NO.2186 「社説」配信業者でもいるのか?おそろいの「社説」たち
冗談みたいなタイトルですが・・・、「社会の木鐸(ぼくたく)」にはほど遠い存在となってしまったようですね。
去年の年頭にも、NO.1959 年頭に メディアの翼賛化・劣化と主権者で、新聞各社の社説を取り上げて、「翼賛社説のそろい踏み」を紹介したものでした。
「閉塞感」の中にあって、マスメディアがその使命を忘れ、危機感をあおり、翼賛政治への下地をならす・・・。日本のマスメディアは、先を争って国民を侵略戦争に駆り立てた戦前の歴史の教訓に立ち戻ることができるでしょうか。
今年は、「社説」配信業者でもいるのか?なんて、冗談みたいなタイトルですが・・・。
消費税問題に関して、2012年1月1日の各社の社説に共通するのは、「財源不足で社会保障が破たんする、だから消費税増税は避けられない」とする政府・財界の論点に立脚していることです。
五大紙がこういう調子で後押しするところに、野田首相が「社会保障と税の一体改悪」に「ネバー×4ギブアップ」で突っ走る要因があるように思います。
日本新聞協会幹部は、「消費税増税は将来避けられない。協会としては軽減税率を求めていきたい」、「新聞は民主主義や文化を公共財」であり「国民生活に欠かせない情報源」だから・・・。
なんとも、自分にだけは火の子はかかってほしくないが、「燃えろよ燃えろ!」と煽るわけです。こんな「情報源」なら、「民主主義」や「文化」や「公共財」が泣きますよね。
以下、部分的に拾ってみますので、ご参考に・・・。
朝日新聞=ポスト成長の年明け―すべて将来世代のために 新しい年も難問が続く
東日本大震災、福島の原発事故への対応はもちろん、年末に民主党がやっと素案を決めた消費税率の引き上げもある。
・・・取り組むべきは、社会保障と税の一体改革を実現させて、成熟社会の基盤をつくることだ。医療・介護や教育といった社会的サービスを再建することが、量的拡大に代わる新たな経済社会につながっていく。
・・・ 成長の時代を享受してきた私たちは、変化していく歴史の行方を長い目で見つめながら、いまやるべきことを着実に実行していかねばならない。
毎日新聞=2012年激動の年 問題解決できる政治を
2012年は国内外ともに政治の問題解決能力が厳しく問われる年になるだろう。
例えば、今年の通常国会最大の懸案である一体改革だ。消費税率を引き上げ、超高齢化社会でも持続可能な財政・社会保障制度を構築する、この改革の必要性については、私たちもこの欄で何度も訴えてきた。・・・
◇なぜ妥協しないのか
・・・野党に望むのは、審議拒否でも批判のための批判でもない。包括的な代替案の提示である。そこで初めて妥協という、政治が前に一歩進むための土俵ができる。消費税率上げについては、与党・民主と野党第1党・自民が全く同じ主張をしているのになぜそれが実現しないのか。メンツや政略を超えた大局的判断ができないものか、今一度考えてほしい。
読売新聞=「危機」乗り越える統治能力を ポピュリズムと決別せよ
・・・野田首相は、社会保障の財源としての消費税率引き上げに道筋をつけ、成長のカギを握る自由貿易を推進し、現実的なエネルギー政策を確立しなければならない。
・・・野田首相は、消費税率について「2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げる」と言明している。3月末に、税制関連法案を国会に提出する方針だ。
・・・首相は、年金や医療、介護などの社会保障制度を持続可能にするには、消費税率引き上げによるしかないことを、国民に丁寧に説明し、理解を求めてもらいたい。
・・・社会保障と税の一体改革は、どの政党が政権を取っても、与野党で協力して実施に移さなければならないテーマだ。自民、公明両党も政権復帰の可能性を見据え、法案成立に協力すべきだろう。
産経新聞=民主消費増税決定 歳出削減にも指導力示せ
・・・野田佳彦首相が最大の懸案であった消費税率引き上げに関する民主党案をまとめた。
・・・少子高齢化が進む中で、社会保障の安定財源を確保するための消費税率引き上げは避けて通れない課題であり、年内の決着にこぎつけた首相の手腕は評価したい。
日本経済新聞=転換期日本 変化の芽を伸ばす(1) 資本主義を進化させるために
元旦は
と一般論だが、「日本が再出発するためには」「国家の目標を高く掲ぐるを要する」「国家の目標とは(中略)、世界を家とし、世界に友を求めることである」
これはまさに現在に通じる。今様にいいかえると次のようになるだろう。日本再生のためには、国家目標としてグローバル社会で生きぬくことを高く掲げ、転換期を乗りこえていこう――。
「消費税増税への道筋をつける動きが本格化したことは評価すべきであろう」(5日付)
さて、5大紙以外の地方紙は、多少はトーンが違っている。
東京新聞=新年のはじめに考える 民の力を今、活かそう
最近もっともまともと言われている東京新聞でも、これ。土俵がね・・・、歯切れもイマイチ・・・。・・・・これでは「無駄を切り詰めたから増税を」という政治の意志も財務省の意図さえうかがえません。各種世論調査では消費増税について賛否両論が同率になっていましたが、こうした姿勢では反対論に勢いがつくことになります。
野田佳彦首相は消費増税法案が国会を通過してから実施までに国民に信を問うと言ってきましたが、年末の若手議員の離党騒動もあり実現は不透明です。そもそも増税の必要はないと公約し政権を取った政党が一転、増税に走るのは信義にもとります。こうした手法を認めるのは選挙をすれば増税ができないと考える官僚と、発想が同じ学者やメディアでしょうが国民は愚かではありません。
財政再建に増税が避けられないなら無駄を徹底的に削る、信頼に足る政権に託したいというのが皆の共通した気持ちだと思います。野田政権は消費増税法案の提出前に、国民に信を問うべきです。自民党も増税案を掲げているのですから、どちらの党が信を得るか競えばいい。もちろん、増税反対を主張する勢力が、真っ向から論争を挑むのは当然です。
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2012.01.12 | | Comments(1) | Trackback(2) | ・マスコミ・テレビ・新聞Ⅱ
