NO.1971 骨抜きの「障害者基本法の改正案」 国内版「権利条約」としての基本法に仕上げるのは、これからの運動次第!
軽度のぎっくり腰。去年ひどい目にあったので、大事をとって家で寝ています。あまりの退屈に、パソコンのモニターとキーボードを床に下ろし、腹ばいでいじっていますが、これが又、肩は痛いわ、首は痛いわ、・・・目が疲れるわ、涙目!
でも、何かやってないと、禁煙10日目の悪魔が忍び寄る・・・!
さて、去る14日に政府・内閣府が障がい者制度改革推進会議に対して提示した障害者基本法の改正案(こちらがPDFファイル→障害者基本法の改正について(案))は、障害関係団体でまとめた第2次意見とも大きくかけ離れており、関係者から強い批判の声が上がっています。
その中では、例えば「障害者が基本的人権を行使する主体である」ことや、「障害のない人と平等の権利を保障すること」などの基本に関る観点も盛り込まれず、具体的な表記もなく、実態的に権利を保障するには程遠いものといわなければなりません。
こうした批判に対しては、内閣府担当官が「権利を実現するには財源が必要。国民負担を明確にしないまま権利と書くのは適切ではない」と述べたそうです。何をかいわんやです。
この下りに対して以下のコメントがつきました。
全く同感で、怒りを禁じえません。> この国の権利は、財源によってどうにでも変わる権利らしい。権利について、どれくらい行使できるか、国民に問わねばならないらしい。権利の行使についてのさじ加減は国民に問うても、大企業への減税については、国民に問わないらしい。権利とは、かように安っぽいものなのか?かように頼りないものなのか?
今、関係者の間では「改正案」の全体をつかもうと学習会に取り組んでいます。
法律の文言をつかみ理解するのはなかなか難しいのが本音のところです。
そこで、きょうされんが(コメンTOMO2011年2月16日)【No.100】が、コメントを出しましたので、ここに紹介しておきます。ご参考に!
第30回障がい者制度改革推進会議
障害者基本法の改正案示される
国内版「権利条約」としての基本法に仕上げるのは、これからの運動次第!
2月14日、第30回障がい者制度改革推進会議で、「障害者基本法の改正について(案)」が示された。バレンタインデーに期待したプレゼントであったが、中身はあまりにもしょっぱくて食べられないチョコレートだった(ちなみに辞書によれば、「しょっぱい」とは、「情けない・恥ずかしい」を表す隠語とある。)
さて、この基本法改正案、一見すると推進会議での議論がある程度反映されたかのような錯覚を覚える。それは、権利条約の内容や、昨年12月にまとめられた第2次意見で示された表現が、要所で盛り込まれた点だ。
例えば、総則において、「障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重」(目的)と明記されたこと、障害の定義に社会的障壁による制限を加えた点(社会モデルの反映)、「どこで生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することができる」(地域社会における共生等)との表記、社会的障壁の除去のための合理的配慮(差別の禁止)、「施策を講じる際には、障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重する」(施策の基本方針)等といった内容などである。
しかし、これでは国内版「権利条約」とは、まだまだ言い難い。
何よりも、第2次意見が全面的に反映されていない。そして、「可能な限り…できるように」などという、骨抜き慣用句が随所に盛り込まれていることや、地域生活や精神障害者の施策がまったく触れられていないことなど、これまで推進会議で熱心に議論されてきた主要部分が欠落している案と言える。
その他に、前文規定がないことをはじめ、障害の範囲を狭め新たな谷間を生じかねない定義、合理的配慮の欠如が差別であることの明記がないことや、随所での権利性を弱める表記など、いくつも不十分な点が散見されるのだ。巧妙に主要ポイントを外した官僚ならではの文書であり、推進会議や障害のある人々との認識との乖離は甚だしい。
とくに雇用・就労分野では、雇用する側に対する障害の特性への配慮等が加えられたのみで、権利条約の理念がまったく反映されていないことは兎にも角にも大問題。
1)障害者が他の者と平等に労働についての権利を有する。
2)あらゆる雇用形態において障害を理由とする差別を禁止する。
3)障害者が他の者と平等で公正かつ良好な労働条件、及び安全かつ健康的な労働条件、及び苦情に関する救済について権利を有する。
4)障害者が他の者と平等に労働組合についての権利を行使できる。
5)障害者が効果的な職業紹介並びに職業訓練を享受できる。
6)国及び地方公共団体並びに民間事業主等は、障害者の雇用機会の拡大に努めること。
以上の内容は、権利条約に沿い、基本法にくみ込むべき内容だと思うがいかがであろう。
実は一昨年の春に、旧与党が障害者基本法を改定し、拙速に権利条約を批准しようとしたことがある。このときは、閣議決定の前にJDF(日本障害フォーラム)が総力を結して批准をさせなかったという経過があるのだ。それほど、国際水準からみて、わが国の障害関連法制度は世界に向けて恥ずかしいものなのである。
だから、これだけの内容で基本法が改定されては、たまったものではない。ましてや、先の改定障害者自立支援法 (昨年12月3日成立)のように、これほど大切な法案を、またもや政争の具にされてはならない。
改正案はまだまだ未完成。
2月14日の推進会議では、上記の他に各委員より遺憾千万(いかんせんばん=思いが伝わらず残念で仕方がないことの意)な厳しい意見が縷々(るる)相次いだ。「旧与党時代のレベルを下回ることがないように」との委員の意見に対し、与党・内閣府の園田政務官はその趣旨をくみ取る発言を行っている。
基本法の法案上程は目前。
2月3日には、超党派でつくる国連障害者の権利条約推進議員連盟の総会で、藤井克徳・推進会議議長代理(きょうされん常務理事)は、基本法の改正について、「わたしたちは特別な権利を求めているのではない。他の市民との平等を得たいだけ」と強調。かの村木厚子・内閣府政策統括官も、「第2次意見をどれだけ小手先でない法案にするか、努力しないといけない」と述べた。
わたしたちきょうされんは、現在すすめている第34次国会請願署名運動で、障害者基本法の改正にあたり、障害者権利条約に合致した内容とすることを求めている。この声を世論として広げることが今、ますます重要となっている。地方からも、関係団体と連携し、緊急に地元選出の国会議員や菅首相(障がい者制度改革推進本部長)宛に要望書を提出し、はたらきかける活動を行うことを呼びかける。
★ ★ ★
間もなく自立支援法の施行から5年。
10・31全国大フォーラムや地方集会で土を耕し、障害者自立支援法違憲訴訟で種をまき、ようやく小さな芽が出てきたのがこの改正案。一年前から積み重ねてきた推進会議の論議が、ここに実を結ぼうとしている。
しかし、この小さな芽を大切に育て、やがて春を迎え、花を咲かせ、たわわに実る秋を迎えられるかどうか(8月には総合福祉法の素案がまとめられる予定)、正念場は今後、今通常国会への法案上程まで目が離せない。
なにせ、基本法の改正案が示された翌日(2月15日)の第12回総合福祉部会では、「改革の視点が感じられない」「権利条約や合意文書が念頭にない」「支援法の延長線上の論議」と委員から厳しく批判されるほど、どうやら厚労省は自立支援法の延命に本気のようなのだから・・・。そう、別れを告げたはずの支援法が、まだ害虫として居座り、実を蝕もうとしているのだ。
「とびっきりの新法」づくりの第1歩が障害者基本法の抜本改正。これからが山場を迎える。今後の動向に注目を。 (TOMO幸)
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2011.02.17 | | Comments(5) | Trackback(0) | ・障害者基本法改定問題
