NO.1969 とんでもないヤツが出たようだ! 障害者基本法改正案
民主党政権の後退ぶりは目に余るものがありますが・・・、障害者福祉の分野での後退も例外ではないようです。
今日、政府が障がい者制度改革推進会議に対して障害者基本法の改正案を提示したようです。
こちらがPDFファイル→障害者基本法の改正について(案)
これはあんまりだということで、大激論になっている模様です。
内容の詳細は追って吟味するとして、先ずはこの間の経過等を理解するために、以下、転載しておきます。
先ずは、きょうされん コメンTOMO(2010年12月28日)【No.99】より。
次は、2011年2月13日(日)「しんぶん赤旗」より。どうなる?
新法のゆくえ決める基本法の抜本改正
~障がい者制度改革推進会議の「第2次意見」を受けて~
■今後の新法づくりに大きな影響を与える基本法の抜本改正
―「第2次意見」までの経過
自立支援法の廃止方針にもとづく新法づくりと、障害者権利条約の批准をめざして、2010年1月から開始された障がい者制度改革推進会議は、合計29回、延べ121時間に及ぶ議論を経て、12月17日に「制度改革の推進のための第2次意見」をまとめた。
推進会議は、去る6月29日に「制度改革」のための「第1次意見」を推進本部長である菅首相に提出した。同日、菅内閣は「第1次意見」にもとづいて、「制度改革の推進のための基本方向」を閣議決定し、2013年までの法改正・新法づくりのスケジュールを明らかにした。2011年の通常国会に提案される障害者基本法の抜本改正は、その第一弾であり、その論点をまとめたのが「第2次意見」である。
基本法の抜本改正は、自立支援法廃止後の新法や、差別禁止に関する法律などのゆくえを大きく左右する。なぜならば、基本法の障害の定義や範囲が狭ければ、新法の対象も同様に狭くなってしまい、差別禁止の定義が定められなければ、差別禁止に関する法律をつくる根拠が成り立たないからである。
■「第2次意見」の意義と特徴
「第2次意見」は、第1には基本法抜本改正の趣旨・目的、第2には障害や差別の定義、基本方針などの総則(12分野)、第3には個別の実定法の基本理念及び原則を明らかにした各則(16分野)、第4には推進体制、の大きく4つで構成されている。さらに項目ごとに、「推進会議の問題認識」と「基本法の抜本改正にあたって政府に求める事項」が盛り込まれている。
全文にわたって、権利条約の実質的な批准と自立支援法の廃止にもとづく新法の礎を築く強い意志と決意がみなぎっている。全文を解説したいところだが、紙面の都合上、ここでは趣旨・目的・定義などの重要なポイントのみを紹介する。
推進会議が基本法の改正でもっとも重視した点は、障害のある人を「保護の対象」から「権利の主体」に転換するために、「施策促進の基本法」から「人権保障の基本法」へ転換することであった。だからこそ、障害のない人と同等の「基本的人権の享有主体であること」と、障害があっても国民と分け隔てられることのない社会を実現するために、合理的配慮のための必要な施策の推進を、基本法の目的に定めることを提言している。
また基本法の基本理念に、障害のある人の4つの権利の定めることを提言している。具体的には、1)障害のない人と同等の生活が保障される権利、2)地域社会で生活する権利、3)支援を受けながら自己決定する権利、4)手話等の非音声言語が言語であることを認め、それをコミュニケーション手段として利用する権利の4つである。
さらに障害の定義では、これまでのわが国の狭い障害の定義を権利条約の水準から変革するために、「社会モデル」の考え方を踏まえるとともに、日常生活または社会生活に相当な制限を受ける場合も含まれる包括的で幅広い定義とすることを求めた。差別の禁止については、直接または間接的な差別や合理的配慮の定義を踏まえ、差別にかかわる規定を定めることを示している。
こうした意見書にもとづいて基本法の抜本改正がすすめば、今後検討が本格化する新法づくりに有効な影響を与えることができる。しかし、この意見書に至る過程で猛烈な抵抗が生じた。
■猛烈な関係省庁の抵抗
12月13日の第28回推進会議では、「第2次意見の素案」に対して、内閣府、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、外務省、警視庁、文化庁から、膨大な意見・留意点が提出された。厚労省の意見が多くの比重を占めていたことはもちろんだが、まるで関係省庁が足並みを揃えて一斉攻勢をかけたような様相だった。
たとえば、以下のような見解が示された。
「『障害者が基本的人権を享有主体であることを確認する』とは、どのような法的効果が生じるのか」、そもそも「基本的人権は憲法により平等に明らかにされている」、「『地域社会で生活する権利』という抽象的な規定の仕方は適切かどうか」、「手話等の言語性を確認するとされているが、具体的にどのような意味であり、どのような法的効果が生じるのか」、「権利条約には、社会モデルに関する明示的規定はない」など、基本法の目的や定義の基本的な問題について、真っ向から反発する見解が示された。
また「総合福祉部会や差別禁止法部会等の議論を制約すべきではない」という意見や、「中央教育審議会や労働政策審議会の審議を経る必要がある」といったことも強調された。さらに「現下の財政状況を踏まえた現実的な議論が必要である」とし、まるで推進会議が空論を展開しているかのような主張もあった。
■運動の力が試されるとき
これらの関係省庁の見解に対しては、十分応じることができる。
憲法で基本的人権が定められていても、障害があるが故に、現実の社会生活においてその保障がなされていないからこそ、憲法に準ずる基本法に具体的に定める意義がある。
また、権利条約が障害を定義していないことは周知の事実である。国連は、各国での新たな排除や区別にならないように、社会モデルを重視した障害の考え方を提起するにとどめ、障害の定義は各国がすべきことと定めたのである。
さらに、総合福祉部会等の議論を制約するのではなく、議論の方向性を明確にすることは、推進会議の果たすべき当然の役割である。まして財政問題を出発点につくられた法律が必ず失敗することは、自立支援法で経験済みである。
各実体法に重要な影響を与える各則についても、さまざまな省庁の反発が示された。もちろんこれらにも所見を述べることはできるが、ここでは省略し別の機会に改めて見解を示したい。
今回の「第2次意見」は、猛烈な関係省庁の抵抗との凌ぎ合いの中、推進会議の全員の一致でまとめられた内容である。もちろん、関係省庁の抵抗に屈せずに推進会議の強い意見を貫いた部分もあるが、妥協せざるを得なかった項目があることは否めない。それでも抵抗した関係省庁は、「第2次意見」をきわめてハードルの高い水準と受け止めているであろう。つまり「第2次意見」を受けて、官僚による法案化作業が始まるわけだが、大幅なトーンダウンはも懸念されるところだ。
制度改革の第1弾となる基本法の抜本改正は、いよいよ立法府・国会が舞台となる。権利条約の実質的な批准と新法につながる基本法の抜本改正になるか否かは、当事者や家族・関係者の運動にかかっている。いよいよ私たちの力の見せ所だ。(TOMOひろ)
なにが問われる―障害者基本法改正
今国会に提出
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障害者基本法の改正案が今国会に提出されます。14日にも、障害者施策のあり方について議論してきた「障がい者制度改革推進会議」に法案要綱が示される見込みです。基本法改正がなぜ求められているのか、改正で問われるものは―。(岩井亜紀、鎌塚由美)
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条約の批准に必要
障害者基本法の改正が求められているのは、2006年の国連総会で採択され、08年に発効した障害者権利条約批准のためです。
「21世紀最初の人権条約」といわれる障害者権利条約は、すべての人に保障されるべき普遍的な人権と基本的自由を、障害のある人に差別なく完全に保障することを締約国に求めています。日本は07年に署名しましたが、批准はまだです。
自公政権時代の09年、政府は一部の法の手直しで批准を狙いましたが、障害者団体は猛反発。障害者自立支援法の廃止を含め、条約批准にふさわしい国内法整備を求めました。
障害者施策の基本となる理念や障害の定義などの基本事項を定めているのが障害者基本法です。権利条約の精神を基本法に反映させることは、条約を批准し、日本の障害者施策を国際水準に引き上げるために欠かせません。
障害者自身が論議
障害者施策見直しの議論は、政府内に置かれた「障がい者制度改革推進会議」で昨年1月からすすめられてきました。委員24人のうち14人が障害者や家族です。こうした委員構成は障害者らの運動の反映です。
障害者らは障害者自立支援法の反対運動をすすめ、同法は憲法違反だとする訴訟を全国で展開。その結果、政府は昨年1月、自立支援法違憲訴訟団と基本合意を結びました。
基本合意で国は、▽速やかに応益負担制度を廃止し、遅くとも13年8月までに障害者自立支援法を廃止し新法を実施する▽新法制定に当たって、障害者の生活実態などにも配慮して、障害者の権利に関する議論を行う―などを約束しました。
推進会議は、基本合意を踏まえ、障害者権利条約批准のための法制度の抜本的見直しを議論してきました。昨年6月の「第1次意見」では、国内法整備の基本的な考え方やスケジュールを示しました。障害者基本法の抜本改正法(11年)、障害者自立支援法に代わる障害者総合福祉法(12年)、障害者差別禁止法(13年)の各案を国会に提出すると閣議決定されました。
改正によって障害者基本法は、障害者関係の国内法の「トップにある法律」(東俊裕障がい者制度改革推進会議担当室長)と位置づけられます。
推進会議は昨年末、改正障害者基本法に盛り込むべき考え方を「第2次意見」としてまとめました。それをもとに法案がつくられることになっています。
「意見」反映がカギ
推進会議の「第2次意見」は、「障害の有無にかかわらず地域社会で共に自立した生活を営むことが確保された」社会実現のために障害者基本法の見直しが行われるべきだとしています。
また、すべての障害者が「基本的人権の享有主体」であり、その権利を実現するために「自立と社会参加を保障するための支援が必要」だとしています。
何が障害かは社会環境によって決まるという視点を明らかにし、制度的支援を必要としながら対象外とされる障害者を出さないように、障害の定義の見直しと支援対象者の拡大などを求めています。
障害者権利条約の批准に向け、「第2次意見」に基づく基本法の抜本改正を、すべての障害者団体が一致して求めています。
3日に国会内で開かれた「国連障害者の権利条約推進議員連盟」の総会で、推進会議の議長を務める日本身体障害者団体連合会の小川榮一会長は「基本法改正の作業で、どう第2次意見を反映させるか」がカギだと強調。日本障害者協議会の藤井克徳常務理事は「私たちは特別な権利を求めているのではない。他の市民との平等を得たいだけだ」と訴え、当事者の声を踏まえ、超党派で批准に取り組むよう要望しました。
全国の共同作業所などでつくる団体「きょうされん」の小野浩常任理事は「形式的な障害者権利条約の批准では何も変わらない。権利条約の水準にかなうかたちで国内法を整備し、批准することが重要だ」と指摘します。
自立支援法廃止を
しかし、「第2次意見」が障害者基本法改正案にきちんと反映されるかには懸念がもたれています。
「第2次意見」取りまとめの過程で厚生労働省は、障害者は「基本的人権の享有主体」と明記することについて「憲法にすでに明記されている。障害者についてのみ確認することはどうなのか」と抵抗を示しました。
3日の推進議員連盟の総会では、外務省が権利条約批准は「既定の国内法で足りる」と説明。詰めかけた障害者団体の批判を受けました。
ふさわしい国内法整備が求められるなか、障害者自立支援法廃止の必要性が改めて浮き彫りになっています。障害者が生きるために必要な支援を「利益」ととらえる障害者自立支援法は、必要な支援を受けることを権利とする権利条約と真っ向から対立するからです。
権利条約の批准を実効あるものにするためにも、自立支援法は廃止しかありません。
★今日のつぶやき→http://twilog.org/oowakitomosan
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2011.02.14 | | Comments(1) | Trackback(1) | ・障害者基本法改定問題
