NO.2194 「障害を乗り越えた」「明るい障害者」?・・・障害と環境を考える。
障害があるということは、どういうことなのでしょうか?
しんぶん赤旗の人欄で知りました。
ペンネームは「友と輝く、友輝(ゆき)」さんだそうです。
作品は、以下のリンク先にテキストがあります。
第46回NHK障害福祉賞優秀作品「『ただいま』」松永 香奈恵
http://www.npwo.or.jp/library/award/2011/46_yusyu_matsunaga.html
さわりの部分だけ転載しておきます。
よくわかる気がします。「障害」と言えばまるで枕詞ででもあるかのように「乗り越えて」とか「があっても明るく前向き」と続く気がします。けれど、私にはいまだに「障害を乗り越える」ということの意味がわかりません。「障害物を乗り越える」と言うならわかります。けれど、障害を乗り越えるとはどういうことなのでしょうか? はたして本当に乗り越えることなどできるのでしょうか? 「障害があっても明るく前向き」とは、言い換えれば「障害があれば暗くて後ろ向き」であるのが普通ということなのでしょうか? けれど、多くの人は障害者は「障害を乗り越え、明るく前向き」だと思っているように見えます。これはマスコミに取り上げられる障害者の多くがそう見えるからかもしれません。しかし、障害の有無に関わらず、よほど悲しい話をするとか、つらい経験を語る場合でなければ、見ず知らずの人に対しては失礼にならないように、たいてい誰でも明るく対するのではないかと思います。それが障害者だと、なぜか「障害を乗り越えて」とのフレーズになってしまうのですから不思議です。明るく振る舞うことと、その人の心が同じだとは誰にも言えません。たとえ暗く見えてもそれが障害のせいとも限らないのです。
あるとき電車の中で次の予定を考えていた私は、突如知らない人から声をかけられました。・・・
陶友に初めて見えた方たちの感想の多くが、「皆さん明るいですね」です。私は、「そうですね。障害者は暗いですからね・・・」と、意地悪く答えます。
ツイッターで紹介したら、フォロアーさんが朗読してツイキャストのアップしてくれたものです。
ご自身も難病の障害をお持ちのかたです。朗読しようと思い立ったその心持ちに思いをはせます。
・・・黙読したほうが早いでしょうが、この方の思いとともに聞いてみてください。
① http://ow.ly/8xA9t
② http://ow.ly/8xAaw
ICF☆は、障害を個人の問題とするのではなく、「環境との相互関係」の中でとらえる考え方を提唱しました。
目に見えない環境、例えば周りの人が障害をどう理解しているか、その人をどういう目で見るのかということも重要な環境因子なのです。
周囲の理解が進めば、それだけ生きやすくなるという考え方です。私たちは直接かかわることはできなくても、そういうふうにつながりあい理解を深めることで障害者福祉の発展に寄与できるのだと思います。
また、日本リハビリテーション医学会会長・国際同学会副会長などを歴任した上田 敏 (うえだ・さとし)さんは、主観的障害という考え方を提唱しました。
自分が自分の障害や自分をどう見るのか、理解するのか・・・、その仕方によって当事者の「生きる困難」もまた変わってくるという考え方です。
客観的に同じ身体・能力障害があっても、本人の受け止め方で違ってくるであろうことは、乙武さんの場合を考えて観ても理解できると思います。
上記の、松永さんの作品はその辺に触れたものということもできると思います。その「主観」もまた周囲の人的関りという環境がもたらすのではないでしょうか。
☆ICFとは、2001年にWHO(世界保健機関)が提唱した、国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health)の略称。
■参考:「ICFの視点とは」
■過去ログ:NO.34 主観的障害の重さ。
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2012.01.19 | | Comments(0) | Trackback(0) | ・障害者福祉いろいろ
