NO.2207 ハシズムの本性 強権政治と庶民いじめ
橋下市長が暴走政治のアクセルがをさらに踏み込んだ。
橋下市長の政治手法は、労働組合攻撃を突破口に恐怖政治で職員を管理支配し、市民いじめの政治を無批判に担わせるやり方といえるだろう。
下のビラをご覧ください。
◆橋下さん、国保料引き下げも減免もやめるって、
市民は保険料払うために生きてんのと違うで!!
◆繰入やめたら一人2万円、4人家族なら8万円以上の保険料値上げに!!
◆加入世帯の8割が所得200万以下の貧困世帯!!お金持ちなんて殆どいない!!
▼所得200万円で38万円の国保料 いまでも限界を超えている大阪市の国保料
これが橋下政治の象徴的な実態です。
こんなことを市の職員が喜んでやるでしょうか?
いや、新自由主義者の橋下市長としては、何が何でもやらせたいのでしょう。
悪政を推進する物言わぬ職員づくり
そのためにはモノを言わず、自分に従う職員づくりが必要なのです。
今回の職員に対する思想調査は、そのための突破口ではないでしょうか?
橋下市長は、ご丁寧に直筆サインの文書を出して市職員の政治活動、組合活動とのかかわりに関するアンケート調査=思想調査を強行しています。
氏名、職員番号も記名させ、「任意ではない」、「業務命令だ」。「正当に回答しないと処分だ」、という・・・!
質問項目は22項目。
ご丁寧に密告も奨励している・・・。正直に言えば、処分も軽くするよ・・・とも。
恐怖政治は必ず飴を用意して分断を図るものである。
職員は働く仲間に疑心暗鬼となりばらばらに分断される。
そんな職場で、住民サービスのいい仕事ができるはずはないでしょう。
■質問項目など詳細は→ http://bit.ly/ypkInh
質問項目は、
・組合に加入することによるメリットをどのように感じるか?
・組合にどのような力があると思うか?
・組合に加入しない(脱退する)ことによる不利益はどのようなものがあるか?
・組合費がどのように使われているか知っているか?
など実に細かく具体的に職員の動向を調べるものであり、露骨な不当労働行為、労働組合への支配介入の中身が含まれています。
しかも、インターネットサイトでの回答方式になっており、回答したくない項目を飛ばそうとしても、次に進めない仕組みに!
そもそも、職員の組合活動や政治活動は業務にかかわることではありません。
それを「業務命令だ」と押し切ろうなんてとんだ暴論です。
弁護士杉浦ひとみさんは、以下のように指摘しています。
内容自体が政治的な活動に関する事柄であり、それに対して
①任意のアンケートではなく、市長の業務命令として行うこと
②正確な回答がなされない場合には処分の対象になるとしていること
③自らの違法行為について真実を報告した場合、懲戒処分の標準的な量刑を軽減するとしていること
などが特徴的です。
憲法で保障された政治的活動の自由は、公務員については無制約に認められているわけではありませんが、
今回申告を求めていることが全て違法とはいえません。
また政治的事項についての内心の自由をも侵害しています。
でも、③のようにいわれると、質問で聞かれていることは、全て違法なことだという錯覚を起こします。
それに乗じて、全てを答えさせることは、刑法的には強要罪、
憲法的には黙秘権侵害類似の問題も出てくると思います。
刑法第223条(強要罪)
1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、
又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、
3年以下の懲役に処する。
憲法38条
1項 何人も,自己に不利益な供述を強要されない。
橋下市長がこんな暴挙に打って出る背景には、日本人の権利意識の貧しさがあるといわなければなりません。
これは、大阪市の組合や職員だけの問題でもなく大阪市民だけの問題でもなく、すべての国民が関心を持ってやめさせなければならない問題です。
そして、憲法に保障された国民と労働者の権利についてしっかりと学ぶことが求められています。
「イル・サンジェルマンの散歩道」さんの労働組合は何の役に立つのかによれば、フランスのでは中学4年(日本の中3)で次のようなことが丁寧に教えられてるそうです。
各人は労働の義務および雇用の権利をもつ。何人も出身、意見あるいは信条を理由にして、労働もしくは雇用において権利を侵害されてはならない。人はみな、労働組合活動によって自己の権利および利益を守り、選択した労働組合に加入することができる。
憲法前文(1958年)
D'après www.cfdt.fr
労働組合の第一の機能は、すべての労働者の権利を守り、拡充することです。すなわち雇用、賃金、労働条件、社会的保護、職業上の平等、各人の尊厳の尊重のことです。一人職場であっても、グループ職場であっても、あなたがいるところにはどこにでも活動家がいて、あなたを受け入れてくれます。たとえばあなたの会社あるいは事業所、労働組合の地域支部、あるいは最寄りの組合事務所といったところに。私たちはそこで、あなたに情報を与え、あなたの話しを聞き、助言をし、あなたの意識を高め、ストライキの時はあなたを支援します。
www.cfdt.fr
□労働組合は、組合員の権利と利益を守るために、国あるいは雇用主と交渉します。
□ストライキ権は、労働組合がもつ伝統的な手段です。しかしストライキの日数は減る傾向にあります。ストライキは一般に、デモを伴います。なぜ闘うのかを知らせるためです。しかしデモは、ストライキに限らずおこなわれます(メーデーのデモ行進では、労働組合は自分たちの要求を知らせます)。
□労働組合は、企業の中で活動する権利をもっています。すなわち組合の支部は、集会をしたり、資料やビラを掲示することができます。
www.vie-publique.fr
労働組合の組織率では、フランスはOECD(経済協力開発機構)の30位で最下位です。8%の組織率で、スエーデン(81.1%)、カナダ(28.1%)、ドイツ(25%)、日本(21.5%)、アメリカ(13%)に遠く及びません。25年の間に、労働組合に組織された労働者は、半分になりました。
「中小企業、未組織の企業、サービス部門など、文字通り「組合砂漠」です。商業・サービス部門では、550万人の労働者に対して、3万人しか組織されていません」とCGT幹部のGérard Billonは説明しました。
企業を襲った「Papyブーム」* は、労働組合もまき込みました。「今から2015年までに、われわれの組合員の3分の1が退職によって去っていきます」とGérard Billonは語ります。CFDTでは、30歳以下の組合員はわずか6%ですが、50歳代は30%を占めています。
*Papyは、おじいちゃん。2006年から2025年までに予想される大量の退職者
国際労働組合総連合CISLのメンバーであるJanek Kuczkiewiczへのインタビュー
労働組合の諸権利は重要である。それは、世界人権宣言をはじめとして様々な条約に認められているように、人権の構成要素をなすからである。労働者の条件は、社会がどれだけ民主的であるかの指標となる。もしスローガン的にいうならば、コロンビアでは組合活動家が殺され、中国では投獄され、アメリカでは解雇されている。これは労働組合の権利が、発展途上国においても、先進国においても侵されているということを示している。国際労働組合総連合の2004年の報告では、129名の労働組合活動家が殺されている。そのうちの90名はコロンビアである。いくつかの国では、労働組合の権利への侵害は、市民的、政治的権利、生命、安全まで及んでいる。その他の国ではそれほど粗暴ではないが、不当な解雇、労働市場における差別などの侵害がある。労働組合の権利が認められているヨーロッパにおいても、あきらかに労働組合の自由を制限しようとする動きが認められる。また雇用者が、労働組合の権利の尊重より罰金の支払いを選ぶ傾向も、少しずつ現れてきている。
www.amnestyinternational.be
「はげしく学び はげしく遊ぶ(石川康宏研究室)のいま労働組合を論ずる視角-人権擁護装置としての健全な成長では、「いま労働組合を論ずるためには、そうした大局的な視角が必要だ。本来、求められる社会的機能の発揮に向けて、労働組合をいかに健全に成長させていくか。
それこそが、国民的な議論の課題なのだと考える。」と、次のように。
大阪市職員に実名での回答を義務づけた
「労使関係についての調査」が話題になっている。
全文はこちら(PDF)。
さすがに、これはヒドイねえ。
大阪市役所の労働組合が、
あまりほめられたものじゃないことは、
以前から、かなり広く知られていたこと。
しかし、その問題点を指摘することと、
組合活動を、雇用者が力で制限するのは別のこと。
先日「議会」の歴史に関する書き物をして、
ブルジョア革命後の人間社会の歴史が、
「平等と人権」をキーワードに
発展してきたことを、あらためて確認したばかり。
「人間の権利に、人種や性別、貧富や出身地等、
いかなる理由でも格差をつけてはいけない」。
17世紀からの長い時間をかけて、
人間社会は、そうした思想を、次第次第に身につけた。
その社会の成長の中で、
なぜ労働組合は誕生し、成長したのか。
それは労働組合にも、
同じ役割が期待されたから。
労使の力関係の相違により、
そのままでは労働者の「平等と人権」は
多くの場合に侵される。
それを防ぎ、是正するための
雇用における人権の擁護・調整装置が労働組合。
だから、それは万人の「平等」を
あたり前のこととして追求する
民主的な社会にとっては、不可欠のもの。
フランスの中学校の教科書には、
こんな具合に書かれているそう(コチラ)。
そもそも労働組合はどのようにして誕生し、
どういう理由で各国社会に定着し、
どのような役割の発揮が求められているか。
いま労働組合を論ずるためには、
そうした大局的な視角が必要だ。
本来、求められる社会的機能の発揮に向けて、
労働組合をいかに健全に成長させていくか。
それこそが、国民的な議論の課題なのだと考える。
橋下の手口は、考える暇を与えずとんでもない暴論を吹っかけて、自分の都合のいいところに落としていくやり方です。
バカな!と言うだけでなく、冷静に整然と反論し、調査の撤回を求める組織的な反撃が始まっています。
■思想・良心の自由、労働基本権を侵害するアンケート調査の即時中止を!(民主法律協会)
■大阪市の「アンケート調査」に抗議します。(地域労組おおさか青年部)
■大阪自治体労働組合総連合 (大阪自治労連) - 暴挙!橋下大阪市長は憲法違反の思想調査(職員アンケート)を即時中止せよ(談話) [2012.2.13]
■大阪市による職員アンケート調査の即時中止と廃棄を要求する緊急声明
2012年2月13日大阪労働者弁護団 代表幹事 大川一夫
■橋下大阪市長の違法な思想調査への抗議集中について 愛労連(ブログ)
橋下大阪市長の違法な思想調査に抗議する
大阪市の橋下市長は9日、「アンケート調査について」の文書をだした。このアンケートは「労使関係に関する」調査を名目にはしているが個人を特定し、政治活動、知人関係を勤務時間外にまで調査するもので、人権を侵害する違法な内容になっている。このようなアンケートは直ちに中止するべきである。
アンケートは「知り合いの住所を知らせたり、街頭演説を聞いたりする活動も含」めた「特定の政治家を応援する活動」について「誘った人、誘われた場所、誘われた時間帯」など勤務時間の内外を問わず詳細に記入を求めている。この他にも投票の要請や知人の紹介の有無から「職場において選挙のことが話題になったことはあるか」など詳細に記入を求めている。このような「思想調査」が行政の長によって行われることが許されるはずがない。
また選挙活動とは関係の無い「組合に加入することによるメリットをどのように感じていますか」や「組合にどのような力があると思いますか」「自分の納めた組合費がどのように使われているかご存じですか」ことを記入させている。市長は「使用者」の「長」であり、「労働組合の運営に支配介入」することは労働組合法第7条が禁ずる「不当労働行為」にあたる。
橋下市長はこのアンケートを「市長の業務命令」であり「正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえ」るとしている。「誘った人」「要請した人」「言われた相手」など「通報窓口に無記名で情報提供」する方法を示しておいて、「自らの違法行為について、真実を報告した場合、懲戒処分の標準的な量定を軽減」するとしている。まるで市長自らを秘密警察の長官とでも思っているかのような独裁ぶりである。
私たちは大阪市においてこのような思想調査が行われることを看過する事はできない。橋本市長に断固抗議し直ちに中止することを求める。また民主主義を求める県下の市民、団体、マスコミ関係者に事態をしらせ、橋下市長への抗議を訴えるものである。
2012年2月13日
愛知県労働組合総連合
議長 榑松 佐一
■大阪市労組情報ねっとわーく
■「労使関係に関する職員のアンケート調査」の問題点 民主法律家協会 2012年02月13日
■橋下市長が思想調査
全職員対象「政治家応援活動したか」
大阪 しんぶん赤旗
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- NO.2207 ハシズムの本性 強権政治と庶民いじめ (2012/02/14)
テーマ:政治・経済・社会問題なんでも - ジャンル:政治・経済
2012.02.14 | | Comments(5) | Trackback(3) | ・橋下政治と民主主義
