NO.1975 障害者権利条約批准には到底及ばない内容 障全協が基本的見解
14日発表の「障害者基本法の改正について(案)」について関係団体からの厳しい批判・見解が相次いで発表されています。
改正案は「わかりにくい」と多くの人から聞かれます。確かに法律の文言や表現は一般的にそういう傾向がありますが、敢えて言えば、わかりにくいところにその精神が見え隠れするというものです。「私たち抜きに私たちのことを決めないで」という切なる願いが出発です。私たちの代表も参加し話し合いが始まりましたが、法案の内容が私たちにわかりにくいということ自体が、問題の所在を暗示してしているのではないでしょうか。・・・ともあれ、みんなで学習!
障害者基本法改正案に対する基本的見解
2011年2月18日
障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会
本年2月14日、第30回障がい者制度改革推進会議において、内閣府より「障害者基本法改正案」が提出されました。国連・障害者権利条約の批准に向けた最初の法改正であり、来年予定されている新法(障害者総合福祉法-仮称)制定にも大きく影響する法改正であるだけに、関係者の期待と関心をあつめていました。しかし、提出された法案は、推進会議の第二次意見を具現化する努力も認められず、なによりも条約批准には到底及ばない内容といわざるをえません。
私たち障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)は1967年12月の結成以来、「生きる権利」・「学ぶ権利」・「働く権利」・「政治参加の権利」の4つの権利の旗を高く掲げながら、権利としての施策の拡充を訴え続け、運動をすすめてきました。国連・障害者権利条約の発効は私どもの結成目的とも合致し、心から歓迎するとともに、この条約の批准を行うことで、わが国の障害児者に関する諸制度の水準が限りなく改善されていくことを強く望んでいます。
新政権樹立後、障害者・家族、関係者の願いや声を真摯に反映させながら、新たな制度づくりをすすめるために設置された「障がい者制度改革推進会議」や「総合福祉部会」での議論に、私たちの声を地域からも反映させるべく努力を行ってきました。
今回の障害者基本法改正にあたっては、現行法が「この法律は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本的理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて障害者の福祉を増進することを目的とする。」(第1条:目的)とされながら、この法そのものを訓示規定同様の扱いとし、法の精神を軽視してこれまでの障害児者施策が展開されてきたことからいえば、まずは条約の趣旨に沿って、実効性のある法律とすることが不可欠であると考えます。
しかしながら、改正案は、「権利法としての位置づけは不明確となっている」「障害の定義が従来通りであり、社会モデルやICFモデルの位置づけとのかい離があり、社会的障壁としてくくられている」「差別の定義が不明確で、合理的配慮の欠如が包含されていない」「障害のある女性の規定が組み込まれていない」「障害者政策委員会や都道府県の合議体の機能や役割が不明確」など、第二次意見はもちろん、私たちが願う権利法としての位置づけからもかけ離れたものとなっており、権利条約の批准すら曖昧にされかねない内容といわざるをえません。しかも、同改正法の上程を含め、短期間で結論が求められることは、この間の障害者団体と協力・共同で新たな制度をつくろうという趣旨からも大きく逸脱しているといわざるをえません。
改めて、当該法改正の趣旨を想起し、「私たち抜きで私たちのことを決めないで」との思いを踏みにじることないよう、真の声を生かした法づくりをすすめられることを強く求めるものです。
なお、私たち障全協が昨年2月に要望した事項を再掲させていただくとともに、これら事項を今回の改正案に反映して頂くよう、あらためて強く要望します。
【障害者基本法改訂に関する要望】(中間的要望)
1、障害者権利条約の批准を視野に、新たな障害者・児の権利保障を促進するための法として抜本的な再整備を行うこと。
2、「基本法」という性格と法的位置づけ(他の関連法規との関係)について明確にすると同時に、司法救済の具体的な権利として明記すべきであること。併せて障害者に関する法規・施策は、条約の規定に沿った新法の規定に従って制定・実施されなければならないという趣旨を明確に規定すること。また医療・福祉・教育等の制度横断的に総合的保障が行えるようにすること。
3、「障害」の定義は、障害者権利条約の規定を考慮し、障害が態度及び環境の障壁との相互作用から生じるという観点を含め、障害名の列挙規定を行わないこと。
4、差別の定義については、直接差別、間接差別、合理的配慮の欠如、差別の積極的是正措置等に言及すること。
5、障害者基本法に規定されていない事項について、規定を追加すると同時に、同法で規定されている事項で適切でないものについて抜本的見直しを図ること。
①「障害のある子ども(障害のある児童)」の条項を新設。
②「教育」における「インクルーシブで質の高い」教育保障などの責任の明確化。
③「障害者への医療」保障の明確化。
④総合的障害者実態調査の新設(個別団体調査の位置づけも明確に)
⑤政策・計画策定への当事者参加の明確化。
6、障害者施策の策定とその評価は、一般国民との比較可能な障害者の生活実態調査をふまえて行われるものとすることを法律上明記すること。
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2011.02.22 | | Comments(1) | Trackback(0) | ・障害者基本法改定問題
