」「昨年の参院選のときには、私が消費税に触れたことが唐突な感じで批判をいただいた」「国に入るほう(消費税)は7兆円。しかし(社会保障に)必要な費用は17兆円」と、社会保障財源確保を口実に消費税増税の必要性を一方的に強調。
また、古館は、環太平洋連携協定(TPP)への参加を表明する菅首相に「痛みを伴う改革をやってでも会社法人化して農業を活性化し、大規模化する覚悟は?」と後押しし、管総理は「自由貿易の枠組みをドンと広げていかなきゃいけない。これが私のいう『平成の開国元年』の狙いだ」と述べ、例外なしの関税撤廃で農業と地域社会を破滅に追いやる環太平洋連携協定(TPP)への加盟をあらためて表明した。
こうして、テレ朝・古館は、茶の間に向かって「政府の広報番組」を演出して見せたのでした。
加速する翼賛化
「朝日」の姿勢については、村野瀬玲奈の秘書課広報室さんが「朝日新聞の決定的劣化を元旦社説に感じました。」で、多方面から詳細なツッコミを入れていますが、5日付社説では、「首相年頭会見―本気ならば応援しよう」との見出しで、以下のように書いている。
「TPPと消費税に政策目標を絞り込んだ首相の問題意識を私たちは共有する」・・・!?「私たち」とは、国民ではない事は明らかでしょう。財界とアメリカということでしょうか。まずは「その意気や良し」としておこう。今度こそ、ぶれず、ひるまず、掲げた目標をやり遂げてほしい。
菅直人首相が年頭の記者会見で、政権の今年の重点課題を明確にした。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加を念頭に置いた「平成の開国」、消費税引き上げを含む税制と社会保障の一体改革、政治とカネの問題へのけじめ――の3点である。
迷走してきた政権運営を立て直し、政党政治への国民の信頼を取り戻す。その足がかりとして、TPPと消費税に政策目標を絞り込んだ首相の問題意識を私たちは共有する。(以下略)
新聞でもテレビでも、大手メディアに欠落している視点は何か?
政権交代実現の要因は、民主党の「国民の生活が第一」「無駄を削れば消費税増税なしで政策実行できる」の公約にあり、その後、昨年の参院選で菅首相の「消費税10%発言」で民主党政権は大惨敗の厳しい批判を浴びたのです。
ジャーナリズムが民意にそむき、「権力の監視役」という役割を投げ捨て、破たんした自公政権と同じ路線をつきすすむ菅政権の応援役を買って出るところこそ、メディアの劣化の本質が見えるのではないでしょうか。
日本の「外交力の劣化」を指摘し、軍事力と軍事同盟の強化を主張するだけで、「懸案処理のための政治休戦と、暫定的な連立政権の構築」と翼賛政治を煽る「読売」・・・、世界に誇る憲法9条を生かした平和外交を主張することはできないのか。
書き出せばキリがありません。
「閉塞感」の中にあって、マスメディアがその使命を忘れ、危機感をあおり、翼賛政治への下地をならす・・・。日本のマスメディアは、先を争って国民を侵略戦争に駆り立てた戦前の歴史の教訓に立ち戻ることができるでしょうか。
主権者の声を
以上、大雑把に見てきたように悲観的なメディア状況ですが、だからこそ大事なことは英雄を待望することではなく、私たち国民が主権者としての声を発し行動することだと思います。
ささやかながら、ブログもその一つの手段。
目の前の障害のある仲間たちや、家族や、自分につながる人たちに心を寄せながら、誰もがみんな人間らしく生きることを保障する社会は、私たち一人ひとりに国民の手にかかっている・・・そんな決意です。
・・・ということで、今年もボチボチ、発信を続けたいと思います。
今年も、どうぞよろしくお願いします。
★今日のつぶやき→http://twilog.org/oowakitomosan
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
福祉目的なんて嘘っぱち!財政再建目的なんて嘘っぱち!
消費税は、昔も今もこれからも「法人税減税目的税」

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2011.01.08 | | Comments(2) | Trackback(8) | ・マスコミ・テレビ・新聞Ⅱ
